マーカー染色体
マーカー染色体Marker chromosomeとは、染色体の小さな断片のことで、その大きさゆえに専門的なゲノム解析を行わなければ特定できないものである。見た目に特徴があるが、完全には識別できない異常な染色体のことで、必ずしも特定の病気や異常のマーカーになるわけではないが、顕微鏡で見ると正常なヒトの染色体と区別できる。例えば、フラジャイルX(FRAXA)染色体は、かつてマーカーXと呼ばれていた。
マーカー染色体は約70%の確率で孤発的に発生し、残りは親からの遺伝である。半数の症例ではモザイク症が見られ、その症状の重さに影響する。マーカー染色体の頻度は1万人に約3~4人で、精神発達遅滞の場合は300人に1人と通常より多い。
マーカー染色体は、通常、標準的な46本の染色体に加えて発生し、部分トリソミー、テトラソミーとなる。マーカーは、不活性な遺伝物質で構成され、ほとんど影響を及ぼさないこともあれば、活性な遺伝子を持ち、パリスター・キリアン症候群を引き起こすiso(12p)や、精神遅滞や症候性顔貌に関連するiso(18p)のような遺伝的状態の原因となることもある。 15番染色体はマーカー染色体の数が多いことがわかっているが、その理由は不明である。
この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号