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脈絡叢嚢胞(みゃくらくそうのうほう)

脳室

脈絡叢嚢胞(みゃくらくそうのうほう)は、脈絡叢に液体がたまったものである。脈絡叢嚢胞(CPC)は、一般に脳室側脈絡叢内の境界が明瞭な小型(直径10mm以下)の超音波透過性構造物である。片側の単純な嚢胞から、隔壁のある嚢胞、両側の嚢胞、多発性の嚢胞まで、様々な外観を持つ。脈絡叢は脳室内に存在する血管が豊富な組織で、脳と脊髄を保護するクッションとして働く脳脊髄液を作る。

脈絡叢は妊娠約6~7週で発育を開始し、急速に成長し、妊娠9週までに側脳室腔の約75%を占めるようになる。

脈絡叢嚢胞の原因

脈絡叢嚢胞は、脈絡叢上皮に脳脊髄液が引っかかることで充満されてできるようである。典型的な超音波画像は、脈絡叢内にある境界が明瞭な小型(通常1cm未満)の半透明構造である。片側の単発性嚢胞から両側の隔壁性嚢胞や多発性嚢胞までさまざまである。

脈絡叢嚢胞の頻度

脈絡叢嚢胞は、妊娠50~100人に1人の割合で脳の片側または両側に見られる。嚢胞の数、大きさ、形は様々である。脈絡叢嚢胞は通常、正常と考えられ胎児に害を与えるものではない。これらの嚢胞はは、健康な子供や大人にも見られることがある。

脈絡叢嚢胞の臨床的意義

脈絡叢嚢胞は、妊娠第2期の一般的な超音波検査所見である。

孤立性脈絡叢嚢胞

他の中枢神経系または中枢神経系以外の異常および染色体異数性の危険因子がない場合を孤立性脈絡叢嚢胞という。孤立性脈絡叢嚢胞は、形状、サイズ、または側性(片側、両側)にかかわらず、正常の異形であると考えられている。これらは通常、妊娠第3期までに消失する。消失せず残存しても通常、無症状で良性である。つまり、長期的な発育上の有害な結果とは関連しない。

脈絡叢嚢胞とは別の異常がある場合

脈絡叢嚢胞とさらなる別の異常がある胎児は、染色体異常、特にトリソミー18のリスクが高くなるため、ソフトマーカーとして使用される。したがって、これらの嚢胞が検出された場合、さらなる評価、特に胎児核型について患者に相談するために、胎児の解剖学的調査を徹底的に行うことが重要である。脈絡叢嚢胞は、18トリソミーの胎児の30~50%に存在するのに対し、第2期胎児全体の0.6~3%である。脈絡叢嚢胞の頻度は、21トリソミーの胎児では増加しないとされている。

脈絡叢嚢胞が胎児に見つかった場合

異数性スクリーニングを受けていない場合

異数性スクリーニングの経験がなく、孤立性脈絡叢嚢胞がある妊娠中の人々に対しては、母体胎児医学会(Society for Maternal-Fetal Medicine)は、トリソミー18の確率を推定するためのカウンセリングと、NIPT(新型出生前診断)、またはNIPTを受けられない場合はクアトロテストなどのスクリーニングの選択肢について話し合うことを推奨している。

異数性スクリーニングをすでに受けている場合

母胎血清スクリーニングまたはNIPT結果が陰性で、孤立性脈絡叢嚢胞を指摘されている場合には、それ以上の胎児染色体異数性評価は行わず、超音波画像診断や出生後のフォローアップ評価も行わないことを母体胎児医学会(Society for Maternal-Fetal Medicine)は推奨している。

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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