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miRNA (MicroRNA) マイクロRNA

miRNA (MicroRNA)とは?わかりやすく教えてください

microRNA(miRNA)は、細胞内の遺伝子発現を調節する役割を果たす、小さな非コーディングRNA分子の一種です。非コーディングとは、タンパク質をコードしない遺伝子領域のことを指します。miRNAは、タンパク質に翻訳されない小さなRNA分子であり、ゲノムによってエンコードされています。これらは、約21〜25ヌクレオチドの長さを持ち、メッセンジャーRNA(mRNA)分子の一部と部分的に相補的であり、主に遺伝子発現をダウンレギュレートすることによって機能します。このダウンレギュレーションは、翻訳の抑制、mRNAの切断、またはデアデニル化によって行われます[2]。

miRNAは、プライマリmiRNA(pri-miRNA)からプロセスされ、プリカーサーmiRNA(pre-miRNA)を経て、最終的に成熟したmiRNAになります。成熟したmiRNAは、RNA誘導サイレンシングコンプレックス(RISC)に組み込まれ、ターゲットmRNAとベースペアリングすることによって、そのmRNAの発現をネガティブに調節します。miRNAとmRNAターゲットの間の相補性のレベルによって、どのサイレンシングメカニズムが使用されるかが決定されます[3]。

miRNAは、細胞成長、発達、分化に関連する多様な重要な調節機能を持ち、多くの人間の疾患、特にがんや心臓病と関連しています。miRNAの発現解析研究は、正常組織と比較して腫瘍で乱れたmiRNAの発現を明らかにしており、将来のがん診断のためのバイオマーカーとして非常に有用である可能性があります[2]。

miRNAの研究は、最初のmiRNAが1993年に発見されて以来、大きく進歩しており、miRNAが細胞内でどのように生成され、遺伝子発現にどのような調節効果を及ぼし、さまざまな生理的および病理的イベントにどのように関与しているかについての理解が深まっています[5]。

以上の情報は、Wikipedia、NCBI、Merriam-Webster、Sigma-Aldrich、およびScienceDirectのトピックスから得られたものです[1][2][4][8]。

miRNAの構造について教えてください

miRNA(microRNA)は、一本鎖のRNA分子であり、長さは約21-25ヌクレオチドです。miRNAの構造は、その生合成過程において重要な役割を果たします。


miRNAの遺伝子は、成熟miRNA分子よりもずっと長いプロセシングが必要な前駆体から成ります。多くのmiRNAは宿主のpre-mRNA遺伝子のイントロンに位置し、宿主遺伝子と共通の制御機能と発現プロファイルを持っています。一部のmiRNAは独自のプロモーターから転写されますが、その一次転写物の多くはまだ詳細には同定されていません。これらの一次転写物は、RNAポリメラーゼIIによってpri-miRNAとして転写され、5’キャップとポリA鎖を持つ長いRNA前駆体になります。pri-miRNAはDrosha酵素とPasha/DGCR8タンパク質から成る複合体によって核内で切断され、約70ヌクレオチドのpre-miRNAに加工されます。このpre-miRNAはカリオフェリンエクスポーチン5とRan-GTP複合体によって細胞質に輸送され、Dicerによるさらなる加工を経て、最終的に約22ヌクレオチドの二重鎖miRNAになります。このmiRNAは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)を形成し、RNA干渉による遺伝子のサイレンシングに関与します。

1. Primary miRNA (pri-miRNA):
– miRNAの生合成は、まず長いpri-miRNAの転写から始まります。このpri-miRNAは、ステムループのヘアピン構造を持つことが特徴です[1][2][3]。このヘアピン構造は、RNAポリメラーゼIIによって転写されることが多いです[1][2][3]。

2. Precursor miRNA (pre-miRNA):
– pri-miRNAは、核内でDroshaというRNase III酵素によって切断され、約70ヌクレオチドの長さのpre-miRNAにプロセスされます[1][2][3]。このpre-miRNAもステムループ構造を保持しています。

3. Mature miRNA:
– pre-miRNAは、細胞質に輸送された後、Dicerという別のRNase III酵素によってさらに切断されます。このプロセスにより、最終的に成熟したmiRNAが生成されます。成熟したmiRNAは、約22ヌクレオチドの長さの二本鎖RNAとして生成され、その後、一本鎖に分解されて機能します[2]。Dicerは分子量200 kDaのタンパク質で、複数の重要な機能ドメインを有しています。これには、ATPase/RNAヘリカーゼドメイン、機能不明のDUF283ドメイン、miRNAやsiRNAの3’端の2塩基オーバーハング部位に結合するPAZ(Piwi、Argonaut、Zwille)ドメイン、触媒活性を持つ2つのRNase IIIドメイン(RIIIaおよびRIIIb)、そしてC末端の二重鎖RNA結合ドメイン(dsRBD)が含まれます。Dicerはモノマーとして機能し、その2つのRNase IIIドメインは分子内で二量体化することで活性化され、それぞれのドメインがRNAの二本鎖の各鎖を切断し、2塩基の3’オーバーハングを持つ製品を生成します。

この酵素は、pre-miRNAから成熟miRNAを切り出すだけでなく、dsRNAをsiRNAに加工する役割も持ちます。Dicerによる切断後、miRNAは動物のRNA干渉(RNAi)経路で重要な役割を果たし、siRNAとは異なり、miRNAはRISC複合体を通じて遺伝子の翻訳抑制や、場合によってはmRNAの切断を仲介します。翻訳後の反応は、発端となるRNA(siRNAまたはmiRNA)ではなく、RNAと標的の相補性の度合いによって決定されます。miRNAがその標的mRNAと完全またはほぼ完全に相補的である場合、特異的にmRNAを切断することができますが、内因性に発現するmiRNAは通常、標的との相補性が不完全で、翻訳抑制を介して遺伝子の発現を調節します。

4. 機能構造:
– 成熟したmiRNAは、RNA誘導サイレンシングコンプレックス(RISC)に組み込まれ、ターゲットmRNAの3’非翻訳領域(3’UTR)に部分的に相補的に結合します。この結合により、ターゲットmRNAの翻訳抑制または分解が行われ、遺伝子の発現がダウンレギュレートされます[2]。Dicerがpre-miRNAのステムループを切断すると、2本の短い相補性RNA分子が生成されますが、そのうちの1本だけがRISC複合体に取り込まれます。RISCはArgonaute(Ago)タンパク質を含むリボ核タンパク質複合体で、このArgonauteタンパク質は結合したmiRNA断片と相補的なmRNA鎖に対してエンドヌクレアーゼ活性を有します。また、Argonauteはガイド鎖の選択とパッセンジャー鎖の破壊にも関与します。

取り込まれる鎖はガイド鎖と呼ばれ、5’末端の安定性に基づいてArgonauteタンパク質によって選択されます。残されたもう一本の鎖はパッセンジャー鎖と呼ばれ、RISC複合体によって分解されます。ガイド鎖の選択は、dsRNAの両端の末端基の安定性に基づいて行われると考えられています。具体的には、二重鎖の5’末端にある2~4塩基の塩基対の安定性が低い鎖がRISCに取り込まれやすく、miRNAの活性体になります。

活性化されたRISC複合体に組み込まれた後、miRNAは標的mRNAの3’非翻訳領域(UTR)内の不完全相補配列に結合します。この結合により形成される二重鎖RNAは、ターゲットのmRNAの翻訳を抑制し、遺伝子の発現を調節します。

このように、miRNAの構造はその生合成と機能において非常に重要であり、遺伝子の発現調節におけるその役割を効果的に果たすために特異的な構造を持っています。

miRNA(microRNA)の合成経路

miRNA(microRNA)の合成経路は、いくつかの段階を経て行われます。このプロセスは主に以下のステップで構成されています:

1. Primary miRNA (pri-miRNA)の生成:
– miRNAの合成は、まず核内でpri-miRNAが生成されることから始まります。pri-miRNAは、RNAポリメラーゼIIによって転写される長い前駆体RNAで、特徴的なステムループのヘアピン構造を持っています[1][2][3][4]。このヘアピン構造は、後のプロセシングにおいて重要な役割を果たします。

2. Microprocessor複合体による切断:
– 核内で、pri-miRNAはMicroprocessor複合体によって切断されます。この複合体は、Drosha(RNase III酵素)とそのパートナーであるDGCR8から構成されています[1][2][4]。このプロセスにより、約70ヌクレオチド長のprecursor miRNA(pre-miRNA)が生成されます。

3. 細胞質への輸送:
– 切断されたpre-miRNAは、Exportin-5とRan-GTPの複合体によって細胞質へ輸送されます[2][4]。このステップは、miRNAの成熟過程において核から細胞質への移行を可能にします。

4. Dicerによるさらなる切断:
– 細胞質に到達したpre-miRNAは、Dicerという別のRNase III酵素によってさらに切断されます[1][2][4]。Dicerはpre-miRNAを約22ヌクレオチド長の成熟したmiRNA二本鎖にプロセスします。

5. RISCへの組み込み:
– 成熟したmiRNA二本鎖のうち、一方の鎖(ガイド鎖)がRNA誘導サイレンシングコンプレックス(RISC)に組み込まれます[1][2][4]。RISCに組み込まれたmiRNAは、ターゲットmRNAの3’非翻訳領域(3’UTR)に部分的に相補的に結合し、そのmRNAの翻訳抑制または分解を引き起こすことで遺伝子の発現を調節します。

このように、miRNAの合成経路は複数の精密な生化学的プロセスを経て、遺伝子の発現を微妙に調節する機能的なRNA分子を生成します。

mirnaの遺伝子発現制御について教えてください

microRNA(miRNA)は、遺伝子の発現を制御する重要な役割を担う非コーディングRNAです。miRNAは約21-25ヌクレオチドの長さを持ち、主に遺伝子の発現を抑制することによってその機能を果たします[2][12]。

● miRNAの生成と機能
miRNAは、初めに長いプライマリmiRNA(pri-miRNA)として転写されます。このpri-miRNAは、核内でDroshaというRNase III酵素によってプリカーサーmiRNA(pre-miRNA)に切断されます。その後、pre-miRNAは細胞質に輸送され、Dicerという別のRNase III酵素によって成熟miRNAにさらに処理されます[2][12][14]。

成熟したmiRNAはRNA誘導サイレンシングコンプレックス(RISC)に組み込まれ、ターゲットmRNAの3’非翻訳領域(3’UTR)に結合します。この結合は、ターゲットmRNAの翻訳抑制や分解を引き起こし、結果として遺伝子の発現が抑制されます[2][12]。

● miRNAによる遺伝子発現の抑制機構
miRNAは、主に以下の二つのメカニズムを通じて遺伝子の発現を抑制します:

1. 翻訳抑制:miRNAはmRNAの翻訳プロセスを直接妨げることができます。これは、miRNAがmRNAの翻訳開始部位近くに結合することにより、リボソームの結合を阻害し、翻訳の開始を妨げることで起こります[2][18]。

2. mRNA分解:miRNAはmRNAの安定性を低下させることもあります。これは、miRNAがmRNAに結合することで、mRNAの分解を促進する酵素の結合を容易にすることによって起こります[2][18]。

● miRNAの生物学的重要性
miRNAは、細胞の発生、分化、アポトーシス(プログラムされた細胞死)、および多くの代謝プロセスを含む広範な生物学的プロセスを調節することが知られています。また、miRNAの異常な発現はがんを含む多くの疾患と関連しており、疾患の診断や治療の新たな標的として注目されています[2][12][18]。

このように、miRNAは遺伝子の発現を精密に調節することで、細胞機能の正常な維持に不可欠な役割を果たしています。

mirnaとsirnaの違いは何ですか

miRNA(microRNA)とsiRNA(small interfering RNA)は、どちらもRNA干渉(RNAi)に関与する小さなRNA分子ですが、いくつかの重要な違いがあります。

1. 起源:
– miRNAは内因性のノンコーディングRNAで、ゲノム内の特定の遺伝子から転写されます。miRNAは一本鎖RNAで、より大きいRNA分子のイントロン内に存在することが多いです。
– siRNAは外来の二本鎖RNAで、化学合成されたり、短いヘアピンRNA(shRNA)を発現するベクターを介して細胞に導入されたりします。

2. 構造とプロセシング:
– miRNAは、primary miRNA(pri-miRNA)として転写され、DroshaとDGCR8のmicroprocessor複合体によって切断され、pre-miRNAになります。その後、細胞質でDicerによってさらに切断され、miRNA/miRNA*二本鎖にプロセスされます[1]。
– siRNAは、通常、外部から導入された二本鎖RNAがDicerによって切断されて生成されます[1]。

3. ターゲットとの結合:
– miRNAはmRNAの3’非翻訳領域(3’UTR)に部分的に相補的に結合し、遺伝子発現を抑制します。miRNAは部分的にしか結合しないため、一つのmiRNAが複数の異なるmRNAをターゲットにすることができます[2][3]。
– siRNAはmRNAに完全に相補的に結合し、ターゲットのmRNAを切断して遺伝子発現を抑制します。siRNAは特定のmRNAに対してより特異的な効果を持ちます[3]。

4. 機能と応用:
– miRNAは生物の発達、分化、細胞増殖、アポトーシスなどの生命現象に深く関わっており、がんなどの疾患の診断や治療におけるバイオマーカーとしての研究が進められています[2]。
– siRNAは、特定の遺伝子を標的とすることで、疾患の治療や遺伝子機能の研究に利用されます。siRNAは研究室で特定の遺伝子をノックダウンするためによく使用されます。

これらの違いは、miRNAとsiRNAの生合成、機能、および応用において重要です。

miRNAの安定性について教えてください

miRNA(microRNA)の安定性は、その生物学的機能と密接に関連しています。miRNAは、細胞内で比較的安定な存在であり、その安定性はmiRNAの生物学的活動を維持するために重要です。以下に、miRNAの安定性に関するいくつかの重要な点をまとめます。

1. 生物学的半減期:
– miRNAの生物学的半減期は、組織や細胞タイプによって異なります。例えば、早稲田大学の研究によると、骨格筋におけるmiRNAの半減期は比較的短い(11〜20時間程度)と報告されています[6]。これは、心臓や肝臓に発現するmiRNAと比較して短い半減期であり、組織によるmiRNAの代謝動態の多様性を示しています。

2. 細胞外での安定性:
– miRNAは体液中でも比較的高い安定性を持っています。これは、miRNAが血漿、血清、尿、唾液などの体液中で安定に存在し、疾患の診断や治療効果の判定などのバイオマーカーとして利用される可能性があることを示しています[4][7]。

3. 安定性に影響を与える因子:
– miRNAの安定性は、その5’末端およびシード領域の構造によっても影響を受ける可能性があります。これらの領域の塩基対合の安定性がmiRNAによる標的遺伝子のサイレンシング効率を決定する要因となることが示唆されています[8]。

4. 分解メカニズム:
– miRNAの分解は、特定の酵素によって調節されることがあります。例えば、miR-21の分解はアデニル化を介して促進されることが理化学研究所の研究で明らかにされています[2]。このような分解メカニズムの異常は、がん細胞でのmiRNAの蓄積に関連している可能性があります。

これらの点から、miRNAの安定性はその機能を理解する上で非常に重要であり、さまざまな生物学的プロセスや疾患の研究において重要な役割を果たしています。

miRNAとがん

miRNA(マイクロRNA)は、がんの発生、進行、転移に重要な役割を果たしていると広く認識されています。miRNAは、非コーディングRNAの一種であり、タンパク質をコードしないものの、遺伝子の発現を調節することで細胞の機能に深く影響します。この調節機能により、miRNAはがん細胞の行動に多岐にわたる影響を及ぼすことが可能です。

1. 発がん抑制miRNAとしての役割
miRNAの中には、正常な細胞の増殖を抑制し、細胞周期を調節することでがん化を防ぐ役割を持つものがあります。これらのmiRNAは、がん抑制遺伝子の機能をサポートすることにより、細胞の異常な増殖を抑えることが可能です。

2. オンコミR(がん促進miRNA)としての役割
逆に、一部のmiRNAはがん細胞の増殖や生存を促進する効果を持ちます。これらのmiRNAはオンコミRと呼ばれ、正常な細胞の増殖を制御するがん抑制遺伝子の発現を抑制することでがんの進行を助けます。

3. 診断マーカーとしての可能性
miRNAのパターンはがんの種類や進行度によって異なることが多く、これを利用してがんの早期診断や進行度の評価、さらには治療応答のモニタリングに使用することができます。特定のmiRNAが血液やその他の体液中で異常に発現している場合、それをがんのバイオマーカーとして活用する研究が進められています。

4. 治療標的としての潜在性
miRNAを直接的に標的とする新しい治療戦略が開発されています。これには、がん促進miRNAの機能を抑制するアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用や、失われたがん抑制miRNAの機能を復活させる方法が含まれます。

5. 転移との関連
miRNAはがんの転移プロセスにも深く関与しています。特定のmiRNAが転移を促進する遺伝子の発現を制御することで、がん細胞が他の組織に広がる能力を高めたり、逆にそれを抑制したりすることが示されています。

がんとmiRNAの関連は複雑で、継続的な研究が必要ですが、miRNAはがん生物学の理解とがん治療の改善に貢献する重要な要素であることは疑いありません。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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