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LoFバリアント

LoFバリアント(Loss of Function Variant)とは、遺伝子の変異によりその遺伝子がコードするタンパク質の機能が部分的または完全に失われる遺伝的変異を指します。これらの変異は、遺伝子のコード領域内でのヌクレオチドの挿入、欠失、または置換が原因で発生し、結果的にタンパク質の構造や機能に重大な影響を与えることがあります。

● LoFバリアントの主なタイプ

1. ナンセンス変異:
– このタイプの変異は、コード領域内の特定の位置でコドンがストップコドンに置換されることにより発生します。これにより、タンパク質の合成が途中で停止し、完全な機能を持たない短縮されたタンパク質が生成されることがあります。

2. フレームシフト変異:
– 挿入または欠失により読み枠が変わる変異で、これによって生成されるタンパク質は、変異の位置から先が全く異なるアミノ酸配列となり、通常は機能しなくなります。

3. スプライスサイト変異:
– 遺伝子のスプライシングに関わる配列が変異することで、RNAスプライシングが正常に行われず、非機能的なタンパク質が生成されたり、タンパク質が全く生成されなくなることがあります。

● LoFバリアントの影響

LoFバリアントは、遺伝病の原因として特に重要です。たとえば、筋ジストロフィー、システィック・フィブローシス、多くの代謝異常症など、多くの遺伝性疾患がLoFバリアントによって引き起こされます。このようなバリアントによる機能の喪失は、生理的な経路を乱し、病気の症状を引き起こす原因となります。

● 研究と臨床への応用

LoFバリアントの同定は、遺伝学的スクリーニングや疾患の診断プロセスにおいて重要です。特定のLoFバリアントを持つ個人は、特定の疾患のリスクが高いと判断されることがあり、それに基づいて予防策や早期治療が計画されることがあります。また、LoFバリアントの研究は、機能失われた遺伝子が本来どのような役割を果たしているかを理解するのにも役立ちます。これは、新しい治療法や薬剤の開発に直接的につながる可能性があります。

健常人にも存在するLoFバリアント

機能喪失型の遺伝子変異は、重篤な臨床症状と関連していることが多いが、健康な人のゲノムにも多く存在しています。
ヒトのゲノムには、個々の遺伝的多様性が広範にわたって存在します。具体的には、一人当たり平均して約250から300の機能喪失型バリアント(loss-of-function variants)が存在するとされています。これらのバリアントは、遺伝子の機能を部分的または完全に失わせるもので、多くの場合、健康に影響を与える可能性があります。さらに、遺伝性疾患に関与していると既に知られているバリアントも、一人当たり50から100個程度存在すると報告されています[2]。

これらのバリアントは、遺伝子の変異がどのようにして疾患のリスクに寄与するかを理解する上で重要です。例えば、特定の機能喪失型バリアントは、特定の遺伝性疾患の発症に直接関連している可能性があります。また、これらのバリアントの研究は、新たな治療法の開発につながる可能性もあります。

このような遺伝的バリアントの網羅的なアノテーションと解析は、ヒトゲノムの詳細なマッピングと理解を深めるために不可欠です。例えば、NCBIのRefSeqプロジェクトでは、ヒトゲノムの詳細なアノテーションが行われており、遺伝子の機能や調節領域などの非遺伝子機能要素も含まれています[1]。これにより、遺伝的バリアントの機能的影響をよりよく理解し、遺伝性疾患の原因となる遺伝子の同定に役立てることができます。

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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