InstagramInstagram

原虫をわかりやすく解説

原虫とは

原虫は原生生物界に属する単細胞の微小動物で、そのグループにはアメーバ、鞭毛虫、繊毛虫、胞子虫などが含まれます。これらは基本的に他の生物の細胞や組織に侵入して生活することに適応している原生生物です。英語では単数形で「protozoan」、複数形で「protozoa」と表され、これらは「原生動物」とも呼ばれる単細胞性の真核生物です。

●原虫の特徴
原虫は真核生物であり、原核生物から進化したグループです。真核生物の特徴として、遺伝情報物質であるDNAが膜で仕切られた核の中に隔離されており、細胞内がコンパートメント化されていることが挙げられます。この構造は細胞内でさまざまな機能を獲得し、複雑な適応を果たす基盤を提供します。

原虫は増殖時や宿主の免疫応答に応じて形態を変化させる能力を持っています。また、宿主を変えることで発育環を完成させる種もおり、異なる宿主での形態は著しく異なります。形態だけでなく、抗原性や薬剤に対する感受性も大きく変わることが可能です。このような性質は細菌やウイルスには見られない特徴であり、そのため抗生物質をはじめとする化学療法やワクチンによる予防法の確立が困難です。

原虫と寄生虫の違いとは

原虫と寄生虫の違いは、主にその構造と生活環にあります。

● 原虫
原虫は単細胞の微生物で、真核細胞に分類されます。これらは顕微鏡でないと見ることができないほど小さく、自由生活性のものもいれば、人や動物に寄生して病気を引き起こすものもいます。原虫は細胞内寄生原虫と細胞外寄生原虫に分けられ、その感染部位の違いによって分類されます。例えば、マラリア原虫やトキソプラズマなどが原虫に含まれます[2][4][6].

● 寄生虫
寄生虫は、他の生物(宿主)の体内や体表に寄生し、その宿主から栄養を得て生活する生物の総称です。寄生虫には単細胞の原虫だけでなく、多細胞生物である蠕虫(ぜん虫)も含まれます。蠕虫には線虫、吸虫、条虫などがあり、これらは人の目で見ることができるほどの大きさです。寄生虫は宿主に依存して生活し、宿主に病気を引き起こすことがあります[1][4][7].

● 主な違い
– 細胞性: 原虫は単細胞ですが、寄生虫には単細胞(原虫)と多細胞(蠕虫)の両方が含まれます。
– 生活形態: 原虫は自由生活性または寄生性のどちらも可能ですが、寄生虫は他の生物に依存して生活する特性を持ちます。
– 生態的役割: 原虫は生態系において多様な役割を果たしますが、寄生虫は主に宿主との相互作用によってその生態的なニッチを持っています。

これらの違いにより、原虫と寄生虫は生物学的に異なるグループとして扱われますが、寄生性の原虫(例えばマラリア原虫)はその中間的な特性を持つことがあります[1][2][4][6][7].

原虫と細菌の違いをわかりやすく教えてください

原虫と細菌は、それぞれ異なる特徴を持つ微生物です。以下に、それぞれの特徴と違いをわかりやすく説明します。

● 原虫(Protozoa)
原虫は単細胞の真核生物で、その細胞構造は比較的複雑です。真核細胞とは、細胞内に明確に定義された核が存在し、核膜で囲まれていることを意味します。原虫はしばしばより大きなサイズ(1-20μm)を持ち、複数の染色体を持つことが一般的です。また、原虫は自由生活するものもいれば、人や動物に寄生して病気を引き起こすものもいます。例えば、マラリア原虫やアメーバなどが知られています[2].

● 細菌(Bacteria)
細菌は原核細胞から成る微生物で、その細胞構造は比較的単純です。原核細胞には、核膜に囲まれた核が存在せず、DNAが細胞質内に直接存在します。細菌のサイズは一般的に小さく(0.5-10μm)、通常は単一の円形または線形のDNA分子を持ちます。細菌は非常に多様で、自由生活するものもいれば、人や動物に寄生して病気を引き起こすものもいます。例えば、結核菌や大腸菌などがあります[2][5].

● 主な違い
– 細胞のタイプ: 原虫は真核細胞、細菌は原核細胞。
– 細胞構造: 原虫は核膜に囲まれた核を持ち、細菌は核膜がなくDNAが細胞質に直接存在。
– サイズ: 原虫は一般的に細菌より大きい。
– 遺伝物質: 原虫は複数の染色体を持つことが多いのに対し、細菌は通常、単一のDNA分子を持つ。

これらの違いにより、原虫と細菌は微生物学において異なる扱いを受け、それぞれが引き起こす病気や治療法も異なります[2][5].

代表的な原虫とその感染症

代表的な原虫とその感染症には以下のものがあります:

1. マラリア原虫(Plasmodium spp.)
– 感染症: マラリア
– マラリアは、ハマダラカ(Anopheles属の蚊)によって媒介される寄生虫症です。人体に感染する原虫には熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum)、三日熱マラリア原虫(P. vivax)、四日熱マラリア原虫(P. malariae)、卵型マラリア原虫(P. ovale)があります。感染すると、周期的な高熱、寒気、発汗などの症状が現れます[1][4][6].

2. トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)
– 感染症: トキソプラズマ症
– トキソプラズマ症は、主に猫を最終宿主とする原虫によって引き起こされます。人間では通常は無症状または軽度の症状ですが、妊婦が初感染すると胎児に重大な影響を及ぼすことがあります。また、免疫不全者では重症化することがあります[2][9].

3. クリプトスポリジウム(Cryptosporidium spp.)
– 感染症: クリプトスポリジウム症
– クリプトスポリジウム症は、主に水や食品を介して感染します。健康な成人では一時的な水様性下痢を引き起こすことが多いですが、免疫機能が低下している人では重症の下痢を引き起こすことがあります[7][8].

これらの原虫は、それぞれ異なる伝播経路と宿主を持ち、人間における感染症の原因となります。特にマラリアは世界的に重要な感染症であり、適切な予防と治療が求められています[1][2][4][6][7][8][9].

その他、エキノコッカス、アメーバー、トリコモナスなども原虫です。

原虫類の分類

原虫(Protozoa)は、その移動方法、形態、栄養摂取方法などの特徴に基づいて、いくつかの主要なグループに分類されます。ここでは、原虫の代表的な分類について説明します。

1. アメーバ類(Sarcodina)
– 特徴:仮足(pseudopodia)を使って移動や摂食を行います。仮足は流動性のある細胞質の突出部で、この仮足を伸ばすことで位置を変えたり、食物粒子を包み込みます。
– 代表的な種:アメーバ(Amoeba)

2. 鞭毛虫類(Flagellata)
– 特徴:一つまたは複数の鞭毛を持ち、これを使って泳ぎます。鞭毛虫は自由生活するものと寄生性のものがあり、寄生性の種では病原体となることもあります。
– 代表的な種:ジアルジア(Giardia lamblia)、トリパノソーマ(Trypanosoma)

3. 繊毛虫類(Ciliata)
– 特徴:多数の繊毛を持ち、これを使って泳ぎます。繊毛虫は通常、形が複雑で、高度に分化した口部を持っています。食物を摂取するための特化した構造(口環)が発達しています。
– 代表的な種:パラメシウム(Paramecium)

4. 胞子虫類(Sporozoa)
– 特徴:運動構造を持たず、主に寄生生活を送ります。生活サイクルの中で胞子を形成し、それを使って宿主間で伝播します。多くが重大な病気を引き起こす病原体です。
– 代表的な種:マラリア原虫(Plasmodium)

5. 微胞子虫類(Microsporidia)
– 特徴:胞子を形成し、寄生生活を送る非常に小さな原虫です。細胞構造が簡素で、核外膜やミトコンドリアを欠く種もいます。主に昆虫や魚類に寄生しますが、免疫不全のヒトにも感染することがあります。
– 代表的な種:ノゼマ(Nosema)

これらのグループは、原虫の多様な生活様式と生態系での役割を示しています。それぞれのグループは、特定の生物学的特徴と進化的背景を持ち、独自の生態ニッチを埋めています。

原虫

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

お電話での受付可能
診療時間
午前 10:00~14:00
(最終受付13:30)
午後 16:00~20:00
(最終受付19:30)
休診 火曜・水曜

休診日・不定休について

クレジットカードのご利用について

publicブログバナー
 
medicalブログバナー
 
NIPTトップページへ遷移