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血清と血漿の違いをわかりやすく解説

血清と血漿の違いとは

血漿
血清血漿は、血液の液体成分に関連する用語ですが、その内容には重要な違いがあります。

● 血漿(Plasma)
血漿は、血液から血球成分(赤血球、白血球、血小板など)を取り除いた後の液体成分です。血漿は、抗凝固剤を加えて血液を凝固させないようにした後に遠心分離することで得られます。血漿には、アルブミン、免疫グロブリン、血液凝固因子などの多種多様なタンパク質が含まれており、ブドウ糖、脂質、電解質、ホルモン、ビタミンなども含まれています[2][3].

● 血清(Serum)
血清は、血液を凝固させた後に血小板や凝固因子を除いた液体成分です。血液を採取してそのまま放置すると、体内の止血機序と同じ作用が働き、血液が固まります。その後、固まった部分(凝血塊)を取り除いた上澄みが血清です。血清には凝固因子が含まれていないため、血漿と比較してフィブリノゲンの量が著しく減少しています[2][3][5].

● 主な違い
要するに、血漿と血清の主な違いは、凝固因子が含まれているかどうかです。血漿は凝固反応を起こしていない状態の液体成分であり、血液が体内を流れていた時の状態を維持しています。一方で血清は、凝固反応を経て得られるため、その過程で血小板や凝固因子が消費され、成分が変化しています[3].
要するに (全血)-(血球成分)=(血漿) 血漿-凝固因子=血清 です。

これらの違いにより、血漿と血清は異なる種類の医学検査に使用されます。血漿は凝固系の検査に用いられることが多く、血清は生化学検査や免疫検査などに用いられます[2][3].

血清と血漿の使い分け

血清と血漿の使い分けは、臨床化学検査において重要です。血漿は抗凝固剤を加えた血液から血球成分を除いた液体であり、血液凝固に関わる因子を含んでいます。一方、血清は抗凝固剤を加えずに血液を凝固させた後に得られる液体で、凝固因子がほとんど含まれていません[1][2][4][5].

検査値においては、血清と血漿では総蛋白(TP)、カリウム(K)、無機リン(IP)などの項目で差が見られることがあります。血清では凝固反応過程で細胞から遊離してくるカリウム、乳酸脱水素酵素(LDH)、無機リン、アンモニアが有意に高値になることがあります。これに対して、血漿ではフィブリノゲンが含まれているため、これらの成分の濃度が異なります[1][3].

したがって、どの成分を測定するかによって血清か血漿を選択する必要があります。血漿は診療前報告に有用で、迅速に遠心分離が可能なヘパリン採血管で採血されることが多いです。血漿で測定する場合は、試薬が血漿測定に対応している必要があります。一方で、血清は主に生化学検査や免疫検査に用いられ、凝固反応で消費される成分や細胞から遊離する成分の影響を受けるため、これらの検査に適しています[1][2][5].

血清と血漿とヘパリン

血漿の採取にはヘパリンが使用されることがあります。ヘパリンは抗凝固剤の一種で、血液の凝固に必要な凝固因子の働きを抑えることで血液凝固を防ぎます。これにより、血液を液体状態のまま保持し、血漿を得ることができます。血漿は遠心分離によって血球成分を除いた後の液体成分であり、ヘパリンリチウムを含む採血管を使用して採取されることが多いです。
一方で、血清は血液を凝固させた後に得られる液体成分で、凝固因子が含まれていません。血液を凝固させることで、フィブリンと血球成分が固まり、それを除去した上澄みが血清です。ヘパリンは血清の採取には使用されず、血清は抗凝固剤を加えずに凝固させて得られます。

血清と血漿とグルコース

血清と血漿でのグルコース測定には、それぞれ特徴がありますが、基本的にはどちらのサンプルを使用してもグルコースの測定は可能です。ただし、採血後の取り扱いによっては、血漿と血清で測定値に差が出ることがあります。

血漿の場合、抗凝固剤としてヘパリンが使用されることが多く、血液が凝固するのを防ぎます。これにより、血球成分を迅速に遠心分離して血漿を得ることができ、グルコースの測定に影響を与える細胞の代謝を最小限に抑えることができます。そのため、血漿でのグルコース測定は、採血後すぐに行われることが多く、より正確なグルコース値を反映するとされています.

一方で、血清の場合は血液を凝固させた後に得られる液体成分であり、凝固過程で細胞の代謝が続くため、グルコース値が低下する可能性があります。特に、採血後に血液サンプルを長時間放置すると、赤血球がグルコースを消費するため、血清中のグルコース濃度が実際よりも低く測定されることがあります.

したがって、グルコース測定には血漿が推奨されることが多いですが、血清を使用する場合は採血後に迅速に処理することが重要です。また、どちらのサンプルを使用する場合でも、測定結果の解釈には採血から測定までの時間や条件を考慮する必要があります.

血清と血漿と遠心分離

血清と血漿の遠心分離に関しては、それぞれ異なるプロセスが必要です。

● 血漿の遠心分離
血漿を得るためには、採血時に抗凝固剤を含む採血管を使用します。抗凝固剤が血液凝固を防ぎ、その後、遠心分離を行うことで血球成分が底に沈み、上澄みとして血漿が得られます。この遠心分離は、血液が凝固することなく行われるため、血漿はフィブリノゲンを含む完全な血液成分を保持しています[6][7].

● 血清の遠心分離
血清を得るためには、抗凝固剤を使用せずに採血します。採血後、血液を一定時間放置して自然に凝固させ、その後遠心分離を行います。凝固反応が完了すると、血液は固形の血餅と液体の血清に分離されます。遠心分離によって血餅が底に沈み、上澄みとして血清が得られます。血清は凝固因子が除かれており、フィブリノゲンが含まれていない点が血漿と異なります[1][3][4].

これらの違いにより、血漿は凝固因子を含むため凝固関連の検査に適しており、血清は生化学的な検査や免疫学的検査によく用いられます。遠心分離の条件(速度や時間)は採血管の種類によって異なるため、添付文書を参照することが重要です[3][4].

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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