ゲノム不安定性
ゲノム不安定性とは、細胞分裂の際にDNAの突然変異(変化)およびその他の遺伝的変化が起こりやすくなることである。ゲノム不安定性は、細胞分裂の方法を制御する特定のプロセスの欠陥によって引き起こされる。
ゲノム不安定性は、ほとんどのがん細胞の特徴である。ゲノム不安定性とは、細胞分裂の際にゲノムが変化する傾向が強まることである。がんは、細胞分裂を制御する複数の遺伝子やがん抑制因子の損傷によって生じることが多い。ゲノムの完全性は、DNA損傷チェックポイント、DNA修復機構、有糸分裂チェックポイントといったいくつかの監視機構によって厳密にモニターされていることが知られている。これらの機構のいずれかに異常が生じると、ゲノムが不安定になり、細胞が悪性化しやすくなる。ヒストン尾部の翻訳後修飾は、クロマチン構造のみならず、細胞周期の制御にも密接に関連している。しかし、DNAメチル化の状態もまた、ゲノムの完全性に関係している。
がんでみられるゲノムの欠陥には、損傷したDNAの修復に関与する特定の遺伝子における突然変異や、細胞内でDNAがコピーされる際に修正されない誤りが含まれる場合がある。また、染色体の破損、欠落、再配列、余分な染色体などの異常もある。ゲノムの不安定性を研究することは、がんなどの特定の疾患がどのように形成されるかを理解するのに役立つ可能性があり、病気の診断、治療、予防の新しい方法が見つかるかもしれない。
この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号