確定的検査(確定検査)
確定的検査(確定検査)とは?
その名の通り、その検査一つで「診断を」「確定させる」ことができる検査を確定検査、確定的検査といいます。出生前診断でよく聞きますが、どのような診断行為にも確定検査、非確定検査はあります。
がんの場合
最初は担当医が問診と身体の診察を行います。診断の手がかりを得るために、病気にかかった履歴、現在かかっている病気がほかにないか、家族歴(血のつながった家族がかかっていたりかかっている病気)、生活のなかに疾患の原因やヒントがないか喫煙歴、飲酒歴、職業歴などの生活習慣などついて問診します。
問診の結果、より詳しい診断に至る情報を得るために、血液検査、画像検査などが行われます。そして画像所見でがんの疑いが高くなってくると、診断を確定するために病変の一部を生検鉗子でつまんでとったり、針を刺して吸引したり(吸引細胞診)、メスを使って一部を切除する(生検)など組織採取をして、その検体を顕微鏡で観察する病理検査・病理診断が行われます。病理組織診断で最終的にがんかどうかの診断が確定することになります。がんと確定するとさらに、治療方針を決定するために、がんの全身における広がりを調べる検査を行ってステージングと言われる作業をします。また、心臓、呼吸、肝臓、腎臓の機能をはじめとして、全身の状態を手術や抗がん剤治療を受けるのに問題なさそうかどうかをチェックする検査をいたします。
このように、がん診断における確定検査は病理組織検査で、そのほかの検査はすべて非確定検査と言うことになりますが、そのほかの検査が大事でないというわけではありません。検査にはそれぞれ役割があるということなのです。
出生前診断の場合
出生前に赤ちゃんの健康状態を診断する出生前診断の場合、確定検査にあたるのは絨毛検査、羊水検査の二つで、それ以外の胎児ドック、NIPT(新型出生前検査)、母体血清マーカー(クアトロテスト)などはすべて非確定検査となります。
非確定検査とは
非確定検査とは、それ一つで診断を確定させる検査ではないものを総じてそうよびます。非確定検査はスクリーニング検査として使われることが多く、一見正常に見える人から疾患を持っている人を探し出すのがその役割です。がんの診断の例でもみた通り、非確定検査自体も大変大切なものです。
まとめ
ほとんどすべての診断段階で確定検査、非確定検査があります。がんの診断の例でもみた通り、非確定検査自体も大変大切なものです。確定、非確定はその検査の役割がそうさせるわけで優劣の問題ではありません。たとえばがんは病理組織診断だけが確定検査です。画像上絶対悪性でしょう、と思っていても組織を見てみると良性だったりします。それでは、確定検査だけが優れた良い検査だ、確定しないと意味がないとなると、いきなり病理組織診だけをやることにありますが、がんがうたがわしいのは全身のどこか、とか画像所見がないと検査自体が成り立ちません。確定検査も非確定検査も医学的にはどちらも必要なものです。役割をきちんと理解して患者さんに説明することが大切です。
この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号