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NIPTを確定検査とできないのはなぜですか

NIPTを確定検査とできないのはなぜですか

NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)で陽性的中率が非常に高い場合でも、確定検査が必要とされる主な理由は、NIPTがスクリーニング検査であるため、100%の精度を持つ診断検査ではないからです。NIPTは、母体血液中の胎児由来のDNAを分析することで、染色体異常のリスクを評価する検査ですが、陽性的中率が非常に高くても、その結果が染色体異常の絶対的な証拠とはなりません[1]。

NIPTの結果が陽性であっても、実際には染色体異常がない「偽陽性」の可能性があります。偽陽性とは、検査結果が陽性であるにもかかわらず、実際には疾患が存在しない状態を指します。例えば、検査結果が陽性であっても、確定的検査を行った結果、染色体異常や遺伝子異常がなかった場合、それは偽陽性となります。

また、NIPTの陽性的中率は、検査される染色体異常の種類や母体の年齢によって異なります。一般的にはダウン症候群の場合、年齢が上がるにつれて陽性的中率が高くなりますが、それでも100%ではありません。

このように、NIPTは高い精度を持つスクリーニング検査であり、染色体異常のリスクを評価するためのものですが、最終的な診断を下すためには、羊水穿刺や絨毛採取などの侵襲的な確定的検査が必要とされます。これらの確定的検査は、胎児の細胞を直接分析することで、染色体異常の有無を確実に判断することができます。

ただし、最近では技術変革により、精度が上がっているので、陽性的中率は21トリソミーでは100%近くなっている検査会社もあります(ミネルバクリニック取り扱い)。そういう場合には、NIPTで決断してもよいのではないかという議論があってもよいのではと考えております。いずれにせよ、確定検査を受けるのかどうかを決断するのは、妊婦さんご自身であり、決して強制されるものではないということは申し述べておきます。

何をもって決定するのかは、最終的には妊婦の自己決定権にゆだねられると思うのですが、ことNIPTに関してはなぜに確定検査を強制されるのですか

NIPTに関して確定検査が推奨されるのは、NIPTが非確定的検査であるためです。NIPTは高い精度を持つスクリーニング検査であり、特定の染色体異常のリスクを評価するものですが、最終的な診断を下すための検査ではありません[1][2][3][5][7]。

NIPTの結果が陽性であっても、実際には染色体異常がない「偽陽性」の可能性が存在します。偽陽性とは、検査結果が陽性であるにもかかわらず、実際には疾患が存在しない状態を指します[3][5][7]。たとえば、40歳の妊婦さんで陽性的中率が95.2%であった場合、100人中約5人は実際には対象のトリソミーではないということになります[7]。

確定検査は、羊水検査絨毛検査など、胎児由来の細胞から直接染色体や特定の遺伝子を検査することができるため、染色体異常の有無を確実に判断することができます[1]。これらの検査は、羊水検査の精度が99.9%とされており、染色体疾患全般についてほぼ診断を確定することができます[7]。

確定検査を受けるかどうかの決定は、最終的には妊婦の自己決定権に委ねられます。医療提供者は、遺伝カウンセリングを通じて、検査の情報提供とサポートを行い、妊婦さんとパートナー、ご家族が受検後のイメージができるように助けます[7]。しかし、NIPTの結果が陽性であった場合、より正確な診断を得るためには確定検査が必要となるため、医療提供者は確定検査を推奨することが一般的です。

したがって、NIPTにおいて確定検査が「強制」されるわけではなく、妊婦さんが情報を十分に理解した上で、自身の意思に基づいて確定検査を受けるかどうかを決定することが重要です。

アメリカでも羊水検査をせずにNIPTの結果だけで中絶する人はいるのですか

アメリカでもNIPTの結果だけで中絶を選択するケースがあるようです。[7]によると、アメリカではNIPTの結果だけで人工妊娠中絶をするケースが問題視されていると報告されています。これは、NIPTがスクリーニング検査であり、偽陽性の可能性がゼロではないにもかかわらず、確定診断のための追加検査を受けずに中絶を決定してしまうことを指しています。確定診断には羊水検査や絨毛検査などがあり、これらはより精密な情報を提供し、染色体異常の有無を確実に診断することができますが、一部の人々はこれらの確定診断を待たずに中絶を選択してしまうことがあるということです。

最近のNIPTは技術的に向上しており、ダウン症候群だと陽性的中率99.38%です(ミネルバクリニック)。偽陰性は0.62%です。1000人に6.2人の偽陰性を探すために、993.8人に中期中絶というトラウマを負わせるほうが倫理的に問題だという考え方はありませんか

陽性的中率が99.3%の検査で偽陰性が0.7%という状況において、確定検査を行わずに中絶を選択することの倫理的な問題については、確かに重要な議論の対象となります。この問題に対する考え方は、医療倫理の観点から多角的に検討する必要があります。

● 偽陰性のリスクと確定検査の重要性

– 偽陰性のリスク: 陽性的中率が99.3%の場合、1000人中7人が偽陰性の結果を受ける可能性があります。これは、実際には疾患があるにもかかわらず、検査結果が陰性と判定されることを意味します。この小さな確率でも、実際に影響を受ける個人や家族にとっては重大な問題です。

– 確定検査の必要性: 確定検査(例えば羊水検査や絨毛検査)は、NIPTの結果に基づく初期の診断を確認するために不可欠です。これにより、偽陰性や偽陽性のリスクを最小限に抑え、より正確な医療判断を下すことが可能になります。

● 倫理的考慮

– 非侵襲性と侵襲性: NIPTのような非侵襲性検査と、羊水検査のような侵襲性検査の間には、リスクと利益のバランスが異なります。侵襲性検査はより正確ですが、流産などのリスクを伴います。このため、患者は十分な情報に基づいて自己決定を行うべきです。

– 情報提供と患者の自己決定: 患者に対して、検査の精度、可能性、リスクについて正確かつ包括的な情報を提供することが重要です。患者が自身の状況に最適な選択を行えるよう支援することが、医療提供者の責任です。

– 社会的影響と個人の価値観: 中絶の決定は、医学的な側面だけでなく、個人の価値観、宗教的信念、社会的環境にも深く影響されます。これらの要素を考慮に入れた上で、患者一人一人に合ったケアを提供することが求められます。

● 結論

偽陰性のリスクを完全に無視することなく、確定検査を通じてより正確な診断を求めることは、医療倫理的にも重要です。患者の自己決定権を尊重しつつ、適切な医療情報とサポートを提供することが、倫理的な問題を解決する鍵となります。

アメリカでNIPTの結果だけで中絶する人がいる理由は何か

アメリカでNIPTの結果だけで中絶を選択する人がいる理由は、いくつかの要因によって説明されます。主な理由は以下の通りです:

1. 高い精度と迅速な結果提供:
– NIPTは非常に高い精度を持つスクリーニング検査であり、比較的短期間で結果が得られます。このため、確定診断のための追加検査を待たずに、迅速な決断を求める妊婦が中絶を選択することがあります[7]。

2. 遺伝カウンセリングと支援の不足:
– アメリカでは、州によって遺伝カウンセリングの質や利用可能性が異なり、十分な情報や支援が提供されない場合があります。これにより、妊婦が不安や恐怖から中絶を選択することがあります[7]。

3. 社会的・文化的背景:
– アメリカの一部の地域では、障害を持つ子どもを育てることに対する社会的な支援が不十分であるため、家族が経済的、心理的な負担を恐れて中絶を選択することがあります[7]。

4. 法的・政治的な圧力:
– 政治的な理由や法的な制約により、特定の州では中絶が制限されているため、NIPTの結果を受けて早期に中絶を決定するケースがあります。特に共和党が支配的な州では、出生前診断が中絶につながる可能性があるため、医師が検査情報を提供しないこともあります[7]。

これらの理由により、アメリカではNIPTの結果だけで中絶を選択する人が存在します。しかし、このような決断は複雑な個人的、社会的、倫理的問題を含むため、適切なカウンセリングと情報提供が非常に重要です。

参考文献・出典
[7] toyokeizai.net/articles/-/675870?display=b

日本でNIPT陽性で確定検査を受けずに中絶する人たちの理由は何ですか

日本でNIPTの結果が陽性でありながら確定検査を受けずに中絶を選択する人たちの理由は、以下の要因によるものです:

1. 確定検査までの待機期間の精神的負担:
– 羊水検査などの確定検査を受けるまでには数週間の待機期間が必要であり、その間に不安やストレスを感じる妊婦が多いです。この精神的な負担が耐えられず、待たずに中絶を選択するケースがあります[7]。

2. 遺伝カウンセリングの不足:
– 確定診断を受ける前に十分な遺伝カウンセリングが行われない場合、妊婦が情報不足のまま決断を迫られることがあります。このため、不安から中絶を選択することがあります[3]。

3. 社会的・個人的なプレッシャー:
– 社会的な偏見や個人的な事情、例えば経済的な理由や将来の子育てへの不安などが、中絶の決断に影響を与えることがあります。

4. 医療体制や法律の影響:
– 日本の医療体制や法律が、NIPTの結果に基づく迅速な決断を求める場合があり、これが中絶を選択する要因となることがあります[8]。

これらの理由により、NIPTの結果が陽性であっても、確定検査を受ける前に中絶を選択する人がいます。このような状況は、適切な情報提供とサポートの重要性を示しており、医療提供者には患者に対して十分な説明責任が求められます。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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