気管支 bronchi
気管支(英:bronchus 複数形bronchi)とは、縦隔とよばれる胸の中にある気管から肺に空気を送る2本の太い管のことである。それぞれの肺には、気管から直接枝分かれした左右の主気管支main bronchusがある。主気管支の後、この管は木の枝のように枝分かれしていく。細く枝分かれした部分は気管支樹bronchial treeと呼ばれる。
気管支にはどのような部分があるの?
呼吸器系は、空気を取り込んで出すことで酸素を体に取り込み二酸化炭素を放出する大事な役割をしている。空気の流れる経路を全体として気道と呼ぶ。気道は鼻・口に始まり、咽頭(のど)、のどの奥の喉頭pharynxへと続く。喉頭には蓋があり、空気が流れていくときには開放し、食物を飲み込むときには閉じて誤嚥(食べものや飲みものが気道に入る)を防いでいる。
喉頭蓋を過ぎると気管が始まる。気管は、左右の主気管支となりそれぞれの肺に入り、さらに枝分かれする。右肺は心臓がないため容量が左より大きく、肺葉も上中下の3つとなっている。左肺は心臓があるため右肺に比べると小さく、上下の二つの肺葉しかない。
右主気管支と左主気管支は、気管支の中で最も幅の広い部分であり、その後、気管支は枝分かれして、だんだん小さくなっていく。肺葉気管支、各肺葉の区域にある区域気管支、亜区域気管支という順番で分岐していく。区域気管支にはB1からB10までの番号が振られており、亜区域気管支は末尾にa, b, cがつけられる。左肺ではB1とB2がつながっているため、B1+2となり、左肺側には心臓があるためB7は存在しない。
気管支の形とは?
気管支は、気管を幹とし、気管支を枝とした逆さの木のような形をしているため気管支樹とも言われる。
気管支の役割とは?
空気を運ぶ
気管支は主気管支から順に枝分かれして最も細い細気管支は0.5ミリメートル径と非常に細い。細気管支は肺胞と呼ばれる酸素を取り込み二酸化炭素を放出するガス交換を行う部分がいくつかつながっている。
太い径の気管や気管支は軟骨によって支えられることで、開いたままの形を保つことが可能である。細く枝分かれした気管支には軟骨はなく、これらの壁に平滑筋の層があり、平滑筋の収縮や弛緩により開いたり狭くなったりする。
細気管支の先にはたくさんの肺胞(空気が入る袋)がある。肺胞の壁には毛細血管と呼ばれる細い血管が網目を作っていて、肺胞壁は非常に薄いので酸素や二酸化炭素といった分子が自由に肺胞から血液へ、血液から肺胞へと濃度勾配により移動出来る。肺胞は、体内のガス交換を行います。息を吸うと、その空気には酸素が多く含まれているので肺胞から血液に酸素が移動する。また、肺胞を流れる血液には二酸化炭素が高い濃度で含まれているので、血液から肺胞側に二酸化炭素が排出され、息を吐く二酸化炭素が多く含まれる空気が出ていく。このプロセスをガス交換とよぶ。肺胞は約4億8,000万個あり、ガス交換という重要な仕事を担う。
通過する空気に潤いを与えたり気道の異物を排除する
そのほか、気管支は呼吸する空気に潤いを与えたり気道の異物を排除する働きもしている。
気管支は、粘液を作る細胞で覆われていて、この粘液のおかげで気道の湿度が保たれている。また、細菌、ウイルスなどの病原体やその他の有害な粒子を粘液層がからめとり、気道粘膜上皮にある繊毛により外に向かって排出されるように働くことで呼吸器系を感染から防御したり肺にゴミがたまるのを防いでいる。咳をしたり飲み込んだりすると、粘液に含まれる粒子が喀痰とともに体外に排出されるか、消化管に移動し、体内で処理されるのである。
この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号