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In vivo

In vivoとは

“In vivo“はラテン語で「生きているものの中で」という意味であり、生きている生物体内で行われる実験やプロセスを指します。これは、生物学的な現象や実験が実際の生物体、例えば人間、動物、植物などの全体において行われることを意味しています。この用語は、特に医学、生物学、薬学の分野で、生体内での薬物の効果や病気のメカニズムを研究する際に使用されます。”In vivo”の研究は、実験室内での試験管やペトリ皿などを使用した”in vitro“(「ガラスの中で」)の実験と対比されます。”In vivo”の実験は、生物体の複雑な相互作用や生体内環境を考慮に入れるため、しばしば”in vitro“の実験よりも優れた全体的な効果を観察するのに適しています[1][2][3][4][5][6][7][8]。

“In vivo”の試験例とは

“In vivo”の試験例には、以下のようなものがあります:

1. 安全性薬理試験:
– 薬物の安全性を評価するために、生体内で薬物動態パラメータ(例えば、最高血漿中薬物濃度(Cmax))を測定する試験です[1]。

2. ADME試験:
– 吸収(Absorption)、分布(Distribution)、代謝(Metabolism)、排泄(Excretion)のプロセスを評価するために、ラットやマウスなどの小動物を使用して行われる試験です。これには、放射性同位元素を用いたトレーサー技術が含まれることがあります[2]。

3. 遺伝毒性試験:
– 哺乳類赤血球のPig-a遺伝子突然変異試験など、遺伝的変異を評価するために行われる試験です。これは、化学物質の変異原性を評価するために用いられ、体内での代謝やDNA修復プロセスが試験結果に影響を与えるため、in vitro試験よりも実際の生体反応をより正確に反映します[6]。

これらの試験は、生体内での薬物や化学物質の挙動や安全性を直接評価するために重要であり、実際の生物体の複雑な生理的環境を考慮に入れることができます。

In vivo試験の利点と欠点

“In vivo”の試験は、生きている生物体内で行われる実験やプロセスを指し、医学、生物学、薬学などの分野で広く用いられています。この手法には、以下のような利点と欠点があります。

● 利点

1. 全体的な生理的環境の再現:
– “In vivo”試験は、生物体の複雑な生理的環境を再現することができます。これにより、薬物の吸収、分布、代謝、排泄(ADME)などのプロセスを実際の条件下で評価することが可能になります[3]。

2. 相互作用の評価:
– 生物体内での複数の成分やシステム間の相互作用を評価できます。これは、薬物や治療法の効果や副作用を理解する上で重要です[7]。

3. 疾患モデルの使用:
– 特定の疾患を模倣した動物モデルを使用することで、その疾患の治療法の開発や評価が可能になります[7]。

4. 安全性評価:
– 新しい薬物や治療法の安全性を、実際の生物体で評価することができます。これにより、人間への応用前に潜在的なリスクを特定できます[2]。

● 欠点

1. 高コスト:
– “In vivo”試験は、動物の飼育や管理、試験の実施に多大なコストがかかります[12]。

2. 倫理的問題:
– 動物を使用することに関連する倫理的問題があります。これには、動物福祉への配慮や、動物実験の代替法の模索が含まれます[13]。

3. 時間がかかる:
– 生物体での反応を観察するためには、しばしば長期間が必要となります。これは、研究の進行を遅らせる可能性があります[12]。

4. 種間差異:
– 動物モデルで得られた結果が、必ずしも人間にそのまま適用できるとは限りません。種間の生理的、遺伝的差異により、結果の解釈には注意が必要です[13]。

“In vivo”試験は、その全体的な生理的環境の再現能力により、薬物や治療法の開発において重要な役割を果たします。しかし、高コスト、倫理的問題、時間のかかるプロセス、種間差異などの欠点もあり、これらの課題に対処するために、”in vitro”試験やコンピュータシミュレーションなどの代替手法の開発が進められています[12][13]。

in vivo試験の利点と欠点によって、どのような研究が可能か

“In vivo”試験の利点と欠点を考慮すると、特定の研究分野での応用が可能になります。以下に、これらの特性を活かした研究の例を示します。

● 利点を活かした研究

1. 遺伝子発現制御研究:
– “In vivo”プロモーター解析実験は、遺伝子改変動物を用いて、生理的条件に近い環境で遺伝子の発現制御を研究することができます。これにより、遺伝子の活性や組織特異性を正確に評価することが可能になります[1]。

2. 生殖発生毒性評価:
– “In vivo”試験は、生殖発生毒性評価において重要な役割を果たします。動物種の選択や試験デザインに関するガイドラインに従って、医薬品の生殖発生に対する影響を評価することができます[2][3]。

3. 変異原性試験:
– “In vivo”コメット試験などの変異原性試験は、化学物質の変異原性を検出し、ヒトに対する発がんリスクや遺伝子疾患のリスクを予測するために行われます。これらの試験は、被験化学物質の全身循環を介した分布やin vivo代謝などの生理的要因を考慮に入れることができます[4]。

● 欠点を考慮した研究

1. 代替試験法の開発:
– “In vivo”試験の高コスト、倫理的問題、時間のかかるプロセス、種間差異などの欠点を克服するために、in vitro試験やコンピュータシミュレーションなどの代替試験法の開発が進められています。これにより、動物実験の削減や研究コストの削減が期待されます[6][7]。

2. 発達神経毒性試験法の開発:
– ヒト細胞を用いた発達神経毒性試験法や発達期影響予測法の開発は、”In vivo”試験の欠点を考慮した研究の一例です。これらの方法は、化学物質がヒト健康に及ぼす影響を予測するために、動物実験の代替として用いられます[7]。

“In vivo”試験の利点を活かした研究は、生物体の複雑な生理的環境を再現し、より実際に近い条件での評価を可能にします。一方で、その欠点を考慮した研究は、代替試験法の開発や特定の研究分野での新しいアプローチの模索につながります。これらの研究は、医薬品開発、毒性評価、遺伝子発現制御など、多岐にわたる分野での進歩に貢献しています。

in vivo試験の利点と欠点によって、どのような研究が困難か

“In vivo”試験の利点と欠点を考慮すると、特定の研究が困難になる場合があります。以下に、そのような研究の例を挙げます。

1. 高コストと時間のかかる研究:
– “In vivo”試験は、動物の飼育、管理、長期間の観察が必要であり、これにより高コストとなることが多いです。特に、大規模なサンプルサイズや長期間にわたる研究では、資金と時間の両面での制約が大きな障壁となります[1][2]。

2. 倫理的問題による研究の制限:
– 動物を使用する研究は、倫理的な批判を受けることがあります。特に、痛みや苦痛を伴う実験や、絶滅危惧種を含む特定の動物を使用する研究は、倫理的な観点から実施が困難または不可能になることがあります[1][2]。

3. 種間差異によるヒトへの適用の困難さ:
– 動物モデルで得られた結果がヒトにそのまま適用できない場合があります。動物とヒトとの間には生理的、遺伝的差異が存在するため、これらの差異が原因で、動物試験の結果をヒトに適用する際に予期せぬ問題が発生する可能性があります[1][2]。

4. 代替試験法の開発の困難さ:
– “In vivo”試験の代替となる試験法の開発は、特に発生毒性試験のような複雑な生物学的プロセスを評価する場合、困難を極めることがあります。これは、生物体の複雑な相互作用を完全に模倣することが技術的に難しいためです[7]。

これらの困難は、”In vivo”試験の計画や実施において重要な考慮事項となります。研究者はこれらの制約を理解し、可能な限り倫理的で効率的な方法を選択する必要があります。また、これらの問題を解決するために、”In vitro”試験やコンピュータシミュレーションなどの代替方法の開発が進められています。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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