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I-set domainを含むタンパクとは
I-set domain containing は、「Immunoglobulin superfamily domain containing」と同義で、免疫グロブリンスーパーファミリーのドメインを持つタンパク質または遺伝子を指します。免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)は、主に免疫系、細胞接着、および細胞間通信などの様々な生物学的プロセスに関与する大規模なタンパク質グループです。
タンパク質ドメインは、タンパク質の配列や構造の一部で、他の部分とは独立して進化し、特定の機能を持つ単位として認識されます。I-set domainを含むタンパク質は、免疫系の分子や細胞接着分子など、多様な生物学的プロセスに関与していることが知られています。
タンパク質ドメインは、その構造に基づいていくつかのタイプに分類され、I-set domainはイムノグロブリンスーパーファミリー(immunoglobulin superfamily; IgSF)の一部として分類されます。イムノグロブリンスーパーファミリーは、抗体やT細胞受容体などの免疫系の分子を含む大きなタンパク質ファミリーであり、細胞間の相互作用や細胞の外部環境との相互作用に重要な役割を果たしています。
I-set domainを含むタンパク質は、細胞の表面に存在し、細胞間の相互作用やシグナル伝達に関与することが多いです。これらのタンパク質は、細胞の接着、移動、成長、分化などのプロセスにおいて中心的な役割を担っています。また、免疫応答や炎症反応においても重要な機能を持つことが示されています。
I-set domainを含むタンパク質の例としては、細胞接着分子(CAMs)、分子間相互作用に関与する分子、さらには一部の受容体や酵素などが挙げられます。これらのタンパク質は、特定のリガンドと結合することで、細胞の挙動を調節するシグナルを伝達することができます。
免疫グロブリンスーパーファミリードメイン、または単にIgドメインと呼ばれるこの構造モチーフは、約70から110アミノ酸から成る一定の折りたたまれた構造を特徴とします。ジスルフィド結合によって安定化されたβ-サンドイッチ構造を形成し、タンパク質間相互作用に関与します。
Immunoglobulin superfamily domainを含むタンパク質は、免疫応答だけでなく、神経系の発達と機能にも重要な役割を果たします。これらのタンパク質は、細胞の接着、認識、シグナル伝達などのプロセスに関与しています。
I-set domainを含むタンパクの構造
I-setドメインを含むタンパク質は、免疫グロブリンスーパーファミリーの一部であり、細胞間相互作用に重要な役割を果たしています。I-setドメインは、約70から110アミノ酸から成る一定の折りたたまれた構造を特徴とし、ジスルフィド結合によって安定化されたβ-サンドイッチ構造を形成します。この構造は、タンパク質間相互作用に関与しています[13]。
I-setドメインは、いくつかの細胞接着分子に見られ、血管細胞接着分子(VCAM)、細胞間接着分子(ICAM)、神経細胞接着分子(NCAM)、粘膜アドレス分子(MADCAM)などに存在します。さらに、接合接着分子(JAM)にも見られます。これらのドメインは、さまざまなタンパク質ファミリーにも存在し、チロシンプロテインキナーゼ受容体、血液タンパク質ヘモリン、筋タンパク質ティチン、テロキン、ツイッチン、神経細胞接着分子アクソニン-1、軸索誘導、免疫機能、血管新生に関与するシグナル分子セマフォリン4Dなどにも見られます[3]。
I-setドメインを含むタンパク質は、細胞接着、免疫応答、細胞シグナリングなど、生物学的プロセスの多様な側面に関与しています。このドメインの存在は、細胞間の相互作用や細胞の外部環境との相互作用において、特定のタンパク質がどのように機能するかを理解する上で重要です。
上の図のプロテインキナーゼEZH2のSETドメインについて、その安定化メカニズムと構造的特徴を解説します。EZH2は、PRC2複合体の一部であり、遺伝子の発現を調節する重要な役割を担っています。以下は、EZH2のSETドメインがどのようにしてその活性型のコンフォメーションを獲得し、保持するかについての説明です。
●SET-I領域の安定化
a) PRC2複合体構造とSETドメインの比較
人間のEZH2 SETドメイン(青色で示される)と、単離されたドメイン(PDB 4MI5、赤色で示される)を重ね合わせた図です。この比較から、複合体中での相互作用がどのようにSETドメインの安定化に寄与しているかが見て取れます。
b) 主要領域の相互作用による安定化
PRC2複合体の中で、特定の主要領域が他のドメインとの相互作用によって安定化されています。これにより、SETドメインはより効果的に機能する構造を維持しています。
c) SALサブドメインの役割
EZH2のSALサブドメイン(オレンジ色で示される)は、SET-I領域と一連の主鎖相互作用を行います。これによりドメイン全体の安定化が進み、活性部位が正確に配置されます。この相互作用は、ドメインの機能に不可欠な秩序化を支援しています。
d) SETドメインのC末端のコンフォメーションの変化
複合体内でのSETドメインのC末端のコンフォメーションは大きく変化し、これが活性部位の完成と機能の実行をサポートしています。この変化は、複合体の他の部分との相互作用により誘導されています。
以上の説明から、EZH2のSETドメインがどのようにしてその構造的安定性と機能性を獲得し維持しているかが分かります。これらの相互作用は、EZH2の生物学的機能において中心的な役割を果たし、遺伝的プログラミングにおけるその重要性を強調しています。
I-set domainを含むタンパクの機能
I-set domainを含むタンパク質は、免疫グロブリンスーパーファミリー(Immunoglobulin superfamily, IgSF)に属し、多様な生物学的プロセスに関与しています。I-set domainは約70から110アミノ酸から成る一定の折りたたまれた構造を特徴とし、ジスルフィド結合によって安定化されたβ-サンドイッチ構造を形成します。この構造はタンパク質間相互作用に関与し、細胞の接着、認識、シグナル伝達などのプロセスにおいて重要な役割を果たします。
I-set domainを含むタンパク質は、細胞接着分子として機能し、血管細胞接着分子(vascular cell adhesion molecule, VCAM)、間質細胞接着分子(intercellular adhesion molecule, ICAM)、神経細胞接着分子(neural cell adhesion molecule, NCAM)、粘膜アドレス分子(mucosal addressin cell adhesion molecule, MADCAM)などが含まれます。これらの分子は、免疫応答、細胞の移動、炎症反応、および細胞間の相互作用において中心的な役割を担います[2]。
また、I-set domainを含むタンパク質は、神経系の発達と機能にも重要な役割を果たしています。これらのタンパク質は、細胞の接着、認識、シグナル伝達などのプロセスに関与しており、免疫応答だけでなく、神経系の発達と機能にも重要です。
さらに、I-set domainを含むタンパク質は、軸索誘導、免疫機能、血管新生に関与するシグナリング分子セマフォリン4Dなど、他の多様なタンパク質ファミリーにも存在します。これらのタンパク質は、細胞の成長、分化、および組織の形成において重要な役割を果たしています[2]。
総じて、I-set domainを含むタンパク質は、細胞接着、免疫応答、神経系の発達、シグナル伝達など、生体内での多様な機能を担っていることがわかります。
I-set domainを含むタンパクの機能不全
IPTドメイン(Immunoglobulin-like, Plexins, Transcription factors)は、免疫グロブリン様、プレキシン、転写因子などのタンパク質に見られる構造モチーフです。このドメインは細胞間の相互作用、細胞シグナル伝達、遺伝子の発現調節など、多様な生物学的プロセスに関与しています。IPTドメインを含むタンパク質の機能不全は、様々な疾患や障害を引き起こす可能性があります。
例えば、IPTドメインを含む受容体型チロシンキナーゼ(RTK)は、細胞増殖や分化、生存などのプロセスを調節する重要な役割を果たしています。これらのキナーゼの機能不全は、固形がんの薬物治療において重要な対象となっており、異常な活性化はがんの進行に関与していることが知られています[2]。
また、MYH9関連疾患(MYH9RD)は、IPTドメインを含むMYH9タンパク質の変異によって引き起こされる遺伝性の疾患であり、血小板減少症や腎障害、難聴などの症状を示します[9]。この疾患では、MYH9タンパク質の機能不全が血小板の形成と機能に影響を与え、出血傾向や腎機能障害を引き起こすことが知られています。
さらに、IPTドメインを含むタンパク質の機能不全は、免疫不全症候群や心筋症、パーキンソン病などの疾患に関連していることが示されています。例えば、Optineurinというオートファジー駆動分子との相互作用ドメインを持つタンパク質の変異は、パーキンソン病の運動障害に関与している可能性があります[17]。
これらの例から、IPTドメインを含むタンパク質の機能不全は、細胞の正常な機能を維持するために重要であり、その異常は多くの健康問題に直結することが分かります。したがって、IPTドメインの研究は、これらの疾患の理解と治療法の開発において重要な役割を果たしています。
I-set domainを含むタンパクをターゲットとした研究開発
I-set domainを含むタンパク質は、免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)に属し、免疫系、細胞接着、細胞間通信などの多様な生物学的プロセスに関与しています。I-set domainは、約70から110アミノ酸から成る一定の折りたたまれた構造を特徴とし、ジスルフィド結合によって安定化されたβ-サンドイッチ構造を形成します。この構造はタンパク質間相互作用に関与し、細胞の接着、認識、シグナル伝達などのプロセスに重要な役割を果たしています。
I-set domainを含むタンパク質の機能不全は、免疫応答の異常、神経系の発達と機能の障害、細胞接着やシグナル伝達の問題など、さまざまな生理的異常を引き起こす可能性があります。例えば、細胞接着に関与するタンパク質の機能不全は、組織の整合性の喪失や細胞の適切な配置の妨げになり、結果として発達障害や疾患の原因となることがあります。また、シグナル伝達に関与するタンパク質の機能不全は、細胞の成長、分化、生存に影響を与え、がんを含むさまざまな疾患の発症に関与することが知られています。
特に、I-set domainを含むタンパク質は、免疫系の機能において重要であり、その機能不全は自己免疫疾患や感染症の感受性の増加につながる可能性があります。免疫細胞の機能や細胞間の相互作用が適切に行われない場合、体は外来の病原体に対して適切に反応できなくなり、また、誤って自己の組織を攻撃することもあります。
総じて、I-set domainを含むタンパク質の機能不全は、そのタンパク質が関与する特定の生物学的プロセスに応じて、多様な病理状態を引き起こす可能性があります。そのため、これらのタンパク質の正確な機能と、機能不全が引き起こす可能性のある疾患メカニズムの理解は、新たな治療法の開発につながる重要な研究分野です。
I-set domain containingに属する遺伝子
ADAMTSL1
ADAMTSL3
ALPK2
ALPK3
BOC
BSG
CADM2
CDON
CD101
CEACAM5
CEACAM20
CHL1
CLMP
CNTN1
CNTN2
CNTN3
CNTN4
CNTN5
CNTN6
DCC
DSCAM
DSCAML1
EMB
FGFRL1
FGFR1
FGFR2
FGFR3
FGFR4
FLT1
FLT4
FSTL4
FSTL5
ADGRF5
ADGRA3
HEPACAM2
HMCN1
HMCN2
HSPG2
IGDCC3
IGDCC4
IGFBPL1
IGFBP7
IGFN1
IGSF5
IGSF9
IGSF9B
IGSF10
IGSF11
IGSF22
IL1RAPL1
IL1RL1
IL1R1
ISLR
JAM2
KALRN
KAZALD1
KDR
KIRREL1
KIRREL2
KIRREL3
LINGO1
LINGO2
LINGO3
LINGO4
LRFN1
LRFN2
LRFN3
LRFN4
LRFN5
LRIG1
LRIG2
LRIG3
LRIT1
LRIT2
LRIT3
LRRC4
LRRC4B
LRRC4C
LRRC24
LRRN1
LRRN2
LRRN3
LSAMP
L1CAM
MAG
MDGA1
MDGA2
MERTK
MFAP3
MFAP3L
MUSK
MXRA5
MYBPC1
MYBPC2
MYBPC3
MYBPH
MYBPHL
MYLK
MYOM1
MYOM2
MYOM3
MYOT
MYPN
NCAM1
NCAM2
NEGR1
NEO1
NEXN
NFASC
NPTN
NRCAM
NRG1
NRG2
NTM
NTRK2
NTRK3
OBSCN
OBSL1
OPCML
PALLD
PAPLN
PDGFRA
PDGFRB
PDGFRL
PRTG
PTK7
PTPRD
PTPRF
PTPRM
PTPRS
NECTIN3
PXDN
PXDNL
ROBO1
ROBO2
ROBO3
ROBO4
ROR1
ROR2
SDK1
SDK2
SEMA3C
SIGLEC1
SIGLEC6
SIGLEC11
SIGLEC12
SIGLEC16
SPEG
TMIGD1
TRIO
TTN
TYRO3
UNC5A
UNC5B
UNC5C
UNC5D
VCAM1
VSIG2
VSIG10
WFIKKN1
WFIKKN2




