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Elongator acetyltransferase complex

Elongator acetyltransferase complexとは

Elongator acetyltransferase complex(エロンゲーターアセチルトランスフェラーゼ複合体)は、タンパク質のアセチル化に関与する多たんぱく質複合体で、特に真核生物の転写伸長やtRNAの修飾に重要な役割を果たします。最初はRNAポリメラーゼIIの転写伸長を補助するものとして同定されましたが、その後の研究により、さまざまな細胞プロセスに関与していることが明らかになっています。

この複合体は6つのサブユニット(Elp1からElp6まで)で構成され、以下のような機能や役割を持っています。

1. tRNA修飾:tRNAのウリジンに対する修飾(cm5修飾)を行い、翻訳の正確性や効率を高めます。この修飾により、リボソーム上でのmRNA読み取り精度が向上し、タンパク質合成が効率的に進みます。
cm5修飾とは、tRNAのウリジン(U)塩基に5位カルボキシメチル基(-CH2-COOH)が付加された修飾のことを指します。この修飾は、主に真核生物のtRNAに見られ、翻訳の精度と効率を高める重要な役割を果たします。ウリジンの5位にカルボキシメチル基が付加されると、リボソーム上でのコドン-アンチコドンの認識が安定し、mRNAの読み取りエラーが減少し、正確なアミノ酸が合成されやすくなります。
Elongator複合体によるcm5修飾は以下のような機能的意義があります。

・翻訳精度の向上:修飾されたtRNAは、mRNAのコドンをより正確に読み取ることができるため、タンパク質合成のミスが減少します。
・リボソームの読み取りフレームの安定化:cm5修飾は、リボソームがmRNAを正しいフレームで読み進めるのを助け、翻訳の停止やフレームシフトエラーを防ぎます。
・遺伝子発現の調節:特に、神経細胞など特定の細胞における遺伝子発現の制御にも関与しているとされ、エロンゲーター複合体によるcm5修飾の欠損が、神経変性疾患や発達障害の原因になることも示唆されています。

cm5修飾は、エロンゲーター複合体がtRNAに特異的に導入するもので、翻訳プロセスに不可欠な化学修飾です。

2. ヒストンアセチル化:特定のヒストンのリシン残基をアセチル化し、転写活性化を促します。これにより、クロマチンの構造が緩み、転写因子がDNAにアクセスしやすくなります。

3. 転写伸長:エロンゲーター複合体はRNAポリメラーゼIIと相互作用し、転写伸長をサポートします。これにより、特定の遺伝子が効率的に転写されるようになります。

4. 神経系の発達:この複合体は神経の成長や軸索の発達にも関与しており、Elongatorの機能が損なわれると、神経系の異常や神経変性疾患の発症につながることがあります。

エロンゲーター複合体の異常は、さまざまな疾患、特に神経疾患やがんと関連しています。

Elongator acetyltransferase complexの構造

Elongatorアセチルトランスフェラーゼ複合体は、6つのサブユニット(Elp1〜Elp6)から構成される複合体で、これらが3つのサブ複合体(Elp1-2-3、Elp4-5-6)として形成されます。それぞれのサブユニットは異なる役割を果たし、tRNA修飾や遺伝子転写、DNA修復などの機能に関わっています。

● 構造の詳細

1. Elp1-2-3サブ複合体:
– Elp1:複合体の主要な構造的枠組みを形成し、他のサブユニットとの安定した相互作用をサポートします。
– Elp2:Elp1に結合し、全体の構造を補強する役割を持ちます。
– Elp3:複合体の中核で、アセチルトランスフェラーゼ活性を担い、tRNAやその他の基質の修飾を実行する主要な酵素部分です。

2. Elp4-5-6サブ複合体:
– Elp4およびElp5:tRNAを結合し、Elp3が修飾を実行するための正確な配置をサポートします。
– Elp6:複合体全体の安定性を確保し、Elp4およびElp5の機能を助けます。

● 全体の構造的配置

Elongator複合体は、チューブ状の構造を持ち、中央にtRNAが結合する「溝」があります。tRNAがこの溝に結合すると、Elp3が修飾反応を実行し、特定の位置に化学修飾を導入します。また、Elp4-5-6のサブ複合体はATPを利用して複合体全体の活性を促進し、修飾過程が正確に行われるよう調整します。

Elongator acetyltransferase complexに属する遺伝子

ELP1
ELP2
ELP3
ELP4
ELP5
ELP6

プロフィール

この記事の筆者:仲田 洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科・腫瘍学を軸に、 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。 出生前診断・遺伝学的検査においては、検査結果そのものだけでなく 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。
2025年、国際誌『Global Woman Leader』および『Medical Care Review APAC』の2誌で立て続けに表紙(Cover Story)に抜擢。 「日本のヘルスケア女性リーダー10名」や「アジア太平洋地域のトップ出生前検査サービス」として、世界的な評価を確立しています。

▶ 仲田洋美の詳細プロフィールはこちら

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