(更新日:2024/10/20)
Dehydrodolichyl diphosphate synthase(デヒドロドリコリル二リン酸合成酵素)は、主にタンパク質のN-結合型糖鎖付加(N-グリコシル化)の過程に関与する酵素です。N-グリコシル化は、細胞内で糖鎖(オリゴ糖)をタンパク質に結合させる過程で、正しいタンパク質の折り畳みや機能に不可欠です。
機能と役割
デヒドロドリコリル二リン酸合成酵素は、特定の脂質分子であるドリコール(dolichol)の生合成に関わります。具体的には、この酵素は、ファルネシル二リン酸(FPP)を基質として使用し、これをもとにドリコール二リン酸(dolichyl diphosphate, Dol-PP)を合成します。ドリコール二リン酸は、糖鎖を組み立てるための「キャリア」として機能し、糖鎖をタンパク質に付加する際に重要な役割を果たします。
このプロセスは、特に小胞体(ER)内で行われ、タンパク質が適切に修飾され、細胞膜や分泌タンパク質として機能するための準備段階を担います。
https://figures.semanticscholar.org/d026485f46e00ec7641920a6b54f2b411fa3f7be/2-Figure1-1.png より引用
遺伝子と病気
デヒドロドリコリル二リン酸合成酵素をコードする遺伝子の異常や欠損は、先天性糖鎖付加異常症(Congenital Disorders of Glycosylation, CDG)などの遺伝子疾患に関連しています。これにより、細胞内での正しい糖鎖付加が行われず、タンパク質の構造や機能に異常が生じることがあります。これらの異常は、神経系や発達に影響を与え、さまざまな重篤な症状を引き起こすことがあります。
Dehydrodolichyl diphosphate synthaseに属する遺伝子
DHDDS
NUS1
この記事の監修・執筆者:仲田 洋美
(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)
ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得 後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医 です。
出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。
ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。
また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。
出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。
日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。
2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け 、
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載 されました。