CYFIP1
CYFIP1 (Cytoplasmic FMR1 Interacting Protein 1) 遺伝子は、細胞骨格のダイナミクスとタンパク質の翻訳を制御するタンパク質をコードしている。このタンパク質は、アクチン重合を促進するWAVE制御複合体(WRC)の構成要素である。また、このタンパク質はシナプス機能制御因子FMR1タンパク質や翻訳開始因子4Eと相互作用し、タンパク質の翻訳を阻害する。この遺伝子を含む大きな染色体欠失は、ヒトの患者において統合失調症やてんかんのリスクの増加と関連している。この遺伝子の発現低下は、様々なヒトの癌で観察されており、コードされたタンパク質は腫瘍の浸潤を阻害する可能性がある。引用:2022年3月RefSeq
CYFIP1に関連する疾患には、脆弱X症候群、アンジェルマン症候群がある。関連する経路としては、ADORA2Bによる抗炎症サイトカイン産生、VEGFによるシグナル伝達がある。この遺伝子に関連するGene Ontology (GO) のアノテーションには、タンパク質含有複合体結合とsmall GTPase結合が含まれる。この遺伝子の重要なパラログはCYFIP2である。
CYFIP1 (Cytoplasmic FMR1 Interacting Protein 1)は、CYFIP1-EIF4E-FMR1複合体の構成要素で、mRNAのキャップに結合し、翻訳抑制を媒介する。CYFIP1-EIF4E-FMR1複合体では、このサブユニットはEIF4EとFMR1間のアダプターである。EIF4EとmRNAとの結合を媒介することによって、おそらく脳におけるFMR1の翻訳抑制活性を促進する。膜ラッフルやラメリポディアの形成を制御する。軸索の伸長も関与する。F-actinに結合するが、RNAには結合しない。WAVE複合体の一部で、Arp2/3複合体との相互作用を介してアクチンフィラメントの再編成を制御している。アクチンリモデリング活性はRAC1によって制御されている。上皮の形態形成の制御因子。WAVE1複合体の構成要素として、BDNF–NTRK2エンドサイトトラフィッキングと初期エンドソームからのシグナル伝達に必要である。癌の浸潤抑制因子として作用する可能性がある。(引用)
この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号