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CLIA認証制度の利点と問題点

Clinical Laboratory Improvement Amendmentsとは?

Clinical Laboratory Improvement Amendments (CLIA)

米国では臨床検査の質を保証することを目的として,連邦政府がメディケア及びメディケイド制度での公費医療費支払いを請求する検査室の必要条件としてCLIA認証を取得すること(§493.1、§493.1773)と定めています。

CLIA認証(Clinical Laboratory Improvement Amendments、臨床検査改善修正法案)は、1988年にアメリカで施行された法律であり、臨床検査の品質を保証することを目的としています。この法律は、診断、予防、治療を目的とした人体由来のすべての検体検査(一部の検査を除く)を対象としており、米国内の全ての臨床検査室は、CLIA認証を受けなければならないとされています。認証を受けるためには、構造設備、人的要件や精度管理等の基準に適合している必要があります[1][2]。

CLIA認証は、検査の精度や信頼性を保証するための重要な手段であり、検査施設が国際的な品質基準に適合していることを示すものです。この認証制度により、検査の工程毎に日々検査精度のチェックが行われ、検査施設要員の教育と訓練の基準が確立されています。また、CLIA認証を受けた臨床検査室は、外部評価を受けたことにより、その技術能力が客観的に認定されたと判断できるものとされています[1]。

さらに、CLIA認証は、国際共同治験や医師主導治験を含む臨床研究においても重要な役割を果たしており、検査の精度管理に関する基本的考え方に基づいています。日本国内では、日本適合性認定協会が審査・認定を行っており、欧州や豪州ではISO 15189の取得を国の政策として推進しています[1]。

CLIA認証は、臨床検査室が高い品質管理基準を満たしていることを保証するための重要な制度であり、患者の診断や治療に使用される検査結果の信頼性を高めることに貢献しています。

Q1 なんのためにあるの?

臨床検査の質を保証することを目的として、連邦政府がメディケア及びメディケイド制度での公費医療費支払いを請求する検査室の必要条件としてCLIA認証を取得すること(§493.1、§493.1773)と定めています。

Q2 どこできまっているの?

CLIA法(臨床検査室改善法:Clinical Laboratory Improvement Amendments )は1988年に米国連邦政府が法律として制定されました。
*わが国にはこのような法規は存在しません。

Q3 どんなところが認証しているの?

HHS(米国保健福祉省:U.S. Department ofHealth and Human Services)に属する組織Centers for Medicare & Medicaid Services(CMS)またはCMSが認定した非営利機関が認定しています。

Q3 どんなところが認証しているの?

HHS(米国保健福祉省:U.S. Department ofHealth and Human Services)に属する組織Centers for Medicare & Medicaid Services(CMS)またはCMSが認定した非営利機関が認定しています。

Q4 どんなところが認定されているの?

診断・予防・治療を目的とした人体由来のすべての検体検査(一部の検査を除く)を用いた検査が対象となります。
米国内の全ての臨床検査室は法に基づきCLIA認証を取得しなければならないと定められており、構造設備・人的要件や精度管理等の基準に適合しなければなりません。

Q5 どんな遺伝学的検査が対象になるの?

細胞遺伝子学(cytogenetics)の範囲
遺伝子関連検査に固有の規定は限定的ですが,検査の種類は複雑度に応じてWaived/Moderate complecity/High complecityの3段階に分類されています。
• 遺伝子関連検査はほとんどがhighcomplexityに分類されています。
• high complexityの認証要件としては

□知識
□訓練および経験
□試薬および 材料準備
□各業務段階の性質
□検定・品質管理・適性検査の構成要素
□検査システムのトラブルシューティングや設備メンテナンス
□解釈および判断(§493.17)

が挙げられています。

CLIA認証制度の利点とは

CLIA認証制度(Clinical Laboratory Improvement Amendments)は、臨床検査の品質と精度を保証するために米国連邦政府によって制定された法律です。この制度の利点は、主に以下の点に集約されます。

1. 品質保証と精度の向上: CLIA認証は、臨床検査室が定められた構造設備、人的要件、精度管理などの基準に適合していることを保証します[1]。これにより、検査結果の信頼性が高まり、患者の診断、予防、治療における精度が向上します。

2. 公的な認可: CLIA認証を取得することは、臨床検査室が連邦政府の基準に準拠していることを公的に認められることを意味します[7]。これにより、検査室の信頼性が高まり、患者や医療提供者からの信頼を得やすくなります。

3. 検査の範囲の拡大: CLIA認証を受けた検査室は、診断、予防、治療を目的とした人体由来のすべての検体検査を行うことができます(一部の検査を除く)[1]。これにより、検査室はより広範な検査サービスを提供できるようになり、患者のニーズに応えやすくなります。

4. 国際的な認知: CLIA認証は、米国内だけでなく、国際的にも品質の指標として認識されています[6]。これにより、CLIA認証を取得した検査室は、国際的な患者やパートナーからの信頼を得やすくなります。

5. 検査の複雑度に応じた分類: CLIAでは検査をWaived/Moderate complexity/High complexityの3段階に分類し、それぞれに応じた認証要件を設けています[7]。これにより、検査室は自らの能力に応じた認証を選択し、適切なレベルでの検査サービスを提供できます。

6. メディケア及びメディケイド制度での公費医療費支払いの資格: CLIA認証を取得することは、メディケア及びメディケイド制度での公費医療費支払いを請求する検査室の必要条件となっています[7]。これにより、検査室はこれらの制度を利用する患者に対してサービスを提供することが可能になります。

以上の点から、CLIA認証制度は臨床検査室にとって多くの利点を提供し、検査の品質と精度の向上、検査室の信頼性の向上、検査サービスの拡大、国際的な認知の獲得、メディケア及びメディケイド制度での公費医療費支払いの資格獲得など、様々な面でのメリットがあります。

CLIA認証制度の問題点とは

CLIA認証制度に関連する問題点は、主に以下の点に集約されます。

1. 臨床的妥当性の証明に関する課題: CLIA法は検査室に品質保証プログラムの実施を義務付けていますが、検査の臨床的妥当性についての予測データは、検査の開発後何年も「ない」又は「不完全」であることが多いです。これは、特に予見的検査や発症前検査の場合に顕著です。市販後データの集積と検査室間の情報共有等が必要とされていますが、これらのデータが不足していることが問題となっています[2]。

2. 遺伝学的検査室の能力評価に関する疑問: CLIAの要件が遺伝学的検査室の能力を評価するために十分であるかどうかについて疑問が提起されています。CLIAは検体の中でCLIAによる規制を受ける僅かな部分を検査する場合にのみ、分析的妥当性を保証しますが、CMSがCLIAの下で臨床的妥当性を強制する権限を持たないため、分析的妥当性だけが十分に守られるという問題があります[2]。

3. 技能試験生成物の不足: CMSは、技能試験生成物を伴う全ての対象となる検査室検査に技能試験を求めるべきですが、技能試験生成物を伴わない検査に関しては、検査室は現行のCLIA規制下で義務付けられた代替的評価手法を用いなくてはならないとされています。これにより、新たな技能試験生成物の開発と能力評価的活動の促進が必要とされていますが、これらの生成物の不足が問題となっています[2]。CMSとは、Centers for Medicare & Medicaid Services(センターズ・フォー・メディケア・アンド・メディケイド・サービシズ)の略称で、アメリカ合衆国の連邦政府機関です。CMSは、メディケア(高齢者や一部の障害者向けの健康保険プログラム)とメディケイド(低所得者向けの医療支援プログラム)を管理しており、さらにClinical Laboratory Improvement Amendments(CLIA)プログラムを通じて、人間の検体に対して行われる全ての臨床検査室のテスト(研究目的を除く)を規制しています。

4. 規制の適用範囲と審査能力: CLIA’88に基づく規制の適用範囲と認定機関の審査能力も問題となっています。臨床検査については、多くの検査が中央検査室制度によって行われていますが、認定機関の審査能力に関する問題が指摘されています[8]。

これらの問題点は、CLIA認証制度が臨床検査室の品質保証において重要な役割を果たしているにもかかわらず、臨床的妥当性の証明、遺伝学的検査室の能力評価、技能試験生成物の不足、規制の適用範囲と審査能力に関する課題が存在することを示しています。これらの問題に対処するためには、規制の見直しや新たな技能試験生成物の開発、認定機関の審査能力の向上などが求められています。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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