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Calcium sensing receptors カルシウム感受性受容体

カルシウム感受性受容体(Calcium Sensing Receptors、CaSR)は、体内のカルシウムイオン濃度を検知し調節する重要な役割を果たすタンパク質です。これらの受容体は主に副甲状腺と腎臓に存在し、カルシウムイオンの濃度が変化すると、それに応じて副甲状腺ホルモンの放出や腎臓でのカルシウム再吸収を調整することで、血液中のカルシウムイオン濃度を維持します。CaSRが正常に機能しない場合、カルシウムの代謝異常が発生し、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。

カルシウム感受性受容体とは

カルシウム感受性受容体(Calcium-sensing receptor, CaSR)は、細胞外のカルシウムイオン(Ca2+)濃度を感知するGタンパク質共役型受容体です。この受容体は、副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone, PTH)の分泌調節に必須であり、副甲状腺に加えて、腎臓や骨など複数の組織に発現しています[1]。CaSRの活性化は、細胞外液のカルシウム濃度の変動を感知し、それに応じてPTHの分泌を調節することで、体内のカルシウム恒常性を維持します。

CaSR遺伝子の変異は、PTH分泌や腎尿細管でのカルシウム再吸収の変化を引き起こし、カルシウム代謝異常を引き起こすことが知られています[1]。このような代謝異常は、高カルシウム血症や低カルシウム血症などの症状を引き起こす可能性があります。また、CaSRはケラチノサイトの分化、消化管機能、インスリン分泌などにも影響を及ぼすことが報告されていますが、これらの機能がどの程度生理的に重要であるかについては、まだ不明な点が多いです[1]。

さらに、CaSRは細胞外液のカルシウムにより活性化されるCタイプのG蛋白共役型受容体であり、その活性化によってフォスフォリパーゼCが活性化され、細胞内Ca2+濃度が増加することが示されています[5]。この受容体の活性化は、細胞外のカルシウム濃度変化に対する迅速な応答を確保するために、持続的に、かつシグナル伝達依存的に細胞膜に提示されることによって、脱感作とエンドサイトーシスが進行しているにもかかわらず、細胞外カルシウムまたはアロステリックなアゴニストの濃度変化に対する迅速な応答が確保されます[4]。

総じて、カルシウム感受性受容体は、体内のカルシウム恒常性を維持するために重要な役割を果たしており、その機能不全は様々な代謝異常を引き起こす可能性があります。

[1] webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.19020/KB.0000000152
[4] www.cosmobio.co.jp/aaas_signal/archive/ra_20111122.asp
[5] www.imcr.gunma-u.ac.jp/?research_result=%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A6%E3%83%A0%E6%84%9F%E7%9F%A5%E5%8F%97%E5%AE%B9%E4%BD%93%E3%81%AE%E6%B4%BB%E6%80%A7%E5%8C%96po

カルシウム感受性受容体の構造


カルシウム感受性受容体(CaSR)は、細胞外のカルシウムイオン(Ca2+)濃度を感知するためのGタンパク質共役受容体です。この受容体は、副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌調節に必須であり、副甲状腺をはじめ、腎臓や骨など複数の組織に発現しています。CaSRの構造と機能に関する研究は、カルシウム代謝異常症の理解と治療法の開発に重要な役割を果たしています。

● CaSRの構造

CaSRは、1,085個のアミノ酸から構成されており、Gタンパク質共役受容体のスーパーファミリーに属します[6]。この受容体は3つの主要な構造ドメインから成り立っています。これらのドメインは、受容体の機能を担う重要な部分であり、カルシウムイオンの結合やGタンパク質との相互作用に関与しています。

● CaSRの遺伝子と変異

CaSRの遺伝子名はGPRC2Aであり、この遺伝子にはカルシウム代謝異常に関連する多くの遺伝子変異が存在します[2]。これらの変異は、CaSRの機能不全を引き起こし、高カルシウム血症や低カルシウム血症などの疾患を引き起こす可能性があります。例えば、CaSRの不活性型変異は高カルシウム血症性疾患を起こすことが知られています。

● CaSRの生理機能

CaSRは、副甲状腺ホルモンの分泌調節に必須であるだけでなく、ケラチノサイトの分化、消化管機能、インスリン分泌などにも影響を及ぼすことが報告されています[3]。これらの機能がどの程度生理的に重要であるかについては、まだ完全には解明されていませんが、CaSRの研究はこれらの生理過程における役割を明らかにするために重要です。

● 結論

カルシウム感受性受容体(CaSR)は、カルシウム代謝の維持に必須のGタンパク質共役受容体であり、その構造と機能はカルシウム代謝異常症の理解と治療に不可欠です。CaSRの構造に関する研究は、この受容体の生理的および病理的な役割を解明するために引き続き重要であり、将来的に新たな治療法の開発につながる可能性があります。

[2] www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/148/5/148_278/_pdf
[3] webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.19020/KB.0000000152
[6] repo.lib.tokushima-u.ac.jp/files/public/11/111530/20180522140213729526/jjcm_53_4_805.pdf

カルシウム感受性受容体の機能

## カルシウム感受性受容体の機能

カルシウム感受性受容体(CaSR)は、細胞外のカルシウム濃度を感知し、その情報を細胞内に伝達するG蛋白共役受容体です。この受容体は、副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌調節、腎臓でのカルシウム再吸収、骨の代謝、および多くの組織でのカルシウムホメオスタシスの維持に必須の役割を果たしています[1][3][4][5]。

● 副甲状腺ホルモンの分泌調節

CaSRは副甲状腺に発現しており、細胞外のカルシウム濃度の変化を感知します。細胞外カルシウム濃度が高い場合、CaSRは活性化され、PTHの分泌が抑制されます。これにより、血中のカルシウム濃度が適切な範囲に保たれます[1]。

● 腎臓でのカルシウム再吸収

腎臓では、CaSRの活性化により遠位尿細管でのカルシウム再吸収が抑制され、尿中へのカルシウム排泄が促進されます。これは、血中カルシウム濃度が高い場合にカルシウムの排出を促すことで、カルシウムホメオスタシスを維持するメカニズムです[5]。

● 骨の代謝

CaSRは骨芽細胞にも発現しており、骨の形成と吸収のバランスに影響を与える可能性があります。CaSRの活性化は、骨の代謝回転を高め、骨形成を促進する可能性があります[3]。

● カルシウム代謝異常症

CaSRの遺伝子変異は、カルシウム代謝異常症の原因となることがあります。例えば、CaSRの不活性型変異は高カルシウム血症性疾患を引き起こし、活性型変異は低カルシウム血症性疾患の原因となります[3]。また、CaSRに対する自己抗体が副甲状腺機能低下症や高カルシウム血症性疾患を引き起こすこともあります[5]。

● その他の機能

CaSRは、ケラチノサイトの分化や消化管機能、インスリン分泌にも影響を与えることが報告されています。これらの機能がどの程度生理的に重要であるかについては、まだ不明な点が多いです[4]。

以上のように、CaSRはカルシウムホメオスタシスの維持、骨の代謝、およびカルシウム代謝異常症の発症機序において重要な役割を果たしています。

[1] www.m.chiba-u.jp/dept/nephrology/files/1116/0982/5951/5-11._.pdf
[3] www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/148/5/148_278/_pdf
[4] webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.19020/KB.0000000152
[5] www.asakura.co.jp/lp/naikagaku12ed/digitalappendix/src/e%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%A015-5-1_%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A6%E3%83%A0%E6%84%9F%E7%9F%A5%E5%8F%97%E5%AE%B9%E4%BD%93%20%28calcium-sensing%20receptor%EF%BC%9ACaSR%29.html

カルシウム感受性受容体の機能不全

カルシウム感受性受容体(CaSR)は、細胞外カルシウム濃度の変化を感知し、それに応じて細胞内のシグナル伝達を調節するG蛋白共役受容体です。この受容体は主に副甲状腺と腎臓に存在し、カルシウムの恒常性維持に重要な役割を果たしています。CaSRの機能不全は、カルシウム代謝異常症を引き起こす原因となります。

CaSRの機能不全には、主に活性型変異と不活性型変異の2種類があります。活性型変異は、CaSRが過剰に活性化されることにより、通常よりも低い血清カルシウム濃度で副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌が抑制され、低カルシウム血症を引き起こします。一方、不活性型変異は、CaSRの感受性が低下し、高カルシウム血症を引き起こすことがあります。

活性型変異による代表的な疾患は、常染色体優性低カルシウム血症(ADH)です。この疾患では、CaSRの活性化により、正常な血中カルシウム濃度でも「高い」と誤認され、PTHの分泌が不適切に抑制されます。その結果、血中カルシウム濃度が低下し、低カルシウム血症が引き起こされます[5][9]。

不活性型変異による代表的な疾患は、家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症(FHH)です。この疾患では、CaSRの感受性が低下するため、高カルシウム血症にもかかわらず、尿中カルシウム排泄が多くないことが特徴です[9]。

また、新生児重症副甲状腺機能亢進症(NSHPT)は、CaSRの不活性型変異のホモ接合体、あるいは複合ヘテロ接合体によって引き起こされる疾患で、出生直後から血清カルシウム濃度とPTHの異常高値が認められ、致命的な状況に陥ることがあります[6]。

CaSRの機能不全は、これらの遺伝子変異によるものだけでなく、自己抗体によっても引き起こされることがあります。例えば、CaSRに対する自己抗体が副甲状腺機能低下症や高カルシウム血症性疾患を引き起こすことが報告されています[9]。

これらの疾患は、CaSRの機能不全によるカルシウム代謝異常の典型例であり、適切な診断と治療が必要です。

[5] genetics.qlife.jp/news/20240123-w039
[9] www.asakura.co.jp/lp/naikagaku12ed/digitalappendix/src/e%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%A015-5-1_%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A6%E3%83%A0%E6%84%9F%E7%9F%A5%E5%8F%97%E5%AE%B9%E4%BD%93%20%28calcium-sensing%20receptor%EF%BC%9ACaSR%29.html

カルシウム感受性受容体をターゲットとした研究開発

カルシウム感受性受容体(CaSR)は、細胞外のカルシウム濃度を感知し、細胞内のシグナル伝達を調節することで、多様な生理的機能を制御する重要な役割を果たしています。この受容体は、特に副甲状腺や腎臓においてカルシウムの恒常性維持に関与しており、その異常は様々な疾患の原因となり得ます。近年、CaSRをターゲットとした研究開発が進められており、特に副甲状腺機能亢進症や肺高血圧症などの治療薬開発において注目されています。

● 副甲状腺機能亢進症の治療薬開発

副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺ホルモン(PTH)の過剰分泌により引き起こされる疾患で、高カルシウム血症や骨粗鬆症などを引き起こします。この疾患の治療において、CaSRを活性化することでPTHの分泌を抑制する薬剤(カルシミメティクス)が有効であることが知られています。例えば、シナカルセトやエボカルセトは、CaSRに作用してPTHの分泌を抑制し、副甲状腺機能亢進症の治療に用いられています[2][9]。

● 肺高血圧症の治療薬開発

肺高血圧症は、肺動脈の圧力が異常に高くなる疾患で、肺血管のリモデリング(構造的変化)が進行すると治療が困難になります。CaSRは、肺動脈平滑筋細胞の増殖に関与しており、その機能亢進が肺高血圧症の病態形成に寄与していることが示されています。このため、CaSRの機能を調節することで、肺高血圧症の治療薬の開発が進められています。特に、CaSRの発現や機能を抑制することにより、肺血管リモデリングの抑制や病態の改善が期待されています[8][12][16]。

● まとめ

CaSRは、カルシウムの恒常性維持において中心的な役割を果たす受容体であり、その機能異常は副甲状腺機能亢進症や肺高血圧症などの疾患に関連しています。これらの疾患に対する治療薬の開発において、CaSRをターゲットとした研究が進められており、新たな治療オプションの提供に向けた期待が高まっています。

[2] www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/154/1/154_35/_pdf
[8] kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17K08320/
[9] www.kissei.co.jp/news/2021/20210623-3995.html
[12] kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20K07092/
[16] kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15K18881/

Calcium sensing receptorsに属する遺伝子2

CASR
GPRC6A

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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