–ase(エース、アーゼ)とは、酵素を表す接尾語です。
「ase」という接尾語は、多くの場合、酵素を示すために使われる生物学的な用語です。生物学において、酵素は特定の化学反応を触媒するために必要なタンパク質の一種であり、生命活動に欠かせない役割を果たしています。この接尾語が付くことで、そのタンパク質が酵素であることを示し、また、どのような化学反応を触媒するかについてのヒントを与えます。例えば、「リパーゼ(lipase)」は脂質を分解する酵素、「アミラーゼ(amylase)」はデンプンを分解する酵素といった具合です。この接尾語の使用は、科学的な命名規則に従っており、研究者や学生が酵素の機能や対象とする反応を理解するのに役立っています。
酵素はその触媒する反応の種類に応じて様々な分類に分けられます。リン酸を使用する反応を触媒する酵素には、特にキナーゼ(Kinase)やホスファターゼ(Phosphatase)などがあります。キナーゼは、タンパク質や他の分子にリン酸基を付加する反応を触媒し、ホスファターゼはリン酸基を取り除く反応を触媒します。これらの酵素は、細胞内のシグナル伝達や代謝調節に重要な役割を果たしています。
一方で、「ase」を接尾語とする酵素には、リパーゼやアミラーゼのように、リン酸を直接使用しないで機能するものもあります。これらの酵素は、脂肪や炭水化物など、異なる種類の分子を分解する反応を触媒します。したがって、「ase」という接尾語がつく酵素がリン酸を使用するかどうかは、その酵素がどのような化学反応を触媒するかに依存します。
酵素が作用する物質(基質)の名前の最後に付けられる場合
例としては以下が挙げられます。
- ホスファターゼ
- リン酸(H2PO4− )がいくつかついたエステル化合物(RCOOR’)を加水分解し、リン酸と、水酸基を持つ化合物とに変換する脱リン酸化酵素である。ホスホはリン酸。
- リパーゼ
- 脂質を構成するエステル結合を加水分解する酵素。リピッドは脂質を意味する。
- プロテアーゼ
- タンパク質(プロテイン)をより小さなポリペプチドやアミノ酸に加水分解する酵素。
- ペルオキシダーゼ
- 過酸化物(ペルオキシド peroxide perは過ぎるという意味)を分解する酵素
- テロメラーゼ
- テロメアを合成する酵素。
触媒される反応を示す場合
例としては以下があります。
- デカルボキシラーゼ
- カルボキシル基(COOH)をもつ有機化合物に作用して二酸化炭素を脱離する。脱炭酸酵素とも言う。
- オキシダーゼ
- 酸化を触媒する酵素。
- DNAポリメラーゼ
- DNAをつなげて重合(ポリメライズpolymerase)する酵素。
- リバーストランスクリプターゼ
- RNAから相補的DNAを逆転写(逆=リバース、転写=トランスクリプト)する酵素。