クラインフェルター症候群とは?症状・体型・治療法を解説

クラインフェルター(くらいんふぇるたー)症候群は社会の中で生きていくうえで、特に大きな障害になることはありません。そのため、不妊治療を行う中で判明するという診断契機が最も多くなっています。子供を持つことができないため、悲しいことに一時期は離婚原因の一つにもなっていました。

クラインフェルター症候群とは?

疑問
クラインフェルター症候群とは、性染色体の数の異常によって起こる先天異常です。男の子に多く見られ、男性ホルモンであるテストテロンの量の低下にともなう症状もあります。新生児の男の子約500~1000人に1人が罹患しており、性染色体X染色体Y染色体)の数の変化(異数性)によって引き起こされる疾患です。性染色体数の異常による先天異常の中ではその割合が最も多い疾患です

クラインフェルター症候群の症状

クラインフェルター症候群の徴候と症状は、患者さん個々人によって異なります。思春期または成人期になるまでクラインフェルター症候群と診断されないほど軽度なケースも多く、罹患者の男性(少年)の75%くらいは生涯にわたり診断されません。この事実は出生前診断の対象にクラインフェルター症候群を入れていいかというという問いを投げかけ続けています。

しかしながら、大きく前進しているとは言い難いのが現状です。それでも諦めずに提言をしていくつもりです。

クラインフェルター症候群と停留睾丸

クラインフェルター症候群の一部の患者さんでは、精巣(せいそう)が下降していない、尿道が陰茎(いんけい)の先端(亀頭 きとう)まで形成されない場合があります。陰茎の腹側(本人から見ると陰茎の裏側)におしっこの出る口(外尿道口)がある尿道下裂の症状を呈したり、陰茎が平均サイズより著しく小さかったりします。又は小さくなる小陰茎症などの性器の症状が見られます。

クラインフェルター症候群と発達障害

クラインフェルター症候群の小児にみられる症状には、筋緊張の低下(低緊張・自分の体を支えることができない)、協調性に問題がある、座る、立つ、歩くなどの運動技能の発達が遅れるという発達障害などがあります。クラインフェルター症候群の男児は症状として学習障害を呈することが多く、その結果、発話や言語の発達に軽度の遅れが生じたり、読解に問題が生じたりします。表現的言語能力(語彙および発話の生成)よりも受容的言語能力(発話を理解する能力)の方が優れている傾向があり、コミュニケーションおよび自己表現が困難だという症状も見受けられます。

クラインフェルター症候群の人にみられる症状には、不安、抑うつ、社会性の欠如、感情の未熟さや衝動性などの行動問題、注意欠陥/多動性障害(ADHD)、問題解決能力(実行機能)の制限などがあります。クラインフェルター症候群の少年と男性の約10%が自閉症スペクトラム障害の症状を持っています。
症状のひとつとして広範囲の知能指数(IQ)が記述されています。しかしながら、平均フルスケールIQは85~90の間です。言語および聴覚処理の問題により、言語IQはパフォーマンスよりも高くなっています。未熟性、不安定性、内気、判断力の低下、意味のある仲間関係の形成などの行動上の困難が症状として見受けられることがあります。その他の症状としてクラインフェルター症候群患者の20~50%に、何かしようと思ったときに手の震えがみられるという企図振戦がみられます。

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クラインフェルター症候群の原因

染色体
男の子のクラインフェルター症候群の赤ちゃんは、余分なX染色体を持っています。クラインフェルター症候群の原因を理解するためには、まず、性染色体と受精の仕組みについて知る必要があります。

性染色体と受精のメカニズム

性染色体は生体の性別を決定するもので、男性なら「XY」、女性なら「XX」の組み合わせとなります。受精によって精子卵子が結合すると、受精卵は22対の常染色体と1対の性染色体になります。このとき性染色体の組み合わせが、「XY」なら胎児は男の子、「XX」なら女の子です。

ところが、性染色体が「XXY」や「XXXY」など、過剰なX染色体を持ってしまったのがクラインフェルター症候群です。余分のX染色体が多くなることで起こります。ほとんどが母親由来のものであることがわかっています。

なぜなら加齢などにより卵子が老化してしまい、対となっている性染色体(XX)の分離がうまくいかなくなるからです。高齢での出産が増えてくるとどうしても確率が高くなってしまいます。また、父親の精子にあるXY染色体の分離が不十分で、男性由来のX染色体が過剰になったり、受精卵の細胞分裂の不具合によって、余分なX染色体を生じることが明らかになっています。

クラインフェルター症候群と染色体異常

クラインフェルター症候群の臨床的表現型(症状)は、男性なら本来XYであるところ、過剰なX染色体が1本あるXXYだという遺伝的病因に起因しています。クラインフェルター症候群における余分なX染色体は、精巣の硝子化、線維化および精巣の機能低下を引き起こし、生殖器の異常、通常は性腺機能低下症および不妊症を引き起こすのです。

クラインフェルター症候群の男性の体型

クラインフェルター症候群の男性には下の画像にあるような体型になるのが特徴の一つです。
クラインフェルター症候群
画像からお分かりのように、平均よりも背が高く、手足が長くなります。また体型と以外の特徴としては、精巣が小さく無精子症である点です。

男性は46,XYという染色体の核型ですが、男性なのにX染色体が1本多くなっていて47,XXYですので、画像の通り女性化乳房など見られます。

クラインフェルター症候群と女性化乳房

クラインフェルター症候群の男性は、通常、テストステロン(男性ホルモン)の生産量が少ない小さな精巣を持つというのが大きな特徴です。テストステロン(男性ホルモン)は、出生前と思春期の間に男性の性的発達を指示するホルモンですので、クラインフェルター症候群ではホルモンを補充するなどの治療をしなければ、テストステロン(男性ホルモン)の不足により、陰毛、腋毛などの二次性徴の遅延または不完全な発現、胸の拡大(女性化乳房)、筋肉量の減少、骨密度の低下、顔や体毛の減少といった女性のような体型を来す症状を来す可能性があります。

クラインフェルター症候群の患者の身長

クラインフェルター症候群の患者さんは平均身長よりも高い方が多く見受けられます。高身長以外にも四肢が長く、上部/下部の比率が低くなっているのが見た目の特徴として出ています。

 

クラインフェルター症候群と男性不妊

離婚
クラインフェルター症候群は見た目にちょっとした特徴があるものの、生活していく上で他の人と大きな違いはありません。そのため自分自身でもクラインフェルター症候群だとわからずに暮らしている方も多くいらっしゃいます。

ところが、クラインフェルター症候群だと判明したことが、離婚の原因になってしまったという話もあります。多くは、妊活をしていてもなかなか妊娠しないので調べたところ、無精子症であることが判明したというケースです。

しかし、ここ最近の生殖医療の進歩で、お子さんを持つことができるケースも増えてきました

クラインフェルター症候群の男性不妊に対する治療

クラインフェルター症候群の患者さんには、以前はお子さんを持つことはあきらめてくださいとお伝えしていました。しかし最近では、生殖補助技術の恩恵を受けてお子さんをもてるようになってきました。無精子症の方の中には、射精する精液中には精子が認められなくても、精巣内の一部分で精子が造られていることがあります。 クラインフェルター症候群の方でも顕微鏡を使って精巣中の精細管を観察し、精子が造られていそうな精細管を狙って回収する手術(顕微鏡下精巣内精子回収術)で50%くらいの患者さんが精子を得られています。通常の無精子症と比べて成績が良いくらいです。

クラインフェルター症候群による無精子症での離婚はこれから減っていくかもしれません。

クラインフェルター症候群の治療

クラインフェルター症候群を持って生まれてきた男児に対して、根本的な治療はありません。下記のような対症療法やサポートが実施されています。

発達障害に対する治療

クラインフェルター症候群の早期診断 (しばしば子宮内)により、早期の発達評価および神経心理学的発達を支援する介入サービスが可能になってきました。クラインフェルター症候群では発話言語遅延(言葉の発達の遅れ)および運動技能遅延(運動能力の遅れ)は症例の50%~75%に認められます。そのため、これらの遅延をスクリーニングし、対処するための積極的な手段が推奨されます。言葉の発達の遅れに対してケアをしなければ、欲求不満に対する自己表現や衝撃耐性が損なわれてしまい、問題行動につながる可能性があります。また、多動・扁平足・外反膝を伴う低緊張は、書字やセルフケアを含む運動発達に影響を及ぼす可能性があるため、理学療法・作業療法・矯正器具などの適応治療が必要となることがあります。

男性ホルモン不足に対する治療

クラインフェルター症候群における性腺機能低下症は、胎児の早期にすでに始まっていることがあります。小児内分泌専門医の管理下で、クラインフェルター症候群に対するテストステロン補充治療を行うと、「古典的クラインフェルター症候群表現型」の身体症状の一部を予防する可能性があります。この治療は、性器の発達不良・停留精巣・胚細胞数の減少・精巣のサイズの小ささなどの症状を和らげる役割を果たします。

その他の合併症に対する治療

長期的には、クラインフェルター症候群の男性は、末梢血管疾患や血栓塞栓性疾患だけでなく、2型糖尿病、脂質異常症、脂肪肝疾患などのインスリン抵抗性に関連する障害を発症しやすくなっているので、これらに対する慎重なスクリーニングと積極的な予防措置が推奨されています。また、骨塩量が悪影響を受けることもあり、性腺機能低下症に関連している可能性が高いため、骨の健康への注意が重要となります。自己免疫疾患の割合が高いことを立証した研究もあるので、自己免疫性疾患に対する経過観察も必要でしょう。また、特定の悪性腫瘍のリスクが高くなります。これらには、乳がん、性腺外胚細胞腫瘍、および非ホジキンリンパ腫があるのですが、全体的な頻度はまだ非常に低く、ルーチンのスクリーニングは正当化されていません。疑わしい症状についてはチェックすべきでしょう。

クラインフェルター症候群は遺伝するのか?

クラインフェルター症候群は遺伝性ではありません。ご両親のいずれかの生殖細胞(卵または精子)が形成される際に分配のまちがいでX染色体が余分にあるということが起こります。
クラインフェルター症候群の男性が不妊治療で父親になる際には、XXY染色体の分配のされ方として
1.X と XY
2.XX と Y
があるのですが、XYになってしまった精子では、お子さんはお母さんからはX染色体を通常1本もらいますので、同じくXXY、つまり、クラインフェルター症候群となることとなります。
一昔前はクラインフェルター症候群には遺伝性がないと言われていました。これは妊娠させることができず、お子さんを持てなかったためです。

まとめ

クラインフェルター症候群は、性染色体数の異常による先天異常の中でも、比較的多く現れる症状の一つです。先述したように出生男児1000人に1人の頻度で現れます。妊娠中にクラインフェルター症候群にかかっているかどうか判別するためにはNIPT新型出生前診断「しんがたしゅっせいまえしんだん」)を受ける必要があります。

ただし、日本医学会と日本産婦人科学会が認定している病院では、クラインフェルター症候群の判定は行っていません。無認可のクリニックで受ける必要があります。

ところが無認可のクリニックでは、ほとんどが遺伝子に関する専門的な知識を持つ医師が在籍していません。しかも、多くのクリニックでは事前の遺伝カウンセリングを行っていないため、クラインフェルター症候群について詳しい内容を説明せずに検査に移ってしまいます。それでは、何のために検査を受けたのかわかりません。

ミネルバクリニックは、無認可のクリニックでありながら、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングを実施しており、クラインフェルター症候群についての詳細な説明が可能です。もちろん、クラインフェルター症候群の判定ができる検査もご用意しています。クリニックは東京都内になりますが、オンライン診療を行っており、日本全国どこにお住まいの方でも検査が受けられます

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もし気になる方がおられたらミネルバクリニックまで遠慮なくお問い合わせください。

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この記事の筆者:仲田洋美(医師)