出生前診断とは生まれる前の赤ちゃんの健康状態についての情報を得ること

出生前診断とは、生まれてくる前の赤ちゃんの健康状態についての情報を得ることのすべてをいいます。出生前診断とは妊娠中の問題を可能な限り早期に発見することに焦点を当てて行なわれる検査とそれに基づく診断のすべてです。そして必要があれば出生前に赤ちゃんをケアします。
妊娠中の定期的な検査には赤ちゃんの健康状態を調べるものもあり、これらも出生前診断に含まれます。最初の妊婦検診で行われる、血液検査、肝炎ウイルスやHIVなどの感染症の検査、風疹(はしか)や水痘に対する免疫があるかどうかを調べる検査も広い意味では出生前診断に該当します。これらの検査は先天性風疹症候群、先天性水痘症候群などに赤ちゃんが子宮内で罹患する可能性があるかないかや、出産するときに産道感染による垂直感染(母子感染)でB型肝炎やHIVに赤ちゃんが感染する危険性があるかないかなどを、さまざまな検査を行って判断することを目的としています。
正確には『出生前診断とは』、赤ちゃんが母胎内にいる間に、つまり出生する前に、『出生前検査』を行って、『診断する事』なのです。
そして、検査の結果、『そうでない』と判断することも診断を除外するという診断ですので、出生前診断にあたるでしょう。
こうして、実は妊婦さんたちは妊娠している間に赤ちゃんに対して様々な出生前診断を受けているということになりますが、出生前診断というとダウン症のスクリーニング検査をイメージするため、非常に狭い概念でとらえられているのが実情です。

妊娠中に行われる出生前診断とは

妊娠中、他にもいくつかの検査が提案されるかもしれません。
・妊娠糖尿病
ダウン症
・HIVのスクリーニング
・成人T細胞性白血病ウイルス
・トキソプラズマ
・B型肝炎ウイルス
・水痘
・風疹
などは基本的にはすべての女性のために提案されるべきものでしょう。

他にも出生前診断はあるのですが、以下にあげる個々人のプロフィールに基づいて提供されます。
・年齢
・個人または家族の病歴
・民族的背景
・ルーチンのスクリーニングテストの結果

出生前診断の種類とは

検査には2種類あります。

スクリーニング検査

出生前診断におけるスクリーニング検査は、妊婦さんや赤ちゃんが特定の問題を抱えている可能性があるかどうかを調べるために行われる検査です。スクリーニング検査はリスクを評価しますが、問題を確定的に診断するものではありません。スクリーニング検査の結果が異常であっても、問題があるということとは直ちに結びつけられません。より多くの情報が必要であることを意味します。
出生前診断におけるスクリーニング検査では、
・二分脊椎
・口蓋裂
・ダウン症候群
・テイサックス病
・鎌状赤血球貧血
・サラセミア
・嚢胞性線維症
・筋ジストロフィー
・脆弱性X症候群
・神経管閉鎖不全
・染色体異常
・遺伝子変異
などの問題を検出することができます。
その他、出生前診断のための検査は子癇前症を検出するためのPAPP-Aや妊娠糖尿病を診断するための耐糖能検査など、主に母親の健康に影響を与える問題を発見するために設計されています。
出生前診断のためのスクリーニングは、水頭症、無脳症、心臓の欠陥、および羊水帯症候群などの解剖学的欠陥も同様に検出することができます。
出生前診断のためのスクリーニング検査は、手頃な価格で非侵襲的な方法を用いて多くの集団の中から問題を発見することに焦点を当てています。最も一般的なスクリーニング検査は、日常的な超音波検査、血液検査、血圧測定と言えるでしょう。

診断的検査

出生前診断において、スクリーニング検査の結果により診断的検査が必要な場合もあります。
診断検査は、妊婦さんや赤ちゃんが特定の具体的問題を抱えているかどうかを確定的に示す検査です。
一般的な確定的診断法には、羊膜穿刺と絨毛膜絨毛採取があります。場合によっては、胎児が流産するかどうかを判断するために検査を行うこともありますが、医師や患者さんはハイリスクの妊娠を早期に診断して、赤ちゃんが適切なケアを受けられる第三次医療機関で出産を予定できるようにすることも有用であると考えています。

出生前診断とは受けたほうがいい診断なのか

出生前診断とは受けたほうがいいものなのかどうか、という点については、同調することが好きで他人の動向が気になる我が国の国民性では余計気になるのかもしれません。しかし、出生前診断を受けるかどうかは、妊婦さん個々人の選択によるべきです。医療者とともに、出生前診断のリスクと利点、そして出生前診断で得られる情報の種類についてしっかりと話し合いましょう。そうすると、どの検査がご自分に合っているか、必要なのかを具体的に決めることができるでしょう。

出生前診断スクリーニング検査関連記事

NIPT関連記事|赤ちゃんの首の後ろのむくみ NT
NIPT関連記事|超音波胎児スクリーニング検査
NIPT関連記事|妊娠中の逐次型(シーケンシャル)胎児スクリーニング検査
NIPT関連記事|妊娠中の統合型胎児スクリーニング

羊水検査関連記事

NIPTトップページ
NIPT関連記事|羊水検査
NIPT関連記事|羊水検査と痛み
NIPT関連記事|東京都の羊水検査実施施設
NIPT関連記事|羊水検査とNIPTの違いとは
NIPT関連記事|絨毛検査・羊水検査の精度とは
NIPT症例集|NIPT結果陽性で出産
NIPT症例集|NIPT陽性で羊水検査のために入院したのに…
NIPT症例集|羊水検査を受けずに中絶した人たち

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

仲田洋美(医師)

プロフィール

1995年医師免許取得。血液・呼吸器・感染症内科を経て、臓器別・疾患別の縦割りの医療の在り方に疑問を感じ、人を人として”全人的”に診療したいという思いを強くし、臓器を網羅した横断的専門医となり、2010年にがん薬物療法専門医取得(2019年現在全国1200人程度)。臓器を網羅すると遺伝性がんへの対策が必要と気づき、2011年に臨床遺伝専門医取得(2019年現在全国1000人程度)。遺伝相談はセンシティブな分野にもかかわらず、昼間の短い時間しか対応できない大病院のありかたに疑問を感じて、もっと必要な人がハードルを感じずに診療を受けられるようにしたいと2014年12月に開業。以来、全国から大学病院でも難しい内容の対応を求める人々を受け入れ、よろづお悩み相談所として多くの人々の様々な”家族(計画)の問題”を改善に導く。

著書に”女性のがんの本当の話”(ワニブックス)、”遺伝するがん・しないがん”(法研)がある。
少ない専門家で、正直で嘘のない言葉選びから週刊誌等の取材も多く、医療系の特集に時折コメントが掲載。(週刊現代、週刊ポスト、週刊新潮など)。
テレビ出演も時々あり、小林真央さんの病状を市川海老蔵さんが初めて記者会見した日、フジテレビの午後4時台のニュース番組に生出演して解説。その他TBS, AbemaTVなど出演。

一人一人の事情に合わせた個別対応をするべく、しっかり時間を取って本当のニーズは何かを聞き取りすることを大切にしている。短い時間でもお互いが出会ったことが相手の人生に大きな意味があるような医師患者関係の構築を理想として日々精進。

患者さんが抱えている問題を解決するにはどうしたらよいのかを考えて医師歴8年目に法学部に学士入学した程度に”凝り性”。女医が少なかった時代に3人の母親として難関専門医を3つ取得して社会進出を続けた経験から、女性のライフスタイルを医学以外の部分でも支援したいと願っている。いろんな人生経験から心に響く言葉を投げかけるため、”会うと元気になる”ということで有名。飼いネコ3匹。

さらに詳しいプロフィールはこちら