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ヒロクリニックのNIPT|T21と判定されて中絶のトラウマ

先日いらした患者さんで前回妊娠したときにヒロクリニックでNIPT新型出生前診断)を受けて陽性の判定が出て、羊水検査で確定診断した後に中絶をした女性がいました。その患者さんは20週近くの中絶(中期中絶)を受けて精神的に大きなダメージを受けたとカウンセリング当日に震えながら来院されたのです。

実は、ヒロクリニックは皮膚科の医師がやっている医院です。新型出生前診断の結果を最短2日で連絡できると謳っています。ところが染色体の一つが陽性と判定されても相談には乗ってくれません。互助会費で羊水検査のお金を支払いを立て替えくれるだけです。予約して、受付をして問診票を書いて、採血をして結果は郵送かメールでお知らせしますで終わりです。

「どうして羊水検査が必要なのか?」といった説明や新型出生前診断の検査精度といった情報、中絶をするかどうかの決断をするまでのサポートは一切ありません。

12週までにはっきりさせたいんです

確か、その患者さんが来たのはアラフォー応援コースを作ってHPに掲載した翌日のことです。非常に運命的なものを感じました。
アラフォー応援コースは38歳以上を対象にしているコースです。なぜ作ったかといいますとNIPTは検査会社により測定方法がまちまちという点です。

同じ検査でも違う測定をして陽性が2回出れば陽性的中率としてはほぼ100%に近づきます。その違いを臨床遺伝専門医の私はわかっていたのです。

確率が非常に少ない限局性胎盤モザイクのせいで陽性と判定される場合がありますが、そのせいで陽性になった患者さんが全員羊水検査を受けないとならないというのはどうなのか?と日頃から悶々としていました。

しかも羊水検査は16週以降でないと受けられません。結果が出て中絶となると中期中絶となります。すると対応できる施設も少なく19-20週だと生きて生まれることもあるので大変トラウマになるのを患者さんたちからずっと聞いていました。私なりに何か助けられることはないか?と思案し続け、「これなら!」とひねり出したのがアラフォー応援コースだったのです。

すると、作った翌日に35歳くらいの患者さんがやってきました。
彼女は、前回ヒロクリニックで新型出生前診断(NIPT)を受けたそうです。このクリニックは遺伝カウンセリングを実施していませんし、採血だけをして結果を郵送するだけのところです。そこで新型出生前診断(NIPT)の結果が21トリソミーダウン症の疑い)が出たそうです。検査結果を受けて羊水検査を受けることになりました。その結果も陽性だったため20週近くで中絶を選択したのです。初めての妊娠でそんな経験をしてしまったから大きなトラウマになっています。

だからこそ今回は、どうしても12週まで決着をつけたいと強く希望しておられました.

そのお気持ちを聞いて、

若いので大体85%くらいの陽性的中率で帰ってくると思います。
そうなると7人に一人くらいが外れることとなるんですね。でも、その結果だけで中絶するかどうかを決定するのは憚られます。
こうお話をして、もう一つの検査会社で同時に検査を受けることにしました。まさにアラフォーコースそのものです。

この方が翌日来られたことに大変びっくりしました。

やっぱり、一人一人に寄り添うということは、医学的知見をお伝えし、そのうえでお一人お一人に最善の医療を提供することだと私は思っています。

まだまだトラウマが残っていると涙ながらにでもちゃんと話していただき、そのうえでお互いに納得して2つの会社に検査を出すことにしました。

いろいろ意見はあると思います。しかし目の前の一人に寄り添えるのは、今、目の前にいる私だけです。

一人一人といつまでもこうして向き合っていける医師でありたいと思います。

本当にいろいろ考えさせられました。
ミネルバクリニックに来ていただいて、ありがとうございました。

患者さんたちがわたしを日に日に成長させてくれています。

ありがたいことですね。どうか陰性でありますように。

ちなみに、38歳未満ではありますが、特段の事情がある場合なのでアラフォー応援コースのお値段でお受けしました。

わたしとしては、陽性後のフォローがない体制で胎児を中絶してしまったり、トラウマになる人たちを何とかしたいと真剣に思っています。

ミネルバでも陽性になって中絶する人はいるのですが、多くの方々が次に妊娠して😊してこられます。やっぱり少しでも妊婦さんの不安に寄り添えるような体制作りはすごく大事だと思います。

これからもNIPT(新型出生前診断)を受けようかどうか迷っている人の決断を助けられるよう心がけたいと思いますので是非ミネルバクリニックまでお気軽にお問い合わせください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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