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NIPT陽性|超音波で全身浮腫ヒグローマ|なるだけはやく中絶したいのに

NIPTの結果、陽性になった妊婦Aさん。

陽性になった結果が帰ってきたころ、産婦人科では超音波で赤ちゃんの全身がむくんでいるというヒグローマと呼ばれる異常なエコー所見を指摘されていました。医師は中絶も選択肢に入れたほうがいいとまで言ったそうです。
NIPTを受けた、といったらB医師は、「その結果を教えて」といったそうです。
医師によると、NIPTで異常がなくても赤ちゃんはうまれることは難しいということでした。

NIPTでこの疾患なら外れることはほとんどないのと、今回は超音波でも大きな異常がすでに見つかっているので、羊水検査を受けるまでもないのではというのがAさんとわたしの意見でした。

また、B医師は「このまま育つことはできない」と赤ちゃんの超音波検査から判断しながら、「NIPTの結果を教えて」と言ったので、Aさんは、「通っているB医師のところでこのまま中絶してくれる」と思っていました。

でも。B医師の勤務先は大学病院なので、わたしは懐疑的でした。
B医師がいくらAさんのためにはこの赤ちゃんは早くあきらめたほうがいい、と思っていたとしても、大きな病院というのはB医師が意思決定できるわけではありません。
上司(教授)がいて、みな、日本産科婦人科学会のご機嫌を伺います。このため、日本産科婦人科学会が推奨している「NIPTで陽性なら羊水検査で確定」をせずに中絶してくれるのは殆どありえません。(ミネルバクリニック症例の例外的ケースについてはこちらをご覧下さい)
妊婦さんのことではなく、学会の顔色を窺い、結果的に妊婦さんを苦しめるっていうのはどうなのかといつも悶々としています。

わたしは、「どうなのかな?いざ陽性とわかったら羊水検査しないと中絶できないと言うと思うけど」と伝えましたが、明日が受診ということだったのでまずは行って相談してみるという事でした。

結果としては、B医師は羊水検査を経ないと中絶は出来ないと言ったそうです。

これを受けてAさんは、別のクリニックで中絶を受けることに決めました。12週は過ぎていて中期中絶であることに変わりはありませんが、16週をすぎて羊水検査の結果を待っていたら20週近くなります。FISH法で確認してくれるところは数日で結果が出るのですが、成育医療研究センターのようにFISHもやるけど通常の染色体検査の結果が出てから中絶という医療機関なら20週になってしまいギリギリです。

中絶は遅くなればなるほどママの心理的身体的負担は両方増すことがわかっているのに、どうしてなのでしょうか?

関連記事:妊娠中絶の精神的な影響|胎児異常による中絶は心理的負担が大きいので特にケアが必要

なぜ赤ちゃんの病気を理由に中絶する人は必ず羊水検査をしないといけないのでしょうか?

もちろん、しないといけない場合もありますが、今回のようにNIPTで高い精度で陽性と出ていて超音波検査でも異常がある場合には、その二つを合わせて陽性と確定してよいと海外ではされています。なぜ日本ではそうならないのでしょうか。

いろいろ悶々としながら、Aさんはミネルバクリニックの情報ページの東京都の中絶クリニック一覧を見て、病院を選んで行きました。

NIPTで陽性だったと言えば次のところでも「羊水検査したほうがいい」とすすめられて追い詰められたりしますが、単純に「産みたくない」「経済的に育てられない」とか言う理由をいえば、それ以上詮索されずに中絶できます。

気をつけることなどお伝えして、無事に中絶しました。

いろんな意見はあると思いますが、病気のあるお子さんではなく健常なお子さんをもちたいという思いは万国のどのような親にとっても共通じゃないでしょうか。そうすると、この赤ちゃんはうまれてこれない可能性の方が高いから早くあきらめて、次に健常なお子さんを得る機会を得るよう行動するのは合理的です。

しかし、こちらリンク先の症例(10番染色体のトリソミー)のように偽陽性が多い項目で陽性で、超音波検査でも異常が指摘できない場合は、赤ちゃんは正常な可能性が高いので羊水検査を受けるようにお願いしています。

ミネルバクリニックでは一人の臨床遺伝専門医あたり最多レベルの患者さんをアフターフォローまでしっかり行ってきたからこそのノウハウがあります。

赤ちゃんが病気だったとわかったときのママの混乱や動揺をなるだけ緩和して、明日を生きるための原動力を大きくできるように頑張っています。

嚢胞性ヒグローマ

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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