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胎児ドック(胎児超音波スクリーニング検査)とは?検査でわかることを詳しく解説

胎児ドックは超音波(エコー)を使って、胎児の姿や動きを確認する検査です。胎児超音波スクリーニング検査や胎児超音波検査、精密胎児超音波検査などと呼ばれることもあります。胎児超音波スクリーニング検査や胎児超音波検査、精密胎児超音波検査などと呼ばれることもあります。実施する病院によって検査時期や項目に多少の違いがあり、費用は5000円〜5万円ほどです。
胎児ドックは、同じ超音波検査を用いる妊婦検診と混同されがちのため、まずは胎児ドックとはどのような検査なのか、なにがわかるのかを確認しましょう。

胎児ドックとは

胎児ドッグ4

胎児ドックは実施する病院によって検査時期や項目に違いがあり、費用は5,000円〜5万円ほどと幅があります。同じ超音波検査を用いる妊婦検診と混同されがちですが、この2つは異なります。まずは胎児ドックとはどのような検査なのか、なにがわかるのかを確認しましょう。

胎児ドックで行われる超音波を用いた検査は、同じく超音波を用いる妊婦検診よりも精度がずっと優れているのがポイントです。
妊婦健診の場合、画面には白黒でぼやけたようにしか赤ちゃんの姿が映りません。一方で胎児ドックでは、よりはっきりと赤ちゃんの姿がわかります。もし、赤ちゃんが先天性異常を抱えている場合、胎児期に形態異常が見られるケースが多いため、胎児ドックによってより高い精度で確認することができます。

どのような人が胎児ドックを受けるの?

胎児ドックを受ける妊婦さんに制約はありません。生まれてくる赤ちゃんの健康状態が気になる妊婦さんで、少しでも不安を解消したいと感じている方は全員が受検が可能です。
とくに、高齢での出産を予定していたり、遺伝的リスクが高かったりする妊婦さんは受検をすることで生まれてくる赤ちゃんの先天性の疾患を調べて生まれてからのことに備えることができます。

胎児ドックでダウン症はわかる?

胎児ドッグは、赤ちゃんの器官や構造の詳細な観察を目的とした検査です。
この後で詳細を解説していきますが、通常、妊娠中期(18週から22週)に行われます。(妊娠初期、後期にも行うクリニックもあります)胎児ドッグによって赤ちゃんの発育や器官の形成に関する詳細な情報が分かりますが、ダウン症などの染色体異常の確定診断にはなりません。
ダウン症の疑いがあるかどうかわかることもあれば、生まれてみたらダウン症で、胎児ドッグでは問題ないと言われていたケースもあります。

胎児ドックで性別は分かる?

胎児ドックでは、赤ちゃんの性別も調べることが可能です。母体に超音波を当てて跳ね返ってきたデータから胎児の体を映像化し、その姿から男女の性別を判定することができます。

赤ちゃんの性別は早くて12週頃から判別可能とされますが、赤ちゃんの体の向きなどが判定の早さに関わってくるため、まだはっきりしていない時点で医師から胎児の性別を告げられることはありません。
赤ちゃんの性別は妊娠24週ころからはっきりとわかるとされています。エコーでの性別の判定よりも早い段階で性別を知りたい場合は、染色体を調べるNIPTも視野にいれるとよいでしょう。

胎児ドックは医療費控除の対象になるの?

胎児ドックは5,000〜50,000円ほどで受検ができますが、医療費の控除の対象とはなりません。医療費控除の対象となるものは、「医師又は歯科医師による診療等の対価として支払われるもの」と定められていますが、胎児ドックをはじめとした出生前診断は治療を目的としていないため、医療費の控除の対象とはなりません。
しかし、この検査で異常が見つかった場合に治療の一環として行われるケースであれば、控除の対象となるようです。

胎児ドッグで見ているポイント

では、具体的に胎児ドックではどのような点を見ているのでしょうか。

胎児の身体異常

胎児ドックではおもに、胎児の身体異常がないか調べます。妊娠初期、中期、後期に渡って赤ちゃんの脳の大きさや背骨、心臓、肺など人間が生活するうえで必ず必要になる臓器の発達に異常がないか、エコー検査よりもさらに精密に調べることが可能です。

胎児の染色体異常

基本的には先天性の形態異常(身体のつくりや働き)を調べる検査ですが、染色体疾患の中には身体の特定の場所に形態的な特徴を持つものがあることから、染色体疾患の可能性を調べるソフトマーカー検査(*1)としての役割も果たしています。

*1超音波検査におけるソフトマーカーとは、超音波で観察される胎児の形態異常・疾患ではないが、染色体異常などの胎児異常にみられる特徴的な所見である。

参照元:日本超音波医学会-電子ジャーナル-

【妊娠時期別】胎児ドックでわかること

出生前に受け、胎児に問題がないか検査する胎児ドックですが、妊婦さんの妊娠週数によって検査する内容、そして分かることも違います。以下、詳しく解説していきます。

妊娠初期

妊娠15週までを指す妊娠初期ですが、胎児ドックは10週から13週の間に受検が可能です。
妊娠初期は、お腹の中の赤ちゃんが人間の形に形成されていく時期であり、この段階で確認する胎児ドックの項目には下記のようなものが挙げられます。

● 全身の形態
● 脳や顔の構造
● 心臓の構造
● 四肢の確認

このように大まかな赤ちゃんの形態や状態などをチェックします。この段階で、NT測定やコンバインド検査を同時に実施する病院もあります。
また、この時期では、

ダウン症候群21トリソミー
 通常2本の21番染色体が3本ある先天性疾患
エドワーズ症候群18トリソミー
 通常2本の18番染色体が3本ある先天性疾患
パトウ症候群13トリソミー
 通常2本の13番染色体が3本ある先天性疾患

の検出が可能ですが、この時期の検出率は80%といわれています。

妊娠中期

妊娠中期とは、妊娠16〜27週までを指しますが、この時期になると、2度目の胎児ドックを受けることが可能です。妊娠中期の胎児ドックは妊娠18~20週での受検が可能で、妊娠中期に胎児ドックで確認する項目には、下記のものがあります。

● 大脳や小脳
● 顔
● 心臓
● 肺
● 胃腸
● 肝臓
● 腎臓
● 外性器

大脳や小脳の形態や大きさ、脳脊髄液、眼窩と眼球、鼻骨と鼻孔、口唇と口蓋など、初期に比べ詳細に調べることができます。妊娠初期同様、トリソミーの有無を確認することができますが、赤ちゃんの発育状態や推定体重、羊水量、主な臓器・胎盤・臍帯などの異常の有無もわかります。

この時期の胎児ドックにおいてみつかる先天性異常の例としては、頭蓋骨内欠損(無脳症)や脊椎の変形(二分脊椎)などが挙げられ、一般的に重症であるほど発見されやすい傾向があります。

妊娠後期

妊娠後期とは、妊娠27週から生まれるまでを指します。この時期になると、行える出生前診断がこの胎児ドックのみとなり、31週までに受検する必要があります。妊娠後期の検査では、中期に行った検査をより詳しく行うことで赤ちゃんが生まれてからに備えることができます。

詳細な検査が可能な妊娠後期の胎児ドックですが、検査には限界があります。超音波検査のため、遺伝子疾患である筋ジストロフィーなどは検出できません。また、超音波検査を実施する時点での赤ちゃんの発達などはわかりますが、出生後の発達の経過を予測することは難しいです。加えて、赤ちゃんの向きや羊水の量などにより、正確な検査が行えない場合があることにも注意が必要です。

胎児ドッグと比較されるNIPTとは?

胎児ドックと同じ出生前検査のひとつにNIPTがあります。安全性や精度の高さから近年注目を浴びており、出生前検査を行うにあたっては、胎児ドックとNIPTを第1選択肢に挙げる方も多くいらっしゃいます。
NIPTは検査内容にもよりますが、費用は5〜20万円程度です。
ここでは、NIPTに関する情報をみていきましょう。

NIPTとは

日本でNIPTが導入されたのは2013年。日本医学会と日本産婦人科学会により3つの染色体異常を調べられるようになりました。しかし、現状では非確定的検査としての位置付けであるため、診断のためには確定的検査を受ける必要があります。

NIPTでわかること

出生前検査認証制度等運営委員会では、NIPTでわかる染色体疾患を以下の3つとしています。

・ダウン症候群(21トリソミー)
・エドワーズ症候群(18トリソミー)
・パトウ症候群(13トリソミー)

この3つのトリソミーを調べる検査を、基本検査と呼んでいます。
出生前検査認証制度等運営委員会が認定した認証施設では基本検査しか受けることができませんが、認証を受けていない非認証施設であれば、基本検査以外の先天性疾患も調べることができます。

胎児ドックとNIPTを比較してわかるメリット・デメリットとは

胎児ドッグ3

ここまでは、胎児ドックとNIPTの内容について解説しました。次に、両者を比較した際に見えてくるメリットとデメリットを整理してみましょう。

胎児ドックのメリット

胎児ドックのメリットには次のようなことが挙げられます。

流産や死産のリスクがない
・身体のつくりに関わる疾患を見つけやすい
・胎児の姿を画像で確認できる

胎児ドックは、超音波機器をお腹や膣に当てて内部の様子を撮影する検査のため、子宮に直接アプローチする羊水検査絨毛検査のように流産リスクを伴いません。
また、胎児の姿を確認できるため、形態的な異常を見つけやすいことや、自分の子を目で確認できることも、胎児ドックならではのメリットといえます。

胎児ドックのデメリット

一方、胎児ドックには次のようなデメリットが挙げられます。

・羊水検査や絨毛検査、NIPTと比べると精度が低い
・超音波機器の操作には高い技術が求められる
・妊婦さんの体質によっては超音波が届かないことがある
・来院が必須

安全性が高い胎児ドックですが、羊水検査や絨毛検査といった確定検査やNIPTに比べると、精度はかなり低めです。染色体疾患が調べられるとはいえ、あくまでも“ソフト”マーカーとしての役割であることは留意しておかなければなりません。
また、超音波機器の操作には高い技術を要します。検査者の技量によって映像の見え方に差がでてしまうほか、妊婦さんの子宮の向きや肥満度合いによっては超音波が届かず、診断できない可能性もあります。

NIPTのメリット

NIPTのメリットには次のようなことが挙げられます。

・流産や死産のリスクがない
・検査の精度が高い
・妊娠9週と早期から受検可能
・さまざまな染色体疾患がわかる
・採血検査のため技量に左右されない

NIPTのもっとも大きなメリットは、安全性が高く簡易的な検査でありながら、さまざまな染色体異常を見つけることができる点です。
確定検査ほどではないものの検査精度は非常に高く、妊娠早期から受検可能な点も、出生前検査を受ける上で重要なポイントです。
また、NIPTは、病院で採血した検体を検査施設で分析してもらう形をとっているため、検査者の技量に左右されることがありません。

NIPTのデメリット

一方、NIPTには次のようなデメリットが挙げられます。

・他の非確定検査と比べると費用が高い
・結果までに時間がかかる
・受ける施設によって調べられる項目に差がある

多くのメリットを持つNIPTですが、実施施設がまだ少ないということもあり、他の検査と比べると費用は高めです。検査当日は採血をするのみで結果が出るまで1〜2週間ほどかかるため、少しのあいだ不安な時間を過ごすことになるかもしれません。
また、NIPTの認証施設では3つのトリソミーを調べる基本検査しか受けることができないほか、非認証施設であっても施設によって調べられる項目が異なる点にも注意が必要です。NIPTを受ける施設によって受検内容が異なるため、事前調査が必要なことがデメリットといえるでしょう。

早期に赤ちゃんの遺伝子異常が知りたい場合はNIPTがおすすめ!

胎児ドッグ2

同じ非確定検査の胎児ドックとNIPTを比較した場合、染色体や遺伝子の異常を知りたい方におすすめなのはNIPTです。検査の精度、検査期間の早さ、わかる検査項目、いずれの面を見てみてもNIPTに軍配が上ります。特に、染色体疾患におけるNIPTの精度の高さは、他の非確定検査と比べると一目瞭然です。

▼非確定検査の精度:35歳の妊婦さんの場合

陽性的中率 陰性的中率
NIPT 93.68%(21トリソミー)
77.92%(18トリソミー)
43.23%(13トリソミー)
99.9%
コンバインド検査 4.9%(21トリソミー・18トリソミー・解放性神経管奇形 99.9%
母子血清検査 3.20%(21トリソミー・18トリソミー・解放性神経管奇形 99.9%

ミネルバクリニックのスーパーNIPTは4Dエコーつき、9週で検査可能

ミネルバクリニックでは、 2022年7月発売されたの4D超音波機器で、赤ちゃんが元気だということを確認してからNIPTをお受けいただいています。2022年11月10日より当院でNIPT検査を受検される方に限り、来院検査時に無料でお受けいただけます。
*診療が混雑している際にはご希望に添えないことがあります。

また、通常であれば妊婦10週目以降からしか受けられないNIPTを9週目0日から受けていただける「スーパーNIPT」を導入しています。もっと早い時期から受けたいという方には、6週目からでも対応可能です。
>>スーパーNIPTのエビデンスについてはこちらをご覧ください

ミネルバクリニックのNIPTはオンラインでも受検可能

ミネルバクリニックは東京に院を構えておりますが、オンラインNIPTにも対応しており、全国どこからでもNIPTを受けていただくことができます。遠方でミネルバクリニックへの来院が難しい方や、妊娠による体調不良で外出が難しい方、小さな子どもがいるため病院へ行きにくい方などに大変好評です。

ミネルバクリニックのオンラインNIPTについてくわしく

まとめ

胎児ドックは超音波検査を用いた出生前検査であり、胎児の形態異常や染色体異常の可能性を見つけるものです。
侵襲性がないため流産リスクが低く、胎児の姿を画像で確認できるといったメリットがありますが、確定検査やNIPTと比べると精度が低く、機器の操作に高い技術が求められるなどのデメリットもあります。

胎児の染色体や遺伝子の疾患を調べたいのであれば、同じく安全性が高く検査ハードルの低いNIPTがおすすめです。
NIPTは母体の採血だけで、胎児の染色体疾患を高い精度で調べることができるほか、非認証施設であれば全ての染色体異常とあらゆる遺伝子疾患を調べることができます。(検査内容は施設によって異なる)
また、胎児ドックは来院しなければ検査が受けられませんが、NIPTであれば自宅にいながら検査できるオンラインNIPTを取り扱っている病院もあります。遺伝子にまつわる出生前検査をご検討の方は、ミネルバクリニックでのNIPT受検をご検討ください。

この記事の著者:仲田洋美(医師)

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ミネルバクリニックでは、以下のNIPT検査を提供しています。少子化の時代、より健康なお子さんを持ちたいという思いが高まるのは当然のことと考えています。そのため、当院では世界の先進的特許技術に支えられた高精度な検査を提供してくれる検査会社を遺伝専門医の目で選りすぐりご提供しています。

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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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