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【2】ウイルス分離とPCRの違い

 

感染能力ってなあに?

ウイルスが感染するにはまず,『感染する能力のある』ウイルスの形をちゃんと持っていないといけません.
要するに 完全な形 のウイルスである必要があるのです

ウイルスを検出するPCR検査は,ウイルスの一部分だけを見ているので,そこにウイルスの破片がある,ということしかわかりません.

ウイルスが実際に感染力を持っているかどうかは,細胞に感染させる実験をやらないとわからないんですよね.
ウイルスは分離されて初めて 生きて感染力を持っていた ことが証明されるのです.

それでは,

www.nature.com/articles/s41586-020-2196-x

Natureにこれから出る論文からSARS-cov-2の感染力について見ていきましょう.

COVID-2019入院患者のウイルス学的評価

新型コロナウイルス感染症2019(COVID-19)は、20191年後半に出現した急性気道感染症です。

中国での最初のアウトブレイクでは、13.8%の症例が重症で、6.1%が重症の経過をたどりました
この重篤な症状は、ウイルスが細胞にとりつくときに必要なウイルスレセプターが肺で主に発現していることと関係していると考えられています.2, 4

SARS-cov-2は,SARS-cov-1と同じ受容体を使っています.
しかし、SARS-cov-1と違い,軽度の上気道症状を呈したCOVID-19症例の報告があり、症状発現前または軽度の伝播の可能性が示唆されています6

身体部位特異的なウイルス複製、免疫、感染能に関する情報が急務で,9症例の詳細なウイルス学的分析を提供し、上気道組織における活性ウイルス複製の証拠を提供する。

咽頭ウイルスの排泄は、症状の最初の1週間で非常に高かった(咽頭スワブあたり7.11×108 RNAコピーでピーク、4日目)。感染性ウイルスは、高いウイルスRNA濃度にもかかわらず、咽頭および肺由来試料から容易に分離されたが、糞便試料からは分離されなかった血液および尿は、ウイルスを産生しなかった
咽喉での活発な複製は、咽喉サンプル中のウイルス複製RNA中間体によって確認された。同一患者由来の咽喉および肺サンプルにおいて、配列が異なるウイルス集団が一貫して検出され、独立した複製が証明された。喀痰からのウイルスRNAの排泄は、症状がおさまっても続いた。セロコンバージョン(抗体ができてウイルスが排泄されなくなること)は50%の患者で7日後(全例14日)に生じたが、ウイルス量の急激な減少に続くものではなかった。COVID-19は軽度の上気道疾患として発現しうる。上気道における活発なウイルス複製は、封じ込め対策に有用である。

以下,わたしが大事だと思ったことを抜き出して書きます.

*臨床像がSARS-CoV-2感染のみに起因するのかどうかをまず理解するために、HCoV-HKU1、-OC43、-L63、-229E;インフルエンザウイルスAおよびB、ライノウイルス、エンテロウイルス、エンテロウイルス、RSウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス1-4、ヒトメタニューモウイルス、アデノウイルス、およびヒトボカウイルスを含む呼吸器ウイルス感染の典型的な病原体のパネルに対して、全患者のサンプルを検査したが,興味深いことに、どの患者でも同時感染は検出されなかった

*一般にウイルスRNA濃度は初期検体ほど高かった.

*ウイルスはかなりの割合のサンプル(スワブで16.66%、喀痰サンプルで83.33%)から症状の最初の1週間に容易に分離されたが、高いウイルス負荷が続いているにもかかわらず、8日目以降に採取されたサンプルからは分離株は得られなかった

*糞便検体からのウイルスは,RNA高濃度でも成功しなかった.⇒消化管で活発に複製されているのになぜかということについては,今後の検証が必要.腸内細菌で不活化される???

*9例中4例で味覚及び嗅覚の消失が見られ,感冒より強く,より長期持続する.

以上,退院の基準とかに役に立ちそうですかね?

わたしが理解してもらいたいことは
PCR遺伝子の一部を断片的に見ているだけであって,PCR陽性が『感染性がある』ということではないのだということです!!

この記事の筆者

医師・仲田洋美の保有資格

医籍登録番号 第371210号
麻酔科標榜医 厚生労働省医政発第1017001号 麻 第26287号
日本内科学会 認定内科医 第19362号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本プライマリ・ケア連合学会 指導医 第2014-1243号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号
日本感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター ID3121号
日本化学療法学会 抗菌化学療法認定医 第J-535号

見ての通り、感染症専門医ではありませんが、感染症に関する二つの資格は一応持っているのと、「遺伝子検査」の専門医でもあります。
あと、この凝り性な性格でお勉強したので、通常の内科専門医よりは断然詳しいと思います。

間違っているところがあったらお知らせください。

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