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【3】SARS-cov-2とSARS-cov-1の違い

 

SARS-cov-2とSARS-cov-1の増殖の違いとは?

www.thelancet.com/action/showPdf?pii=S1473-3099%2820%2930113-4
この報告から見ていきましょう.

SARS-CoV-2感染の診断にはrealtime RT-PCR法が推奨されるが感染患者におけるウイルス動態は未だ完全には明らかにされていない。
この報告では,82名の感染者から採取した異なるタイプの臨床検体から得た所見が述べられている.
入院後,北京の2人の患者から連続的なサンプル(咽頭ぬぐい液、喀痰、尿、便)を毎日採取した.

測定したのはN遺伝子特異的定量RT-PCR法.
咽頭ぬぐい液および喀痰検体中のウイルス量は発症後5~6日前後でピークに達し,この間1mLあたり104~107コピーであった。

このウイルス量の変化パターンはSARS患者で観察されたものとは異なっており、SARSでは通常,発症後10日前後にピークに達し,喀痰検体は一般に咽頭ぬぐい液検体よりも高いウイルス量を示した。

これら2名の患者の尿または便検体からウイルスRNAは検出されなかった。

また、異なる感染段階にある80人から採取した呼吸器検体(鼻腔[n=1]および咽頭スワブ[n=67]、喀痰[n=42])についても検討した。ウイルス量は、1mLあたり641コピーから1mLあたりの1·34×1011コピーの範囲であり、咽頭検体では中央値7·99×104コピー/ml,痰検体では7·52×105コピー/ml であった。

本試験で検査した唯一の鼻腔ぬぐい液(発症後3日目に採取)は、1mLあたり1·69×105 コピーのウイルス量を示した。全体として、発症後早期のウイルス量は高かった(>1×106 コピー/mL)。

死亡した1例のただし、採取した痰のサンプルは発症後8日目のものしかないが,ウイルス量が非常に多かった(1mLあたり1·34 × 1011コピー)。

特に、SARS-CoV-2感染患者への曝露歴のために積極的サーベイランスを受けていた2名は、発症前日のRT-PCRで陽性結果を示したことから、感染者は症候性になる前に感染性となりうることが示唆された。

入手可能な咽頭ぬぐい液および痰のペア検体30のうち、ウイルス量は1~3日目(R²=0·50, p=0·022)、4~7日目(R²=0·93, p<0·001)、7~14日目(R²=0·95, p=0·028)の2つの検体タイプ間で有意に相関していた。

入手可能なデータ(発症後0~13日目を表す)を有するSARS-CoV-2感染確認例17例から、9例(53%;発症後0~11日目)の便検体はRT-PCR分析で陽性であった。ウイルス量は呼吸器検体より少なかったが(1mL当たり550コピー~1·21×105 コピー)、糞便検体を取り扱う際には予防措置を考慮すべきである。

※ その後,糞便検体からはPCRでウイルス高濃度でも感染性がないという報告が出ました.

SARS-cov-2の特徴

SARS-coV-1では,咽頭ぬぐい液でのウイルス分離(感染性のあるウイルスが培養されること)は認められていない.これに対して,SARS-cov-2は咽頭ぬぐい液から分離されているので,より感染性が高く,ウイルスの生存に好都合なように進化を遂げていると考えられます.
SARS-coV-1は,突然発生して,突然なくなってしまったのは,『発症後10日目くらいでウイルス増殖のピークを迎える』ため,すでに発症している人を隔離すればよかったから,制圧しやすかったということです.
SARS-cov-2は,『発症前日あたりから感染力がある抗ウイルス状態を咽頭で実現している』ことから,気づかない間に感染が広まる,という『生体に感染しないと生き延びられない』というウイルスの生存に非常に好都合な常態に進化を遂げたってことですね.

感染を防止するには

専門家会議の提言通り
密集
密着
密閉
を避け
アウトブレイクしている間は,不用意に出歩かない,手洗いを励行する,ということを徹底し
ウイルスとの戦争に勝たねばなりません.

国民の皆様一人一人の行いにかかっています.

感染コントロールは,1万人ちゃんとやっても1人がやらないと無に帰します.

みんなで頑張りましょう!

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

医師・仲田洋美の保有資格

医籍登録番号 第371210号
麻酔科標榜医 厚生労働省医政発第1017001号 麻 第26287号
日本内科学会 認定内科医 第19362号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本プライマリ・ケア連合学会 指導医 第2014-1243号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号
日本感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター ID3121号
日本化学療法学会 抗菌化学療法認定医 第J-535号

見ての通り、感染症専門医ではありませんが、感染症に関する二つの資格は一応持っているのと、「遺伝子検査」の専門医でもあります。
あと、この凝り性な性格でお勉強したので、通常の内科専門医よりは断然詳しいと思います。

間違っているところがあったらお知らせください。

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