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呼気中の呼吸器ウイルス排泄とフェイスマスクの有効性

ちょっと忙しくてなかなかページを作れなかったのですが
4月3日にNatureに掲載された論文をご紹介します.
こうした研究結果に基づき,各国がマスク着用に舵を切ったのだと思います.
医療に関する政策の決定には,たゆまぬ研究者たちの努力があります.
たとえマスク一つにも.
それでは,ご覧ください.

Nature Medicine volume 26, pages676–680(2020)

抄録

急性呼吸器疾患の小児および成人の呼気および咳において季節性ヒトコロナウイルス,インフルエンザウイルスおよびライノウイルスを同定した.サージカル・フェイス・マスクは,呼吸器飛沫中のインフルエンザウイルスRNAおよびエアロゾル中のコロナウイルスRNAの検出を有意に低下させ,呼吸器飛沫中のコロナウイルスRNAの検出が低下する傾向が認められた.著者らの結果は,手術用フェイスマスクがヒトコロナウイルスおよびインフルエンザウイルスの症候性患者からの伝播を予防できることを示している.

はじめに

呼吸器ウイルス感染症は,急性呼吸器ウイルス疾患(ARI)またはより一般的には「感冒」と総称される広範かつ重複したスペクトラムの症状を引き起こす.これらのARIはほとんどが軽症であるが,ときに重症化して死亡することがある1.これらのウイルスは,直接的または間接的接触,呼吸器飛沫(空気力学的直径>5μmの粗大なエアロゾルと同様に,発生源付近で急速に落下するより大きな飛沫を含む)および微粒子エアロゾル(空気力学的直径≦5μmの飛沫および飛沫核)2 , 3を介してヒト間に拡散する.主に接触と呼吸器飛沫伝播を標的とした手指衛生とフェイスマスクの使用がインフルエンザウイルス伝播に対する重大な緩和方策として示唆されてきた4が,他の一般的な呼吸器ウイルスの伝播におけるこれらの様式の相対的重要性についてはほとんど知られていない2 , 3 , 5.この不確実性は,COVID-19(参考文献6, 7)の伝播方式にも同様に当てはまる.
一部の保健当局は,4 , 8以降の伝播を予防するために,病気の人がマスクを着用するよう推奨している(感染源対策).サージカル・フェイス・マスクはもともと,手術中の外科医(着用者)からの創感染や汚染から患者を守るために導入され,後に医療従事者を患者から感染から守るために採用された.しかしながら,フェイスマスクや呼吸用保護具のフィルター効果に関するエビデンスのほとんどは,感染性呼吸器ウイルス飛沫には一般化できない可能性のある非生物学的粒子9,10を用いたインビトロ(試験管内)試験から得られている.フェイスマスクの呼吸器系ウイルスのろ過効果や,呼吸器感染症患者からのウイルス放出を減少させる効果についてはほとんど知られておらず8,ほとんどの研究はインフルエンザ11 , 12に焦点を当てている.
本稿では,特にコロナウイルス,インフルエンザウイルスおよびライノウイルスに焦点を当てた呼吸器飛沫およびエアロゾル伝播経路の重要性を探索することを目的とし,医学的に付き添ったARIの参加者の呼気中の呼吸器ウイルス量を定量化し,呼吸器ウイルス伝播を予防するための外科用フェイスマスクの潜在的有効性を判定することとした.

結果

2つの研究段階で3363人をスクリーニングし,最終的に呼気サンプルを提供した246人を登録した(拡張データ図1).この246人の参加者のうち,122人(50%)の参加者が最初の呼気採取時にフェイスマスクを着用しない群に,124人(50%)の参加者がフェイスマスクを着用する群に無作為に割り付けられた.全体として,49名(20%)が自発的に代替タイプの2回目の呼気採取を行った.
参加者246例中123例(50%)において,逆転写PCR (RT-PCR)により少なくとも1種の呼吸器ウイルスによる感染が確認された.これらの参加者123例のうち,111例(90%)はヒト(季節性)コロナウイルス(n = 17),インフルエンザウイルス(n = 43)またはライノウイルス(n = 54)(拡大データ図1および2)に感染しており,コロナウイルスとインフルエンザウイルスの両方に同時感染した参加者1例と,ライノウイルスとインフルエンザウイルスの両方に同時感染した別の参加者2例が含まれていた.これらの111人の参加者が,著者らの分析の焦点であった.
異なるウイルスを有する参加者111例の特性には,若干のわずかな差が認められた(表1a).全体として,参加者の24%が37.8℃以上の測定熱を有し,インフルエンザ患者はコロナウイルスおよびライノウイルスに感染した患者の2倍以上の測定熱を有する可能性があった.コロナウイルスに感染した参加者は,30分間の呼気採取中に平均17回(s.d. =30)の咳で最も多く咳をした.マスク併用群とマスク非併用群にランダム化された参加者のプロファイルは類似していた.
1a 症候性コロナウイルス,インフルエンザウイルス又はライノウイルス感染者の特徴
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鼻腔スワブ,咽頭スワブ,呼吸器飛沫サンプルおよびエアロゾルサンプルにおけるウイルス排泄(サンプルあたりのウイルスコピー数)を検査し,フェイスマスクの有無にかかわらず採取したサンプル間で後者の2つを比較した(図1).平均すると,鼻腔スワブでは,コロナウイルス(サンプルあたりのlog10ウイルスコピー数の中央値8.1 vs 3.9),インフルエンザウイルス(6.7 vs 4.0)およびライノウイルス(6.8 vs 3.3)のそれぞれについて,咽頭スワブよりもウイルス排泄が高かった.コロナウイルス,インフルエンザウイルスおよびライノウイルスに感染した参加者から,フェイスマスクを装着していない間に採取した呼吸器飛沫およびエアロゾルのそれぞれ30%,26%および28%,ならびに40%,35%および56%を含む3種類のウイルスすべてについて,呼吸器飛沫およびエアロゾルからウイルスRNAが同定された(表1b).特にコロナウイルスについては,呼吸器飛沫とエアロゾルの両方からOC43とHKU1を同定したが,NL63はエアロゾルからのみ同定され,呼吸器飛沫からは同定されなかった(補足表2および拡張データ図3).
図1:コロナウイルス,インフルエンザウイルスまたはライノウイルス感染症の有症状者の呼吸器飛沫およびエアロゾルにおける呼吸器ウイルス排泄の減少におけるサージカルフェイスマスクの有効性.

a~c:サージカル・フェイス・マスクを着用していない(暗緑色)または着用していない(明緑色)30分間採取した鼻腔スワブ(赤色),咽頭スワブ(青色)および呼吸器飛沫,ならびにフェイス・マスクを着用していない(茶色)または着用している(橙色)30分間採取したエアゾールで,いずれの検体においてもRT-PCR法により測定したところ,コロナウイルス(a),インフルエンザウイルス(b)およびライノウイルス(cRT-PCR法の検出下限で打ち切りを可能にした未調整単変量トビット回帰モデルにおいて,検体あたりの対数10ウイルスコピー数の予測因子としてのマスクインターベンションのP値を示し,太字で有意差が認められた.鼻腔スワブおよび咽喉スワブについては,すべての感染者を対象とした(コロナウイルス,n=17;インフルエンザウイルス,n=43;ライノウイルス,n=54).呼吸用飛沫およびエアロゾルについて,サージカル・フェイス・マスクを着用していないまたは着用している間に呼気試料を提供した感染者の数は,それぞれ:コロナウイルス(n=10および11),インフルエンザウイルス(n=23および28)およびライノウイルス(n=36および32)であった.参加者のサブセットは,両方のマスク介入のために呼気サンプルを提供した(コロナウイルス,n=4;インフルエンザウイルス,n=8;ライノウイルス,n=14).ボックスプロットは,四分位間範囲(下部および上部ヒンジ)および第1および第3四分位からの±1.5×四分位間範囲(下部および上部ウィスカー)を有する中央値を示す.

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表1b コロナウイルス,インフルエンザウイルスまたはライノウイルス感染症の有症状者の呼吸器飛沫およびエアロゾルにおける呼吸器ウイルス検出頻度およびウイルス排泄の減少におけるサージカルフェイスマスクの有効性
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我々は,フェイスマスクなしで採取したサンプルのそれぞれ10点中3点(30%)および10点中4点(40%)で呼吸器飛沫およびエアロゾル中にコロナウイルスを検出したが,フェイスマスクを着用した参加者から採取した呼吸器飛沫またはエアロゾル中にはウイルスを検出せず,この差はエアロゾルで有意であり,呼吸器飛沫中の検出が低下する傾向を示した(表1b).

インフルエンザウイルスについては,フェイスマスクなしで採取した呼吸器飛沫標本およびエアゾール標本のそれぞれ23例中6例(26%)および23例中8例(35%)でウイルスを検出した.呼吸器飛沫中のインフルエンザウイルス検出では,フェイスマスク着用による有意な減少が27例中1例(4%)に認められたが,エアロゾル中の検出では有意な減少は認められなかった(表1b).さらに,マスクなしのエアロゾルからRT-PCR法でインフルエンザウイルスが検出された8人の参加者のうち,5人はウイルス培養検査を受け,4人は培養陽性(注意:感染性あり)であった.マスクエアロゾルによるRT-PCR法でインフルエンザウイルスが検出された参加者6例のうち,4例がウイルス培養検査を受け,2例が培養陽性であった.

ライノウイルスについては,フェイスマスクの有無にかかわらず,呼吸器飛沫およびエアロゾルのいずれにおいても,ウイルスの検出間に有意差は認められなかった(表1b).結論はウイルス排泄の比較でも同様であった(表1b).

さらに,OC43(拡大資料図4)およびB型インフルエンザウイルス(拡大資料図5)については呼吸器飛沫,NL63(拡大資料図4)についてはエアロゾルにおけるウイルス排泄の有意な減少(補足表2)が認められた.

異なるサンプルにおけるウイルス量の間の相関(拡大データ図6-8)と,インフルエンザウイルスの発症からの時間によるウイルス排泄の減少のいくつかのエビデンスが確認されたが,コロナウイルスやライノウイルスについては確認されなかった(拡大データ図9).様々なサンプルタイプにおける呼吸器ウイルスの検出に関連する因子の単変量解析では,呼吸器飛沫またはエアロゾルについて,症状発現からの日数(補表3)とウイルス排泄との有意な関連性は特定されなかった(補表4-6).
参加者のサブセット(246例中72例,29%)は少なくとも1回の呼気採取中に全く咳嗽がなく,その内訳はマスクなしの採取中では147例中37例(25%),マスクなしの採取中では148例中42例(28%)であった.
コロナウイルスのサブセット(n = 4)では,いずれの参加者からも呼吸器飛沫またはエアロゾル中にウイルスは検出されなかった.
インフルエンザウイルスのサブセット(n = 9)では,1人の参加者からエアロゾル中にウイルスを検出したが,呼吸器飛沫中には検出しなかった.
ライノウイルスのサブセット(n = 17)では,3人の参加者から呼吸器飛沫からウイルスを検出し,5人の参加者からエアロゾルからウイルスを検出した.

考察

我々の結果は,エアロゾル伝播がインフルエンザウイルスおよびライノウイルスと同様にコロナウイルスの潜在的伝播様式であることを示している.公表されている研究では,呼気からインフルエンザ12 , 15およびライノウイルス16などの呼吸器ウイルス13 , 14が検出され,重症急性呼吸器症候群および中東呼吸器症候群の患者を治療している病院から採取した空気サンプル(サイズ分画なし)からSARS-CoV17およびMERS-CoV18が検出されたが,我々は呼気からOC43およびHKU1の検出,エアロゾルからNL63,OC43およびHKU1を検出するなど,呼気からヒトの季節性コロナウイルスが検出されることを実証している.
我々の所見は,サージカルマスクが呼吸器飛沫中の環境へのインフルエンザウイルス粒子の放出を効果的に減少させることができるが,エアロゾル中では減少させないことを示している12.前回と今回の研究はいずれも,バイオエアロゾル収集装置であるGesundheit-II (G-II)12 , 15 , 19を用いて,呼気粒子を捕捉し,2つの大きさの画分に分化させ,そこで,5μmを超える呼気粗粒子(呼吸小滴)を5μmのスリット不活性テフロンインパクターとの衝突により収集し,残りの微粒子≦5μm (エアロゾル)を緩衝液中の凝縮により収集した.また,大きな呼吸器飛沫およびエアロゾル中のコロナウイルス検出およびウイルスコピーを減少させるためのサージカルマスクの有効性を示した(表1b).これはCOVID-19の制御に重要な意味をもち,外科用フェイスマスクは,病人がそれ以降の伝播を減らすために使用できることを示唆している.
フェイスマスクなしで採取したサンプルのうち,インフルエンザウイルスおよびコロナウイルス感染の参加者の大半は呼吸器飛沫またはエアロゾル中に検出可能なウイルスを排出しなかったが,ライノウイルスについては,参加者34例中19例(56%)でエアロゾル中にウイルスを検出した(これに対し,コロナウイルスでは10例中4例(40%),インフルエンザでは23例中8例(35%)).呼吸器の飛沫やエアロゾル中にウイルスを排出した患者では,いずれもウイルス量は低い傾向にあった(図1).G-IIの高い採取効率(参考文献19)および各呼気採取が30分間実施されたことを考慮すると,これは,たとえ伝播が主にエアロゾルを介してであっても,ライノウイルスcolds20について記載されているように,伝播が起こるためには長時間の密接な接触が必要であることを意味していると考えられる.また,今回の結果は,コロナウイルスおよびインフルエンザウイルス感染者の伝染性にはかなりの異質性がある可能性があることを示している
我々の研究の主な限界は,研究対象となった各ウイルスについて,呼気中のウイルス排泄が検出不可能な参加者の大部分であった.一部の参加者では認容性を犠牲にして,捕獲されるウイルス排泄を増加させるために,サンプリング期間を30分を超えて延長する必要がある可能性がある.別のアプローチとして,呼気集合中に強制咳嗽を実施するように参加者を招く12が考えられる.しかし,呼気中の呼吸器ウイルスを現実の状況で回復させることに焦点を当てることが今回の研究の目的であり,急性呼吸器疾患の患者の中には,せきがあまりまたはまったく出ない人もいることを期待した.実際に,30分間の呼気採取中に全く咳をしなかった少数の参加者においてウイルスRNAを同定したが,これは,明らかな徴候や症状がない個人から飛沫およびエアロゾルの伝播経路が可能であることを示唆している.もうひとつの限界は,呼気中に検出されたコロナウイルスまたはライノウイルスの感染性を確認しなかったことである.G-IIはエアロゾル中のウイルスの生存性を保存するように設計されており,本研究では,エアロゾル中の感染性インフルエンザウイルスを同定することができたが,対応するエアロゾル試料からコロナウイルスまたはライノウイルスを培養することは試みなかった.

方法

研究デザイン

参加者は,香港の民間病院の一般外来で2013年3月から2016年5月まで通年募集した.日常診療として,クリニックスタッフは,トリアージ時の来院の目的にかかわらず,呼吸器その他の症状について,クリニックに通院している全ての個人をスクリーニングした.その後,研究スタッフは,37.8℃以上の発熱,咳,咽頭痛,鼻水,頭痛,筋肉痛および痰といったARIの症状のうち少なくとも1つを報告した患者に直ちに近づいた.2以上のARI症状を報告し,発症から3日以内で,11歳以上の患者が参加に適格であった.参加者に本研究を説明し,参加者からインフォームドコンセントを得た後,迅速インフルエンザ診断検査であるSofia Influenza A + B Fluorescent Immunoassay Analyzer (番号20218,クイデル)を用いて,参加のインセンティブとしてA型またはB型インフルエンザウイルス感染を同定した.参加者全員に,迅速検査のための鼻腔スワブと追加の鼻腔スワブと,その後のウイルス学的確認のための別の咽頭スワブを検査室で提供した.全参加者はまた,年齢,性別,症状の重症度,投薬,病状および喫煙歴を含む基本情報を記録するために質問票に記入した.2013年3月から2014年2月までの試験の第1相(「インフルエンザ試験」)では,迅速検査の結果を用いて試験へのさらなる参加と呼気採取の適格性を判断したが,2014年3月から2016年5月までの試験の第2相(「呼吸器ウイルス試験」)では,迅速検査は適格性に影響しなかった.次に,適格な参加者に,同じクリニック来院で30分間呼気サンプルを提供するように勧めた.
吸気収集前に,各参加者は,手術面マスク(猫No.62356, Kimberly-Clark)を着用するか,収集中に着用しないかのいずれかに対して,1対1の比率で無作為に配分した.現実の状況を模倣するために,研究スタッフによる観察のもと,参加者にサージカルマスク自体を装着するよう依頼したが,参加者がマスクを誤って装着した場合に,マスクの正しい装着方法についての指導を行った.採取中は通常通りに呼吸するように参加者に指示したが,(自然な)咳は許可され,咳の回数は研究スタッフが記録した.その後,参加者に代替タイプの2回目の呼気サンプルを提供するように勧めた(例えば,参加者が最初にマスクを着用するように割り当てられた場合,マスクなしで2回目のサンプルを提供する)が,ほとんどの参加者は時間的制約のために2回目の測定のための滞在に同意しなかった.参加者は,約30米ドルのスーパーマーケットクーポンで30分間の呼気採取ごとに補償され,参加者全員に約20米ドルの鼓膜体温計が与えられた.

倫理的承認

18歳以上の全参加者から書面によるインフォームドコンセントを得,11~17歳の参加者の両親または法定保護者から,自身の書面によるインフォームドコンセントに加えて書面によるインフォームドコンセントを得た.試験プロトコールは,香港大学の治験審査委員会および香港バプティスト病院の臨床・研究倫理委員会の承認を得た.

スワブおよび呼気粒子の採取

鼻腔スワブと咽喉スワブを別々に採取し,ウイルス輸送培地に入れ,2~8℃で保存して実験室に輸送し,ウイルス輸送培地をアリコートし,さらに分析するまで-70℃で保存した.呼気中の呼気粒子を捕獲し,2つのサイズ画分に分けた.すなわち,空気力学的直径>5μmの粒子を含む粗画分(ここでは「呼吸小滴」と呼ぶ)で,直径約100μmまでの小滴と,G-IIバイオエアロゾル収集装置12 , 15 , 19による粒子≦5μmの微細画分(ここでは「エアロゾル」と呼ぶ)を含んでいた.G‐II装置では,5μmを超える呼気粗粒子を5μmのスリット不活性テフロンインパクターにより収集し,残りの微粒子≦5μmを凝縮し,0.1% BSA/PBSの約170mlに収集した.インパクターと凝縮液の両方を2~8℃で研究室に保管し輸送した.インパクター上のウイルスを1mlに回収し,凝縮液を0.1% BSA/PBSの2mlに濃縮し,アリコートし,さらなる分析まで-70℃で保存した.バリデーション試験において,G-IIは0.05μmを超えるサイズの微粒子の85%以上を回収することができ,SKC BioSampler19と同等のインフルエンザウイルスの収集効率を有した.

臨床検査

2つの研究から採取したサンプルを同時に検査した.鼻腔スワブサンプルは,コロナウイルス(NL63,OC43,229EおよびHKU1),インフルエンザA(非特異的,H1およびH3)およびBウイルス,呼吸器合胞体ウイルス,パラインフルエンザウイルス(1~4型),アデノウイルス,ヒトメタニューモウイルスおよびエンテロウイルス/ライノウイルスを含む12の一般的な呼吸器ウイルスおよびサブタイプを定性的に検出するために,診断用ウイルスパネル,xTAG Respiratory Viral Panel (Abbott Molecular)によって最初に試験された.候補となる呼吸器ウイルスの1つ以上が鼻腔スワブからウイルスパネルにより検出された後,同じ参加者(鼻腔スワブ,咽喉スワブ,呼吸器の飛沫およびエアロゾル)からのすべてのサンプルを,サンプル中のウイルス濃度の測定のために候補ウイルスに特異的なRT-PCRで検査した.既報のようにMDCK細胞を用いたウイルス培養により感染性インフルエンザウイルスが同定された21.一方,コロナウイルスおよびライノウイルスについてはウイルス培養は行われなかった.

統計解析

本試験の主要アウトカムは,呼吸器系ウイルスに感染した参加者の呼気中のウイルス生成率と,呼気中のウイルス拡散を防ぐフェイスマスクの有効性であり,呼吸用飛沫とエアロゾルを別々に考慮した.副次的アウトカムは,鼻腔スワブ,咽頭スワブ,呼吸器飛沫およびエアロゾルにおけるウイルス排泄と,呼吸器飛沫およびエアロゾルにおけるウイルス排泄に影響を及ぼす因子との相関であった.
RT-PCRにより同定された感染頻度が最も高い3群の呼吸器ウイルス,すなわちコロナウイルス(NL63,OC43,HKU1および229Eを含む),インフルエンザウイルスおよびライノウイルスを,さらなる統計解析のために同定した.著者らは,ウイルス排泄を検体あたりの対数10ウイルスコピーと定義し,それぞれの検体(鼻腔ぬぐい液,咽頭ぬぐい液,呼吸器飛沫およびエアロゾル)におけるウイルス排泄をプロットした;後者の2つはマスクインターベンションにより層別化した.呼吸器飛沫およびエアロゾル経路を介した呼吸器ウイルスの伝播予防におけるフェイスマスクの有効性の代用として,フェイスマスクを着用しているかどうかにかかわらず,参加者間で呼吸器飛沫およびエアロゾル試料中の呼吸器ウイルス排泄を比較した.これは,検出頻度を両側フィッシャーの直接確率検定と比較し,ウイルス量(検体あたりの対数10ウイルスコピーと定義)を未調整の単変量トビット回帰モデルにより比較することにより,RT-PCR法の検出下限で打ち切りを可能にした.また,未調整の単変量Tobit回帰を用いて,マスク使用のない呼吸用飛沫およびエアロゾルにおけるウイルス排泄に影響を及ぼす因子,例えば,年齢,症状発現からの日数,過去のインフルエンザワクチン接種,現在の投薬および呼気採取中の咳の回数を調査した.鼻腔スワブ,咽喉スワブ,呼吸器飛沫およびエアロゾルにおけるウイルス排泄と散布図との相関を検討し,いずれの2種類の検体間でもSpearmanの順位相関係数を算出した.0.3log 10 virus copies ml for undetectable valuesを補完した後,トランスフォーメーションはサンプルごとに10ウィルスコピーを記録しました.すべての解析は,R v.3.6.0(参考文献22)およびVGAMパッケージv.1.1.1(参考文献23)を用いて実施した.

公表論文中のすべての解析,図,表および補足表を再現するための無名の生データおよびR構文は,https://doi.org/10.5061/dryad.w9ghx3fktで入手可能である.
変更履歴
• 2020年5月27日
この論文の改訂版が公表されており,論文の上部にあるリンクを介してアクセスすることができます.

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いかがでしたか?

大きな呼吸器飛沫およびエアロゾル中のコロナウイルス検出およびウイルスコピーを減少させるためのサージカルマスクの有効性が科学的に示され,こうした研究結果を受けて,COVID-19の制御に重要な意味をもつと判断されて,各国がマスクの着用に踏み切ったものと考えます.

この記事の筆者

医師・仲田洋美の保有資格

医籍登録番号 第371210号
麻酔科標榜医 厚生労働省医政発第1017001号 麻 第26287号
日本内科学会 認定内科医 第19362号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本プライマリ・ケア連合学会 指導医 第2014-1243号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号
日本感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター ID3121号
日本化学療法学会 抗菌化学療法認定医 第J-535号

見ての通り、感染症専門医ではありませんが、感染症に関する二つの資格は一応持っているのと、「遺伝子検査」の専門医でもあります。
あと、この凝り性な性格でお勉強したので、通常の内科専門医よりは断然詳しいと思います。

間違っているところがあったらお知らせください。

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