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SARS-CoV-2感染症であるCOVID-19の臨床症状の特徴や,重症軽症の分かれ目,どういう基礎疾患があれば重症化しやすいのか,年齢別の死亡率などを説明してみました.

COVID-19の臨床的特徴とは?


Clinical features of patients infected with 2019 novel coronavirus in Wuhan, China
Prof Chaolin Huang, et al.
Published:January 24, 2020DOI:doi.org/10.1016/S0140-6736(20)30183-5

A comparative study on the clinical features of COVID-19 pneumonia to other pneumonias
Dahai Zhao, et al
Clinical Infectious Diseases, ciaa247, doi.org/10.1093/cid/ciaa247

こちらのふたつの報告から見ていきましょう

COVID-19確定診断患者の特徴


COVID-19では,感冒様症状に加えて,致死性の間質性肺炎・肺障害を起こすことに特徴があります.
中国CDCは2月11日までに収集した7万2314患者例の中で,確定患者4万4672例(61.8%)について報告しました.
確定例の80%は軽症で,肺炎がない,または,肺炎があっても軽度でした.
20%は肺炎を合併し,そのうち14%が重症.
重症とは,呼吸困難があり,呼吸回数が1分間30回以上と呼吸促拍が認められること,動脈血酸素分圧/FiO2<300(FiO2は人工呼吸器で送る酸素の割合),または24~48時間内に肺への浸潤率が50%を超えるものを言う.
criticalとは,呼吸不全,敗血症性ショック,多臓器不全をいう.

5%がcriticalで呼吸管理を必要とする患者で,死亡率は全体の2.3%と報告されていますが,年齢別に見てみると,高齢者ほど死亡率が高くなるという特徴がありますが,これは別にCOVID-19の肺炎に限ったことではありません.どのような肺炎でも高齢者の致命率は高くなっています,


特に,,50歳を超えると発症率・死亡率が上昇し,高血圧,糖尿病,循環器疾患,慢性呼吸器疾患,悪性腫瘍のような基礎疾患があると重症になりますが,高血圧を除くとこれもまたCOVID-19の肺炎の特徴というわけではありません。
高血圧があると重症化しやすいのは,SARS-CoV-2はSARS-CoV-1と同じくACE2という受容体を使って細胞に侵入するのですが,高血圧患者ではこれが高発現しているためだと考えられています.

患者背景 死亡症例の致死率観察時間死亡率
N (%)N (%)割合(%)人日10 人日あたり
全体 44,67210232.36616090.015
年齢、年
0–9416 (0.9)4383
10–19549 (1.2)1 (0.1)0.266250.002
20–293,619 (8.1)7 (0.7)0.2539530.001
30–397,600 (17.0)18 (1.8)0.21145500.002
40–498,571 (19.2)38 (3.7)0.41284480.003
50–5910,008 (22.4)130 (12.7)1.31510590.009
60–698,583 (19.2)309 (30.2)3.61280880.024
70–793,918 (8.8)312 (30.5)8558320.056
≥801,408 (3.2)208 (20.3)14.8186710.111
性別
男性22,981 (51.4)653 (63.8)2.83420630.019
女性21,691 (48.6)370 (36.2)1.73195460.012
職業
サービス産業3,449 (7.7)23 (2.2)0.7544840.004
農夫・労働者9,811 (22.0)139 (13.6)1.41379920.01
保健医療従事者1,716 (3.8)5 (0.5)0.3280690.002
退職者9,193 (20.6)472 (46.1)5.11371180.034
その他/なし20,503 (45.9)384 (37.5)1.93039460.013
地方
湖北33,367 (74.7)979 (95.7)2.94965230.02
その他11,305 (25.3)44 (4.3)0.41650860.003
Wuhan関連曝露*
あり31,974 (85.8)853 (92.8)2.74866120.018
なし5,295 (14.2)66 (7.2)1.2712010.009
不明74031042.81037960.01
基礎疾患
高血圧2,683 (12.8)161 (39.7)6426030.038
糖尿病1,102 (5.3)80 (19.7)7.3179400.045
心血管疾患873 (4.2)92 (22.7)10.5135330.068
慢性呼吸器疾患511 (2.4)32 (7.9)6.380830.04
癌(全て)107 (0.5)6 (1.5)5.616900.036
なし15,536 (74.0)133 (32.8)0.92429480.005
不明23,690 (53.0)617 (60.3)2.63318430.019
重症度
軽度36,160 (80.9)
重度6,168 (13.8)
クリティカル2,087 (4.7)1,023 (100)49314560.325
不明257 (0.6)
期間(発現日別)
2019年12月31日以前104 (0.2)15 (1.5)14.451420.029
2020年1月1日-10日653 (1.5)102 (10.0)15.6216870.047
2020年1月11日-20日5,417 (12.1)310 (30.3)5.71309720.024
2020年1月21日-31日26,468 (59.2)494 (48.3)1.94160090.012
2020年2月1日以降12,030 (26.9)102 (10.0)0.8877990.012

入院患者の症状では多い順に,発熱98%,咳76%,筋肉痛・倦怠感44%,喀痰28%,頭痛8%,喀血5%,下痢3%となっています.
肺障害の病理所見はSARSやMERSの肺炎に類似していて間質性肺炎です.
間質性肺炎の合併は,発症平均8日後に息苦しさとして自覚されています。

重症軽症の分かれ目はどこ?


www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2002032

こちらの論文から.
米国胸部学会の市中肺炎のガイドラインに準じてPCR法による1099人のCOVID-19確定患者を重症,非重症に分けています.
重症173人,軽症926人.死亡15人でした.
死亡率は重症群で8.1%,非重症群で0.1%となっており,COVID-19においても致死性の判断基準として使えそうに思います.
米国胸部学会の市中肺炎のガイドラインでは予後不良の因子として,
1.体温36度未満(感染症が重症になると発熱も認められなくなります)
2.呼吸数30回/分以上(呼吸促拍)
3.血球数では白血球数4000/mL(重症感染症では白血球はむしろ減少します)
4.血小板数10万/mLを下回る(重症感染症では血液が凝固しやすくなり血小板が消費されて少なくなります)
をあげています.
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31573350/
こちらからご覧ください.

COVID-19診療で重要なこととは?


これはもう,感染者の約3%に生じるCOVID-19の臨床症状の最たる急性呼吸性窮迫症候群(ARDS)に至る前に,間質性肺炎の発症を早く見つけ,直ちに抗ウイルス薬治療を開始することにつきるといってよいと思います.
間質性肺炎の症状は「息苦しさ」は発症平均8日(5~13日)後に自覚されています.また,COVID-19では4日以上発熱が続くことが特徴で,3日の発熱は他の感染症でもみられるので,4日以上の発熱が続けばCOVID-19が疑われます.
ただし,正常な体温は個人差がありますので,37.5度でなくても,たとえばご自身の通常の体温を1度以上超えて高い体温が続いたら,と解釈してください.
また,間質性肺炎では,『労作性呼吸困難』が強く認められます.階段を上がるとかという労作でより強い呼吸困難が生じます.こういう患者さんで肺炎合併の有無をCTを用いて検査し,インフルエンザなどが除外されたらCOVID-19として速やかに治療を開始する,ということでいいと思います.

みなさん,もうわかっていただけまして?
大事なことはPCRをすることではありません.
診断というのは総合的になされます.
そして,検査には偽陽性も偽陰性もあります.
PCRも当然偽陽性偽陰性があります.
こういうことを全部加味して,診断は【医師が行う】のです.
検査ケンサケンサと言っている,検査至上主義の人たちにはわからないかもしれませんが
検査で診断するのではありません.
医師が診断するのです.
それを肝に銘じてください.
よろしくお願いいたします.

この記事の筆者

医師・仲田洋美の保有資格

医籍登録番号 第371210号
麻酔科標榜医 厚生労働省医政発第1017001号 麻 第26287号
日本内科学会 認定内科医 第19362号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本プライマリ・ケア連合学会 指導医 第2014-1243号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号
日本感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター ID3121号
日本化学療法学会 抗菌化学療法認定医 第J-535号

見ての通り、感染症専門医ではありませんが、感染症に関する二つの資格は一応持っているのと、「遺伝子検査」の専門医でもあります。
あと、この凝り性な性格でお勉強したので、通常の内科専門医よりは断然詳しいと思います。

間違っているところがあったらお知らせください。

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