InstagramInstagram

妊娠中期におりものが増えるのはなぜ?破水との違いは?医療機関での対応についても紹介

妊娠中期は、つらかったつわりが治まって体調も安定し、胎動も感じはじめるなど、ママもホッと一安心できる時期です。その一方、徐々にお腹も大きくなってくるなど、目に見える変化も現れはじめます。

そんな妊娠中期に入り、「最近水っぽいおりものが出てくるけれど、破水との違いがわからない」「万が一破水していたらどうしよう」と不安に感じている方もいるようです。

破水というと、陣痛とともにお産がはじまるときに起こると思われがちですが、妊娠中期でも破水することがあるため、おかしいと思ったらすぐにかかりつけの産婦人科へ連絡する必要があります。

この記事では、妊娠中期のおりものの変化や破水との違い、妊娠中期で破水した場合の医療機関の対応についてご紹介します。妊娠中期に入り、水っぽいおりものが出て気になっている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

妊娠中期のおりものについて

妊娠後期の若い美しい女性のポートレートショット。 コピースペース。

一般的に、妊娠中期はおりものの量が増えやすく、下着が汚れてしまうことも多くあります。

そもそもおりものとは、子宮頸部や子宮内膜、膣から出る酸性の分泌物のことです。膣内部の粘膜を保護したり汚れを排出したり、細菌などが子宮内に侵入するのを防いだりする役割を担っており、女性の身体の変化や体調を知るために重要なものです。

妊娠中期は安定期だといわれる時期ではありますが、普段からおりものの様子をしっかりとチェックしておくことで、身体の変化に気づきやすくなるでしょう。

ここでは、妊娠中期のおりものについて解説します。破水との違いもご紹介するので、ぜひ参考になさってください。

妊娠中期におりものが増える理由

妊娠すると、おりものの量が増えるといわれています。これは、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量が増えることと、膣内の乳酸桿菌の作用が高まり、酸性度も増すことが原因です。

これは、酸性度の高いおりものの量を増やすことで、膣から子宮内に細菌が侵入するのを防ぐ仕組みを強化するためだといわれています。

おりものの変化は、妊娠初期から感じる方が半数程度のようですが、妊娠中期からおりものが増えたと感じる方も同程度いるようです。

妊娠中期に注意すべきおりものの変化

上述の通り、妊娠中は子宮内感染を防ぐためにおりものの量も増えやすいという特徴があります。しかしその反面、体力と免疫力の低下により体調が崩れやすいため、日頃からおりものの変化に注目しておく必要があるでしょう。

以下は、妊娠中期に注意すべきおりものの変化です。

  • 黄色や白でカッテージチーズのようなポロポロとしたおりもの
  • かゆみとニオイを伴う黄色や黄緑の細かい泡のようなおりもの
  • 出血の混じったピンク色や茶色のおりもの
  • 水っぽく長時間出続けるおりもの

まず、カッテージチーズのようなポロポロとしたおりものは、妊娠中期にかかりやすいカンジダ膣炎の可能性があります。我慢できないほどのかゆみを伴うこともあるので、おかしいと感じたらすぐに担当の医師に相談して治療を受けてください。

細かい泡のようなおりものは、トリコモナス膣炎かもしれません。かゆみやきついニオイを伴う泡状のおりものが出る場合は、早産の原因になることもあるため、早急に適切な治療を受けるようにしましょう。

ピンク色や茶色のおりものは、血が混じっている可能性が高いです。内診や性行為などの刺激によって傷ついたことで膣から出血しているかもしれません。出血が一時的なものであればあまり心配いりませんが、回数や量が多い場合は念の為医師に相談するとよいでしょう。

水っぽいおりものが長時間続いている場合は、破水している可能性があります。妊娠中期は破水とは無縁だと思われている方もおられますが、稀に破水してしまうこともあるので注意しなければいけません。

破水の量や出方には個人差があるうえ、妊娠中期はおりものの量が増えやすいことから、破水を水っぽいおりものだと勘違いしてしまうこともあるようです。万が一破水だった場合は、ママと赤ちゃんが危険な状態になってしまう恐れもあるため、すぐに医師に連絡して指示を仰ぐようにしましょう。

妊娠中期のおりものと破水の違いとは?

上記では、妊娠中期に注意すべきおりものの変化についてご紹介しましたが、中でも水っぽいおりものと破水の違いはわかりにくく、判別できない場合もあります。

臨月を迎える前に破水してしまうと、妊娠の継続が危ぶまれるだけでなく、胎児も危険な状態であるため、早急に受診して適切な処置を受けなければいけません。

では、妊娠中期のおりものと破水はどのように見分ければよいのでしょうか。以下は、妊娠中期の水っぽいおりものと破水の違いを表にまとめたものです。

破水 水っぽいおりもの
透明、黄緑、淡い黄色 白っぽい、もしくは黄みがかっている、クリーム色、透明
ニオイ 精液のような生臭いニオイ、もしくは甘酸っぱいニオイ、無臭 酸っぱいニオイ、無臭
特徴 突然液体が流れ出す、ジャージャー出る場合とチョロチョロと少しずつ出続ける場合がある、水のようにサラサラ 若干ネバつきがあり、ゼリー状の場合もあれば、おりものシートからはみ出るほど濡れることもある

破水もおりものも、自分の意志でコントロールすることはできません。

上記の特徴や色、ニオイの違いでかろうじて判別できる可能性もありますが、「高位破水(子宮の上の方で破水すること)」が起こっている場合はとくに、一般の妊婦さんで正確に違いがわかる方はほとんどいないでしょう。

そのため、気になる症状があるときはすぐにかかりつけの病院へ連絡しましょう。

妊娠中期で破水した場合の医療機関の対応

聴診、妊婦

医療機関では、破水かどうか確かめる検査を行います。

破水していると判断された場合は、すぐに入院して適切な処置を受けることになりますが、具体的にはどのようなことをするのか気になっている妊婦さんも多いのではないでしょうか。

そこでここでは、妊娠中期で破水した場合の医療機関の対応についてご紹介します。

妊娠中期に破水するとどうなるの?

まず、妊娠中期に破水した場合にどのような危険があるのかについてご紹介します。

そもそも、陣痛開始よりも前の時点で破水することを「前期破水」と呼び、その中でも妊娠37週(正産期)未満に起こった場合のことを「早期前期破水」と呼びます。妊娠中期に起こる破水も、この早期前期破水にあたり、流産や早産の可能性も高まってしまうため注意が必要です。

とくに妊娠22週目までの破水は、胎児や子宮の感染が起こりやすく妊娠の継続が難しいケースも多いです。正産期までなんとかもたせられたとしても、肺の発育が悪かったり脳内出血により脳性麻痺になったりなどの問題が起こる可能性もあります。

場合によっては胎児が死亡してしまう恐れもあるため、できる限りの処置を行うためにも、破水が疑われるときは早急に病院を受診する必要があるのです。

子宮収縮抑制剤で妊娠の継続を図る

一般的に、妊娠37週目以降で破水した場合は、自然に陣痛が起こるのを待つことも多いです。妊娠34週目を過ぎている場合も、それと同様の管理を行いますが、病院によっては子宮収縮抑制剤を使用して妊娠期間の延長を図ることもあります。

妊娠中期に破水した場合も、胎児の成熟を待つために子宮収縮抑制剤を使用して妊娠の継続を図ります。ただし、これは、感染を疑う症状などがなく、胎児の状態が安定しているときにとられる手段です。

いずれの週数でも、絨毛膜羊膜炎などの子宮内感染が疑われる場合は、早期娩出を考慮しなければいけません。ママも出来るだけ安静にして、横になって過ごすよう指導されることになるでしょう。

設備の整った病院へ搬送

現在かかっている病院の設備では対応できないと判断された場合は、NICUなどがある病院へ搬送されるケースもあります。

妊娠34週目を過ぎれば肺機能などもだいぶ育ってきているため、対応できる病院も多いですが、ハイリスクなお産に対応できる設備が充実した病院では、それより前の妊娠26週目(妊娠7か月)でも自然の経過に任せて出産しても対応できる可能性があります。

それよりも早く破水してしまった場合は、子宮収縮抑制剤を使用する場合でもメリットとデメリットを慎重に見極めながら対応していく必要があるので、出来るだけ設備の整った病院で治療を受けた方がよいでしょう。

まとめ

妊娠中期のおりものの変化や破水との違い、妊娠中期で破水した場合の医療機関の対応についてご紹介しました。

妊娠中期は、水っぽいおりものが出やすい時期ですが、稀に破水している場合もあります。妊娠中期というと、赤ちゃんは臓器が活発に働きはじめてはいるものの、まだ未成熟の状態です。

妊娠22週目までに破水してしまうと、妊娠を継続させることが難しいケースも多いので、重いものを持ったり急激に腹圧がかかったりして破水しないよう注意することも大切です。

妊娠中期に水っぽいおりものが出ていて破水と判別できない場合は、すぐにかかりつけの病院へ連絡し、指示を仰ぐなど冷静に対処しましょう。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

関連記事