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羊水検査の結果が出るのはいつ?6つの出生前診断の検査の流れを比較

お腹が大きく膨らんだ妊婦さんは「自分の血を分けた赤ちゃんがもうすぐ生まれる!」という期待感と、「赤ちゃんに染色体異常がないだろうか…」という不安を一緒に背負っています。

妊婦さんは羊水検査などの出生前診断を受け、結果に応じて産後に向けた適切な準備を進めることになります。

全ての染色体異常を検査できる羊水検査ですが、検査を受けて結果が出るまでどのくらいの期間を要するか皆さんはご存知でしたか?

この記事では、羊水検査でどんな結果が分かるのかをご説明した後、羊水検査を含めた出生前診断の検査結果が出るまでの流れをご紹介していきます。

羊水検査はどんな結果がわかる?

医師と夫婦

新たな生命を授かったママさんは「早くかわいい赤ちゃんの顔が見たい」と願うものですが、赤ちゃんがどのような健康状態であるかを事前に把握しておく必要もあります。

妊娠中に受ける出生前診断の羊水検査ではどんな結果がわかるのかをご紹介していきます。

胎児の染色体異常の有無がわかる

子宮内にある羊水で成長する胎児は皆健康体であるとは限らず、稀に染色体異常を持っています。染色体異常はダウン症候群などの原因となり、根本的な治療方法は見つかっていません。

羊水検査は妊婦さんのお腹に注射器を刺して採取した羊水の解析を行う検査です。解析によって染色体の数が正常値と異なった場合に疾患を持っていると診断されます。

出生前診断の中で最も精度が高い検査で「確定的検査」とも呼ばれています。

どんな疾患を特定できるのか?

羊水検査は赤ちゃんが患う可能性がある全ての染色体異常症に加えて、遺伝子疾患と開放性神経管奇形を持っているかどうかも特定できます。

【羊水検査でわかる染色体異常症】

  • 21トリソミー
  • 18トリソミー
  • 13トリソミー
  • モノソミーX
  • クラインフェルター症候群
  • その他の染色体異常

染色体異常症の中でも特に認知されているダウン症候群(21トリソミー)も検査することができます。

陰性であれば異常はないとされ、陽性であれば疾患を患っていることがほぼ確定します。

検査結果は100%正しいのか?

確定的検査に分類される羊水検査ですが、感度特異度は限りなく100%に近い数字となっています。

感度 特異度
99.4% 99.5%

感度は染色体異常を持つ可能性がある診断された場合に、実際にも胎児が染色体異常症を持っている確率であり、特異度は染色体異常を持つ可能性がないと診断された場合に、実際にも胎児が染色体異常を持っていない確率となります。

染色体異常にはモザイクという正常な染色体の細胞と異常な染色体の細胞をどちらも持っている状態があり、出産前にモザイクだとわからないこともあります。つまり、羊水検査で陽性と判定されても、生まれた後に結果的に異常があるというケースが稀にあるということです。

しかし、100%に極めて近い検査精度のため、出産前の最後に染色体異常の有無を確認する方法として受検する妊婦さんは多いです。

流産・早産のリスクがある

確定的検査は侵襲的な検査内容から、流産・早産のリスクがあることを理解しておきましょう。

羊水検査は0.4%という確率で胎児に死亡のリスクがあるため、受検前に医師から必ず危険が伴う検査である説明を受けておかなければなりません。

流産の原因全てが羊水検査とは限りませんが、子宮に針を刺して羊水を採取するという行為が結果的に流産に繋がるケースもあります。

出生前診断を受けて結果が出るまでの流れ

医師と患者

ここからは、羊水検査を含めた出生前診断がどのような検査を経て結果が出るのかを詳しくご紹介していきます。

羊水検査

羊水検査は主に妊娠14週〜27週6日目まで実施されており、NIPTなどを受けて陽性反応が出た後に受けるのが一般的です。

羊水検査の流れは以下のようになります。

  1. 【検査】超音波機器で胎児の状態を確認した後、穿刺針で羊水を採取してを行う。
  2. 【分析】細胞の培養が行われ、分裂した細胞を選出して染色体を観察する
  3. 【安静】帰宅後に抗生物質・子宮収縮抑制の薬を内服する(3日間くらい)
  4. 【結果】2週間〜3週間で結果が出る

検査から結果までは一般的に3週間くらい時間を要しますが、FISH法という検査方法を利用すれば、1週間以内にわかることもあります。

絨毛検査

羊水検査と同じ確定的検査である絨毛検査は、妊娠初期の妊娠10週~13週頃に実施されています。

絨毛検査の流れは以下のようになります。

  1. 【検査】経腹法の場合は、超音波機器で胎児の状態を確認した後、穿刺針で子宮の前壁・底部に付着した胎盤の絨毛を採取する。経腟法の場合は、子宮の前壁・頸管付近から胎盤の絨毛を採取する。
  2. 【分析】細胞の培養が行われ、分裂した細胞を選出して染色体を観察する
  3. 【安静】帰宅後に抗生物質・子宮収縮抑制の薬を内服する(3日間くらい)
  4. 【結果】2週間〜3週間で結果が出る

検査精度は感度99.25%・特異度98.6であり、胎児が死亡に至るリスクは羊水検査よりも高い1.1%となっています。

絨毛検査は精密で難しい検査であるため、実施している医療施設が多くはないという特徴があります。

超音波検査

母体と赤ちゃんに無害で安全なスクリーニング検査である超音波検査は、妊娠中期以降の20週目・28週目・34週目と定期的に実施されています。(施設によって検査日は異なる)

経腹超音波を受けた場合の流れは以下のようになります。

  1. 【検査】検査用ゼリーを下腹部に塗り、プローブを当てて超音波で胎児の状態を診る
  2. 【分析】胎児や胎盤・羊水・卵膜・臍帯を細かく観察して、正常であるかどうかを分析する
  3. 【結果】検査中にリアルタイムで説明される。または、検査直後に説明される。

超音波検査は母体に針を刺すような侵襲的な手順がないため、安心して受けることができます。

4Dを用いた超音波検査では赤ちゃんが動く様子をモニターに写し出され、リアルタイムでその様子を観ることができます。

胎児の形態からダウン症候群などが示唆される場合もありますが精度は高いといえないため、他の出生前診断と併せて検査を受けるのが一般的です。

母体血清マーカー検査|クアトロテスト

妊婦さんの血液を採血して染色体異常を検査する母体血清マーカーは、妊娠15週〜21週の間に実施されています。

母体血清マーカー検査の一種であるクアトロテストの流れは以下のようになります。

  1. 【検査】少量の母体採血を行なう。
  2. 【分析】血液中のAFPhCGuE3Inhibin Aという4つの成分と、妊婦さんの年齢・体重・妊娠週数・家族歴・基準値などの因子を用いて疾患である確率を割り出す
  3. 【結果】検査から10日前後で結果が出る。

クアトロテストの検査精度は約80%といわれており、21・18トリソミー・開放性神経管奇形を持つ可能性を調べることができます。

妊娠21週目まで受けることができますが、羊水検査で結果を得るまで時間を要するため、クアトロテストは17週目くらいまでに受けることが望ましいです。

コンバインド検査

母体採血と精密超音波検査を組み合わせ、母体血清マーカーよりも高い精度で染色体異常を検査できるのがコンバインド検査で、妊娠11週〜13週頃に行われています。

コンバインド検査を受けた場合の流れは以下のようになります。

  1. 【検査】超音波機器で赤ちゃんの首の裏側のむくみを測定し、妊婦さんから少量の血液を採取する
  2. 【分析】超音波検査の結果と、血液中の胎児に由来するタンパク質やホルモンの解析結果を掛け合わせて分析を行う
  3. 【結果】検査から約2週間で結果が出る

検査精度は約83%といわれており、21・18トリソミーを持っているかどうかが示唆されます。NIPTが誕生するまではスクリーニング検査の中で最も高い精度を誇っていました。

NIPT

出生前診断のスクリーニング検査の中で最も精度が高いのがNIPTで、検査期間は妊娠10週目以降となっています。

NIPTを受けた場合の流れは以下のようになります。

  1. 【検査】少量の母体採血を行なう。
  2. 【分析】母体血漿中に浮遊するDNAの断片量を測定し、染色体数と形態を分析する。
  3. 【結果】検査から10日前後で結果が出る

NIPTは妊婦さんの採血のみで済む検査のため、流産のリスクはゼロです。

21・18・13トリソミーの有無を100%に近い確率で検査することが可能で、実施施設によっては赤ちゃんの性別判定も行っています。

羊水検査を受ける前に受検すべき出生前診断がNIPTであり、安全で検査精度も高いということから、数年前から注目されています。

まとめ

羊水検査は羊水から採取した細胞を培養して分析を行うため、検査結果が出るまでは2週間〜3週間かかるのが一般的です。

妊娠14週〜27週6日までが羊水検査を受けられる期間といわれていますが、まずは妊娠10週になったら早めにNIPTなどの出生前診断を受けることをおすすめします。

東京の「ミネルバクリニック」では、臨床遺伝専門医による最新鋭の技術を用いたNIPTを受けていただくことができます。

どこよりも早い妊娠9週目から年齢制限なしで受けていただくことができ、遺伝カウンセリング体制も整っております。

染色体異常の有無をいち早く知りたい妊婦さんは、この機会に是非「ミネルバクリニック」までお問い合わせください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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