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陣痛はいつくる?兆候や対応方法を紹介

妊娠後、出産に向かう中で「陣痛はいつくるんだろう?」「陣痛がきたらどうしたらいいんだろう……」と不安に思う妊婦さんも多いかもしれません。
陣痛は出産の合図と捉えられがちですが、実際は一概にそうとはいえません。なぜなら、陣痛にはすぐ出産につながらないケースもあるためです。

本記事では陣痛について解説しております。どういったタイミングで起こるのか、どのような種類があるのか、兆候、対応方法などについても解説しているのでぜひ参考にしてください。

陣痛とは?いつくる?

陣痛とは、出産の際に子宮が起こす収縮運動のことです。陣痛と聞くと「痛みのこと」と思う人もいるかもしれません。しかし、陣痛とは厳密にいうと痛みのことではなく、子宮の収縮運動のことを指すと覚えておいてください。

陣痛には痛みが起こる陣痛発作と、痛みがおさまる陣痛間欠の2種類があります。陣痛が起こった際は、陣痛発作と陣痛間欠を繰り返すため、常に痛みを伴うわけではありません。

陣痛は一般的に、分娩が始まる予兆として現れると思われがちです。しかし、必ずしも陣痛が起こったからといって分娩が始まるとは限りません。日本産婦人科学会では、痛みの間隔が10分以内になった段階で分娩が始まると定義しています。そのため、痛みが短い間隔で起こると感じたら分娩の心構えをしてください。

陣痛の種類

陣痛はいつくる?兆候や対応方法を紹介

陣痛には陣痛発作と陣痛間欠の2種類があるのですが、これは痛みの有無による分類です。
このほか、陣痛は前駆陣痛と後陣痛に分かれます。ここでは、前駆陣痛と後陣痛それぞれの特徴について確認していきましょう。

前駆陣痛

前駆陣痛とは陣痛の一種ではありますが、必ずしも分娩につながるわけではないという特徴があります。発生する痛みは規則的ではありません。不規則に痛みが起こり、時間経過によって痛みが増していくといったこともなく、次第におさまっていくのが前駆陣痛です。

前駆陣痛の痛みはそれほど強くありません。もちろん、個人によって感じ方に違いはありますが、陣痛と比べると穏やかであることがほとんどです。また、長く痛みが続くということもありません。痛みが起こったとしてもしばらくすればおさまっていきます。

また、痛みではなく胃の不快感や圧迫感といった形で症状が現れる場合もあります。現れる症状は人によっても違いがあるため、注意してください。

分娩につながる陣痛と前駆陣痛の違いがわからないという人も多いでしょう。最もわかりやすい判別方法は痛みの間隔です。陣痛は規則的に痛むため、次の痛みがくるタイミングも比較的予測しやすいでしょう。しかし、前駆陣痛の痛みは不規則なので、タイミングの予測が難しいです。

さらに、陣痛は徐々に痛みの間隔が短く強くなっていきます。しかし、前駆陣痛にはそういったことはありません。また、痛みの度合いも異なります。陣痛は腰の辺りから徐々に体の全面や下半身に痛みが広がっていきます。それに対して前駆陣痛は、お腹全体がぎゅっと締め付けられるような痛みが起こるのです。

前駆陣痛は、基本的には出産に向けて体の準備が整った段階で始まります。そのため、前駆陣痛が起こったら出産のタイミングが近づいてきていると考えてください。
ただし、前駆陣痛が起こってから陣痛が始まるまでの期間には個人差があります。前駆陣痛の数時間後に陣痛が始まる場合もありますし、1ヵ月後の場合もあります。

後陣痛

後陣痛とは赤ちゃんを出産した後に、子宮が通常の大きさに戻るための子宮運動のことです。他の陣痛と同じように痛みを感じるのですが、感じ方は個人によって大きな違いがあります。

痛みが少ない人もいれば、生理痛に似た痛みが発生する人もいます。また、陣痛と同じくらいの激しい痛みが起こり、日常生活に支障が出てしまう人もいるため、出産後しばらくは後陣痛が起こる可能性があることを理解しておかなくてはいけません。

また、後陣痛が続く期間も個人差があります。ほとんどの場合は出産後3日目にかけて痛みがピークに達して、そこから徐々に落ち着いてくるという流れになります。

子宮は産後8週で妊娠前の状態に戻るといわれているのですが、それまで後陣痛が続くという人もいるため、一時的に痛みがおさまったとしてもしばらくは注意しておかなくてはいけません。特に赤ちゃんに母乳を与えていると、乳頭刺激によって子宮運動が促され、後陣痛を感じる場合があります。陣痛よりも後陣痛の方がつらいというケースもあるので、出産後は気をつけるようにしてください。

後陣痛の痛みがどうしてもつらいという人は、お腹を温めるようにしてください。お腹を温めると血流がよくなり、痛みが緩和することがあります。具体的には、湯たんぽや回路を使用したり、シャワーをお腹に当てて温めたりするといいでしょう。しかし、温めすぎると子宮収縮が過度に弱まり、産後の出血が増える場合があるので注意しなければなりません。

他にもリラックスして緊張をほぐすことも大切です。心身が緊張していると後陣痛を強く感じやすいので、音楽を聞いたりアロマを使ったりしてリラックスしてください。

陣痛の兆候

陣痛の兆候としては主に5つのサインがあります。これらが起こると近々陣痛が起こるかもしれないので、心構えをしておいてください。

破水する

破水は、陣痛の兆候として多くの人がイメージするものの一つでしょう。破水とは羊膜が破れて、子宮を満たしていた羊水が出てくることです。陣痛の兆候として必ず破水が起こると考えている人もいるかもしれませんが、実はそうではありません。

分娩前に破水する人は全体の一部で、分娩中に破水するケースも多いです。そのため、「破水が起こっていないから、陣痛は起こらない」とは考えないようにしてください。

おしるし

おしるしとは子宮壁に付着している卵膜が剥がれた際に起こる少量の出血のことです。こちらも破水と同じく全ての人に起こるわけではありません。おしるしが出ないまま出産を迎えたという人もいます。

また、おしるしが出たからといってすぐに陣痛が始まるとは限りません。とはいえ、陣痛の72時間以内におしるしが起こるケースもあるので、おしるしがデたら、陣痛が数日以内に始まるかもしれないと考えておいた方がいいでしょう。

お腹の張り

ほとんどの人は、陣痛が起こる前にお腹の張りを感じています。具体的には子宮が締め付けられるような感覚や、下腹部を手で触ると固くなっている状態のことです。痛みを感じる場合もあるのですが、痛みがない場合もあります。一気に陣痛が起こる場合があるので、お腹の張りを感じたら楽な姿勢をとって様子を見るようにしてください。

お腹の痛み

出産の前日から当日にかけてお腹の痛みは強くなります。このときに起こる痛みは生理痛によく似たものだったり、下痢のときの痛みに似ていたりします。寝ていると痛みによって目が覚めたというケースもあるようです。

規則的に痛みが起こるようであれば、陣痛が始まる兆候かもしれません。痛みに規則性を感じたら時間の間隔を測ってみてください。

後期つわりがおさまる

後期つわりとは、お腹が大きくなるにつれて起こる吐き気や気持ち悪さのことで、悩む人も多いです。子宮が大きくなって胃が押し上げられていることが原因とされています。

後期つわりは陣痛がくる前におさまる場合があります。これは出産が近づいたことで、子宮底の位置が下がり胃の押し上げが緩和されたのが理由です。つまり、後期つわりがおさまるのも陣痛の兆候の一つといえるでしょう。

陣痛が起きたときの対応

陣痛が起きた際は、速やかに適切な行動を取ることが大切になります。ここでは、陣痛が起きたときに取るべき3つの行動を紹介します。

産婦人科に連絡をする

まずは、かかりつけの産婦人科に連絡し、医者や助産師に相談してください。産婦人科が陣痛の状況を聞き取り、取るべき行動を指示してくれるため、落ち着いてそのとおりにしましょう。産婦人科は、出産がどのタイミングで起こっても対処できるよう、基本的にスタッフが常駐しています。受付時間外であっても連絡をするようにしてください。

一般的には、痛みの間隔が10分以内になったら連絡するよう指示があるでしょう。ただし、家から病院が遠い、経産婦という場合などは、早めに連絡をしても問題ありません。また、破水が起こったら、陣痛が始まっていなくても連絡してください。

軽食を取る

とくに初産の場合は、陣痛が起こってから生まれるまでに12〜16時間はかかるといわれています。そのため、痛みがある程度穏やかなうちに軽食をとっておくようにしてください。

シャワーを浴びる

産後はすぐにシャワーを浴びることができません。そのため、出産に備えて陣痛の間隔が短くなる前にシャワーを浴びておくのもおすすめです。ただし、破水している場合は、胎内に雑菌が入り込みやすくなってしまうので入浴やシャワーは避けましょう。

【まとめ】陣痛がきたら慌てず冷静に対処しよう

陣痛は想像しているよりも激しい痛みが伴う場合があります。痛みが強すぎると冷静な判断ができないかもしれません。とくに初産の場合は、パニックになってしまう人も少なくないでしょう。そのため、どのように行動すべきかを事前にイメージしておくことが大切です。

いざというときにすぐに連絡ができるように病院や助産師の連絡先は、携帯電話へ登録しておくようにしてください。出産が近づいたらスムーズに行動できるよう心がけましょう。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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