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卵子の凍結とは?妊娠率や年齢制限・費用まで紹介

卵子凍結について耳にしたことがあっても、「詳しくは知らない」「何のために行うのかわからない」という方もいるのではないでしょうか。簡単にいうと、卵子凍結を行えば、将来「子どもが欲しい」と思ったときに備えることができます。
今回は、卵子凍結とはどのようなものか、そして、なぜ行うのかをご紹介します。さらに、卵子凍結の妊娠率や卵子凍結を行える年齢、期間についても解説しますので、将来に備えて卵子凍結を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

卵子凍結とは?なぜ行う?


卵子凍結とは、将来の妊娠に備え、専門の機器で質のよい卵子を凍結保存することです。
まずは、注射や内服で排卵誘発を行って卵子を育て、十分な大きさになった卵子を吸引採します。その後、ガラス化保存法と呼ばれる方法で凍結保存します。

卵子は加齢とともに老化することがわかっています。年齢を重ねるに連れ、若いころに比べて妊娠しにくくなるため、若いうちに妊娠する確率のほうが自然と高くなります。
しかし、子どもを望むすべての女性が若いうちに妊娠・出産できるわけではありません。
近年の晩婚化や女性の社会進出により、ある程度の年齢を重ねてからパートナーとの子を持つことを考える場合もあるでしょう。

そうしたさまざまな理由により、年齢を重ねたときに妊娠を望んだ場合の妊娠率を少しでも高める方法として、卵子凍結が用いられています。なお、卵子凍結は“受精卵凍結”とは異なり、採卵した卵子そのものを保存する方法です。

卵子が老化するメカニズム

女性の卵巣内には、生まれたときすでに一生分の卵子(原始卵胞)が存在しています。
卵子は年齢と同じように歳を重ね、老化していきます。その都度新しく作られる精子とは違い、卵子の数は年齢とともに減少していくのが特徴です。

老化により、年齢を重ねるごとに受精しにくくなったり、胚になりにくかったりするといわれています。そのほか、染色体異常を起こした卵子が多くなることも老化が原因です。
卵子の染色体異常は女性の年齢に関係なく起こりますが、受精卵が成長していく過程で細胞分裂がうまくいかないケースについては、年齢を重ねるにつれてその割合が高くなる傾向にあります。

卵子凍結をした場合の妊娠率は?

卵子凍結を行った卵子で妊娠を目指す場合は、体外受精を行います。
体外受精とは、体の外で卵子と精子を受精させ、受精卵を育てる方法です。

体外受精を行うにあたり、卵子を融解する過程で卵子が破損してしまうことがあります。この場合、破損した卵子は受精能力を失うため、体外受精に使用することができません。そのため、卵子凍結を行う場合は、複数回採卵しておく必要があります。

年齢によって妊娠率は異なる

卵子凍結した卵子を用いた妊娠率は、卵子凍結を行った年齢によって異なります。

□ 30歳以下で採卵した場合 35%前後
□ 31〜34歳で採卵した場合 30%前後
□ 35〜37歳で採卵した場合 25%前後
□ 38〜39歳で採卵した場合 20%前後
□ 40歳以上で採卵した場合 15%以下

融解後の卵子生存率と妊娠率はクリニックによって異なるため、受診を検討しているクリニックに確認しておくとよいでしょう。

流産の可能性や卵子を融解する際に破損してしまう可能性を考慮すると、できるだけ早い段階で10個以上の卵子凍結を行うことが望ましいといえます。しかし、一度にたくさん採卵するのは体に負担が大きい為、ご自身にあう、あわないをよく検討してみることも大切でしょう。

卵子凍結には何歳までできる?保存期間は?

卵子凍結は、原則として39歳以下の女性を対象としているクリニックが多いようです。その理由として、40歳以上では卵子の質が低下することによって出産率が低くなること、超高齢出産のリスクが高くなることなどが挙げられます。

また、未授精の卵子にも保存期間があります。多くの場合は、満49~50歳までです。凍結した卵子は凍結日の1年後から更新手続きや更新料がかかる点には注意が必要です。

卵子凍結のリスクはある?

卵子凍結では、超音波機器を使用しながら採卵針で直接卵巣にアプローチして卵子を採取します。そのため、採卵時には痛みや出血を伴うこともあります。また、針を刺すことで炎症が起きたり、卵巣過剰刺激症候群を引き起こしたりする可能性もあります。

卵子凍結を検討する際には、これらのリスクがあることを把握し、医師による詳しい説明を受けたうえで行いましょう。

卵子凍結にかかる費用は?

卵子凍結の採卵にかかる費用相場は、約20~50万円です。仮に、採卵を行っても卵子が回収できなかった場合には4~5万円程度に費用が変更されることがあります。

また、採卵には痛みを伴うため、希望者は静脈麻酔で痛みを軽減したうえで採卵を受けられます。この場合の麻酔にかかる費用相場は5万円程度です。

いくつか卵子を採卵することができれば、卵子凍結をするための容器にも費用がかかります。容器1本あたりの費用相場は5万5,000円程度です。

そのほか、卵子を凍結延長するための費用として、2年目以降は容器1本につき年間2~3万円程度かかります。
これらの費用はクリニックによって異なるため、クリニックのサイトで料金を確認してみてください

補助金の対象となる場合も

卵巣凍結は、採卵や凍結延長のために多額の費用がかかるため、決断しかねている人もいるかもしれません。そのようなときは、不妊治療費助成制度を活用するのも一つの手段です。

自治体によっては、卵子凍結が不妊治療費助成制度の対象になる場合があります。ただし、助成を受けるためには、不妊治療費助成制度の指定医療機関で卵子凍結を行わなくてはなりません。検討している医療機関が指定を受けているかどうかを確認しましょう。

卵子凍結は将来の妊娠の可能性を高める手段

卵子凍結は、若いうちに質のよい卵子を凍結することで、将来の妊娠・出産の可能性を高めることができます。卵子の数は年齢を重ねるにつれて減少し、老化していくため、早い段階で卵子凍結を行うのが理想的です。
採卵と保存期間には、それぞれ年齢制限があります。助成制度を活用しながら、卵子凍結で将来の妊娠・出産に備えることを視野に入れてみてはいかがでしょうか。

東京の「ミネルバクリニック」は臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設であり、たくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。ミネルバクリニックでは、妊娠9週から受けられる赤ちゃんの健康診断である「NIPT」を業界最新の技術と業界随一の対象疾患の広さで行っております。遺伝のエキスパートである臨床遺伝専門医が出生前診断を提供しておりますので、是非、お気軽にご相談ください。妊娠初期からの出生前診断を受ける医療機関にお悩みの方は、知識・経験・実績とも「第三者から認証されている」臨床遺伝専門医が診療している「ミネルバクリニック」まで是非、ご相談ください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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