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双子妊娠の仕組みや確率・わかる時期やリスクを解説

現在妊活中で双子の妊娠を望んでいる方も多くいます。そのために双子妊娠について調べているが、仕組みや妊娠する確率について理解するのが難しいと感じているのではないでしょうか?

そこでこの記事では、双子妊娠について初めて調べた方でもわかりやすい以下の内容を解説します。

  • ・双子妊娠の仕組みと分類
  • ・妊娠の確率やわかる時期
  • ・双子妊娠のリスク

この記事を参考に双子妊娠の基礎知識を簡単に学んでいきましょう。

双子の妊娠の仕組み!一卵性と二卵性の違い

双子妊娠を望むなら仕組みを理解しておく必要があります。

そこでこの章では、一卵性と二卵性に分けて双子妊娠の仕組みを解説します。

 

一卵性

一卵性とは1つの卵子に1つの精子受精してできた受精卵のことです。受精後に1つの受精卵が2つに分化して成熟して双子になります。

もとは1つの受精卵であったため生まれてくる子供の遺伝子情報は同一になります。そのため、性別や血液型、容姿や性格に至るまで似ていることが特徴です。

性別が同じでよく似た双子は、一卵性双生児の可能性が高いでしょう。

※参考資料:大阪大学/ツインリサーチ

 

二卵性

二卵性とは2つの卵子にそれぞれの精子が受精して成熟した双子のことです。

通常は1回の排卵で1つの卵子が排出されますが、何らかの原因で2個以上の卵子が排出された際に双子を妊娠する可能性がでます。異なる精子で受精するため別の遺伝子情報を持っており、性別や血液型、容姿や性格も違います。

容姿の似ていない性別の異なる双子なら、二卵性双生児の可能性が高いでしょう。

※参考資料:大阪大学/ツインリサーチ

膜性による双子妊娠の分類

双子の分類は、前章で解説した一卵性・二卵性以外にも膜性で分類できます。

最初に膜性に関する説明をして、双子の分類に触れます。

双子妊娠を望む方は、妊娠後にどの分類の双子なのかを考える参考にご活用ください。

 

膜性とは

膜性とは胎盤や胎児の育つ部屋の数を表すもので、絨毛膜と羊膜の2種類があります。

絨毛膜とは母子間で栄養素の交換を行うための胎児側の胎盤を構成する膜のことであり、胎盤の数を知るのに役立ちます。胎児の住む家の数をイメージするとわかりやすいでしょう。

羊膜とは胎児を包んでいる薄い膜のことであり、赤ちゃん専用のお部屋をイメージするとわかりやすいでしょう。胎児と羊膜の間は羊水で満たされており、赤ちゃんを外部の異物から守る役割があります。

 

膜性による分類

膜性による双子の分類は、以下の通りです。

  • ・二絨毛膜二羊膜双胎(DD双胎)
  • ・一絨毛膜二羊膜双胎(MD双胎)
  • ・一絨毛膜一羊膜双胎(MM双胎)

二絨毛膜二羊膜双胎(DD双胎)は、赤ちゃんを包む膜や胎盤が別々に存在します。違う家に住んでいるイメージです。

一方の一絨毛膜二羊膜双胎(MD双胎)は別々の膜に包まれ胎盤は2人で共有、一絨毛膜一羊膜双胎(MM双胎)は膜も胎盤も同じものを共有しています。

特に絨毛膜はお母さんから成長発達に必要な酸素や栄養素を受け取る場所です。双子で共有しなければいけない一絨毛膜二羊膜双胎・一絨毛膜一羊膜双胎は兄弟で強弱が生じる恐れがあり、ハイリスク妊娠・出産になることもあります。

そのため、双子間で成長に差が出てないかを継続的に注意深く観察しなければいけません。

※参考資料
厚生労働省/多胎児支援のポイント ふたご・みつご等の赤ちゃんの地域支援
公益社団法人 日本産科婦人科学会/ 71 回日本産科婦人科学会学術集会 2019.04.11-14 専攻医教育プログラム2『双胎妊娠の診断と管理』 聖隷浜松病院産婦人科・総合周産期母子医療センター 村越 毅

双子を妊娠しているとわかる時期

双子の妊娠がわかる時期は、妊娠5〜6週です。妊娠検査薬は妊娠の有無のみしかわからないため、診断には産婦人科の受診が必須です。

妊婦健診で行うエコー検査(超音波検査)で、胎盤(胎児の住む部屋)の数や胎児心拍を確認することで双子妊娠と診断されます。

特に二絨毛膜二羊膜双胎(DD双胎)の場合、胎盤の数が異なるため、双子であるのはエコー検査で容易に診断できます。

一方の一絨毛膜二羊膜双胎や一絨毛膜一羊毛膜双胎の場合、エコー検査で見える角度によっては胎児同士が被って単胎妊娠と見分けにくいことがあるため、次回の妊婦健診まで診断がお預けになる可能性もあります。その後、確定診断をするなら2人分の胎児心拍を確認する必要があります。

また双子を妊娠した際に生じる体への影響や費用などが気になる方は「【妊娠初期】双子を妊娠したかも?確定時期や体の変化、母体・胎児への影響まで解説
」の記事が参考になるので、ぜひご覧ください。

※参考資料:公益社団法人 日本産科婦人科学会/産婦人科診療ガイドライン産科編2020

双子の妊娠にまつわる3つの確率

この章では、後に関する以下の3つの確率について解説します。

  • 1.一卵性・二卵性双胎になる確率
  • 2.双子の性別の確率
  • 3.双子の妊娠率が高くなっている背景

では、1つずつ見ていきましょう。

 

1. 一卵性・二卵性双胎になる確率

自然妊娠で一卵性・二卵性双胎で妊娠する確率は、以下の通りです。

  • 一卵性双胎:約0.4%
  • ・二卵性双胎:約0.2~0.3%

一卵性双胎の中でも二絨毛膜二羊膜双胎は25%、一絨毛膜二羊膜双胎は75%、一絨毛膜一羊膜双胎は1%未満と言われています。二卵性双胎は日本をはじめとするアジア圏内では妊娠しづらく、黒人で妊娠率が高い傾向にあります。

厚生労働省のデータによると国内の多胎妊娠の出生率は、2017年時点で年間約9,900件(出産全体の1.04%)です。およそ100組に1組が双子を出産している計算になります。

※参考資料:厚生労働省/平成30年度子ども・子育て支援推進調査研究事業 P1

 

2. 双子の性別の確率

双子の性別は同性がおよそ80%、異性が20%程度で生まれてきます。

一卵性双胎は遺伝子情報が同じであるため性別も同じです。そのため一卵双胎と診断がついた時点で同性が生まれることが確定します。

一方の二卵性双胎は遺伝子情報が異なるため同性か異性かはエコー検査で診断します。性別を診断する場合、胎児同士が重なっており双子の外陰部を同時に確認するのが難しいため、性別診断は気長に待ちましょう。また男の子に比べて女の子とは外陰部が突起していないため、見分けるのが難しい傾向にあります。

日本は一卵性双胎の妊娠が多い傾向にあるため、同性の赤ちゃんが生まれてくる確率が高い傾向にあります。

 

3. 双子の妊娠率が高くなっている背景

近年、双子の妊娠率が高く、厚生労働省のデータでも32〜39歳までの多胎妊娠の割合が多いことがわかります。

多胎妊娠が増えている背景には、生殖医療(不妊治療)の技術の発展が大きく関係しています。特に妊娠率を高めるために1回の治療で複数の受精卵を子宮内に戻す体外受精は、双子妊娠の確率を高めます。

また排卵誘発剤を使うことも多胎妊娠が増えている理由の一つです。排卵誘発剤を使うことで両方の卵巣から同時に排卵され、2つとも受精した結果、多胎妊娠となります。

このように多胎妊娠が増えている背景には、近年の目覚ましい不妊治療の発展が影響していると考えられているのです。

※参考資料:厚生労働省/平成30年度子ども・子育て支援推進調査研究事業 P3

【注意】双子妊娠の5つのリスク

Fetus concept

単胎妊娠と比べて多胎妊娠はハイリスク妊娠です。順調に妊娠生活を送り、無事出産の日を迎えられるようにリスクを十分理解しておくことが必要です。

そこで以下の内容について解説します。

  • ・マイナートラブル
  • ・仰臥位低血圧症候群
  • 妊娠高血圧症候群
  • ・早産
  • ・バニシングツイン

これらのリスクを知った上で対処法についても一緒に学びましょう。

 

リスク①:マイナートラブル

個人差はありますが、単胎妊娠に比べてつわりや腰痛など妊娠症状が強く、マイナートラブルを感じやすい傾向にあります。

双子妊娠は複数の胎児をお腹の中で育てるため、胎児に大量の栄養素やエネルギーを取られることが原因です。また単胎妊娠よりもお腹も大きく張り重いため、腰への負担も大きいでしょう。

単胎の妊婦と同様、無理は禁物であり、症状が重い時は横になるなどして安静に過ごしょう。

 

リスク②:仰臥位低血圧症候群

仰臥位低血圧症候群とは、仰向けになった際にお腹の重さで下大静脈が圧迫され循環不良となり、低血圧になることです。お腹の大きくなる妊娠後期に生じやすい症状の一つです。

また下半身の循環が悪くなるためむくみや全身の怠さを伴うことがあり、症状が重たいと行動制限が生じる可能性もあります。

気分不良やめまいなど低血圧症状が出現した際は、下大静脈が圧迫されにくい左向きで横になり安静に過ごしましょう。

※参考資料:日本救急医学会/仰臥位低血圧症候群

 

リスク③:妊娠高血圧症候群

妊娠20週以上で高血圧を発症すると妊娠高血圧症候群の疑いがあります。そして、多胎妊娠は妊娠高血圧症候群を発症しやすいこともわかっています。

妊婦の20人に1人の割合で発症して、34週未満の早発型は重症化しやすいので注意が必要です。

妊娠高血圧症候群になると血流が悪くなり、胎児へ十分な酸素や栄養素を十分に届けられず、発育不全の原因になります。そのため、早産や低出生体重児の分娩、最悪のケースだと新生児仮死や死産になるリスクもあるのです。

妊娠高血圧症候群の予防として塩分を控えた食事をしたり、毎日血圧を測りあなた自身の標準値を把握したりすることが大切です。特に食事療法で改善しないと医療的な介入(薬物療法など)を行い、重症化予防をしなければいけません。

※参考資料:公益社団法人 日本産科婦人科学会/妊娠高血圧症候群

 

リスク④:早産

多胎妊娠は単胎妊娠に比べて早産のリスクが高いことも知っておきましょう。

早産とは正期産(妊娠37週0日〜41週6日目)よりも早く生まれることであり、妊娠全体のおよそ5%を占めます。日本では妊娠22週0日〜36週6日目が早産です。

22週未満の赤ちゃんは成熟しておらず、体重はおよそ500g弱です。内臓(肺や腸)の成長も未熟であるため、早産であるほど重症化します。出生後は長期的に新生児集中治療が必要になることが多く、両親の身体的・経済的な負担が大きいことが予測されます。

早産は多胎妊娠の他にも妊娠高血圧症候群、前置胎盤感染などが原因になることもあります。

※参考資料:公益社団法人 日本産科婦人科学会/早産・切迫早産

 

リスク⑤:バニシングツイン

バニシングツインとは妊娠初期にお腹の中で双胎の片割れが亡くなり、子宮内から消えることです。亡くなった方の胎児は子宮に吸収されるため見た目上、消えたように見えます。

単胎妊娠は胎児が亡くなる妊娠週数にもよりますが、基本的には手術もしくは自然排出され吸収されることはありません。一方の多胎妊娠の場合、妊娠初期に片割れの胎児が亡くなるケースもあり、子宮に吸収されて消滅してしまうのです。

バニシングツインが起こる明確な原因は、未だに解明されていません。しかし単胎・多胎妊娠に関わらず妊娠初期で流産(胎児が亡くなる)する可能性は高く、決して珍しいことではありません。

明確な原因が解明されていないため、予防法も確立されていないのが現状なのです。

※参考資料:熊本大学大学院生命科学研究部 産科婦人科学 大場 隆/多胎妊娠の診断と管理 P35

双子妊娠に関するよくある3つの質問

この章では、双子妊娠によくある以下の3つの質問についてお答えします。

  • 1.双子の産み分けはできますか?
  • 2.双子の妊娠特有の初期症状ってありますか?
  • 3.双子の妊娠だった場合の検査薬の反応は?

では、1つずつ解説します。

 

質問①:双子の産み分けはできますか?

科学的に立証された双子の産み分けはありません。

一方で以下の2つの条件で多胎妊娠の可能性は高まる傾向にあります。

  • ・高齢で妊娠
  • ・不妊治療中

女性は年齢が上がるとともに卵胞刺激ホルモンの数値が高くなり、複数の卵子が同時に排卵されることが増えます。複数の卵子が同時に受精して双子が妊娠することも珍しいことではありません。

また体外受精などの不妊治療は妊娠率を高める目的で、1回で複数の受精卵を子宮に戻します。そのため、多胎妊娠になる可能性が高まります。

性別に関する産み分けを詳しく知りたい方は「【即実践可】男女の産み分けは可能?性行為との関係やサポートツールを紹介」の記事が参考になります。

 

質問②:双子の妊娠特有の初期症状ってありますか?

特有の妊娠初期症状はありませんが、単胎妊娠に比べて症状が重い傾向にあると言われています。特に多胎妊娠だと複数胎児にお母さんの酸素や栄養素が取られるため、貧血症状が強く出るでしょう。

ただし、妊娠初期症状の程度は人それぞれです。多胎妊娠だからといって一概に症状が重たいというわけではありません。

 

質問③:双子の妊娠だった場合の検査薬の反応は?

妊娠検査薬で単胎妊娠か多胎妊娠かを見分けることはできません。そして多胎妊娠の場合、妊娠しているにも関わらず陰性反応が出ることもあるので注意が必要です。

妊娠検査薬は妊娠5週目あたりで分泌量が増加するhCGホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)を検知して判定します。多胎妊娠は早い時期から妊娠検査薬の想定量を超えるhCGホルモンが分泌され、結果として検知されず陰性反応になることもあります。

ただし最近の妊娠検査薬は精度が高く、多胎妊娠でも陽性反応が出るため安心して使っても良いでしょう。陰性反応が出でも妊娠初期症状があるなら双子妊娠の可能性も考えて、産婦人科を受診して妊娠検査を受けることをおすすめします。

まとめ: 双子を妊娠するかは誰にもわからない

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以上、双子を妊娠する仕組みや分類、妊娠したことがわかる時期について詳しく解説しました。自然妊娠で双子を授かるには何らかが原因で同時に2つの卵子が排卵される必要がありました。

ただし、人為的に排卵の数を操作することが難しいとわかりましたね。そのため双子妊娠に対する科学的に確立された方法はなく、妊娠して初めて双子であるとわかります。

また双子妊娠を望む方は妊娠後のリスクについても正しく理解しておかなければいけません。妊娠初期症状は単胎妊娠に比べて重くなる可能性があり、一絨毛膜二羊膜双胎や一絨毛膜一羊膜双胎はハイリスク妊娠・出産になる恐れもあります。

これらを踏まえた上で、双子妊娠を望むようにしましょう。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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