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切迫流産とは?原因や流産との違いをわかりやすく解説

切迫流産という言葉を知っていても「どのような症状を指すのか」「原因は何があるのか」など、正確な情報を知らない人も少なくありません。妊娠中に切迫流産と診断された際は、流産のリスクの有無が気になり、不安に思う人もいるでしょう。

切迫流産とは「流産はまだしていないが流産が差し迫った状態」を指します。流産とは異なり、切迫流産は診断されても妊娠継続ができる可能性があり、約70%は無事に出産しています。とはいえ、流産のリスクを少しでも減らすため、適切な対処法を覚えておきましょう。

本記事では、切迫流産の症状や原因、対策について解説していきます。

切迫流産とは?

切迫流産とは?原因や流産との違いをわかりやすく解説

切迫流産とは「流産はまだしていないが流産が差し迫った状態」を指します。
切迫流産の時点ではまだ流産はしていないため、赤ちゃんの心拍が確認できています。
また、妊娠22週未満で出血や腹痛がある場合、それらの原因を判断するのが難しいため「切迫流産」と診断されるケースがあります。
流産とは異なり、切迫流産は診断されても妊娠継続ができる可能性があり、約70%は無事に出産しています。
万が一、切迫流産と診断されても、必ずしも流産するわけではないため、慌てずに主治医の指示を受け入れることが大切になります。

切迫流産は流産や切迫早産と症状が類似しているため、注意しましょう。
切迫流産に関する正しい知識を身に着けておけば、妊娠生活中の不安の軽減にもつながります。
まずは、切迫流産の症状や原因・対策、予防方法、切迫早産との違いを押さえ、いざというときに慌てず対処することが大切です。

切迫流産の症状

切迫流産の主な症状は、下記の通りです。

  • ・出血がある
  • ・腹部の張りがある
  • ・下腹部痛を感じる
  • ・腰が痛くてだるいと感じる

妊娠初期の場合は、少量の出血や腹痛が起こるケースが多いです。
なお、正常な妊娠経過でも、切迫流産や流産とは関係なく「妊娠月経」や「着床出血」によって出血がみられることがあります。また、妊娠初期は絨毛膜に血液が溜まっていたり子宮内膜の血管が細かったり、胎盤の位置によって出血しやすい状態となりますが、妊娠12週までには安定することが多いです。

さらに妊娠中はホルモンバランスに変化が見られるため、腰痛や軽い腹痛が起こふりやすいのが特徴です。そのため、出血と同様に正常な妊娠経過であっても、生理痛のような腹痛や腰痛を症状として感じる人もいます。
出血や下腹部に痛みがあっても、必要以上に心配する必要はありませんが、出血や痛みが続く場合や、痛みが強く出血量が多い場合は、主治医に相談すると良いでしょう。

とくに強い痛みや大量の出血がある場合は、切迫流産の兆候の可能性もあるため注意が必要です。

切迫流産の原因

「切迫流産を防ぐために何かできることはないか?」と考える人も多いかと思いますが、切迫流産・流産のほとんどの原因は「赤ちゃん側」にあります。
とくに、妊娠12週未満で切迫流産・流産となった場合は、赤ちゃんの「染色体異常」や「遺伝性疾患」が原因であることが多いです。
これらの問題は受精の過程で起こるため、赤ちゃんに成長していく力がそもそも備わっていなかったことが原因で、切迫流産や流産となるケースがあります。
「妊娠に気づくのが遅れたから」「ハードな運動や仕事をしていたから」などの理由で流産になってしまうことは、ほとんどないため自分を責めないようにしましょう。

一方で妊娠12週〜22週で切迫流産・流産になった場合は、赤ちゃん側に原因がある可能性もあれば、お母さん側に原因がある可能性もあります。
具体的なお母さん側の原因は下記の通りです。

  • ・子宮の奇形
  • ・子宮筋腫
  • ・絨毛膜下血種
  • ・感染症
  • ・内分泌代謝異常
  • ・自己免疫異常
  • ・血液凝固異常

妊娠12週までの切迫流産には「流産予防に有効な薬剤はない」とされています。
また、お母さん側の原因である「絨毛膜下血腫」などの切迫流産では「安静にすることが有効」とされているので、主治医の指示を仰ぎましょう。

切迫流産への対策

万が一、切迫流産と診断された場合は、対処法として医師から安静にするよう指示されるケースが多いでしょう。
安静療法により、必ずしも切迫流産の状態が改善するとは言い切れません。しかし、切迫流産時に無理をすると、流産の確率を上げてしまうリスクもあるため注意が必要です。

安静療法では、自宅で2週間から3週間程度、身体に負担がかからないように生活します。とはいえ、常にベッドで横になっているわけではなく、家事をするなどの日常生活は可能です。
出血が少量であったり、ほとんどなかったりする場合は、主治医に「外出の相談」をしてみてもいいかもしれません。家事をしたり移動をしたりする際には、重いものは持たずに、休憩を挟みながら行うと良いでしょう。

一方で、出血量が多く鮮血である場合は入院する可能性もあります。その場合は、病院で安静にしながら妊娠の継続を目指します。
また、現時点で流産に効果的な薬は立証されていません。ただし、主治医の判断で薬を処方してもらえることもあります。
とくに切迫流産を引き起こした原因が母体側の問題にあると考えられる場合は、安静指示に加えて、薬を処方されることもあるようです。

切迫流産の予防方法

妊娠12週未満の切迫流産の場合は、赤ちゃん側に原因があることが多いため、予防するのは難しいでしょう。
そのため、過度に神経質にならずにストレスなく穏やかに過ごすことが大切となります。
お母さん側に切迫流産の原因がある場合は、下記の予防方法が良いとされています。

  • ・妊娠前に検査をしておく
  • ・感染症の予防をする

妊娠前に子宮に異常がないか、自覚症状のない疾患にかかっていないかを検査しておくと良いでしょう。
「ブライダルチェック」は事前検査のひとつであり「妊娠や出産に関係する病気や感染症がないかを確認する」検査を指します。
ブライダルチェックは自覚症状があるものだけでなく、自覚症状のない疾患や性病なども検査が可能です。とくに風疹や梅毒などの感染症は、胎児への感染リスクや流産のリスクがあるため、事前に調べておくと良いでしょう。

また、妊娠後も感染症にかかると切迫流産や流産のリスクが伴うため、注意が必要です。感染症を予防するために、なるべく人混みを避けて、基本的な予防対策をしておくことをおすすめします。

流産や切迫早産との違い

「切迫流産と流産・切迫早産の違いがわからない」という人は少なくないでしょう。
切迫流産と流産・切迫早産との違いは下記の通りです。

特徴 原因 症状
切迫流産 流産はまだしていないが流産が差し迫った状態 妊娠12週未満の場合は、赤ちゃん側に原因があることが多い ・出血がある
・腹部の張りがある
・下腹部痛を感じる
・腰が痛くてだるいと感じる
流産 お腹の赤ちゃんが亡くなっている状態 妊娠12週未満の場合は、赤ちゃん側に原因があることが多い ・出血がある
・腹部の張りがある
・下腹部痛を感じる
・腰が痛くてだるいと感じる
切迫早産 早産はまだしていないが早産になりかけている状態 子宮異常・感染症・ストレスが原因であることが多い ・出血がある
・下腹部の張りがある
・生理痛に近い下腹部や腰の痛みがある

流産は「妊娠22週未満にお腹の中で赤ちゃんが亡くなる状態」を指します。
症状は切迫流産と類似しているため、自分で流産か切迫流産かを判別するのは難しいでしょう。
出血や下腹部に痛みが続く場合や、痛みが強く出血量が多い場合は、主治医にすぐに相談することをおすすめします。
一方で切迫早産は「妊娠22週は経過しているが、37週に満たない時期に早産になりかけている状態」です。
下腹部の張りや痛み、出血を伴うことが多く、子宮口が開きかけている場合は破水しているケースもあります。
早期に発見して治療でおさまるものから、早産が避けられないものまで切迫早産の重症度は幅広いです。
万が一、自分の身体に異変を感じた場合は、すぐに主治医に相談することが大切です。

切迫早産は自己判断が難しいため、心配なときは医師に相談を

切迫流産とは「流産はまだしていないが流産が差し迫った状態」を指します。
切迫流産の症状は、流産と類似しているため、自分で流産か切迫流産かを判別しにくいです。
出血や下腹部に痛みが続く場合や、痛みが強く出血量が多い場合は、主治医にすぐに相談すると良いでしょう。
万が一切迫流産と診断されても、必ずしも流産するわけではないため、慌てずに主治医の指示を受け入れることが大切です。

妊娠12週未満の切迫流産の場合は、赤ちゃん側に原因があることが多いため、事前に予防するのは難しいです。
そのため、過度に神経質にならずにストレスなく穏やかに過ごすことが大切となります。
お母さん側に切迫流産の原因がある場合は、下記の予防方法が良いとされています。

  • ・妊娠前に検査をしておく
  • ・感染症の予防をする

上記の検査や予防をしておくことで、お母さん側の切迫流産のリスクが避けられる可能性が高くなるでしょう。

万が一、切迫流産と診断された場合は、対処法として「安静にすること」が重要です。
自宅で2週間から3週間程度、身体に負担がかからないように生活し、重いものは持たずに、休憩を挟みながら行うことをおすすめします。
自分のため、赤ちゃんのためにも、事前の予防と診断後の対処法をしっかりと理解して、万全の体制で穏やかに妊娠期間を過ごしましょう。

 

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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