InstagramInstagram

妊娠検査薬で陰性なのに病院で妊娠発覚?受診を勧めるケースや把握しておきたいポイント

妊娠の可能性がある場合、多くの方が病院へ行く前に妊娠検査薬を使用して、陽性反応が出たのを確認してから病院を受診します。

現在ドラッグストアなどで販売されている妊娠検査薬は、非常に精度が高くなっています。そのため、妊娠検査薬で陰性と判定されたときは妊娠の可能性は極めて低いということになりますが、中にはその後病院で妊娠が発覚することもあるようです。

妊娠しているにもかかわらず妊娠検査薬で陰性反応が出ることを、「偽陰性」と呼びます。

妊娠検査薬で陰性が出たにもかかわらず、身体にいつもとは違う症状がある、生理予定日から2週間経過しても生理がこないなどの場合は、妊娠している可能性もあるので早めに受診するようにしましょう。

この記事では、妊娠検査薬で陰性が出ても妊娠しているケースと、陰性でも産婦人科の受診を勧めるケース、受診する際に把握しておきたいポイントについてご紹介します。

妊娠検査薬で陰性が出ても妊娠しているケース

超音波エコー検査で胎嚢の確認ができてVサインをしている女性

先輩ママの中には、「妊娠検査薬で陰性だったのに、病院では妊娠していると診断された」ことで妊娠が発覚した方もいるようです。

妊娠検査薬は、陽性か陰性化のどちらかで表示される仕組みで、陰性だと妊娠していないことになります。しかし、陰性が出た場合でも必ずしも妊娠していないとは限らないケースもあり、病院で検査をしてみると陽性反応が出ることも。

それは一体どのような場合に起こる可能性があるのでしょうか。ここでは、妊娠検査薬で陰性が出ても妊娠しているケースの例を2つご紹介します。

妊娠検査薬の使用方法やタイミングが正しくない

妊娠検査薬は、生理開始予定日の1週間後以降に使用するのが正しいタイミングです。

しかし、妊娠を心待ちにしている方の中には、正しいタイミングを待ちきれず、早めに妊娠検査薬を使ってしまう方もいるようです。これは一般的に「フライング検査」と呼ばれています。

妊娠検査薬は、妊娠すると急激に分泌されるhCGヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンの濃度によって判定します。生理予定日より前や、生理予定日から1週間経たないうちは、まだhCGの濃度が十分に増加しておらず、妊娠検査薬では判断できないこともあるのです。

また、妊娠検査薬を正しく使用していない場合も、正確な結果が出にくくなります。たとえば、尿を判定窓にかけてしまった、尿をかけた後水平に置かなかった、尿の量が少ないもしくは多すぎるなどの場合です。

他にも、検査前に水分を取りすぎてしまった場合も、尿中のhCG濃度が薄まってしまうので注意が必要です。

排卵日の乱れ

妊娠が成立していた場合、妊娠検査薬では排卵日から約2週間経過した頃に陽性反応が出ます。早くて約12日目頃に陽性が出ることもありますが、誤差を考えると排卵日から約3週間でほとんど陽性になります。

しかし、普段から生理不順の方はホルモンバランスが乱れており、排卵が正常に行われないケースも多いです。とくに以下のような方は、ホルモンバランスの乱れから、自分が思っていた排卵日と実際の排卵日がズレているかもしれません。

  • 日頃の疲れがたまっている
  • 睡眠不足
  • 精神的なストレスが多い
  • 急激なダイエット
  • 食生活が乱れている

体質的にホルモンバランスが乱れやすい方もいますが、近年とくに増えているのは急激なダイエットによる食生活の乱れです。特定のものしか食べない、食事量が圧倒的に少ないなどの食生活に、心当たりがあるという方もいるのではないでしょうか。

生理不順になっている状態だと、本来自分で思っていた最終生理日が間違っていたり、排卵日がズレていたりして検査すべき時期との誤差が生じ、妊娠しているのに陰性と出てしまうこともあります。

妊娠検査薬が陰性でも産婦人科の受診を勧めるケース

妊娠しているどうか検査の結果を患者さんに伝えている女性医師

上記でもご紹介したように、妊娠検査薬が陰性でも実は妊娠していることもあります。また、下腹部に痛みがある、生理予定日から2週間経っても生理がこない場合なども、なんらかの異常があるはずなので産婦人科を受診すべきです。

ここでは、妊娠検査薬が陰性でも産婦人科を受診した方がよいケースについて、詳しくご紹介します。

下腹部に痛みがある

妊娠検査薬が陰性で下腹部に痛みがある場合、子宮内膜症や子宮筋腫、子宮がんなどの子宮や卵巣、卵管の疾患である可能性もあります。また、膀胱や腹壁の炎症、虫垂炎、ヘルニアなどの可能性もあるので早めに受診すべきです。

女性の場合、下腹部の痛みは婦人科系の疾患であることも多いですが、何科にかかったらよいのかわからないときは、救急外来や外科などで診てもらってもよいでしょう。

生理予定日から2週間生理がこない

妊娠検査薬で陰性が出たにもかかわらず、生理予定日から2週間経過しても生理がこない場合は、もう一度市販の妊娠検査薬で検査を行ってみます。

陽性の判定が出たら早急に産婦人科を受診し、妊娠の確定と異常の有無を確認しましょう。

また、2度目の妊娠検査薬で陰性と判定が出た場合でも病院では妊娠が確認できることもありますし、2週間生理がこないということは、なんらかの影響を受けていると考えられます。

実際に、先輩ママの中には何度か妊娠検査薬で陰性が出たものの、生理がこないために病院を受診して妊娠がわかった方もいるようです。受診するのが早すぎることよりも、遅くなることの方がよくありませんので、ためらわず受診することをおすすめします。

高温期が継続している

妊娠を希望している場合、基礎体温をつけている方もおられることでしょう。基礎体温は、排卵日や妊娠の兆候を知るためにも、つけておくと非常に頼りになります。

一般的に、高温期が17日以上継続していたら、妊娠の可能性が高いといわれています。

妊娠検査薬は、あくまでも妊娠判定補助試薬です。妊娠を確定するものではありませんし、使用する時期が早すぎた可能性もあります。とくに不妊治療などでホルモン剤の投与を受けている場合は、体調に影響を及ぼす可能性も。

妊娠検査薬で陰性が出たにもかかわらず、高温期が継続している場合は、陰性が出た1週間後程度を目安に再度妊娠検査薬を使用するか、病院を受診することをおすすめします。その際は、基礎体温表を持参するとよいでしょう。

病院を受診する際に把握しておきたいポイント

指さしをして確認をしている女性

「妊娠検査薬では陰性だったけれど、何かおかしい」「陰性判定から1週間以上経っても生理がこない」などの場合は、再度妊娠検査薬を使用した上で病院を受診するのがおすすめです。

2度目の妊娠検査薬で陽性が出ることもあれば、陰性のままの場合もありますが、どちらにせよ心配なことがあれば受診すべきでしょう。

ここでは、病院を受診する際に把握しておきたいポイントについてご紹介します。

最終生理開始日

妊娠を確認して分娩予定日が確定するまでは、正確な妊娠週数はわかりませんが、妊娠何週なのかを推測することはできます。

一般的に、妊娠週数の推測には、最後の生理開始日が必要です。なぜなら、最終生理開始日から何週間経過しているかで、大体妊娠何週なのかを推測することになるからです。

反対に、最終生理開始日を把握していないと、万が一病院で妊娠が確認されたときに大体の妊娠週数もわかりません。その場合は妊娠の経過が正常かどうか、流産の可能性、子宮外妊娠の可能性などの判断が難しくなる可能性も。

また、生理不順かどうかも重要なポイントになりますので、普段から生理開始日と終了日をアプリやメモなどに記録しておくとよいでしょう。

妊娠、出産回数

妊娠、出産の回数や出産方法も、病院で初診の際に聞かれることのひとつです。

流産や中絶などの回数も聞かれますので、辛いことを思い出してしまう方もいるかもしれません。どうしても答えたくない場合は、素直に答えたくないと伝えてもよいですが、問診で聞かれることはこれから生まれてくる赤ちゃんに影響する内容ばかりなので、基本的にはすべてに答えるようにしましょう。

また、パートナーや家族にも知られたくない場合は、その旨を伝えると口外しないでおいてくれます。

罹患した経験のある疾患やアレルギー

産婦人科の初診では、これまでに罹患した疾患やアレルギーについても質問されます。これは、合併症や既往歴の有無から、妊娠や出産に伴うリスクの分類を行うためです。

現在もなんらかの疾患に罹っている場合は、その種類によっては妊娠中に悪化したり、治療薬を変更したりしなければならなくなることもあります。

アレルギーについての質問も、未然に発作を防ぐために重要なことです。アレルギーの種類によっては、出産方法に影響する可能性もありますので、漏れのないように申告するようにしましょう。

まとめ

妊娠検査薬で陰性が出ても妊娠しているケースと、陰性でも産婦人科の受診を勧めるケース、受診する際に把握しておきたいポイントについてご紹介しました。

「妊娠検査薬で陰性だったのに、病院で妊娠発覚!」妊娠を待ち望んでいる方にとっては、非常に嬉しいサプライズです。

近年、出産年齢が上昇していることもあり、不妊治療の末に待望の赤ちゃんを授かるケースも少なくありません。とくにそのような場合は、治療で使用しているホルモン剤の影響や、フライング検査によって妊娠検査薬で陰性が出る可能性も。

妊娠検査薬の精度は、現在97%程度といわれており、かなり正確に判定できます。しかし、さまざまな条件が重なって判定が正しく行えないケースもありますので、陰性だったとしても今回ご紹介したようなケースでは、産婦人科を受診することをおすすめします。

妊娠検査薬で陰性だったのに生理がこない、体調に異変があったという方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

関連記事