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つわりが終わらない原因は?安定期以降もつわりが続くときの対策

妊娠中のトラブルとして最も多く挙げられるのが、「つわり」です。安定期になれば終わると思いながら過ごしてきたにもかかわらず、その後もつわりが続いた場合、つらくて不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

つわりの現れ方や重さ、期間は個人差が大きく、つわり自体もなぜ起こるのか解明されていないため、適切なアプローチがわからないことも、つわりのつらさです。そこで今回は、つわりが終わらない理由や時期、つわりが長引く人の特徴、つわりを少しでも改善する方法についてまとめました。

つわりが終わらないケースとは

体験談を話す女性

一般的に、つわりは妊娠5〜6週目に吐き気や食欲不振といった症状が現れ始め、妊娠12〜16週頃には落ち着いてきます。つわりのピークは妊娠8週から9週頃といわれますが、つわりの重さや期間は個人差が大きいのが特徴です。そのため、まったくつわりがない人もいれば、出産直前まで続く人もいます。

さらに、一度つわりがおさまった場合でも、妊娠後期になって再びつわりの症状が出ることもあります。

つわりが終わらない原因

安定期に入ってもつわりが長引く原因として以下のことが考えられます。

胎児の成長
おなかの中で成長して大きくなった赤ちゃんが、胃や腸を圧迫しているケースがあります。
出産の時期が近づくほど、赤ちゃんはどんどん成長して大きくなるため、胎児の向きや位置などによっては、胃や腸が圧迫され続け、結果として出産間際まで吐き気や気持ち悪さが続くと考えられます。
ホルモン分泌の上昇
つわりが起こるメカニズムは現段階では解明されていませんが、妊娠初期のつわりはhCGホルモンが急増するためだと考えられています。一方で、安定期以降になると、プロゲステロンの分泌量が増加していきます。
プロゲステロンというホルモンには、吐き気や食欲不振を引き起こす作用があるため、つわりの時期が過ぎても体調が優れないことがあるようです。
心的ストレス
つわりを引き起こす原因の一つとして考えられているのが、心的ストレスです。
職場の人間関係やや夫婦間でのストレスなど、精神的なストレスが蓄積されると、つわりが悪化し、なかなか症状がおさまらない傾向があります。
妊娠悪阻(おそ)
妊娠悪阻とは重症化したつわりのことをいい、妊婦の0.5~2%の割合で発症するといわれています。
日常生活にあまりにも差し支えがある場合は、治療を受けるという選択肢もあるため、かかりつけの産婦人科に相談しましょう。

つわりが終わる時期

妊婦さん

一般的に、つわりが落ち着いてくるといわれる妊娠12〜16週でつわりが終わらなかった人は、いつ頃までつわりが続くのでしょうか。
安定期につわりが終わらなかった場合、妊娠20〜22週で落ち着く人が最も多く、次いで出産までつわりが続く人が多い傾向にあります。

産むまでつわりが続く確率

出産までつわりが続いたという人は、全体の6〜13%程度と、決して少ない割合とはいえません。
15人のうち1〜2人程度が赤ちゃんを産むまでつわりが続くことになります。

つわりが終わらない人の特徴

つわりが長引く人の特徴や原因について、現時点では、はっきりとした根拠はわかっていません
また、同じ人であっても1人目を産むときと2人目を産むときとで、つわりの現れ方に違いが出ることもあるため、一概に体質によるものともいえません。

あくまでも、つわりが終わらない人に共通する傾向として、以下の点が挙げられます。

  • ・冷え性
  • ・ビタミンB6が不足
  • ・乗り物酔いしやすい
  • ・腎臓や胃腸が弱い

 

冷え性

冷え性は、人が寒さを感じない温度であるにもかかわらず、手足が冷たくなる状態です。体を冷やすと体内の循環が乱れ、つわりが悪化する可能性があるため、夏場のエアコンや寒い冬の時期に外出をする際は十分に気をつけましょう。

生姜入りの温かい飲み物を飲む、ゴボウやサツマイモといった根菜類など、体を温める食材を積極的に食事に取り入れる、適度な運動を行う、といった対策がおすすめです。反対に、体を冷やすといわれている食材(きゅうり・トマト・レタス・パイナップル・みかん)や冷たい飲み物は、過度に摂取しないよう心がけましょう。

ビタミンB6が不足

ビタミンB6の摂取は、つわりの症状を軽減する有効な方法であることが確認されており、1日あたりの摂取目安量は10〜25mg程度です。一般的に、成人女性に必要なビタミンB6の摂取量は、1日当たり1.9mg程度であることを考えると、かなり意識的にビタミンB6を含む食材を取り入れる必要があるといえます。

・ビタミンB6が多く含まれる食材
カツオ、マグロ、鮭、鶏ささみ、バナナ、赤パプリカ、サツマイモ、玄米

ビタミンB6を食材から取り入れることが難しい場合は、サプリメントを含む栄養補助食品に頼るのも一つの方法です。

乗り物酔いしやすい

乗り物酔いしやすい人は、生まれつき三半規管が弱く、短期的に体質改善することは難しいかもしれません。
普段から乗り物酔いしやすい人は、妊娠中のホルモンバランスの変化により、いつも以上に自律神経が乱れる可能性があります。

日頃から乗り物酔いしやすく、つわりの悪化が怖いという人は、乗り物に乗ること自体を避ける、乗車中にスマートフォンや本を見ないようにするなどの対策が必要です。

腎臓や胃腸が弱い

腎臓や胃腸が弱い人の多くが、日頃から、空腹時に胃がギューっと傷む、少し食べると胃が張って苦しい、といった症状に悩んでいます。同様に、便秘や下痢をしやすい人も腸の働きが良くない可能性があります

日頃からこういった傾向がある人は、つわりも悪化しやすい傾向にあるため、体質改善に取り組むことをおすすめします。

冷えを防ぐことや適度な運動はもちろん、発酵食品や乳酸菌を取り入れることで腸の調子を整えることができます。また、冷たいものや辛いもの、油っこいものなど、胃に負担をかける食材を控えることで、少しずつ胃腸の調子が整っていくでしょう。

終わらないつわりをどう乗り越えた?

ママと赤ちゃん

つわりには個人差があるとはいえ、つわりが終わらない場合には、長期に渡って吐き気や嘔吐とうまく付き合っていかなければいけません。つわりを和らげる方法や、つらい時期の乗り越え方について、把握しておきましょう。

■吐きづわりの場合
吐きづわりの場合、最も懸念されるのが脱水です。水分補給ができるよう、氷や炭酸水、野菜スープなど、液体や冷たいものなら口にできたという声もあります。無理に3食食べようとせず、水分を摂ることを優先しましょう。

■食べづわりの場合
常に何かを食べていないと気持ちが悪くなるという場合は、空腹にならないように食事を小分けにして摂取することがポイントです。常に食べていると肥満の心配も出てくるため、カロリーの低いもの、酢昆布のように長く口の中に入れておけるものを選びましょう。

■においづわりの場合
ご飯の炊けるにおいを例に、特定のにおいを嗅ぐと気分が悪くなる方もいます。そういった場合は、マスクをする、冷ましたご飯を食べるといった対策を取りましょう。

まとめ

つわりの現れ方に個人差が大きく、つわりの症状をまったく感じない人もいれば、出産直前までつわりがおさまらない人もいます。つわりのメカニズムはまだ解明されていないため、絶対的な改善方法は残念ながらありません。そのため、つわりが長引く場合は、吐き気や気持ち悪さとうまく付き合っていかなければなりません。

今回紹介した対策をつわりを和らげる方法を参考にしながら、少しでもつわりが改善するよう、試してみてください。そして、つらいと感じた場合には、無理をせずにかかりつけの産婦人科に相談しましょう。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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