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出産一時金とは?申請方法と知っておきたい5つの知識を紹介

出産一時金は、出産をした際に公的医療保険制度から受け取ることができるお金のことです。子供を産む際に、入院などにかかる費用が心配という方は多いのではないでしょうか。そういった方をサポートするために設けられているのが、出産一時金という制度です。

本記事では、出産一時金の申請方法や支給額などについて解説いたします。

出産一時金とは?

出産育児一時金支給申請書

出産一時金とは子供を出産したときに、加入している公的医療保険制度から受け取ることができるお金のことです。出産は病気や怪我には含まれません。そのため、健康保険に加入していたとしても、健康保険の適用対象にはならないため、分娩費用や出産に伴う入院費などについては、すべて自己負担になってしまいます。

そうなると、出産の際にかかる負担が大きくなってしまいます。出産に関わる費用の負担を軽減するため、出産一時金という制度があるのです。出産一時金は法令によって定められている制度なので、どの健康保険に加入していたとしても受け取ることが可能です。

出産一時金には支給を受けるための条件が定められています。「公的医療保険に加入している被保険者、または公的医療保険に加入している夫の被扶養者」です。対象期間は、妊娠4ヵ月(85日)以降であることです。対象期間であれば、早産や死産、流産、人工妊娠中絶なども支給対象として含まれます。

会社員の方が出産のために退職して、夫の扶養に入るというケースも考えられるでしょう。その場合は、扶養家族として家族出産一時金という形で給付を受けられます。
また、妊娠中に退職をして、その後に出産した場合は次の条件を満たすことで、それまでに加入していた健康保険組合から出産一時金の受給が可能です。

  • ・退職するまでに1年以上、継続して健康保険の被保険者である場合
  • ・健康保険の資格を喪失してから6ヵ月以内に出産した場合

夫もしくは自分の健康保険組合のどちらか一方のみから受け取れます。
重複して受け取ることはできないので注意してください。転職の場合は、新しい職場で勤務を開始すると、自身の健康保険組合から支給されます。その際には重複受給が発生しないように、事前に確認を行っておくことが大切です。

出産一時金の申請方法

出産一時金とは?申請方法や支給額について詳しく解説

出産一時金を受け取る際の申請方法について紹介いたします。
直接支払制度、受取代理制度、事後申請があります。

直接支払制度

直接支払制度とは、出産一時金を健康保険組合が医療機関に直接支払う制度のことです。出産される方が一時的にでも支払金額を用意する必要がないのがメリットです。

まず医療機関に保険証を提示します。医療機関で直接支払制度に関する書類を用意してもらい、内容を確認して問題がなければサインして申し込みます。
その後、医療機関が支払機関に請求し、支払機関が健康保険組合に請求をします。

最終的に健康保険組合から支払機関、医療機関という流れでお金の支払いが行われるという流れです。

もし、出産費用が42万円を超えた場合、自己負担として退院時に支払わなくてはいけません。

受取代理制度

直接支払制度は、多くの医療機関で利用できる制度ではありますが、小規模の医療機関では導入されていないケースもあるため注意が必要です。直接支払制度が利用できない場合に利用されるのが、受取代理制度です。

利用する際には事前申請をしなくてはいけません。出産一時金の受給資格があり、出産予定日まで2ヵ月以内であれば申請をすることが可能です。

まずは申請書に必要事項を記入して、健康保険組合に提出を行います。健康保険組合が医療機関に対して、申請受付通知書を送付します。出産をした後に、医療機関が健康保険組合に出産に関わる費用についての書類を送付し、健康保険組合が医療機関にお金を支払うという流れです。

出産一時金は、一旦手元にお金が入るわけはないことに注意しましょう。

受取代理制度は、直接支払制度と比べてそれほど大きな違いはありません。申請をするだけで利用することが可能です。

事後申請

直接支払制度や受取代理制度を利用しなかった場合に、利用できるのが事後申請です。事後申請は、産後に出産一時金を申請する制度です。退院時は出産費用を自費で支払わなくてはいけないのですが、その際にクレジットカードを使うとポイントがつくなどのメリットもあります。

支払制度に関する書類に記載されている「直接支払制度・受取代理制度は利用しない」という項目にチェックを入れて医療機関に提出してください。退院時には、医療機関に対して全額自費で支払いましょう。それが完了したら、申請用紙と医療機関との合意書、分娩などにかかった費用の明細書などを揃えて、健康保険組合もしくは市町村に提出をします。

申請後、2週間〜2ヵ月後に指定の金融口座に一時金が振り込まれるという流れになっています。

出産一時金の支給額

赤ちゃん

出産一時金として受け取ることのできる額は、原則として一律42万円です。協会けんぽや組合健保、国保など保険にはさまざまな種類がありますが、どこに加入していたとしても支給額自体は変わりません。
制度がスタートした当初の支給額は30万円でしたが、ど現在では原則42万円が支給されることになっています。

ここで注意が必要なのが、出産費用と出産一時金に差額が生まれたケースです。

先ほども説明したとおり、出産費用が出産一時金を上回った場合は、差額を自分で負担しなければいけません。一方、出産費用が42万円を下回った場合は、申請することでその差額を受け取ることができます。健康保険組合に差額請求を行えば、差額の支給が行われます。差額の支給は意外と忘れがちなので、しっかりと申請するようにしてください。

【まとめ】出産一時金を利用しよう

赤ちゃんを抱っこするカップル 子育てイメージ

出産一時金は出産にかかる費用の負担を軽減してくれる魅力的な制度です。
詳細については知らない人も多いかもしれません。
制度についての知識が不足しているばかりに、受け取れないなどということがないようにしましょう。

本記事を参考に、利用できる制度を有効に活用してください。また、出産一時金は出産手当金とは異なります。名前が似ている制度も数多くあるので、それらと混同することがないように、しっかりと情報を整理しておく必要があります。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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