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卵子の寿命は排卵後24時間!妊娠の仕組みや妊娠成立の条件について

妊娠の成立には子宮内で卵子精子が出会い、着床する過程が必要です。しかし、卵子の寿命は精子より短く、月経・排卵周期に個人差も見られることから、望んだときにすぐに妊娠できるとは限りません。妊娠をするためには仕組みを知り、タイミングを適切に見極めることが重要です。本記事で詳しく解説しますので、現在妊活中の方や将来妊娠を考えている方は参考にしてください。

卵子の寿命

卵子に向かって精子が進んでいくイメージ画像
一般的に、卵子の寿命は排卵後24時間とされています。排卵が起こると、卵子は子宮の卵管で精子の到着を待っており、24時間以内に受精しない(精子と出会わない)場合、妊娠は成立しません。受精しなかった卵子は、子宮内膜とともに体外へ排泄されます。これが月経です。

一方、精子の寿命は膣内射精後72時間とされています。卵子の寿命が24時間とされているのに対し、精子は子宮内で3倍も長く生きることが可能です。

妊娠の仕組み

排卵された卵子と膣内に射精された精子が以下の流れを辿ることで妊娠が成立します。

1. 卵巣から卵子が排出される
2. 卵子と精子が卵管内で受精する
3. 受精卵(胚)が卵管内で細胞分裂を繰り返す
4. 受精卵(胚)が子宮に向かって移動する
5. 受精卵が子宮内膜に着床する

卵巣から、卵子が排出されることを排卵と呼びます。排卵された卵子は子宮と卵巣をつなぐ卵管に取り込まれ、精子の到着を待ちます。射精された精子がそこで待つ卵子と出会えれば受精です。受精卵は細胞分裂を繰り返しながら子宮へと移動し、子宮内膜へ着床します。

卵子の寿命は24時間、精子の寿命は72時間とされているため、正常な周期で月経が起こっている場合は排卵日を予測しその前後で性交渉を持つと妊娠成立の可能性を高められます。受精可能期間の詳細については、以下で解説していますので参考にしてください。

受精可能期間とは

月経周期が正常である場合に28日周期を例として考えると、月経開始日から数えて14日目が排卵日になると予測できます。卵子の寿命は比較的短いため、妊娠成立には排卵のタイミングに合わせて精子がそばにいることが理想です。だからといって、予測した排卵日当日に必ず性交渉を持つ必要はありません。一般的には精子の寿命も考慮し、予測した排卵日の3日前から1日後、計5日間を受精可能期間と考えます。

年齢の増加にともなって妊娠率は低下する?

女性における妊娠の確率は、加齢により低下する可能性があります。以前行われた不妊の頻度に関する調査によると、不妊の頻度は25歳~29歳では8.9%、30~34歳では14.6%、35~39歳21.9%、40~44歳では28.9%です。30歳を超えると数値がやや高くなっています。日本においては、35歳以上の初産婦を「高齢出産」と定義しており、加齢にともなう妊娠や出産のリスクが上昇するため注意を呼びかけています。

妊娠成立の条件

妊娠成立には、以下の条件が必要です。

  • 排卵
  • 射精
  • 受精
  • 着床

 
卵巣から卵子を排出する排卵が行われること、パートナーとの性交渉により膣内に射精が行われること、卵子と精子が出会い受精すること、受精によって受精卵となり子宮内膜に着床すること、これら4つの条件が全て揃わなければ妊娠は成立しません。月経周期が不安定、精子の数や状態が不十分などは、妊娠成立の条件を阻害する要因となる可能性があります。

排卵

卵巣にある卵胞と呼ばれる袋の中で、成熟した卵子が排出されることを排卵と呼びます。通常は月経周期に合わせて起こるため、正常な月経周期であれば排卵日はある程度予測可能です。排卵された卵子は卵管に取り込まれ、精子の到着を待ちます。

射精

射精とは精子を含む精液が体外に排泄されることです。射精には陰茎の勃起が必要で、多くの場合は性的な興奮を得て神経が刺激されることで勃起が起こります。勃起中に陰嚢・精管・前立腺の筋肉に収縮運動が起き、精巣内で産出された精液が尿道へ押し出されると射精に至ります。

受精

排卵により卵管に取り込まれた卵子と、射精により膣内に放たれた精子が出会うことを受精と呼びます。卵子の寿命は24時間であり、この間に上手く精子と出会えると受精が成立し受精卵となります。射精によって膣内に放たれる精子の数は1億個以上とされますが、この中で卵子との受精が成立するのはたった1個です。最も運動性が良い精子が選ばれます。

着床

受精卵が子宮内膜にもぐり込むことを着床と呼びます。排卵に合わせて、子宮内膜は着床に備え「受精卵のベッド」を作るために厚みを増していきます。受精卵となってから約7〜12日後に着床が完了し、妊娠成立です。

卵子と精子が出会わず受精卵とならなかった場合は着床が起こることはありません。厚くなった子宮内膜ははがれ落ち、月経として体外へ排出されます。

女性側の不妊の原因

妊娠を望んでもなかなか上手くいかない場合は、不妊症の可能性があります。女性における不妊の原因としては以下の要因が挙げられます。

  • 子宮着床因子
  • 卵管因子
  • 排卵因子

 
子宮筋腫や粘膜下筋腫など、子宮内にこぶ状の良性腫瘍ができることで受精卵の着床が阻害されることがあります。また、性器クラミジア感染症に感染した場合など子宮内の炎症により卵管が詰まり、卵子の取り込みができなくなることも不妊原因の一つです。過度なダイエットやストレスなどにより月経不順をきたし、排卵が正常に起こらないことが原因となる場合も少なくありません。

子宮着床因子

子宮内膜に何らかの異常が起こると、受精卵が正常に着床できなくなる場合があります。例えば、子宮内に良性の腫瘍ができる子宮筋腫などが代表的です。ほかにも、先天的な子宮の形態異常や手術歴、炎症などがある場合も受精卵の着床を阻害してしまう可能性があります。

卵管因子

通常、排卵された卵子は卵管に取り込まれて精子の到着を待ちます。しかし、何らかの影響により卵管が詰まってしまった場合、卵子が取り込まれず受精が成立不可能になります。

要因として多く見られるのは性器クラミジア感染症です。女性におけるクラミジア感染は無症状であることが多いため、感染に気が付かないまま卵管閉塞を起こしてしまうことがあります。また、虫垂炎など骨盤内の手術歴がある場合や、子宮内膜症を発症している場合も卵管周囲の癒着を引き起こし、卵子の取り込みが不可能になるケースがあります。

排卵因子

月経周期が正常である場合は、その周期に合わせて規則的に排卵が起こっているといえます。しかし月経不順をきたしている場合は、通常のタイミングで排卵されていない可能性があります。月経不順の場合、月経自体が起こらなければ無排卵の状態です。また、たとえ月経のような出血があったとしても排卵が行われていないケースも見られます。

ほかにも、女性ホルモンの産生に関わる甲状腺機能の異常や、過剰なダイエット、肥満なども排卵に影響を及ぼすことが知られています。

不妊の原因は男性側にもある

「不妊」と聞くと女性に原因があるイメージを持たれることも多くありますが、男性の不妊症も珍しいことではありません。男性不妊としては、精子を作り出す機能に問題を抱える造精機能障害、精子の通り道に問題を抱える精路通過障害、性交渉が行えない性機能障害などが挙げられます。

厚生労働省子ども・子育て支援推進調査研究事業による2016年の全国調査結果によると、男性不妊における原因として造精機能障害の割合は82.4%にも上り、最も多い結果となっています。不妊の原因はどちらか一方にあるとは限りません。男女ともに起こる可能性があり、原因や対処法を理解しておくことが重要です。

男性不妊の原因については以下の記事でも解説しています。より詳細な内容を知りたい方は参考にしてください。

参考記事:男性不妊の原因とは?種類や検査方法、治療方法について解説

不妊治療の種類

不妊治療にはいくつかの種類があることをご存知でしょうか。大きく分けて、以下の3つの方法が一般的です。

  • タイミング法
  • 人工授精
  • 体外・顕微授精

 
最も取り組みやすく、自然な形で妊娠を促すことができる方法が「タイミング法」です。月経周期から排卵日を予測し、それに合わせて性交渉を持ちます。タイミング法で妊娠に至らない場合や、精子の運動性が低い場合などに用いられるのが「人工授精」です。男性の精液を採取し、運動性の良いものを抽出して子宮に注入します。排卵日に合わせて注入することで妊娠成立をサポートします。

ほかの方法では妊娠が難しかった場合には、「体外・顕微授精」が検討されます。体外で人工的に授精させ、受精卵が確認できた後に子宮へ注入する方法のため、ほかの方法と比較し妊娠の確率が高いことが特徴です。

タイミング法

自然に近い形での妊娠成立を促す方法がタイミング法です。月経周期が正常であり、男性不妊の原因が認められない場合に用います。月経周期が正常であれば排卵日をある程度予測することが可能になるため、それに合わせて性交渉を持つことで自然妊娠を促します。

月経周期が正常の場合は基礎体温を計測することで排卵日の予測が可能です。排卵日付近に医療機関を受診のうえ、卵胞(卵子を包む袋)の状態を検査し、その大きさから具体的な排卵日を推定します。推定された排卵日の3日程度前から性交渉を持つようにすると妊娠の確率を上げることができます。

タイミング法は保険適用となりますが、医療機関における検査や通院回数、場合により薬物療法を行うことがあるため、費用は2,000円~20,000円程度です。有効周期は6周期といわれており、その間に妊娠に至らない場合は別の方法を検討します。

人工授精

運動性の良い精子を採取し、直接子宮へ注入する方法が人工授精です。タイミング法で妊娠に至らなかった場合や、男性不妊の場合などに用いられます。通常は卵管内で卵子と精子が出会うことで受精が起こりますが、精子の数が少ない、または運動性が低下している場合に受精までの期間を人工的に縮めることで妊娠成立を促す方法です。タイミング法と同様に卵胞の大きさから排卵日を推定し、それに合わせて精液から採取した精子を子宮へ注入します。

人工授精1回につき15,000円〜20,000円程度の費用が必要です。ただし、事前の検査や通院回数によっても異なりますので、あくまで目安として考えておくと良いでしょう。有効周期はタイミング法と同程度の6周期といわれ、この間に妊娠に至らない場合は体外・顕微授精を検討します。

体外・顕微授精

人工的に採取した卵子と精子を体外で授精させ、受精卵が形成されたことが確認できた後に子宮へ注入する方法が体外・顕微授精です。体外授精は採取した1個の卵子に対し、いくつかの精子を振りかけることで人工的に授精を行いますが、顕微授精は精子の中でも最も動きの良いものを1個抽出し、採取した卵子に顕微鏡下で直接注入します。通常の体外授精で妊娠に至らなかった場合や、精子の数が少ない場合に適応されます。

体外・顕微授精は受精卵になって細胞分裂をしたことを目で確認するため、他の方法と比較して妊娠の確率が高い「高度不妊治療」です。しかし、治療に特殊な検査や技術を要すること、受精卵の培養が必要になることなどから、30万円〜100万円と高額な費用がかかります。さらに、通院の回数も増えるため厳密なスケジュール管理も必要です。多くの場合、ほかの全ての治療を行っても妊娠が望めなかった場合の「最終手段」として用いられます。

まとめ

妊娠成立には特定の条件のほかにも、年齢やその日の体調など個人差の影響が大きいことも事実です。しかし、条件を満たし、適切なタイミングで性交渉を行っているにも関わらず妊娠できない場合は不妊症も考えられます。

不妊の原因は男女どちらにも存在する可能性があるため、パートナーとともに医療機関を受診することをおすすめします。専門家による適切な問診や検査を受けることで身体の状態を理解でき、より良い方法を見つけられるでしょう。

東京の「ミネルバクリニック」は臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設であり、たくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。ミネルバクリニックでは、妊娠9週から受けられる赤ちゃんの健康診断である「NIPT」を業界最新の技術と業界随一の対象疾患の広さで行っております。遺伝のエキスパートである臨床遺伝専門医が出生前診断を提供しておりますので、是非、お気軽にご相談ください。妊娠初期からの出生前診断を受ける医療機関にお悩みの方は、知識・経験・実績とも「第三者から認証されている」臨床遺伝専門医が診療している「ミネルバクリニック」まで是非、ご相談ください。
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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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