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着床には完了・失敗のサインはあるの?着床時の症状や注意点を解説

妊娠は着床が完了することで成立します。そして着床完了・失敗のサインは外見からでは見極めることはできません。

そこでこの記事では、着床したかどうかを確かめたい方向けに、着床成功・失敗のサインを見極める方法をお伝えします。

この記事で紹介する着床サインとご自身にある症状を照らし合わせ、現在の状態を把握できるようになりましょう。

着床とは?完了サインと出現時期

妊娠成立のプロセスを理解する上で着床は切っても切り離せません。そして妊娠したか確かめるためにも着床サインを見極めることは重要です。

そこでこの章では、着床から妊娠までのプロセスや体の中で起こる変化、着床完了のサインについて詳しく解説します。

 

着床とは?妊娠までのプロセス

着床とは受精した受精卵が卵管を通り、子宮内膜に到達することです。

受精卵は卵管を通る過程で細胞分裂を繰り返して胚盤胞となり、子宮内膜に着床します。そして受精卵の表面には合胞体栄養細胞という子宮内膜の表層を壊し、潜り込むための組織があります。

妊娠は受精卵が子宮内膜に着床し潜り込むことで成立するのです。

 

着床完了のサインと出現時期

着床完了(妊娠完了)のサインは、尿中に排泄されるhCGホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)という妊娠ホルモンで分かります。

hCGホルモンとは妊娠した女性のみ分泌されるホルモンで、妊娠継続を促すプロゲステロン黄体ホルモン)の分泌を促す働きがあります。妊娠検査薬でhCGホルモンが検出される時期は、生理予定日の1〜2週間後、つまり妊娠5〜6週目です。

妊娠検査薬自体はドラッグストアで入手でき、簡単に妊娠判定を行えるのでオススメです。

着床失敗のサインは?

着床失敗の最も分かりやすいサインは、月経周期に戻ることです。簡単に言うと、生理が始まるということです。

生理とは排卵された卵子が受精することなく、妊娠準備のために肥厚した子宮内膜が剥がれ落ちるのと一緒に体外に排出されることです。

生理が始まるということは「受精しなかった」もしくは「受精卵は子宮内膜に着床できなかった」ということになります。

妊娠兆候!着床が完了すると現れる6つの症状

着床痛のイメージ画像

着床が完了すると妊娠兆候として以下の6つの症状が現れます。

  • ・おりものの変化
  • 着床出血
  • ・着床痛
  • ・貧血や体のだるさ
  • ・風邪に似た症状
  • ・情緒不安定

これらの症状が出現する妊娠初期は、心身ともに疲労します。そのため、症状の出方や観察ポイント、対策などを事前に知っておくと心の準備もしやすいでしょう。

では、1つずつ解説します。

 

1. おりものの変化

着床時期には膣のPH(酸アルカリ塩基平衡)が酸性からアルカリ性に傾くため、おりものの性状が変化します。

通常、膣は外部からの細菌が侵入しないように酸性に傾いています。一方の精子はアルカリ性の環境で活発になるため、受精や着床を促すために膣内をアルカリ性に傾かせます。

そのため、おりものがいつもよりサラサラになったり、反対に粘っこくなったりします。また、臭いがきつくなったり、白く濁ったりすることもあるでしょう。

また、おりものの量はエストロゲン(卵胞ホルモン)というホルモンの分泌量と比例して増減します。エストロゲンは排卵前から分泌が始まり、妊娠すると分泌量は増え続けます。そのため、妊娠後はおりものの量が増えることも予測されます。

このように、妊娠後はおりものの変化が著しいと言えるでしょう。

 

2. 着床出血

着床出血とは、受精卵が子宮内膜に潜り込む際に子宮が傷ついて出血するものです。発症時期が生理予定日に近いことから生理による出血と間違えて、妊娠に気づかない方もいます。

そこで生理と見分ける方法として、出血量を目安にすると良いでしょう。着床出血は子宮内膜が剥がれ落ちる生理に比べると極少量の出血になります。出血期間も1〜2日と短い特徴もあります。

着床出血を確認したら流産子宮外妊娠の可能性を否定するためにも、早めに産婦人科を受診しましょう。

 

3. 着床痛

着床痛とは、受精卵が子宮内膜に着床する際に感じるチクチクとした痛みです。また人によっては、以下の症状を訴える方もいます。

  • ・ズキンという腹痛
  • ・腰痛
  • ・胃の痛み
  • ・胸の張り
  • 発症期間は生理予定日の2〜3日後であり、着床が完了するタイミングです。

     

    4. 貧血や体のだるさ

    月経や妊娠初期の着床出血で鉄分を失うことが多く、貧血や体のだるさを訴える方もいます。

    体中に酸素を運ぶヘモグロビンの原料は、鉄分です。鉄分が不足すると酸素供給が上手くできず、めまいや立ちくらみといった貧血症状や全身のだるさの原因になります。

    また出産時も大量に出血します。そのため、妊活中から定期的に葉酸を摂取して貧血予防をしておくことが重要です。

     

    5. 風邪に似た症状

    妊娠初期症状として風邪に似た症状が出ることもあります。

    具体的には、以下のような症状が挙げられます。

    • ・微熱が続く
    • ・頭がボーッとした感じ
    • ・鼻水・鼻詰まり
    • ・咳
    • ・胃のムカムカ感
    • ・体がだるく、活動意欲がない

    妊娠初期症状とただの風邪症状を見分けるポイントは、以下の通りです。

    • ・長期的に続く
    • ・症状が一定
    • ・なんかいつもと違う感覚

    ただの風邪なら症状の増減をしつつ、短期間で軽快・消失します。一方の妊娠初期症状は、症状が一定かつ長期間続くことが特徴です。風邪と同じような症状が何週間も続くなら着床サインの可能性もあります。

     

    6. 情緒不安定

    妊娠後はホルモンバランスが崩れるため、情緒不安定になりやすいでしょう。

    妊娠後に分泌量が増えるホルモンは、以下の3つです。

    • エストロゲン(卵胞ホルモン)
    • プロゲステロン(黄体ホルモン
    • hCGホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン

    エストロゲンは、卵胞(受精卵)の成長促進や栄養素や水分を体に溜め込むように働きかけます。プロゲステロンは、妊娠継続ができるように子宮内膜を厚くしたり、温めたりする働きがあります。

    またプロゲステロンの産生を高めるhCGホルモンも妊娠直後から大量に分泌されることが分かっています。

    このように妊娠直後は様々なホルモンの分泌が盛んになり、ホルモンバランスが崩れることで情緒不安定になるのです。

    加えて、以下のことも情緒不安定の原因として考えられます。

    • ・様々な妊娠初期症状(つわりや貧血)
    • ・出産・子育てへの不安
    • ・不眠

    これら原因と上手く付き合っていき、感情をコントロールしていく必要があります。

    【危険】妊娠不成立となる異常な着床に注意!

    異所性妊娠という言葉を耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか。

    着床は妊娠成立のサインであり喜ばしいことです。しかし着床部位によっては、命の危険に晒される危険性もあります。

    そこでこの章では、異常な着床について、以下の2つをお伝えします。

    • ・異所性妊娠
    • ・流産

    着床・妊娠に伴うリスクや対策を理解しておくと、安心して妊娠初期を過ごせます。異常な着床に気付くためにも参考にしていただけると幸いです。

     

    異所性妊娠

    異所性妊娠とは、受精した受精卵が子宮内膜以外に着床して妊娠することです。

    着床部位によって呼び方が異なります。

    • ・卵管妊娠
    • ・卵巣妊娠
    • ・腹腔妊娠
    • ・頸管妊娠

    これらの中でも卵管妊娠は異所性妊娠の95%を占めると言われています。

    特に月経不順の方は、異所性妊娠に注意が必要です。普段から月経不順だと妊娠後の無月経に気づかなかったり、異所性妊娠による不正出血を月経による出血と勘違いしたりします。

    異所性妊娠に気づかず受精卵が成長し続けると、着床部位によっては大量出血でショック死のリスクも十分考えられます。そのため、急激な腹部症状(腹痛など)があれば、必ず産婦人科を受診しましょう。

    ※参考資料:厚生労働省 P3

     

    流産

    流産とは胎児心拍が止まり、妊娠の継続ができなくなった状態のことです。自然妊娠中絶のことを示し、妊娠22週未満の胎児が定義の対象となります。

    流産の原因は、以下の通りです。

    • ・性病などの感染症にかかる
    • ・子宮やホルモン分泌の異常
    • ・内分泌系疾患
    • ・仕事やスポーツなどで激しい運動
    • ・胎児の染色体異常・遺伝性疾患

    医療機関に報告された妊娠件数の約15%が流産になるというデータもあります。また流産となった胎児のうち、80%以上が妊娠12週未満と言われています。

    ※参考資料:
    厚生労働省/流産
    公益社団法人 日本産科婦人科学会/流産・切迫流産

    着床に関するよくある3つの質問

    この章では、着床に関するよくある3つの質問に回答します。

    質問①:着床出血や着床痛に気づかない人もいますか?

    質問②:着床は受精から最短で何日ですか?

    質問③:着床してからどれくらいで妊娠反応が出ますか?

    具体的な内容で回答しているので、ぜひご活用ください。

     

    質問①:着床出血や着床痛に気づかない人もいますか?

    もちろんいます。

    特に日頃から生理痛や出血が重たい方は、妊娠サインである着床出血や着床痛に気づかないこともあります。その場合、つわりや貧血など別の妊娠初期症状で妊娠したことが発覚するケースも稀ではありません。

     

    質問②:着床は受精から最短で何日ですか?

    受精後から最短で5日〜1週間です。

    受精とは、卵巣から排出された卵子と子宮を登ってくる精子が卵管で出会うことです。その後、受精卵は着床するために細胞分裂を繰り返しながら子宮内膜に向かいます。この期間がおよそ5日〜1週間になります。

     

    質問③:着床してからどれくらいで妊娠反応が出ますか?

    着床して1ヶ月ぐらいで妊娠反応が確認できます。

    理由は、妊娠した女性特有のホルモンであるhCGホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の分泌量が、妊娠検査薬で検知できる量に達するまでに1ヶ月程度かかるからです。

    妊娠した日が分かりにくい人は、生理予定日の1週間後から妊娠反応ができると覚えておくと良いでしょう。

    まとめ: 体の変化を感じたら着床したサインかも

    着床出血のイメージ画像

    着床後は妊娠を継続するため、お母さんの体は大きく変化します。一方で妊娠不成立だった場合、再び月経周期に戻ります。つまり着床失敗のサインです。

    着床後は着床出血や着床痛に加えて、おりものの変化や貧血などの妊娠初期症状が現れます。これらの症状の有無で着床成功もしくは着床失敗を見分けることができましたね。

    また異所性妊娠のリスクについてもお伝えしました。異所性妊娠に気づかずに妊娠継続をすると、取り返しのつかない事態になることもあります。妊娠の可能性があり、着床サインがあれば早めに産婦人科に受診することをオススメします。

    この記事で紹介した着床サインとご自身の症状と照らし合わせて、着床や妊娠の有無を考えていただけると嬉しいです。

    プロフィール

    この記事の筆者:仲田洋美(医師)

    ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

    仲田洋美のプロフィールはこちら

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