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破水後の出産までの流れと陣痛待ちにおすすめの過ごし方

臨月に入り出産が近づいてくると、陣痛はいつ起こるのかと不安を感じているママもおられることでしょう。

とくに破水が先に起こってしまった場合、どうしたらよいのかわからず、パニックになってしまう方も多いようです。そのような場合、必ず入院管理のもと陣痛を待つことになりますが、破水後もなかなか陣痛がこないこともあります。

この記事では、破水後の出産までの流れと陣痛待ちにオススメの過ごし方についてご紹介します。

通常は破水して間も無く陣痛がはじまりますが、24時間経過しても陣痛がはじまらないケースも。そのような場合、陣痛促進剤を使用して分娩につなげますが、出来るだけ自然とお産がはじまるよう、陣痛が促進される過ごし方を知っておくことをオススメします。

先に破水したときの一般的な出産までの流れ

かわいいアジアの生まれたばかりの赤ちゃんの女の子は、バスタブで入浴します。 優しさで赤ちゃんの体を掃除するお母さん

通常の場合、破水は陣痛が強くなり、子宮口が全開に近い状態(全開大)になったときに起こりますが、陣痛が開始する前の段階で破水してしまうこともめずらしくありません。これを「前期破水」と呼びます。

では、前期破水が起こった場合、どのような流れで出産に至るのでしょうか。ここでは、先に破水したときの一般的な出産までの流れをご紹介します。

かかりつけの産婦人科へ連絡

破水で流れ出る羊水の量には個人差があるため、尿漏れやおりものと勘違いしてしまう方もいるようです。ジャージャーと羊水が流れ出る場合だけでなく、破水かどうかの判断に迷う場合も、かかりつけの産婦人科に連絡して指示を仰ぎましょう。

病院へ来るよう指示があった場合は、まずは厚めの生理用ナプキンや尿漏れパッドをつけ、事前に用意しておいた入院セットを持って病院へ向かいます。

その際は、タクシーか自家用車で病院へ向かいますが、くれぐれも自分で運転しないようにしましょう。座ったときにシートが濡れてしまわないよう、バスタオルや防水シートを敷いておくと安心です。

感染の恐れがあるため、シャワーや入浴、ウォシュレットの使用も控えてください。

検査で破水を確認したら入院

病院到着後は、本当に破水しているか検査します。破水しているかどうかは、試験紙を使うと簡単に調べることができます。

破水していることが確認されたら、いよいよ入院の手続きです。その後は、お腹の張りや赤ちゃんの心拍を確認するNSTと呼ばれる分娩監視装置を装着したり、内診などの診察をしたりして赤ちゃんの状態やお産の進み具合を確認します。

陣痛が開始

陣痛がきてから破水して分娩が開始すると思われている方も多いですが、実は先に破水してから陣痛がはじまるケースも少なくありません。破水後は、ほとんどのケースで24時間以内に陣痛がはじまります。

陣痛とは、規則的なお腹の張りや痛みが10分以内の間隔で起こる状態です。陣痛は赤ちゃんを押し進める力となります。破水をしていても陣痛がこなければお産は進まないのです。

陣痛が起こると、それとともに子宮口が開いていきます。陣痛が開始してから子宮口が開き切るまでにかかる時間は、初産婦さんで10〜12時間、経産婦さんで4〜6時間くらいが目安です。

ママは徐々に強まる痛みに苦しむことになりますが、うまく痛みを逃がしながら赤ちゃんに酸素が送られるようきちんと呼吸しましょう。

分娩台へ

陣痛がピークに達し、子宮口が10cm開き全開大になったところでいよいよ分娩台へ移動します。看護師の合図に従って、「いきんで!」と言われたら思いっきりいきみます。

赤ちゃんが出てくるまでの時間には個人差がありますけど、初産婦さんの場合は1〜2時間、経産婦さんの場合は30〜1時間程度かかるでしょう。

破水したのに陣痛がこないときはどうするの?

白人の男性と女性が病棟で子供を期待している間、アフリカ系アメリカ人の看護師は妊婦の妊娠中の母親のために点滴バッグを固定しています。 出産を待っている若い幸せなカップル

上述の通り、前期破水が起きた場合でも通常であれば24時間以内に陣痛が開始します。しかし、中にはなかなか陣痛がはじまらないことも。

破水して6〜12時間以内に陣痛がはじまらない場合は、ママと赤ちゃんの感染リスクが上昇しますので、抗菌剤を投与して感染症を予防します。

さらに、破水後24時間が経過しても陣痛がはじまらない場合は、陣痛促進剤で陣痛を誘発してお産を進めることになるでしょう。

先に破水した場合でとくに注意すべきなのは、さかごといわれている場合やもともと羊水が少ないといわれているケースです。

さかごの場合は、頭が上にあるため子宮口に栓がされず、羊水と一緒にへその緒が体外へ出てしまう恐れもあります。もともと羊水が少ない場合は、破水でさらに少なくなってしまうと、陣痛の際に赤ちゃんに強いストレスがかかってしまうことも。

そのため、破水の可能性が少しでもある場合は早急にかかりつけの病院へ連絡し、適切な処置を受けるようにしましょう。

破水後の陣痛待ちにオススメの過ごし方

破水後どのくらいで陣痛がはじまるかは個人差があるため一概にはいえませんが、多くのケースで陣痛が自然とはじまります。しかし場合によっては破水してから陣痛がなかなかはじまらないことも。

そのような場合、破水後は陣痛待ちをすることになりますが、先輩ママの多くは陣痛が来るまでの時間「やることがなくて暇だ」と感じたようです。

破水してから長時間経過すると、膣から細菌が侵入して赤ちゃんもママも危険な状態になる恐れがあります。感染を避けるためにも、破水後の陣痛待ちにオススメの過ごし方をご紹介しますので、ぜひ参考になさってください。

病院内で適度に体を動かす

立った姿勢で適度な運動をすると、赤ちゃんを押し出そうとする力に赤ちゃんの重さが加わって、赤ちゃんが下に降りやすくなるため、陣痛を誘発したり促進したりする効果が期待できます。

破水後は必ず入院して陣痛を待つことになりますので、病室の中を行ったり来たりして動いたり、廊下を歩いたり、階段を昇り降りしたりなど適度に体を動かすとよいでしょう。

また、スクワットも赤ちゃんの頭が降りてきやすいようにするためにオススメの運動です。

ただし、医師や看護師から安静にするよう指示がある場合はそれを守ることが大切です。運動が可能な場合も、バランスを崩して転倒しないよう十分に注意し、必ず付き添いの方がいる状態で行うようにしましょう。

乳頭マッサージ

乳頭マッサージは、自然分娩の過程でよく使われるテクニックのひとつです。乳頭を転がしたり擦ったり吸ったりして刺激すると、分娩を進めるオキシトシンというホルモンの分泌が促進されます。

以下は、乳頭マッサージのやり方です。

  1. ブラジャーを外して薄くてやわらかいシャツを着用するか上半身裸になる
  2. 親指と人差し指を、乳輪を挟み込むように添える
  3. 乳輪を擦るように優しくマッサージする
  4. 徐々に乳首のほうに指を動かす
  5. 乳首を軽く引っ張って1分程度マッサージする
  6. 2〜4分程度待ち、もう片側の乳房のマッサージを行う

乳頭マッサージは、全体にかかる時間が15〜20分程度で終わるように行います。1日3回までを目安に上記のやり方でマッサージしましょう。

また、乳頭マッサージを行う際は必ず担当の医師か看護師に相談し、許可を得てから行います。とくにハイリスク出産の場合は、乳頭を刺激することで胎児の心拍数に異常が出る恐れもあるため、慎重に行う必要があります。

身体を温める

身体を温めると血行が良くなり子宮の収縮を促進するため、陣痛が起きやすくなります。本来であれば、湯船に浸かるのもオススメですが、破水している場合は感染の恐れがあるので、お風呂はNGです。

病院によっては足湯や湯たんぽを用意してくれるところもあります。なかなか陣痛がこない場合は、足湯や湯たんぽの用意はないか担当の看護師に聞いてみるとよいでしょう。

ツボ押し

人間の体には多くのツボがありますが、その中には陣痛を誘発したり促進したりする効果が期待できるツボも存在します。ツボは神経を通して内臓とつながっているため、陣痛を促進するだけでなく、陣痛が来た際に痛みを緩和してくれる可能性もあります。

陣痛を誘発させるのにオススメのツボは、「三陰交(さんいんこう)」と「太衝(たいしょう)」です。以下は、三陰交と太衝の場所です。

  • 三陰交:足の内くるぶしの一番高いところから指4本分上、スネの骨の少し内側にある。
  • 太衝:足の甲の親指と人差し指の間を、骨の谷間に沿って足首側へなぞったときに、骨の合流点にあるくぼみ。

ツボ押しをする際は、早く陣痛を起こしたいからとゴリゴリと強く押すのはおすすめしません。痛気持ちいいくらいの力で、ゆっくりと3〜5秒間かけて3回程度押してみるようにしましょう。

まとめ

破水後の出産までの流れと陣痛待ちにオススメの過ごし方についてご紹介しました。

臨月に入ると、破水や破水後の過ごし方について不安を感じたり、気になったりする方も多いですが、一般的には破水すると比較的すぐに陣痛が開始します。

しかし場合によってはなかなか陣痛がはじまらず、病室で待機することになるかもしれません。そのようなとき、ただじっと待っているのもよいですが、出来るだけ早く自然に陣痛が起きるよう、意識しながら過ごすことも大切です。

今回は、破水後の陣痛待ちにオススメの過ごし方を4つご紹介しましたので、もしもそのような状況になったときはぜひ試してみることをオススメします。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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