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出生前診断の読み方とは?知っておきたい専門用語を解説

赤ちゃんの健康に害を及ぼす染色体異常を発見できる出生前診断。

最近ではNIPTの実施施設が増え、侵襲的検査を受ける前に安全なNIPTを受ける妊婦さんも増えています。

妊娠したばかりの妊婦さんは出生前診断がどのような検査なのか学んでおくことは大事ですが、たくさんの専門用語が並んで理解しづらいことも多々あります。

そこでこの記事では、出生前診断の読み方や出生前診断に関する専門用語を詳しく解説していきます。

しっかりと予備知識を身につけて、出生前診断を受ける準備を整えておきましょう。

出生前診断の読み方について

妊婦
妊娠健診が始まると、赤ちゃんの生命を脅かす染色体異常やさまざまな症候群の存在を意識するようになります。

まずは、妊婦さんなら理解しておきたい出生前診断とは何か、そして出生前診断の正しい読み方についてご説明していきます。

そもそも出生前診断とは何か?

出生前診断は、お腹にいる赤ちゃんの染色体数や形態の異常を出生前に調べられる検査であり、「結果に応じて適切な分娩や出生後の準備を早い段階から進められる」というメリットがあります。

出生前診断は、妊娠健診で実施されている胎児超音波検査や新型出生前診断と呼ばれる「NIPT」など全6種類の検査があり、それぞれ染色体異常症の有無を判定できる確率が異なります。

出生前診断の正しい読み方

「出生前診断」ですが、一通りの読み方ではなくいくつかの読み方で読まれています。

大辞林・広辞苑・日本国語大辞典では出生(しゅっしょう)と読まれており、出生前診断(しゅっしょうぜんしんだん)、出生率(しゅっしょうりつ)、出生届け(しゅっしょうとどけ)と掲載されています。

しかし、一般的には出生(しゅっしょう)という読み方で普及していますが、医学用語になると出生(しゅっせい)と読まれることが多くなります。

複数ある読み方の中でも出生前診断は主に以下の2通りで読まれています。

  • しゅっせいぜんしんだん
  • しゅっしょうまえしんだん

大辞林に載っている読み方ではなく、上記の2通りで読まれるケースが多いと覚えておきましょう。

妊婦さんが知っておきたい専門用語

知識
ここからは、出生前診断に関する知っておきたい専門用語をご紹介していきます。

読み方が分からない専門用語を覚えながら、出生前診断や染色体異常症などの知識を深めておきましょう。

染色体

染色体は細胞の中心にある核の中に存在し、たくさんの遺伝情報を格納している分子です。

細胞は人間のあらゆる組織をつくる働きがありますが、染色体は各細胞に親から子どもに受け繋がれる遺伝情報を届ける役割があります。

染色体異常症

染色体が細胞分裂の過程や突然変異によって本来あるべき数よりも本数が多い、形態が正常ではないなどの異常が起こることで、ダウン症候群などの染色体異常症が発生します。

染色体異常症は根本的な治療がなく、全ての妊娠にリスクが伴います。

NIPT|新型出生前診断

NIPTは「non-invasive prenatal genetic testing」を略したもので、「エヌアイピーティー」と読みます。また、別名で新型出生前診断とも呼ばれ、「しんがたしゅっせいぜんしんだん」「しんがたしゅっしょうまえしんだん」と読まれています。

妊娠9週〜10週から受けられるようになるNIPTは、赤ちゃんが染色体異常症を持っている確率を安全に調べられる検査で、検査精度感度99%・特異度99%を誇ります。

確定的検査に分類され、安全且つ高精度の検査として妊婦さんの需要も高まっています。

感度・特異度

染色体検査の精度を表す際に用いられる言葉で、感度は疾患を持っている患者が検査を受けて陽性反応が出る確率を指し、特異度は疾患を持っていない患者が検査で陽性反応が出る確率を指します。

胎児超音波検査

胎児超音波検査は、主に妊娠10週以降に実施されている出生前診断です。

赤ちゃんの後頚部のむくみの厚さを示すNT(読み方:エヌティー)・血流・鼻骨などを計測して染色体異常症を持つ確率を調べる検査で、検査項目は21トリソミー18トリソミー13トリソミーになります。

トリソミー

トリソミーは、染色体が本来あるべき数よりも多くなった状態を指します。

21番染色体が1本多くなった場合は21トリソミー(ダウン症候群)が発生し、18番染色体が1本多くなった場合は18トリソミー(エドワーズ症候群)、13番染色体が1本多くなった場合は13トリソミー(パトウ症候群)が発生します。

母体血清マーカー検査|クアトロテスト

母体血清マーカー検査は、主に妊娠15週〜妊娠18週に実施されている出生前診断です。

母親の血液を採取し、3種類〜4種類のタンパク質の分析を行うことで染色体異常性を持つ確率を調べることができます。

  • AFP(読み方:アルファ・フェトプロテイン)
  • hCG(読み方:ヒト絨毛性ゴナドトロピン
  • uE3(読み方:非抱合エストリオール
  • Inhibin A(読み方:インヒビン A)

上記4種類のタンパク質を対象とした検査はクアトロテストといい、21トリソミー・18トリソミー・開放性神経管奇形が検査対象となります。

開放性神経管奇形

開放性神経管奇形(読み方:かいほうせいしんけいかんきけい)は、赤ちゃんの脊髄や脳に疾患を患っている状態を指します。脊髄や頭蓋骨が正常な形とは異なるなどの症状が挙げられ、新生児のうちに手術が必要とされています。

コンバインド検査

コンバインド検査は、主に妊娠11週〜妊娠13週に実施されている出生前診断です。

超音波検査と母体血清マーカー検査(2種類のタンパク質)の両方を行う検査で、21トリソミー・18トリソミーを持っている確率を調べることができます。

NIPT、胎児超音波検査、母体血清マーカー検査、そしてコンバインド検査は非侵襲的検査とも呼ばれ、検査の手技によって胎児が死亡したり母親に合併症が発生するリスクはありません。

絨毛検査

絨毛検査は、主に妊娠10週〜妊娠14週に実施されている出生前診断です。

妊婦さんのお腹に極細の穿刺針(読み方:せんしばり)を刺して子宮内まで挿入し、胎盤組織にある絨毛を採取して染色体異常症の有無を調べます。超音波検査を経て、胎児を傷つけない安全な場所を定めた上で穿刺が行われます。

手技が難しく、胎児が流産・早産・死亡などに至る確率が約1%ある侵襲的検査(読み方:しんしゅうてきけんさ)と呼ばれており、リスクを十分に理解した上で検査を受けることが必要となります。

穿刺針

血液や体液を採取するために用いられる極細の針で、絨毛の採取だけではなく子宮内の羊水の採取にも用いられています。

羊水検査

絨毛検査は、主に妊娠14週以降に実施されている出生前診断です。

絨毛検査と同じ要領で胎児の位置を確認し、母親のお腹から穿刺針を刺して子宮内の羊水を採取して染色体異常症の有無を調べます。羊水細胞にある染色体の分析を行うために細胞の培養が行われますが、稀に培養が上手くいかずに再検査が必要となる場合もあります。

侵襲的検査であり、胎児が死亡する確率が0.3%あることを必ず理解しておきましょう。

絨毛検査と羊水検査は染色体異常症を確定させる検査ではありますが、まずは母体と胎児に害を及ぼす可能性がない出生前診断を受けることが推奨されています。

それぞれ検査を受けられる時期が決まっていますが、NIPTであれば妊娠9週〜10週以降いつでも受けることが可能です。

まずはNIPT(またはその他の非確定的検査)を受検して、その結果次第で羊水検査に進むという流れが一般的です。

まとめ

出生前診断の読み方や出生前診断に関する専門用語の解説をしてきましたが参考になりましたか?

妊娠後に受けることになる出生前診断は「しゅっせいぜんしんだん」「しゅっしょうまえしんだん」という読み方で読まれることが多く、どちらも間違いではありません。

出生前診断にはNIPT(読み方:エヌアイピーティー)などの非確定的検査、羊水検査などの確定的検査があり、染色体異常症をどのくらいの確率で検査できるのか、母体と胎児に害を及ぼす可能性はないかなどを必ず理解した上で検査を受けるようにしましょう。

東京の「ミネルバクリニック」では、検査精度99%以上のNIPTを妊娠9週0日目から受けることができます。

染色体や遺伝子に精通した臨床遺伝専門医が在籍するクリニックであり、患者様ひとりひとりに寄り添う丁寧な診療や遺伝カウンセリングを心掛けております。

出生前診断に関する知識が全くない方でも、専門知識を共有できるカウンセリングの場を設けておりますので安心してご来院していただけます。

NIPTを受けることをご検討されている方は、この機会に是非「ミネルバクリニック」までご相談ください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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