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40歳以上で二人目三人目を高齢出産。後悔・喜び、障害のリスクを紹介

近年、男性も女性も初婚年齢が上昇する”晩婚化”が見られるようになってきました。この晩婚化の影響を受けて、女性の初めての妊娠・出産年齢も上昇傾向にあります。

そして、晩婚化、初めての妊娠・出産年齢の上昇に伴って、”高齢出産”に該当する妊娠・出産を選択される女性も以前と比べて随分と多くなってきました。また、二人目のお子さんを迎えようとした結果、高齢出産に該当するようになった経産婦さんもいらっしゃいます。

この記事では、高齢出産の中でも二人目を授かった経産婦さんに焦点をあてて、高齢出産がどのように定義されているのか、高齢出産で二人目以降を出産された女性の割合、高齢出産におけるリスク、高齢出産で二人目を出産された後に感じた喜びと後悔に関してご説明していきたいと思います。ぜひ最後までご覧になってください。

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高齢出産の定義

定義

まずはじめに、高齢出産がどのように定義されているのかを確認してみましょう。

日本産婦人科学会の出産に関するガイドラインによると、高齢出産は”35歳以上の初産婦による妊娠・出産”と説明されています。

また、日本産婦人科学会では初産婦さんにのみ高齢出産の定義をあてはめていますが、国際産婦人科連合(FIGO)では”35歳以上の初産婦”、”40歳以上の経産婦”による妊娠・出産が高齢出産にあたると定義しています。

つまりは、国際的にみると40歳以上で二人目を出産する場合が高齢出産になると考えられているということです。この考えは日本でも普及しており、”40歳以上の経産婦”に該当する場合には妊娠期間・出産時において、より一層の注意が払われています。

高齢出産で二人目を産む割合

冒頭でも説明したように、高齢出産を選択する女性の割合は増加傾向にあります。その背景には初婚年齢の上昇・晩婚化の進行があり、更に掘り下げてみてみると、女性の社会進出の進展による高学歴化、子育てにおける金銭的な不安の増大、子育て世帯への国家的支援に対する不安などが深く関係しています。

上記の社会的情勢を受けて、女性の初めての妊娠・出産の年齢は確実に上昇しています。以下の表は1985年と2019年における、女性の出産割合を年齢別に示したものとなります。

母親の年齢 対象とする年代
1985年 2019年
14歳以下 23(0.00%) 40(0.00%)
15~19歳 17,854(1.25%) 7,742(0.89%)
20~24歳 247,341(17.28%) 72,092(8.33%)
25~29歳 682,885(47.70%) 220,933(25.53%)
30~34歳 381,466(26.65%) 312,582(36.13%)
35~39歳 93,501(6.53%) 201,010(23.23%)
40~44歳 8,224(0.57%) 49,191(5.69%)
45~49歳 244(0.02%) 1,593(0.18%)
50歳以上 1(0.00%) 56(0.01%)
合計 1,431,577 865,239

1985年では25歳~29歳をピーク(全体の約48%)にして、20歳~34歳の間に推移している(全体の約92%)ことが確認できます。そして、2019年には全体の推移が25歳~39歳に移行して(全体の約85%)おり、40歳以降での出産も1985年では約0.6%だったものが約5.9%にまで上昇し、10倍もの変化が生じていることも確認できます。

次にご紹介するデータ(表)は女性の出産割合を更に細かく見たもので、年齢と出生児の出生順位に着目しています(2019年時)。

母親の年齢 総数 第1子 第2子 第3子以上
14歳以下 40 40
15~19歳 7,742 6,855 832 55
20~24歳 72,092 48,516 19,217 4,359
25~29歳 220,933 131,383 67,014 22,536
30~34歳 312,582 129,567 126,436 56,579
35~39歳 201,010 66,213 82,489 52,308
40~44歳 49,191 17,652 19,214 12,325
45~49歳 1,593 692 497 404
50歳以上 56 34 14 8
総数 865,239 400,952 315,713 148,574

経産婦さんの場合には”40歳以上”が高齢出産として捉えられているため、第2子と第3子を40歳以降に出産した人の割合を見てみると、全体に対して約3.8%を占めていることが分かります。

晩婚化によって初婚年齢が上昇することはもちろんですが、二人目以降を検討する際にも必然的に年齢の上昇が生じるため、経産婦で高齢出産となる人の割合も以前より増加しているといわれています。

高齢出産のリスク

リスク

次に、高齢出産におけるリスクを考えてみましょう。

ここで紹介するリスクは主に以下の3つに分類されます。

  • ・妊娠期間、出産時における各種のリスク
  • ・生まれてきてくれる赤ちゃんに潜むリスク
  • ・”二人目の高齢出産”特有のリスク

それぞれに関して詳しく見ていきましょう。

妊娠期間・出産時における各種のリスク

高齢出産とは、”35歳以上の初産婦さん”、”40歳以上の経産婦さん”が該当するようになるわけですが、歳を重ねることによって、身体的・生殖的な機能は若い頃と比較して衰えています。

赤ちゃんを授かるための一歩目である”妊娠”にしても、妊孕力(にんようりょく:妊娠するための基本的な身体能力)は30歳頃から少しずつ低下していき、40歳手前にもなると顕著な低下が見られるため、自然妊娠の可能性は非常に小さくなります。この妊孕力の低下は初産婦さんの方がより顕著に確認できますが、経産婦さんの場合でも同じように起こっています。”妊娠”そのものの可能性が小さくなるというのが1つ目のリスクとなります。

また、加齢による身体的な機能の低下は、妊娠期間における各種の合併症妊娠高血圧症や妊娠糖尿病など)のリスク上昇にも深く関わっています。妊娠中にこれらの合併症を発症し、母体やお腹の中にいる赤ちゃんに危険が迫っていると判断された結果として、帝王切開・早産で取り上げられる可能性は高いです。

また、出産時においては、(初産婦さんは特に)子宮口が硬い状態にあるため、産道がなかなか広がりきれず難産となることがあります。また、初産婦さん、経産婦さんともに陣痛が若い頃と比較すると弱くなるため、これも難産につながることもあります。結果的には帝王切開で取り上げるということもあります。

生まれてきてくれる赤ちゃんに潜むリスク

加齢による生殖機能の低下は、あかちゃんの”もと”となる卵子受精卵の質の低下(老化)をもたらします。これらの影響による、あかちゃんへのリスクは流産してしまうこと、染色低異常による先天性疾患を持ってしまうことが挙げられます。

生殖機能の低下によって、本来であれば正常染色体の分裂を伴って生成される卵子に異常が見られるようになり、これが染色体異常として現れるようになります。染色体異常をもった受精卵は着床したとしても流産となることが多くみられます。高齢出産にあてはまらない女性の場合でも染色体異常による自然流産は起こりえること(約10%)ではありますが、加齢による染色体異常の発生確率の上昇に伴って、この可能性は高くなります。

また、自然流産のリスクを乗り越えた場合であっても、染色体異常は残り続けることとなるため、生まれてきてくれた赤ちゃんが先天性疾患をもつようにもなります。染色体異常による代表的な先天性疾患では”ダウン症”が広く認知されているかと思います。

二人目の高齢出産”特有のリスク

”高齢出産”というだけで上記のリスクの可能性は大きくなるため、二人目以降であっても油断することはできず、”高齢出産で二人目以降を授かること”特有のリスクもあります。

そして、このリスクは主に出産後の子育て期間に潜んでいます。経産婦の場合には”40歳以上の妊娠・出産”が高齢出産にあたると定義されているため、お母さん(お父さん)の年齢ももちろんですが、お母さん(お父さん)のご両親も必然的に高齢(60歳以降)になっていると考えられます。

一人目を出産した際にはおじいちゃん・おばあちゃんのサポートを受けることができていたものの、二人目出産後には支援を受けることが難しくなってしまった、最悪の場合にはご両親を介護する必要が出てきてしまい、子育て期間と重なってしまったというケースも報告されています。

一人目のお子さんがものごとを考えられるくらいに成長してからの二人目であれば、お兄ちゃん・お姉ちゃんとしてのサポートも期待できるかもしれませんが、幼年期であるという場合には赤ちゃん返りを起こしてしまい、赤ちゃんが2人いるような大変さを感じてしまったというご苦労を挙げる妊婦さんもいらっしゃいました。

高齢出産で二人目を産んだその後

どうなるの?

最後に、高齢出産で二人目を授かったその後の子育て期間においての喜びや、後悔を見ていきたいと思います。高齢出産には前述したリスクがつきものではあるのですが、決して、マイナスなことばかりではありません。

プラスの面、マイナスの面の両方から”高齢出産による二人目”を考えてみてもらえればと思います。

二人目を産んでよかったこと

たとえ”高齢出産”であったとしても、二人目を産んでよかったと喜びを話してくれた先輩ママさんに多く見られたのが、”上の子の成長を見ることができた”というものでした。

命の尊さを学んでもらうことはお子さんの成長のために非常に大切であることは重々分かっているものの、いざ実践となると、「どのように教えられるのだろう?」と悩まれた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

二人目のお子さん(弟くん・妹ちゃん)とのふれあいを通じて、「自分がどのようにして命を授かったのか、どのように育てられてここまで大きくなれたのか」などを知る機会が与えられるのは、お母さん・お父さんにとって嬉しいことではないでしょうか?

また、お兄ちゃん・お姉ちゃんとして、お母さんのサポートをしてもらえた、という声も多く挙がっており、家族の暖かさを強く感じたともおっしゃっていました。

二人目を産んで後悔したこと

二人目が高齢出産である場合、「一人目を育てたときおり体力が落ちているのを感じた」「二人の子供の遊び相手になるとすぐにバテてしまう」といった声が多く挙がっており、体力的に無理のない育児方法を事前に検討しておくことが重要だと感じました。

また、中には二人目のお子さんがダウン症を持って生まれ、なぜ出生前診断を選択しなかったのかを悔やまれるお母さんもいらっしゃいました。決して、「可愛くないわけではないけれど、受け入れることができない」、「将来的には上の子に任せなければいけなくなる可能性だってあったはずなのに」といった声が見受けられました。妊娠期間中に将来的な育児方針を考えるだけでなく、生まれてくる赤ちゃんにリスクがないかどうかを出生前診断や新型出生前診断NIPT)を通じて確認することも重要になってくるといえるでしょう。

まとめ

ニコニコ幸せ家族

高齢出産の中でも二人目を授かった経産婦さんに焦点をあてて、高齢出産がどのように定義されているのか、高齢出産で二人目以降を出産された女性の割合、高齢出産におけるリスク、高齢出産で二人目を出産された後に感じた喜びと後悔に関してご説明してきましたが、いかがだったでしょうか?

高齢出産では妊娠期間・出産時、子育て期間でさまざまなリスクがありますが、これらを乗り越えていくためには旦那さんなど身近な方のサポートが大切となってきます。ご家族皆さんで十分に話し合って、生まれてくる赤ちゃんを暖かく迎えてあげてください。

東京の「ミネルバクリニック」は臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設であり、たくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。ミネルバクリニックでは、妊娠9週から受けられる赤ちゃんの健康診断である「NIPT」を業界最新の技術と業界随一の対象疾患の広さで行っております。遺伝のエキスパートである臨床遺伝専門医が出生前診断を提供しておりますので、是非、お気軽にご相談ください。妊娠初期からの出生前診断を受ける医療機関にお悩みの方は、知識・経験・実績とも「第三者から認証されている」臨床遺伝専門医が診療している「ミネルバクリニック」まで是非、ご相談ください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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