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女性ホルモンとは?働きや増やす方法について解説

女性ホルモンとは女性にとってどのような働きをもたらしているのでしょうか。女性にとって欠かせない物質であることは理解している方も多いでしょう。しかし、具体的にどういった働きをしているのか、どういった理由で女性ホルモンが重要なのかまでは理解していない方もいます。女性が自分の体と向き合ううえで、女性ホルモンについて理解をすることは非常に重要なのです。

本記事では、女性ホルモンについて解説をいたします。働きや増やす方法についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。

女性ホルモンとは?

女性ホルモンとは?働きや増やす方法について解説

女性の卵巣で作られているのが女性ホルモンです。

女性ホルモンの「ホルモン」という成分についてですが、実はほかにも種類があります。有名なところでいえば、インスリンやアドレナリンもホルモンのひとつに分類されます。そもそもホルモンにはどういった働きがあるのかについて確認していきましょう。

ホルモンは体の働きを調整する物質

ホルモンには体のさまざまな働きを調整するという役割があります。体の成長にもホルモンは大きく影響していますし、代謝や消化などありとあらゆる働きにホルモンは大きく関わっています。健康的な体を維持するためには、ホルモンの働きが欠かせないのです。

このホルモンですが、体に含まれている量はそれほど多くありません。たとえば、血液中に含まれているホルモンの量は、50mプールいっぱいの水に対してスプーン1杯程度です。非常に微量しか含まれてはいませんが、しっかりと体の働きを整えてくれています。

また、ホルモンの量は多すぎても少なすぎてもいけません。バランスが取れていることが非常に重要であり、それが崩れてしまうと健康に悪影響が出てしまいます。そのため、健康的な体を維持するためにはホルモンバランスに気を付けることが大切なのです。

女性ホルモンの働き

概念多嚢胞性卵巣症候群、PCOS。 女性の生殖器系

数多くの種類があるホルモンですが、中でも女性ホルモンは女性らしさを保つために欠かせない働きをします。女性ホルモンがあるからこそ、女性の体は女性らしいものになるのです。

そんな女性ホルモンですが、実は2つの種類があります。1つ目は卵巣ホルモンであるエストロゲン、もう1つが黄体ホルモンであるプロゲステロンです。どちらも卵巣で作られており、それぞれが異なる働きをします。

それぞれが具体的にどういった働きをするのかについて確認していきましょう。

卵巣ホルモンは女性らしい体を作る

卵巣ホルモンの働きは女性らしい体を作ることです。思春期に乳房が大きくなるのはこの卵巣ホルモンの働きによるものです。女性らしい丸みのある体型も美しい肌を作っているのもこの卵巣ホルモンの働きによります。

また、卵巣ホルモンは子宮に作用して子宮内膜を繁殖させるという働きも有しています。子宮頸管の粘液が増えると、精子が子宮内に入りやすくなるので子供を妊娠しやすい状態になるのです。人間としての繁殖機能にも大きく影響しているのが卵巣ホルモンです。

ほかにも、卵巣ホルモンには骨密度を保ったり髪のツヤを維持したりといった働きがあります。物忘れを予防するのも卵巣ホルモンの働きです。この卵巣ホルモンが不足してしまうと、体にとって甚大な悪影響がおよびます。

一般的に認識されている女性ホルモンの働きといえば「女性らしい体を作る」ことでしょう。しかし、女性ホルモンの働きはそれだけではありません。卵巣ホルモンだけをとっても女性らしい体を作る以外に、健康に大きく影響する働きをたくさん有しています。

卵巣ホルモンのバランスが乱れてしまうと、肌も荒れてしまいますし髪もパサパサになってしまいます。骨密度が少なくなるので、骨折しやすくなってしまうかもしれません。また、卵巣ホルモンは血管を強くするという働きもあります。血管が弱くなってしまうと、動脈硬化を引き起こす可能性が高くなります。これによって命に関わる病気に発展してしまうかもしれません。

卵巣ホルモンは健康な体を作るためには欠かせない存在なのです。

黄体ホルモンは悪影響もある

卵巣ホルモンによって体は妊娠しやすい状態になります。繁殖した子宮内膜をさらに妊娠しやすい状態にするのが黄体ホルモンの働きです。卵巣ホルモンと黄体ホルモンの働きが合わさることで、女性は妊娠が可能な状態になるのです。

また、妊娠した際にそれを継続させる働きを有しているのも黄体ホルモンです。卵巣ホルモンが健康面において重要な役割を果たしていたのに対して、黄体ホルモンは妊娠という機能において重要な役割を有しているのです。

そんな黄体ホルモンですが、体にとって悪影響も及ぼします。悪影響がおよぶからといって黄体ホルモンが必要ないというわけではありません。体の構造上、悪影響がおよんでしまうのは仕方のないことなのです。

黄体ホルモンは月経前にたくさん生成されます。女性の方で月経前に体がむくみやすくなったり、食欲が増進したりといった経験をしたことがある方は多いでしょう。それは黄体ホルモンの働きによるものです。異常に眠くなってしまうのも黄体ホルモンの影響です。

体調面だけを考えると、黄体ホルモンの働きは嬉しくないものもあります。しかし、それをなくすことはできないので、どういった悪影響があるのかを理解して向き合っていくことが大切です。

女性ホルモンと月経周期

女性ホルモンは卵巣で作られているのですが、常に卵巣ホルモンと黄体ホルモンが同じだけ作られているというわけではありません。女性ホルモンには月経周期が大きく関係しているので、どういった流れで月経周期が作られているのかについて確認していきましょう。

まずは視床下部から下垂体に向けてゴナドトロピン放出ホルモンという物質が出ます。このホルモンの働きによって卵巣刺激ホルモンを分泌するようにという指令が出ます。その指令に下垂体が反応して、卵巣刺激ホルモンを分泌し、それに卵巣が反応するという流れです。

卵巣が反応すると卵子のもとが成熟し始めて、その過程で卵巣ホルモンが分泌されます。卵巣ホルモンが十分に分泌されると、それが引き金となって下垂体が排卵を促すための黄体形成ホルモンを急激に分泌し始めます。卵巣はそれに反応をして成熟した卵胞が破れて、中から卵子が排出されるのです。これが月経における排卵という働きです。

卵子が出ていくと排卵技の卵胞は黄体へと変化します。そして黄体ホルモンを分泌します。妊娠が成立しない場合は、卵巣ホルモンと黄体ホルモンのレベルは大きく下がります。厚くなっていた子宮内膜は剥がれて、月経周期の1サイクルが終了するのです。

これが月経周期です。月経という女性ならではの現象の中で、卵巣ホルモンと黄体ホルモンは分泌されています。月経に悩んでいる方も多いでしょう。しかし、健康的な体を作るために欠かせない女性ホルモンを分泌しているのは月経が正常に行われているからなのです。月経がきちんと行われているというのは、女性としてはむしろ喜ぶべきことなのです。

女性ホルモンは年齢とともに減少する

医師は、診療所で甲状腺疾患や甲状腺機能低下症を診断するために、太った成熟した女性の首を触診します。 甲状腺治療

女性ホルモンは一生の中で分泌量が変化していきます。生まれたばかりの頃は女性ホルモンがそれほど多く分泌されていません。小さい子供を見ると、男の子と女の子にそれほど体つきの違いがないと思います。その理由は女性ホルモンの分泌量が少ないからなのです。

徐々に女性ホルモンの分泌量は増えていきます。成熟期を迎えた後、分泌量は減少していきます。最終的にほぼ分泌されなくなってしまいます。このように女性ホルモンの分泌量は一生の中で変化していくのです。

具体的には、女性ホルモンは思春期のタイミングで増加し始めます。女性ホルモンが増加したタイミングで初潮を迎えます。そして20代〜30代は女性ホルモンが最も安定する成熟期となり、妊娠をする可能性もこの時期が最も高いです。人によって妊娠をするタイミングに違いはありますが、一般的には20代〜30代に出産を経験している方が多いようです。

仕事が安定して結婚しやすい時期という理由も考えられますが、妊娠する可能性が高い時期であるというのも理由のひとつでしょう。そして成熟期を過ぎると徐々に女性ホルモンの分泌量は下がっていきます。最終的に女性は閉経を迎えるのですが、その前後の更年期になると女性ホルモンの分泌量が急激に減少するようになるのです。

その変化に心と体がついていけなくなり、不調になるケースも珍しくありません。女性ホルモンによって保たれていた体の機能も保たれなくなってしまうので、さまざまな面で不調になりやすくなるのです。そして更年期以降はよりケアを行わなくてはいけない老年期を迎えます。老年期になると、骨粗鬆症になるリスクが増えてしまったり代謝が落ちて太りやすくなったりします。

こういった流れで女性ホルモンの量は減少していくのです。女性ホルモンは体の機能を健康に保つために欠かせないので、できれば減少してほしくはありません。しかし、人間の構造上は仕方のないことなので、女性ホルモンが減少したあとは別の方法で体のケアを行うことが大切です。

自分がどの期間にいるのか理解しておくようにしましょう。体に不調が訪れたとしても、女性ホルモンの流れについて理解をしておけば対策もしやすいですし、原因が明らかなので不安も少なくなります。女性ホルモンがどのように変化していくかを知っておき、自分の体と向き合ってそのタイミングで適切なケアを行うようにしてください。

女性ホルモンを増やす方法

美しい女性

成熟期は女性ホルモンが正常に分泌されているので、過度に増やす必要はありません。しかし、更年期になると女性ホルモンの量が減少して、それによる体の不調が起こるようになります。女性ホルモンの量を増やして、少しでも体の不調を少なくしたいと考える方もいるでしょう。

しかし、女性ホルモンの分泌量を増やす方法は存在しません。女性ホルモンの分泌量は年齢とともに決まっています。さきほども説明したように加齢にともなって減少していくのは当たり前のことであり、それに抗って分泌量を増やすことはできないのです。

そのため、更年期による体の異常は女性ホルモンを増やすことではなく、生活習慣を整えることで改善していかなくてはいけません。食生活、運動、睡眠の習慣を整えることができれば更年期の症状は和らぎやすくなるので、つらいと悩んでいる方は取り組んでみてください。

また、婦人科に更年期の症状について相談をすると、ホルモン補充療法などによって改善を図ってもらうことが可能です。あまりにも更年期の症状がつらいという方は、婦人科に相談してみるようにしてください。

最後にサプリメントを服用するのも効果的な場合があります。大豆イソフラボンやエクオールといった成分は、女性ホルモンと同じような働きをするといわれています。そのため、これらの成分を含んだサプリメントを服用すれば、更年期の症状が和らぐかもしれません。

もちろん、これらの成分は食事によって摂取しても問題ありません。更年期の症状に悩んでいる方は、女性ホルモンを増やすことはできないので、これらの対策によって症状を和らげてみてください。

【まとめ】女性ホルモンによる体の変化と向き合おう

ヘルスケア

女性ホルモンがどういった流れで分泌されるのか、どのように変化するのかを知っておけば体に起こる変化にも対応しやすくなります。女性は年齢に応じて行わなくてはいけないケアの方法が変わってきます。そのため、女性ホルモンの分泌量の変化についてはしっかりと理解をしておくようにしてください。

更年期の体の不調は避けられない部分があります。あらかじめどういった不調があるのか知っておきましょう。サプリメントや運動習慣といった対策が可能です。

女性ホルモンによる体の変化と向き合って、その時期に適した方法で体のメンテナンスを行うようにしてください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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