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基礎体温から排卵日を推定する方法|妊娠のチャンスを増やす一歩に!

排卵や月経の周期を把握することは、妊娠を目的としてのことはもちろん、子宮や卵巣をはじめとした生殖器官の健康を知る上で非常に重要です。

基礎体温を測定する”のは上記のための最初のステップとして代表的な取り組みであるともいえます。これを継続的に行うことで、自身の身体が排卵・月経周期のどのタイミングにいるのかを把握できるようになり、結果的には排卵日を推定し、妊娠の可能性を高められるようにもなります。

排卵・月経の周期と基礎体温の変化には、女性ホルモンの作用を共通点として深い結びつきがあるため、このコラムを通じてその関係性を理解していただければと思います。また、最後の方にはホルモンバランスを整えるための取り組みに関しても触れていますので、ぜひ最後までご覧になられてください。

基礎体温とは

とは?という疑問をあらわすイメージ画像

基礎体温とは、”体の動きが最も安静な状態にあるときの体温”のことを表しています。ヒトは日常の中で生命活動を維持するために、エネルギーの産生と消費が行われています。そして、これらの身体作用に伴って熱も生みだされています。

基礎体温はそのような身体作用による体温変化の影響を極力排除して測る必要があるため、目覚めた後、体を起こさずに”寝たままの状態で”計測することで求められるようになっています。

月経・排卵周期と基礎体温の関係性

月経周期

次に、月経・排卵の周期と基礎体温の関係性に関して見ていきましょう。後述する、排卵に向けたホルモンの変化によって体温(基礎体温)は変化します。これは裏を返せば、体温を測定し続けることで、身体の状態が月経・排卵の周期のどのタイミングにあるのかを把握できるようになります。そして、これが”排卵日を推定する”・”妊娠のチャンスを増やす”ことにもつながっていきます。

月経・排卵のメカニズム、基礎体温の変化を照らし合わせながら見ていただけますと幸いです。

月経・排卵のメカニズム

はじめに月経・排卵のメカニズムを①排卵に向けた準備②排卵③妊娠または生理、の3つの期間に分けて見ていきましょう。

排卵に向けた準備

卵巣の中には、原始卵胞と呼ばれる細胞が存在しており、更にこの細胞1つ1つの中に卵子があります。そして、卵胞刺激ホルモンの分泌を合図に原始卵胞(と中にある卵子)が成熟していきます。

更に、この期間では卵胞ホルモンの分泌も活発となっており、このホルモンの作用によって原始卵胞は成長を重ねていきます。

排卵

原始卵胞(卵子)は成熟を続ける中で一次卵胞、二次卵胞、成熟卵胞と大きくなっていき、最終的には最も大きく成長した卵胞1つが中にある卵子を排出します(排卵を行う卵胞は”主席卵胞”とも呼ばれます)。

一方で、卵子を排出することのなかった卵胞、排卵後の卵子のなくなった主席卵胞は黄体という物質へと変化していきます(※)。

黄体は黄体形成ホルモン・黄体ホルモンを分泌する作用を持っており、これらのホルモンの分泌によって女性の身体は卵子を育てる状態から、妊娠のための準備を整える状態(子宮内膜を厚く・ふかふかにするなど)へと変化していきます。

※排卵後に黄体への変化が行われるだけでなく、成熟の中で十分に成長しなかった卵胞も随時、黄体へと変化しています。

妊娠または生理

排卵によって卵巣内に飛び出た卵子は卵管采にキャッチされた後、卵管へと移動します。そして、卵管で精子と出会い、受精を果たすと受精卵となります。受精卵は少しずつ成長をしながら子宮へと移動していき、胚盤胞という着床の準備が整った段階にまで成長すると子宮内膜に潜り込みます(妊娠に至ります)。

一方で精子と受精することのなかった卵子は受精機能を失います。妊娠したときには活発となっていた黄体ホルモンの分泌が継続されますが、妊娠に至らなかった場合には黄体ホルモンの分泌が少しずつ落ち着いていくようになります。これは約2週間ほどかけて行われており、この中で厚い状態である必要のなくなった子宮内膜の一部が剥がれおち生理が起こります。そして、再び排卵のための準備を行っていきます。

基礎体温の変化

次に、前述した排卵・月経の周期のメカニズムに照らし合わせて体温がどのように変化しているのかを確認していきましょう。特に、体温の変化に着目した場合には、月経・排卵の周期を①高温期、②低温期に区別します。

基礎体温が変化する(高温期と低温期を繰り返す)主な要因には先に登場したホルモンが深く関係しています。この点に着目して確認すると基礎体温を測る必要性を実感できるかと思います。

高温期

高温期は文字の通り、基礎体温が比較的高い状態にある期間を指しています。排卵・月経のメカニズムと照らし合わせると、主に”排卵から妊娠(卵子が受精機能を有している状態)”の時期と合致します。この時期には黄体ホルモンが卵胞ホルモンと比較して優位な状態にあり、黄体ホルモンの”体温を高くする”作用が働くことで基礎体温が高くなります。

特に、黄体ホルモンの分泌が活発になることをLHサージと呼び、これが起こってから36~40時間後、分泌のピークを迎えてから10~12時間後に排卵が起こるとされています。これに併せて、体温が高くなる(低温期から高温期へと移行する)のも1~2日であるとされており、体温の変化を掴むことで排卵日を推定できるようになります(※)。

※基礎体温の継続的な測定によって排卵日を推定することができますが、その精度としてはやや物足りないものとなっています。それは、”期日”を推定するというよりも排卵があるであろう”期間”を推定するようになっているためです。より正確に排卵日を推定したい場合には、尿中の黄体ホルモンの量を調べることでLHサージが起こっているかを検査する方法などもありますので、ぜひその他の検査方法と併用なさって、妊娠のチャンスを増やしていただければと思います。

低温期

先に示したように、黄体ホルモンの作用によって基礎体温が高くなるようになっているため、黄体ホルモンよりも卵胞ホルモンが優位にある卵胞・卵子の成熟期間、妊娠に至ることなく黄体ホルモンの分泌が落ち着いていく期間(俗にいうところの生理前のことです)には基礎体温は低い状態となります。

基礎体温からみる体の調子

体温計を見ている女性

基礎体温を継続的に測定することで、排卵周期のどのタイミングにいるのかを把握することができますが、これは基礎体温を変化させる”ホルモン”が適切に機能していることが前提となっています。

基礎体温の変化は排卵・月経の周期が28日であることを前提にして、低温期から高温期への移行が1~2日、高温期が12~14日であることが理想的とされています。

もし仮に、上記の理想的な状態と著しい違いがある場合にはホルモン分泌が十分に行われていない・各種のホルモンが十分に機能していない可能性がありますので、一度産婦人科を受診なさることをおすすめします。

基礎体温の変化の種類ごとの考え得る症状の詳細に関しては、グラフと併せて以下のコラムにて紹介していますので、ぜひこちらもご覧になってみてください。

ホルモンバランスを整えるために

ホルモンバランスが正常であり、各種のホルモンがその機能をきちんと発揮しなければ、基礎体温の継続的な測定による排卵日の推定が難しくなることはもちろん、妊娠そのものの可能性も小さくなります。そこで、ここではホルモンバランスを整えるための取り組みに関して見ていきたいと思います。

健康的な食生活

ホルモンバランス、特に女性ホルモンを整えるために実践していただきたい食生活は、積極的な”大豆製品”や”ビタミンB6・ビタミンEを多く含む食品”の摂取です。

大豆製品として代表的なものには、豆乳や納豆・豆腐などが挙げられます。これらの食品のもととなっている大豆には”イソフラボン”という栄養素が含まれており、これは体内でエストロゲン(卵胞ホルモン)と似た働きをすることが明らかとされています。

イソフラボンは、体内でのエストロゲンの分泌が不足している場合にはこれらの働きを補うように作用し、一方で過剰な分泌が行われているときにはそれらを抑制する機能を有しており、女性にとって非常に心強い栄養素だといえます。

ビタミンB6を多く含む食品にはカツオやマグロなどの魚類・レバーなどが挙げられます。そして、ビタミンEは緑黄色野菜やナッツ類などに多く含まれています。

ビタミンB6はエストロゲンの代謝に働きかけ、ホルモンバランスを整える効果を持っています。また、ビタミンEは各種ホルモン分泌の指示を出している脳の下垂体に働きかけて、分泌を促進する効果を持っています。また、血管を拡張することで血行の促進、各種器官の機能保全を手助けする役割も担っています。

適度な運動習慣と十分な睡眠

ホルモンバランスの正常化には、”自律神経”が深く関係しています。自律神経には、身体的に活動的な状態にある際に優位になる”交感神経”と、睡眠時などリラックスした状態に優位になる”副交感神経”の2種類があります。

ホルモンバランスを整えるにはこれらの神経のオンオフが適切に行われることが重要であり、これを実現するためには十分な睡眠と気持ちのいい目覚めが重要となります。

適度な運動習慣を身に付けることで、就寝の際にはスムーズな睡眠導入が実現されます。また、適度に筋肉がつくことで基礎代謝が向上し万病のもととなる肥満の防止や、血行の促進による各器官の機能維持にもつながります。ご自身の無理のない範囲で運動を取り入れてみてもらえればと思います。

まとめ

にこやかな笑顔の妊婦さん

冒頭でも触れたように、排卵・月経の周期と基礎体温の変化には女性ホルモンを共通点として深い結びつきがあることはご理解いただけたでしょうか?

排卵日間近や妊娠期間、生理日前などそれぞれのタイミングで女性ホルモンのバランスは変化し、これに合わせて基礎体温も変化します。基礎体温の変化は身体の状態を知るバロメーターにもなるため、妊娠を最終ゴールに設定されていない方もぜひ基礎体温を測定するクセをつけられてみてはいかがでしょうか?

この記事が多くの女性や、妊娠に励まれているカップルのお力になれば幸いです。

東京の「ミネルバクリニック」は臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設であり、たくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。妊娠初期からの出生前診断を受ける医療機関にお悩みの方は、知識・経験・実績とも「第三者から認証されている」臨床遺伝専門医が診療している「ミネルバクリニック」まで是非、ご相談ください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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