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卵子の大きさと妊娠率|卵子の成長過程から卵子の大きさの変化を解説

皆さんは卵子がどれくらいの大きさであるのかご存じですか?

排卵されたばかりの卵子は小さな細胞ですが、精子と出会い受精し、受精卵となって細胞分裂を繰り返しながら少しずつ大きくなっていきます。そして、赤ちゃんとなってお腹の中から出てくる頃には約3000gにまで成長します。このように見ると、受精卵という細胞・赤ちゃんの成長がどこか神秘的にも感じてしまいますね。

この記事では卵子の大きさがどれくらいであるのかを精子と併せて確認するとともに、卵子がどのように作られるのか、受精卵となった後にどのように成長していくのか、卵子の大きさをはかる方法、卵子の大きさと妊娠率に関してご説明していきます。ぜひ最後までご覧ください。

卵子ってどれくらいの大きさ?

拡大してよく見てみよう

結論からいうと、排卵されたばかりの卵子の大きさは約0.1mm~0.2mmです。

皆さんが普段メモ書きなどにお使いになっているボールペンやシャープペンシルの芯はどれくらいの太さですか?生まれたばかりの卵子の大きさは、皆さんがお使いになっている芯よりも小さいサイズとなっています。

ヒトの身体と比べると非常に小さく感じる方もいらっしゃるかと思いますが、卵子は身体の中のさまざまな細胞の中では非常に大きい細胞です。

排卵された卵子は文字通りタマゴに似た構造を持っており、タマゴの黄身に当たる部分が「卵子本体」で,それを殻のように「透明帯」が包み込んでいます。卵子は、「卵子本体」「透明帯」、それから卵子のとなりに寄り添うようにある「極体」といわれる分裂した卵子の片割れから構成されています。

ところで、受精のためには卵子だけでなく、精子も欠かせません。卵子は身体の細胞の中でも非常に大きな細胞と前述したように、精子の大きさは約0.06mmで更に小さいです。

体外受精などの際に採卵した卵子、採精した精子を肉眼で確かめようとすると、卵子は確認できたとしても、精子は肉眼では確認できないほど小さいです(体外受精の際には顕微鏡を用いて確認するので見えないからといって特に問題はありません)。

精子は遺伝情報がつまった「頭部」と、卵子と出会うために射精後に女性の膣・子宮内を泳ぐためのエネルギーがつまった「尾部」から構成されています。

卵子・受精卵の成長

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受精には欠かせない卵子・精子がどれくらいの大きさであるのか分かったところで、次に卵子がどのように作られているのか、受精卵となった後にどのように成長していくのかを大きさの変化と併せて確認していきましょう。

卵子が作られるまで

卵子が作られる過程は、①細胞分裂による原始卵胞の生成、②原始卵胞・卵子の成熟、③主席卵胞の排卵のステップから見ていく必要があります。

それぞれに関して見ていきましょう。

細胞分裂による原始卵胞の生成

卵子は「原始卵胞(げんしらんほう)」とよばれる細胞がもととなって作られています。具体的には、原始卵胞が卵巣の中に存在しており、更にその原始卵胞ひとつひとつの中に卵子が1つ存在しています。この原始卵胞は女性がお母さんのお腹の中にいるときから細胞分裂を通じて作られており、出生後に新たに原始卵胞が作られることはありません。

胎生6か月のあたりでは原始卵胞は約700万個あり、出生するタイミングでは約200万個、そして自然と減少していき、月経が始まる思春期・生殖適齢期頃には約20~30万個であるとされています。更に一周の月経サイクルで約1000個の原始卵胞が減少していき、自然妊娠する可能性が小さくなり始める35歳頃には約2~3万個にまで減少しているとされています。

後に卵胞は成熟という過程を経るのですが、成熟を開始する前の卵胞はわずか0.03mmであり、卵胞に包まれている卵子は0.03mmより更に小さい状態です。

原始卵胞・卵子の成熟

思春期頃になると排卵、月経が生じるようになりますが、これは脳の視床下部や下垂体から命令を受けて分泌された女性ホルモン(卵胞刺激ホルモン)がきっかけとなっています。

このホルモンの刺激によって卵巣内にある数十個の卵胞が成熟を開始します。成熟に伴って、原始卵胞は一次卵胞、二次卵胞、成熟卵胞とその大きさを少しずつ大きくしていきます。

大きさは0.03mmだったものから0.2mm~5mm程度に成長していき、最終的に排卵する(卵子を放出する)までに成長する卵胞は1日約1.5mmのペースで更に成長します。主席卵胞(成熟した卵胞の中でも卵子を排出する卵胞のこと)は最大のもので18mm~22mmにまで成長します。

主席卵胞の排卵

原始卵胞は卵胞刺激ホルモンの刺激によって数十個が同じタイミングで成熟を開始しますが、最終的に卵子を排出するのは十分に成長した原始卵胞1つ(これを「主席卵胞」と呼びます)のみです。卵胞の成熟過程では、主席卵胞がエストロゲンを分泌することで、他の卵胞を退化させています。

更に、卵子が排出された後に残った主席卵胞、卵子を排出することのなかった卵胞は「黄体」という物質に変化し、プロゲステロンを分泌するようになります。

上記にて説明したように、主席卵胞は18mm~22mmにまで成長し、その中にある卵子は0.1mm~0.2mmほどに成長しています。

卵胞が育っていても卵子自体がなかった、卵子が十分に大きく育っていなかったというケースもありますが、一般的には卵胞の大きさから卵子の大きさを推定することができます。大きさを測る方法は後述していきます。

受精卵の成長

受精卵の成長は、胚となり、その後、初期胚(しょきはい)・桑実胚(そうじつはい)・胚盤胞(はいばんほう)という段階で成長していきます。胚(はい)とは、細胞分裂が生じている受精卵すべてのことを指しています。

初期胚

卵子と精子の受精によって誕生した受精卵は受精後、1日に1回ほどのペースで細胞分裂を開始していきます。受精したばかりのときには丸々とした1つの細胞ですが、細胞分裂を繰り返して、細胞の数を2、4、8と倍々に増やしていきます。

「初期胚」とは分割された細胞の数が8つ未満の受精卵を表したものです。

桑実胚

4回目の細胞分裂が行われ、分割された細胞数が8~16個の受精卵を桑実胚と呼びます。

胚盤胞

桑実胚となる頃から、分割された細胞は更に細胞分裂を繰り返すとともにくっつきあうようになり、「外細胞塊(がいさいぼうかい:後の胎盤となる細胞)」と「内細胞塊(ないさいぼうかい:後の赤ちゃんとなる細胞)」という細胞群に群化していきます。

妊娠に至るためには受精卵が子宮内膜着床する必要がありますが、受精卵は胚盤胞まで成長していることが着床のための条件となります。これに加えて、子宮内膜が厚くふかふかな状態であることで、より着床しやすくなります。

着床に至る頃の受精卵は細胞分裂を通じて約1mmの大きさになっています。まだまだ小さくも感じますが、卵子であったときよりも5~10倍ほどの大きさになっていると考えると驚きを感じずにはいられませんね。

卵子の状態を調べる方法

検査
次に、卵子の状態を調べるための検査方法に関してご説明していきます。検査の方法には、卵子の大きさを測るための①超音波検査と、卵子の数を測るための②AMH検査があります。それぞれに関して詳しく見ていきましょう。

卵子の大きさを測る「超音波検査」

卵子の大きさを排卵前に確認することはできないため、卵子を包み込む卵胞の大きさを測ることで卵子の大きさを推定します。このための検査では「経腟プローブ」と呼ばれる器具を用いた超音波検査が採用されています。

経腟プローブは、直径2cmほどの棒状の器具であり、超音波を送受信できるようになっています。この器具を膣内に挿入し卵胞の大きさを測定します。

排卵間近である卵胞の大きさはおおよその目星がつけられるため、不妊治療のタイミング法や人工授精の際に用いられることがあります。更に、無事に排卵が行われたか否かを確認する目的で、卵胞がつぶれてなくなっているかを調べることもあります。

卵子の数を測る「AMH検査」

卵巣の中に卵胞がいくつ残っているかを測定する検査がAMH(抗ミューラー管ホルモン)検査です。卵胞から分泌されるホルモンの数値を調べることによって、卵巣内に存在する未熟な卵胞(原始卵胞)がいくつ残っているのかを知ることができます。

卵胞・卵子の大きさと妊娠率

上昇するイメージ
次に卵胞・卵子の大きさと妊娠率の関係性に関して見ていきましょう。

結論からいうと、「卵胞・卵子が小さいと妊娠の可能性が低下」します。その理由には以下のものが挙げられます。

  • ・排卵そのものが生じにくい
  • ・卵胞や卵子の成熟が十分でない

それぞれに関して見ていきましょう。

排卵そのものが生じにくい

卵胞・卵子の小ささは、イコール十分な成熟が行われていないという意味でもあります。成熟が十分でないということは主席卵胞が卵子を排出できない状態である、ということでもあるため、妊娠の超初期である排卵そのものが生じにくくなり、結果的に受精・着床・妊娠に結びつかない可能性も大きくなります。

卵胞や卵子の成熟が十分でない

卵胞・卵子の成熟が十分でないと排卵そのものが生じにくくなることの方が一般的ですが、そのような状態であっても排卵が行われることもあります。

しかしながら、十分に成長していない卵子は受精機能がきちんと備わっていないことが多く、精子と出会ったとしても受精できない、受精卵となったしても後の成長が芳しくないといったケースが生じ、結果的に自然妊娠の可能性を低下させてしまいます。

まとめ

笑顔の女性たち
ここまで、卵子の大きさはどれくらいであるのか、卵子の生成過程・受精卵の成長過程でどのように大きさが変化するのか、卵胞・卵子の大きさを測る方法、卵胞・卵子の大きさと妊娠率の関係性に関してご説明してきましたが、ご理解いただけたでしょうか?

卵子の大きさや卵巣内に残っている数を測定する検査方法が確立されており、ご自身の卵子がどのような状態であるのかを事前に知れることは、女性としてのライフプランやキャリアプランを考えるうえで貴重なことです。現在はパートナーが不在である、キャリアアップに邁進したい、パートナーはいるけれど妊娠は望んでいないという方も、ご自身が将来的に妊娠を望むかどうかを考えてみられてはどうでしょうか?

また、卵胞・卵子の成熟が停滞する要因には、加齢に伴った卵胞・卵子・生殖器官の機能低下や、ホルモンバランスの乱れなどが挙げられます。これらを予防するためには食生活の見直しや、適度な運動習慣の取り入れ、十分な睡眠、過度なストレスの回避などが挙げられます。詳細に関してはミネルバクリニックが紹介する以下のコラムにもまとめられていますので、ぜひそちらもご覧になってください。

卵子の質を上げる方法|妊娠しない原因と年齢の関係を解説 (minerva-clinic.or.jp)

卵子の質を上げる運動習慣|大切な要素と話題のマタニティヨガを紹介 (minerva-clinic.or.jp)

この記事が妊活に励まれる方をはじめとした、すべての方にとって価値あるものとなれば幸いです。

東京の「ミネルバクリニック」は臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設であり、たくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。ミネルバクリニックでは、妊娠9週から受けられる赤ちゃんの健康診断である「NIPT」を業界最新の技術と業界随一の対象疾患の広さで行っております。遺伝のエキスパートである臨床遺伝専門医が出生前診断を提供しておりますので、是非、お気軽にご相談ください。妊娠初期からの出生前診断を受ける医療機関にお悩みの方は、知識・経験・実績とも「第三者から認証されている」臨床遺伝専門医が診療している「ミネルバクリニック」まで是非、ご相談ください。
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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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