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胎児のしゃっくりが多いとダウン症?胎動との違い・体験談を紹介

胎動とは、胎児が大きくなり、腕や足など体が膣壁にぶつかるときの動きのことです。

妊娠20週を迎える頃に現れる胎動は、赤ちゃんとママがしっかりとつながっていると実感できる嬉しい変化ですが、時々ピクッピクッといつもと違う胎動を感じることはありませんか?

いつも感じている胎動よりも元気がなく、痙攣しているような感覚で、しばらくすると動きは止まります。長いと30分程度続く場合もあるので、赤ちゃんに何かあったのではないかと心配になってしまうママもいます。

あまり知られてはいませんが、実はその様な胎動は胎児のしゃっくりである可能性が高いです。

胎児のしゃっくりについては、ダウン症と関係しているのではないかとの憶測もあります。そのため、お腹の中で赤ちゃんがしゃっくりをすると、噂を知っているママの中には、気になってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、胎児としゃっくりの関係と胎児の運動パターンについてご紹介します。

胎児もしゃっくりをする?

妊娠中の母親のおなかに耳を当てる幼女

胎児はお腹の中で驚くほどさまざまな動きをしています。一般的によく知られているのは、手足を動かしたり、グルンとお腹の中でまわったりしたとき子宮壁にぶつかった際に感じる振動です。

妊娠16週頃から徐々に胎動を感じるママも多くなり、それに伴って胎児のしゃっくりを胎動として感じることも増えてきます。

まずは胎児のしゃっくりを感じたママたちの体験談からご紹介します。

ママたちの体験談1:冷えが原因だった?

「お腹の中でぐるぐると動くような胎動を感じていましたが、ある日ピクッピクッという一定時間続く規則的な胎動に気が付きました。

かかりつけ医の先生にお話ししたところ「冷えが原因ではないか」とのことでした。

ちょうど冬の寒い時期だったのでお腹を温めたところ、しゃっくりが減りました」

ママたちの体験談2:ダウン症ではなかった

「3人の出産を経験しました。2人目、3人目はお腹の中にいるときのしゃっくりが多く、15分ほどのしゃっくりを1日2回していました。

“しゃっくりをする胎児にはダウン症の可能性がある”なんて話を聞きましたが、うちの子たちは元気に生まれてきました」

胎児のしゃっくりとダウン症との関係は?

胎児のしゃっくりは気にする必要がないといわれています。しかしその一方であまりに頻繁に起こる場合は、ダウン症などの先天性異常をもって生まれてくるのではないかと憶測する人もいます。

実際のところは、胎児がしゃっくりを頻繁にするからといって、ダウン症などの先天性異常をもっている可能性が高いという事実はありません。

ダウン症をもって生まれる子どもには筋力が弱いという特徴があり、胎児のしゃっくりは通常の体動よりも弱く感じるため、お腹の中で子宮壁にぶつかる力が弱いという発想からこのような憶測が生まれたと考えられます。

注意したほうがよい場合とは

ただ、しゃっくりを気にしなくてもよいとはいえ、あまりに頻繁だと赤ちゃんが苦しくないかと心配になってしまうママもいるでしょう。

一般的に、しゃっくりは胎児の苦痛にはならないといわれています。しゃっくりの動きは大人と似ていても、胎児が苦しくなったり痛みを感じたりするわけではないので安心してください。

ただし、胎動を感じやすいママにとっては胎児の頻繁なしゃっくりはお腹の違和感や痛みとして感じるかもしれません。その場合は楽な姿勢をとってしばらく安静にし、おさまるのを待ちましょう。

それでも痛みがおさまらない、1時間以上胎動をまったく感じられないなどの場合には注意が必要ですので、かかりつけの病院へ連絡してみることをおすすめします。

胎児がしゃっくりをする理由

胎児のしゃっくりは、普段のドドンとお腹の内側を押されるような感覚ではなく、ピクッピクッと同じリズムで痙攣した様に感じることが多いです。

では、胎児がしゃっくりをする原因は一体なんなのでしょうか。

実は、お腹の中で赤ちゃんがしゃっくりをする原因は、医学的にはっきりとはわかっていませんが、以下のようなことが原因ではないかといわれています。

飲み込んだ羊水を吐き出すとき

ひとつめは、お腹の中で羊水を飲み込んだときに出る不要物を吐き出すときに、しゃっくりが起こっているのではないかという説です。

胎児は、お腹の中で羊水を飲み込みながら生活しています。その際、胎児は羊水と一緒に不要物まで飲み込んでしまうため、それを吐き出すためにしゃっくりが起こるといわれています。

横隔膜を鍛えている

胎児は胎盤を通して血液を循環させて呼吸をしているため、肺呼吸をしません。

しかし、胎児はお腹の中で横隔膜を一生懸命働かせ、生まれてから肺呼吸をはじめるための準備をしています。その際、お腹の当たりをピクッピクッと痙攣させるので、しゃっくりが起こるといわれています。赤ちゃんが息を吸うと、羊水が肺に入り、発達中の横隔膜が収縮します。その結果が胎児期の小さなシャックリです。赤ちゃんが羊水を吸ったり吐いたりできるようになり、その結果、しゃっくりができるようになるのは、横隔膜が順調に発達している証拠です。このプロセスは、実際には10週目頃から始まりますが、実際に胎児のしゃっくりを感じることができるのは、さらに数ヶ月後となります。

神経系を活性化している

シャックリは、脳が横隔膜を下方向に力強く押し下げさせる信号を送り、急に大量の羊水(うまれた後は空気)を喉の奥に引き込んだときに起こります。しゃっくりの「ヒック」という音は、喉の一部が一時的に閉じることで起こります。シャックリは、赤ちゃんの脳が呼吸筋を監視する方法を学び、最終的には横隔膜を上下に動かすことで呼吸を(自発的に)コントロールできるようにしているのだと言われています。

胎児のしゃっくりは、横隔膜を制御する神経がきちんと働いていることを示しています。胎児のしゃっくりは、脳と脊髄が無傷で、その役割を果たしていることを確認するのに役立ちます。つまり、胎児のしゃっくりは、赤ちゃんが子宮の外で生きていけるだけの神経的な発達を遂げていることを意味しています。

胎児のしゃっくりはどのくらいの頻度が正常なのか?

胎児のしゃっくりがどのくらいの頻度で起こるべきか、起こらないべきかについては、妊娠ごとに異なるため、厳密な正常範囲といった基準はありません。胎児のしゃっくりは、ランダムに発生することもあれば、頻繁に発生することもあります。また、あまりしゃっくりをしない赤ちゃんもいますが、お腹の中で他の動きを感じていれば、それも問題ありません。

なお、赤ちゃんのキックカウント(1日の同じ時間帯に1時間以内に動いた回数を記録すること)をして胎動計測している場合は、しゃっくりを動きの集計しないようにしましょう。

妊娠中期になると、子宮内でしゃっくりを感じることが多くなり、出産が近づくにつれて、しゃっくりの回数が減っていきます。出産予定日までの3~4週間にしゃっくりの回数が増えた場合は、医師に連絡して、臍帯に問題がないか確認してください。

いつ頃からみられる?

赤ちゃんの横隔膜が発達する妊娠第1三半期の早い時期に超音波検査でしゃっくりをしているのが観察されます。胎児は妊娠9週〜10週頃からお腹の中でしゃっくりをしていることが確認されています。しかし胎動として感じる時期は人それぞれであるため、いつ頃から胎動としてしゃっくりを感じられるかについてはっきりとはいえません。多くの女性が胎児のしゃっくりを感じ始めるのは妊娠第3三半期の初めです。

一般的に、胎動は妊娠中期から感じるママが圧倒的に多く、しゃっくりも妊娠20週頃の妊娠中期に感じたという声が多いです。

ただし、20週以降になってもしゃっくりを感じられなかったり、それより早くしゃっくりを感じたとしても心配ないので安心してください。

ママはどんなふうに感じるの?

普段よく感じるようなキックやパンチのような胎動とは違い、定期的なリズムでピクッピクッと感じたり、トンットンッと感じるのが胎児のしゃっくりです。ただ、感じ方には個人差が大きいので、同じような動きでも人によって感じ方は違いますし、生まれる前にしゃっくりを感じたことがない場合もあります。

もしお腹の中にいるときに、胎児がしゃっくりをしていなくても、検診で元気に育っていると確認できれば大丈夫です。

また、しゃっくりを感じる位置は、お腹の下あたりというママも多いですが、中には恥骨やお尻のあたりなどで感じたというママもいます。

そのため、赤ちゃんが逆子になっているかもしれないと心配するママもいますが、しゃっくりを感じる位置だけで逆子と判断はできません。気になるときは検診の際に医師に相談してみましょう。

胎児のしゃっくりを感じた位置は?

体験したママさんからよく聞かれたのは「おへその周り」「恥骨の辺り」です。お尻のほうや股間という声もあり、ほとんどが下腹部からしゃっくりを感じたというのが一般的のようです。

中には「感じる位置が毎回違う」と不安な様子のママさんもいました。位置が変わるのは胎児が子宮の中で動き回っているからです。あまり気にせず「元気に育っている」と思ってください。

胎児の運動パターン

妊娠中の笑顔の女性

お腹の赤ちゃんが元気であることを実感できる胎動。ぼこぼこと動いたり、ニュルニュルするような動き、妊娠後期になってくると肋骨まで蹴られてしまうこともあります。

ママにとって、赤ちゃんがお腹の中で何をしているのかと考えるのは、とても楽しい時間です。

赤ちゃんはお腹の中で実にバリエーション豊かな動きをしており、その一つひとつに無駄なものはないといわれています。すべて生まれてから生きていくための練習をしているのです。

胎児の運動パターンは、10種類以上も確認されています。ここでは、そのうち5つの運動パターンをご紹介します。

頭部の運動

胎児の主な臓器の基本的構造ができてくるのは妊娠10週〜12週頃です。頭はまだ大きいものの、だいぶ人間らしい形になっています。

その頃には、首をゆっくりと左右に振るような動きや、頭を後ろに傾けたりする動きをするようになり、頭の向きも変えられるようになってきます。

手足の運動

手や足をそれぞれ曲げたり伸ばしたりする動きがみられるようになるのは妊娠10週頃です。妊娠14週頃になるとますます発達し、手首を曲げたり手を握ったりと上手に手を動かすこともあります。

足も徐々に活発に動くようになってきて、その動きはまるでキックをしているようです。膝から下の動きも滑らかで、足首を上下させるなどの動きをする胎児もいます。

妊娠後期になると、お腹の外からも胎児がキックやパンチをしている膨らみが確認できる可能性もあります。

呼吸様運動

呼吸様運動は、胎児が行う呼吸に似た運動です。妊娠10週頃からみられるようになります。

腹式呼吸のように胸を膨らませたりしぼませたりしていますが、空気呼吸とは違い、肺は膨らみません。そのため、横隔膜を押し下げるような動きで生まれたあとに呼吸をするための練習をしています。

眼球運動

胎児の眼球運動は、妊娠16週頃から始まる運動パターンです。妊娠24週〜妊娠25週頃頻繁に行うようになり、1日のうちで集中して行う時間帯ができます。

その後、妊娠28週〜30週頃になると眼球と体の動きが連動していくため、胎児が活発に動いているときは眼球もさかんに動くといわれています。

しゃっくり様運動

妊娠9週〜10週頃からはじまり、痙攣しているようにリズミカルな一定の感覚で横隔膜を動かすのがしゃっくり様運動です。

かなり長い時間続くときもありますが、止める方法はありません。時間が経って自然とおさまるのを待ちましょう。

しゃっくりをするようになったということは、横隔膜が順調に機能している証拠ですので、ママはリラックスして普段通りに過ごして大丈夫です。

胎児のしゃっくりは呼吸能力に大きな影響を?

2019年に、イギリスのユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)が主導した研究で、赤ちゃんの呼吸を調整する能力の発達に重要な役割を果たしている可能性があると報告されました。

人は生まれた時点で身体感覚を処理する回路は完全には発達していません。研究発表では、しゃっくりによって脳の発達を助ける可能性のある脳信号の大きな波が引き起こされたのを発見したと報告しています。

発表によると胎児や新生児はよくしゃっくりをし、早ければ妊娠9週目から始めるそうです。臨月より3週間早く生まれた赤ん坊は毎日約15分間しゃっくりをしているとのこと。

研究では、横隔膜の伸縮によって3つの脳波が生み出され、この中の3番目の脳波が、しゃっくりの「ヒック」という音と、赤ん坊の感じる身体的な収縮とを一致させている可能性があるそうです。

まとめ

胎児としゃっくりの関係と胎児の運動パターンについてご紹介しましたが、参考になりましたでしょうか。

赤ちゃんを授かったママは、胎動を感じられるとホッとするものですが、健康に生まれてほしいという気持ちから、小さなことも気になったりしてしまうことでしょう。

胎児のしゃっくりもいつもの胎動とは違う動きのため、何か異常があるのではないかと不安になってしまうのも当然のことです。

よくネット上で噂されているしゃっくりとダウン症の関係ですが、しゃっくりとダウン症の関係を示す医学的な根拠は乏しく、胎動だけでダウン症であると決めつけることはできません。高齢での出産などで、もし心配なときはNIPT検査などの出生前診断の受検をおすすめします。

東京の「ミネルバクリニック」は臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設であり、たくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。妊娠初期からの出生前診断を受ける医療機関にお悩みの方は、知識・経験・実績とも「第三者から認証されている」臨床遺伝専門医が診療している「ミネルバクリニック」まで是非、ご相談ください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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