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卵子が老化する原因と予防方法| 加齢が妊娠や出産に及ぼす影響を解説!

パートナーとの子どもを持つと決めて妊活を始めたときに気になるのが、卵子の状態です。卵子は加齢とともに数が減るだけではなく、老化することもわかっています。
そこで今回は、卵子が老化する原因と予防方法を解説します。さらに、卵子の老化のサインや老化によって起こる症状も解説していますので、ぜひ参考にしてください。

卵子は年齢とともに老化する

年齢とともに原始卵胞も加齢する

卵子は、生まれた瞬間から歳をとり老化していきます。
体の老化は細胞単位で起こるため、原始卵胞も老化を避けられません。
卵子の元となる原始卵胞は、胎児期にすでに存在しており、実年齢と同等、もしくはプラス1歳、年をとっていることになります。卵子の数が減ることはあっても、新しく作り出されることはありません。
また、卵子の質も歳を重ねるごとに老化していきます。そのため、妊娠を考え始めた段階で、卵子の老化への対策や適切な不妊治療を検討しましょう。

卵子の数も年齢とともに少なくなる

年齢と原始卵胞の数
女性が生涯に持つ卵子(原始卵胞)の数は生まれたときすでに決まっており、その数は閉経に向けて徐々に減っていきます。

原始卵胞とは、卵子の元となる細胞です。最も多くの原始卵胞が存在するのは生まれる前の胎生5ヶ月頃で、その数は700万個ほどです。そこから、出生時には200万個程度にまで減少し、さらに初潮を迎えるまでに20~30万個までに減少します。
その後も、1回の月経で約1,000個の原始卵胞が減っていきます。30~40代でも原始卵胞の数は減り続けていき、50歳頃にはゼロに近づき閉経を迎えます。

卵子が老化する原因

卵子が老化するということは、卵子の質が低下するということです。
加齢による卵子の質の低下には、以下のようなことが原因として挙げられます。

ミトコンドリアの機能低下
染色体に問題が生じる

ただし、卵子の老化についてはまだ完全には解明されていません。なかには、原因がないにも関わらず妊娠できないという例もあるため、不妊治療を行うことも検討しましょう。

ミトコンドリアの機能低下

ミトコンドリアは、体の中でエネルギーを作る小器官です。体を動かしたり、呼吸をしたり、すべての生命活動に関与しています。

ミトコンドリアの老化は20代を過ぎた頃から始まるといわれています。加齢とともにミトコンドリアの機能が低下すると、エネルギーを作れなくなってしまうほか、細胞に害のある活性炭素が発生し、卵子の質も下がってしまいます。
卵子は細胞の一つですが、ほかの細胞と比べるとはるかに大きな細胞質を抱えています。そのため、ミトコンドリアの機能低下の影響を受けている可能性が高いのです。

染色体異常と機能低下

卵子が老化する原因には、以下のことも関与しています。

□ 染色体の機能低下:染色体のテメロアが短くなる
□ 染色体異常:染色体の不分離

染色体のテメロアが短くなる

加齢によりテロメアが短くなる
染色体のDNA情報が入った部分をテメロアと呼びます(図の赤い部分)。
テメロアは、年齢を重ね、細胞分裂を繰り返しているうちに徐々に短くなっていきます。テメロアが短くなると細胞分裂をしなくなるため、細胞が老化してきます。卵胞細胞も細胞の一つであるため、例外ではなく加齢による影響を受けることになります。

染色体の不分離

染色体の不分離
原始卵胞は卵子になるために細胞分裂(減数分裂)を行い、最終的には23本の染色体になります。精子の23本の染色体と受精すると、受精卵の染色体は46本となります。これが正常な受精卵のパターンです。

ところが、原始卵胞が老化してうまく減数分裂ができていない場合、24本の染色体を持つ卵子になったり、反対に染色体が1本足りず22本になったりするなど、染色体異常を引き起こした質のよくない卵子ができます。こうした染色体異常が起きた多くの場合、流産したり、染色体異常を持った子どもが生まれたりする可能性があります。

卵子が老化するとどうなる?

卵子が老化すると
加齢ともに卵子が老化すると、卵子の質が落ちるだけでなく、卵子の数が減少することが相まって、以下のようなことが起こります。

□ 流産率が増加する
□ 染色体異常疾患の出現率が増加する

流産率が増加する

女性の加齢と流産率の増加
1回の妊娠で起こる流産の頻度は、平均で15%です。流産は、妊娠した方であれば誰にでも起こり得るものですが、加齢によってその割合が高まることがわかっています。このすべてが卵子の質の問題であるとは限りませんが、染色体異常によって受精しても胚がうまく育たないことは流産が起きる要因の一つです。

厚生労働省が示す上記の表でも、30~34歳の流産率が10%であるのに対し、35~39歳では20%を越えるほどに増加しています。40歳以上では41.3%と、加齢が関係していることがわかります。

染色体異常児の出生頻度が増加する

女性の年齢と子どもの染色体異常のリスク
卵子の老化により、染色体異常児の出生頻度が増加することもわかっています。卵子の老化が進み、染色体の分離がうまくいかなくなるといった理由で、21トリソミーや16トリソミーなどの染色体異常を持つ子どもの出生頻度が高くなります。上記の表では、34歳までは染色体異常児の出産率はほぼ横ばいですが、35歳以降は徐々に増加していき、40歳を境にさらに増加。49歳では125%になっていることがわかります。

卵子の老化のサイン

卵子が老化するということは、卵巣機能も低下するということです。女性ホルモンの分泌量が減るため、月経周期や経血の量にも変化があります。

【卵子老化のサイン】
□ 月経周期が短くなる
□ 月経自体が短い
□ 経血の量が減る

ただし、必ずしもこの限りではありません。月経周期や経血の量はホルモンバランスの乱れによって変化しやすいため、あくまでも目安として考えましょう。

卵子の老化を防止する方法

現時点で、卵子の老化を食い止める方法はありません。しかし、老化を遅らせることはできます。
その方法として挙げられるのが以下のような方法です。

□ 抗酸化対策
□ 生活習慣の改善

抗酸化対策

私たちの体には、もともと尿酸やアスコルビン酸、メラトニンなどの抗酸化物質が存在しており、ミトコンドリアの生成を促し、体の酸化を防いで病気や老化に負けない体を維持しています。
しかし、20代をピークにこれらの抗酸化物質が減少するため、食べ物やサプリメントで補うことが大切です。もちろん、卵子の質を維持するためにも抗酸化物質は欠かせません。

抗酸化対策をすることで、ミトコンドリアの酸化を防ぐことができます。たとえば、抗酸化対策にはビタミンCやビタミンE、ポリフェノール類、ミネラル類の摂取を意識してみましょう。

【卵子の老化防止におすすめの食べ物】
□ 魚介類
□ 動物の内臓
□ ニンニク
□ 緑黄色野菜(パプリカ、ブロッコリーなど)
□ キウイフルーツ
□ 植物油(ひまわり油、やし油)
□ 赤ワイン
□ リンゴ
□ 海藻類

生活習慣の改善

卵子の老化防止には、生活習慣の改善も重要です。
ミトコンドリアの機能は、ストレスや食生活の乱れ、腸内環境などによって低下します。そのため、生活習慣を改善することで卵子の質の維持が可能です。生活習慣の改善には以下のポイントをチェックしてみましょう。

【卵子の老化防止のためのチェックポイント】
□ 食生活の改善
□ 質のよい睡眠
□ 適度な運動

食生活の改善や質のよい睡眠、適度な運動は、卵巣や卵子を整えるだけでなく、生活習慣病の改善にもつながります。生活習慣の改善も無理のない範囲でできることから始めましょう。

まとめ

生涯の間に持てる卵子の数は、生まれたときにすでに決まっており、出生時から閉経までに徐々に減っていきます。体と同じように卵子も老化していくため、染色体異常や出産率、流産率にも影響します。そのため、妊娠を望む場合は、生活習慣を見直したり、抗酸化物質を摂取したりして、卵子の老化対策を行うことが大切です。

東京の「ミネルバクリニック」は臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設であり、たくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。ミネルバクリニックでは、妊娠9週から受けられる赤ちゃんの健康診断である「NIPT」を業界最新の技術と業界随一の対象疾患の広さで行っております。遺伝のエキスパートである臨床遺伝専門医が出生前診断を提供しておりますので、是非、お気軽にご相談ください。妊娠初期からの出生前診断を受ける医療機関にお悩みの方は、知識・経験・実績とも「第三者から認証されている」臨床遺伝専門医が診療している「ミネルバクリニック」まで是非、ご相談ください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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