InstagramInstagram

中絶手術 吸引法とは?|掻爬(そうは)法との違いやリスクについて

人工妊娠中絶手術にはいくつか種類があります。できるだけリスクの低い方法で手術を受けたいと思うのは妊婦さんであれば当然のことです。しかし、どんな方法で中絶手術をするのかご存じない方が意外と多くいらっしゃいます。そこで今回は、中絶手術はどんな方法で行われるのか?について負担が少ないと言われる吸引法を中心に詳しく紹介していきます。もしご自身がお悩みになって中絶を決断したときに、どこレディースクリニックで受けたらいいのか参考になりますのでぜひご覧ください。

中絶手術の種類は?

現在、中絶手術を行う方法は12週目までの初期妊娠とそれ以降で大きく変化します。12週目までの初期妊娠の場合、そんなに負担は大きくありません。「吸引法」と呼ばれるやり方と「掻爬(そうは)法」と言われる方法の二種類になります。どちらになるのかはレディースクリニックや病院によって変わってきます。中絶手術を行う前に説明があると思いますが、事前に違いを知っておくと医院選びもしやすくなると思います。

ちなみに12週目以降は「中期中絶」と呼ばれ、リスクや方法が大きく異なります。更に役所への死産届の提出、火葬、納骨などの諸手続きが必要となり、入院期間も長く費用も高額となります。だからこそ妊娠がわかった段階で早めにパートナーに報告をし、出産するかしないかを決めておく必要があるのです。

吸引法とは?メリットとリスクについて紹介

ストロー状の器具を使用して、子宮内容物を吸い出すのが吸引法です。メリットとして大きいのは妊婦さんへの負担が少ない点にあります。WHO(世界保健機関)や国際産婦人科連合でも推奨されており、手術時間が短く、合併症の可能性が低いのも特徴です。

リスクとして考えられるのは、感染症にかかる恐れがある点です。器具を使って吸い出すため殺菌や消毒が甘くなると子宮に雑菌が入り込む恐れがあります。

掻爬(そうは)法のメリットとリスクについて紹介

日本国内の中絶手術で今でも中心となっていて、スプーン状の器具や鉗子を使用して子宮内容物を掻き出す方法です。大学時代から掻爬(そうは)法で中絶手術を学んでいる医師が多いため慣れているのが特徴になります。器具の滅菌・洗浄ややりやすいので感染症になる恐れはほとんどないのもメリットです。

ただし、手術は医師の技術に左右される点があります。あまり上手ではないと子宮の内膜に傷がつきやすくなり、出血といったた母体への負担が生じる可能性も考えられます。麻酔と手術の時間がかかるのもリスクといえるかもしれません。

中絶手術の一つ!吸引法の種類はどれくらいあるのか?

中絶手術
日本国内ではまだまだ少数派の吸引法には二つの種類があります。それぞれ違いがありますので特徴を把握しておくと医院を選択するときの参考になると思います。

MVA

子宮のなかに柔らかい細いチューブを差し込んで、手動吸引器で内容物を吸い取る手術法です。子宮にも優しくWHOもMVAを推奨しています。

理由の一つとしてチューブがポリプロピレン製で柔らかくしなやかな点です。子宮の形に合わせて吸引操作ができるため痛みが生じる恐れが低くなります。また、手動で行うため微妙な調整が可能でより安全に処置が行えます。チューブも使い捨てにしているところもあるので感染症についても不安は少ないといえます。

デメリットとしては週数によっては吸引力が弱いので遺残しやすく、時間がかかると出血量が多くなり子宮に負担がかかる可能性があります。もう一つのデメリットは2015年に認可されたため実施しているクリニックが少ないことです。

EVA

電動ポンプを使って子宮にいる内容物を吸い込む手法です。現在、吸引法を行っている施設のほとんどは電動真空吸引法になります。妊娠の週数を問わず処置できる点も大きいでしょう。

リスクとして挙げられるのは、金属製のチューブを使い電動ポンプで吸引するので、子宮に傷をつけてしまうことや穿孔(突き抜けてしまう)を起こす可能性がある点ですます。また、金属のポンプはきちんと殺菌消毒をしないと雑菌が残ってしまう恐れがあるのもデメリットといえます。

吸引法で行う中絶手術の流れ

初診で問診を行い、超音波検査で処置が可能かどうかを判断した後に手術の日程を決めて予約を取ります。日程が決まったら手術内容の説明に入るクリニックがほとんどです。手術の前に同意書が必要になるのでご注意ください。

妊娠中絶手術は術法に限らず飲食に時間制限があります。ほとんどの場合、夜12時以降のお食事はできず、コップ一杯の水分(水、お茶、コーヒーなど)接種がのみなのがほとんどです。

手術日は、子宮口を広げる術後処置を実施します。これは掻爬(そうは)法を採用しているクリニックならばほぼ確実に行いますが、吸引法を採用している医院では実施しない場合もあります。

その後、手術室へ移って点滴による静脈麻酔を行います。妊婦さんによっては笑気麻酔をかける場合もありますので痛みを感じることはほぼありません。ぼうっとした感覚をしているうちに処置は終わります。

術後はまだ麻酔が残っているので2時間ほど院内でお休みをしていただきます。麻酔から完全に覚め、歩ける状態になったら、術後診察をして問題ないとなったらごいただく形です。

クリニックにもよりますが、朝9時にご来院いただくと14時から15時くらいに終了となります。手術後、一ヶ月ほどしたら術後診断で再度ご来院していただき、全身状態、出血の状態などをチェックします。

吸引法の中絶手術の費用は?

費用はクリニックによって様々です。また、妊娠の週数でも変わってきます。相場としては10万円前後が目安となっており、安い医院では妊娠週目で8万円というのもあります。支払い方法も現金払い以外にクレジットカード払いに対応しているクリニックもあります。お住まいの都道府県で人工妊娠中絶手術をしている医院の情報を知りたい方は下記のURLをご参照ください。

関連記事:全国中絶クリニックなび|妊娠初期・中期中絶実施病院費用週数など詳細比較|都道府県別

術法に限らず共通しているのは妊娠週数が若ければ費用の負担は小さくすみます。反対に12週目を超えると中期中絶となるため中絶手術を引き受けてくれない医院が多くあります。だからこそ、妊娠がわかった段階でパートナーと早く話し合うことが妊婦さんの負担を軽くするのです。

吸引法で行う中絶手術に痛みや出血はあるのか?

結論から申し上げますと、掻爬法と比べて出血や痛みはほぼありません。EVA(電動吸引法)の場合、金属製のパイプを使用するため差し込む際に痛みが起きる可能性があります。

術前に子宮を広げる処置をするときに痛みが走る恐れがありますが、MVAの場合は術前処置を行わないので関係ありません。

まとめ

女性医師
中絶方法の一つである吸引法を中心に初期中絶について詳しく紹介をしてきました。現在、日本のほとんどのレディースクリニックでは掻爬法という器具を使って掻き出す処置となっていますが、吸引法を取り入れているところも増えてきています。

出血や痛みといった妊婦さんへの負担を少なくできる方法といえますので採用するクリニックが増えてくるといいなと思います。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

関連記事