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30代で妊娠しやすい体になるために知っておきたいこと

思います。2016年に厚生労働省がまとめた「人口動態統計」によりますと第1子出生時の母の平均年齢が30.7歳と30代での妊娠は当たり前になっています。

しかし、30代は女性にとって妊娠するのは難しい年代にもなってきており、子どもが欲しいと思っていても授からないこともあります。そこで30代女性が知っておきたい妊娠力を高める方法、年代による違いなどをご紹介します。

先輩ママからのアドバイスもありますのでぜひ最後までご覧ください。

30代前半と30代後半では妊娠しやすさが違う

ひとくちに30代といっても前半と後半で大きな違いがあります。そこで20代も含めて年代ごとの妊娠力について解説をします。

20代は最も妊娠するのに適した年代

20代女性は妊娠という点を見ればもっとも妊娠しやすい年代です。生理が始まった10代よりも月経周期は安定しており、卵子の数と質も十分な状態です。しかも子宮内膜も厚く、ホルモンの分泌も活発な時期でもあるので妊娠・出産に適しています。

ただし体のトラブルも少なく、体力もあるので仕事でもプライベートでも無理をしてしまいがちなところがあります。睡眠不足や過剰なダイエットによる偏った食生活、仕事のストレスなどを抱え込むと生理不順や子宮筋腫といった婦人科の病気の原因となる可能性があります。

30代前半は20代と変わらないけれども不妊が増加傾向に

30代前半は、卵子・子宮内の状態は20代とそんなに変わりません。20代同様、妊娠出産をするのにいい時期であるのに適した年代です。精神的にも成熟しているのも好材料といえます。また、同年代のママが多いのも安心できる要素です。

しかし、ここまで過ごしてきた生活習慣や自己管理によって体力に差が出てくる時期です。子宮の筋力も衰えてくる可能性があります。子宮筋腫、子宮内膜症、生理トラブルなど婦人科の病気も出てくるため人によっては妊娠しにくくなるのがはっきりと出てくる年代です。もし自覚があるならば早めに婦人科の受診をしてください。

30代後半は卵子の老化が進み妊娠力が落ちてくる年代

35歳を境に女性の妊娠力がガクッと低下をします。卵子の質が落ちてくる年代でもあり、数も37~38歳頃から激減するからです。ホルモンの分泌量も卵子同様の状態です。個人差はあるものの子宮が精子を吸い上げる力が弱まってくる人もいます。二人目不妊に陥るのもこの年代からです。

老化による妊娠力が落ちてくる年代でもあるので婦人科で定期健診を受けてご自分の体の状態を知っておきましょう。残り時間は少ないと考えてください。

不妊症と体外受精で出産した女性の割合はどれくらい?

日本産婦人科学会が2017年に発表した資料によると、生殖補助医療(体外受精人工授精・顕微授精)が行われた件数は448,210件です。そのうち分娩にまで至ったのは52,997(11.8%)件でした。これは全出生児数16人に一人が生殖補助医療(体外受精・人工授精・顕微授精)で生まれているという結果です。小学校の教室にいる子どもの二人が生殖補助医療(体外受精・人工授精・顕微授精)で生まれてきたことになります。

30代から体外受精などをしても流産する確率が高くなる

下のグラフは日本産婦人科学会が2017年に発表した生殖補助医療(体外受精・人工授精・顕微授精)の妊娠率・生産率(子どもが生きて生まれてくる確率)・流産率をグラフにしたものです。

日本産婦人科学会が2017年に発表した生殖補助医療(体外受精・人工授精・顕微授精)の妊娠率・生産率(子どもが生きて生まれてくる確率)・流産率
日本産科婦人科学会 ARTデータブック2017より引用)

年齢別に見ると、若い年齢では高く、年齢が高くなるにつれて低くなる傾向です。32歳くらいまではほぼ一定で、生産率(子どもが生きて生まれてくる率)も20%あります。ところが33歳から1歳ごとに妊娠率と生産率が1%ずつ低下しており、37歳になると2%に増えていきます。39歳だと生産率(子どもが生きて生まれてくる確率)は11.5%ですが、40歳では9.3%、44歳で1.8%と生殖補助医療(体外受精・人工授精・顕微授精)で子どもを授かるのも厳しいのが現状です。

反対に流産する確率は33歳ぐらいまでは約15-19%くらいだったのが、34歳から徐々に上昇していきます。38歳には26%と4回に1回は流産するという結果です。しかも39歳で30.6%、40歳で33.6%、43歳で49.3%と流産する割合はどんどん増えていっています。

妊娠しやすい30代になるために必要な4つの生活習慣

職場で幸せそうな女性
国立社会保障・人口問題研究所の2015年の報告によると、「不妊を心配したことがある(または現在心配している)夫婦の割合は35.0%と以前よりも増えています。子どもがいない夫婦だと夫婦では、55.2%と高い割合です。

日本の夫婦の約3組に1組は、自分たちは不妊ではないかと心配したことがあり、「妊活」は当たり前になっています。妊活の第一歩として基礎体温を測ったり、排卵日を予測したりして妊娠しやすい日に性行為をするというのも行っている夫婦もいるでしょう。

そこで、さらにもう一歩妊活で欠かせないのが生活習慣を変えて妊娠しやすい体へと変化させていくことです。そのコツをご紹介します。

睡眠時間と質を確保しよう

妊活において大切なのが「睡眠」です。睡眠時間はもちろん、質にも気をつけてほしいところです。なぜなら「女性ホルモンの分泌を促し、妊娠しやすいからだに導いてくれる」「自律神経が整うことで血流が改善され、子宮や卵巣の動きを正常にする」といった働きがあるからです。

睡眠時間は8時間ほしいところですが、仕事や家事で忙しいので多少少なくなっても構いません。ただし、最低6時間は確保してください同時に。睡眠の質も上げていくようにしましょう。方法としては、寝る2時間前からカフェインを摂取しない、メンタルに影響を与えるセロトニンが豊富な野菜や果物類、海藻、きのこ類からうまく食物繊維を摂るようにしましょう。枕や布団、ベッドといった寝具を変えてみるのもおすすめです。

ビタミンE、ビタミンD、鉄分、亜鉛、タンパク質を積極的に摂ろう

妊活に効果的といわれる栄養素がビタミンE、ビタミンD、鉄分、亜鉛、タンパクです。これに葉酸を加えて摂取するようにしましょう。

ビタミンEは、高い抗酸化作用があり、卵子の状態を良くするといわれています。その他にも女性ホルモンを調節したり、子宮内膜や卵巣の状態を良くしたりするとも考えられているので摂ってほしい栄養素です。

・多く含まれる食材:アーモンドなどのナッツ・豚レバー・魚介類(缶詰でもOK)

ビタミンDは、着床をサポートしてくれる栄養素です。また、卵子を成熟させる効果もあるとされています。

・多く含まれる食材:卵・魚介類・きのこ

鉄や亜鉛は、子宮の粘膜をつくる材料になるため、鉄が不足すると受精卵は着床しにくくなるとされています。特に貧血気味の方は積極的に摂るようにしてください。

・多く含まれる食材:レバー・赤身肉・カツオ・煮干し

タンパク質は、卵子や精子の材料であり、人間のからだを作っている栄養素です。妊活にも不可欠な栄養素とされています。

・多く含まれる食材:卵・肉・刺身・大豆

後は、葉酸を多く含む食材を摂るようにしてください。葉酸の働きや豊富な食材については下記の記事に詳しく紹介していますのでご参照ください。食事だけでこれらの栄養素を摂るのは難しいのでサプリメントで不足分を補いましょう。

脚の筋肉量を増やそう

運動は「卵巣に栄養が届きやすくなり、女性ホルモンの分泌を活発にする」「子宮内膜を着床しやすい状態にする」などの効果が期待できます。男性の場合、精子を作る機能が強化されるので二人で一緒に始めるのがいいかもしれません。また、ストレス解消にもなるので定期的に運動する時間を作るようにしてください。

女性の場合、ホルモンの分泌を活発にさせるには下半身の筋肉を付けるのが効果的です。具体的には太ももを意識した筋トレをするのがいいでしょう。ただし、激しい筋トレは活性酸素を過剰にしてしまい、体の中のタンパク質やDNAなどにダメージを与え、細胞を壊してしまうため却って逆効果です。スクワットなら15回から30回を目安にしましょう。

また、血行を促進させると妊娠に大敵な冷え性対策にもなりますし、子宮の機能を高め、子宮内膜を着床しやすい状態なるのでウォーキングやゆっくりした呼吸をしながら行うマッサージ、ヨガがおすすめです。

リラックスした毎日を過ごそう

妊活最大の敵はストレスです。これは女性、男性関係ありません。ストレスがたまってしまうと生理不順や無月経になるケースもあります。また、激しいストレスを受けると排卵や生理が止まってしまうこともあるのです。男性の場合、造精・射精機能が低下しやすくなります。

だからこそ「妊活中だから」とあれもこれも頑張ってしまうと、からだにもこころにも負荷がかかってしまいますので無理せずできることから始めてみましょう。

妊活を経験した30代女性からのメッセージ

クリニックにやってきた患者さんの話を笑顔で聞く女性医師
実際に妊活をした女性からこれから妊活をする人たちへメッセージをいただきました。いくつか公開しますのでご覧ください。

●まずは、自分の身体を知ること。婦人科や不妊治療外来の壁は高く感じるかもしれないですが、本当に赤ちゃんが欲しいなら近道でもあります。私は思い立ってすぐに受診した方ですが、中々赤ちゃんを授からない間は「もっと早く病院に行けばよかった」と何度も思ったので、早め早めに行動してもらいたいです。(大分県 38歳女性 会社員)

●妊娠したいと思いすぎるとストレスになってしまうので、妊活というより「自分の生活習慣を見直して、赤ちゃんを授かりやすいように体と心をキレイにするんだ!」と思って取り組むのが私には良かったです。(三重県 33歳女性 会社員)

●最初の頃、妊活を始めてもなかなかうまくいかず、「自分に原因があるのでは」と考えて、自信をなくしてしまいました。パートナーに相談は、お互いなかなかしにくいと思いますが、「一緒にやって行こう」という気持ちで二人で寄り添って進めてほしいです。(神奈川県 34歳男性 会社員)

「早く医師に相談をする」「ストレスは御法度」「パートナーとよく話し合う」というアドバイスが目立ちました。自ら妊活に取り組んだ方から経験したからこそわかることがたくさんあると思いますので参考にしてみてください。

まとめ

30代で妊娠しやすい体にするために必要な知識や生活の改善方法について紹介してきました。

30代でも前半と後半では妊娠しやすさが違ってきます。ただ、30代前半だからといってのんびりしているとあっという間妊娠するのに適した時期を過ぎてしまいます。

まずはご自分の体が妊娠しやすいのかどうかをパートナーと一緒に調べてみるのもいいかもしれません。妊活はゴールではありません。もし子どもが授からなくてもご自分を責めることなく「子どもがいない人生」があるのも選択肢の一つですので「夫婦お互い寄り添っていられることだけでも幸せなのだ」ということを忘れずにいてください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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