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妊娠中期の赤ちゃんの状態や生活上の注意点を解説

妊娠中期は、一般的に体調が落ち着き過ごしやすい時期と言われていますが、この時期の赤ちゃんはどのような成長を遂げているのでしょうか。安定期とも呼ばれる妊娠中期だからこそ、気を付けるべき点を知りたいという妊婦さんも多いでしょう。

本記事では、妊娠中期の時期や特徴について解説するとともに、この時期の赤ちゃんの状態や日常生活での注意点について紹介しています。

妊娠中期はいつからいつまで?

妊娠は期間によって呼び名が異なり、初期・中期・後期で分類されています。中期は妊娠5~7カ月(妊娠16~27週)の3カ月間のことです。

妊娠中期になると胎盤が完成し、体調が安定してくる人が多いことから、世間一般では妊娠5カ月以降を「妊娠安定期」と呼ぶこともあります。

つわりが落ち着いてくる時期

妊娠初期から続いていたつわりは、妊娠中期あたりから落ち着いてくることが多いでしょう。吐き気やだるさが解消されるため妊娠期間の中でも過ごしやすい時期になります。
しかし、体調が安定していたとしても、身体に負担がかかることや無理のしすぎは避けましょう。また、食欲が戻ってきたことで、食べ過ぎて体重が増えすぎないよう注意したいところです。

なかには、妊娠中期に入ってもつわりがおさまらない人や、一度落ち着いたつわりが再発する「つわりのぶり返し」が起こる人もいます。
つわりは個人差が大きいものなので、辛いときは無理をせずゆっくり休むことを心掛けましょう。

妊娠中期は身体の変化が大きい

妊娠5カ月を過ぎたあたりから、徐々に胎動を感じるようになります。妊娠中期に入ったばかりの時期ではまだ分からなくても、妊娠20週を過ぎるころには多くの妊婦さんが感じられるようになるので安心してください。

また、胎盤が完成したことで赤ちゃんにしっかり栄養が行き届くようになるため、成長スピードが増し、おなかの膨らみも目立ってきます。
おなかが大きくなると身体の重心が変わり、上半身を反らした姿勢になることが増えるため、腰痛に悩むことも増えてくるかもしれません。

女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの分泌も増加するので、乳腺が発達し、胸が張ったりバストサイズが大きくなったりなど、さまざまな変化が現れるでしょう。

妊娠中期の赤ちゃんの状態

妊娠中期の赤ちゃんの状態や生活上の注意点を解説

妊娠5カ月を過ぎる頃の赤ちゃんの発達はめざましく、人間らしい姿へと変化していくため、より成長が実感できるのではないでしょうか。ここでは、妊娠中期の赤ちゃんの状態や特徴を紹介します。

胎毛が生えてくる

妊娠中期になると、赤ちゃんの全身に産毛が生えてきます。この産毛は「胎毛」と呼ばれるものです。
赤ちゃんの皮膚は弱いため「胎脂」という白いクリーム状の脂を全身にまとい、羊水の刺激から自分自身を守っています。

他にも保温や出産時の潤滑油としての働きがあるなど、胎脂にはさまざまな役割がありますが、その胎脂を剥がれないようにするために、胎毛が生えるのです。
また、まつげや眉毛、髪の毛もうっすらと生えてくるようになります。

耳が聞こえるようになる

妊娠6カ月頃になると、赤ちゃんの重要な臓器はほとんど完成します。聴覚も発達し、徐々に外の音が聞こえるようになってくるでしょう。
お母さんの心音や血流の音など、身体の中の音が良く聞こえますが、外からの音や声なども聞こえています。

羊水に浮かんでいる赤ちゃんに届く音は、水の中にいるようなくぐもった音なので、お母さんの声がはっきりと言葉として聞こえているわけではありません。
しかし、お母さんの声かけは赤ちゃんにとって心地良いものなので、優しく語りかけるような声でたくさん話しかけてあげましょう。

おなかの中で活発に動き回る

妊娠中期の後半、妊娠7カ月にもなると赤ちゃんの身長は約30cm、体重は1,000g程になります。前頭葉も発達し、動きが活発になるため、羊水の中でクルクル動き回ることが増えるでしょう。
元気に動く赤ちゃんの成長は嬉しいものですが、逆子になりやすい時期でもあります。ですが、妊娠30週頃までには自然と戻ることが多いので、しばらくは様子を見ましょう。

腎臓も機能するようになってくるので、赤ちゃんは羊水を飲んでおしっこをするようになります。「おしっこを飲んでるってこと?」と思う人もいるかもしれませんが、老廃物はへその緒を通してお母さんに渡しているため、おしっこも羊水もきれいな状態です。
また、妊娠7カ月頃は、視覚も発達するため光の明暗を感じる網膜が形成されます。目をおおっていたまぶたは上下に分かれるので、まばたきが見られることもあるかもしれません。

妊娠中期の生活で注意したい5つのポイント

妊娠中期は、安定期にあたる時期ですが、流産のリスクがゼロなわけではありません。中期以降は切迫流産が起こる可能性もあるため、体調を第一に考えた生活を送ることが大切です。

ここでは、妊娠中期での注意点や知っておくべき5つのポイントについて紹介します。

重いものは持たない

「妊娠中は重いものを持ってはいけない」というのは、多くの人が聞いたことがあるかもしれません。妊娠中に重いものを持つと腹圧がかかるため、おなかが張ったり腹痛が生じたりする可能性があります。
特に切迫早産の場合は注意が必要です。医師から安静を指示されている人は、掃除機を持つなど日常生活での動作にも気をつかわなければなりません。
そうでない場合は、あまり神経質になる必要はありませんが、なるべく周囲に協力してもらう必要があるでしょう。

また、家族が増えるため、引越しをする家庭もあるのではないでしょうか。引っ越し準備は、重いダンボールを移動させる必要があるため、身体に負担がかかることがあります。
妊娠中の引越しは、引越し業者に梱包をお任せできるパックを選ぶなど、なるべくお母さん自身が重い荷物を持たずに済むような工夫が必要です。

バランスが取りづらくなることに注意

高いところにあるものを取ることも妊娠中は避けた方が良いと言われていますが、これはおなかが大きくなってきたことによってバランスが保ちにくくなり、転倒の危険性があるからです。
他にも、高いところのものを取るときに背伸びをするのも良くないと言いますが、背伸びをするとおなかや腰に力が入り、子宮が圧迫される可能性があります。しかし、朝起きたときの伸びなど、身体に負担にならないものであれば気にしなくても大丈夫です。

また、妊娠中はバランスが取りにくくなるという同様の理由で、自転車の運転も避けましょう。膨らんだおなかで足元が見えづらくなるため危険です。
ヒールの高い靴も妊娠中は控えた方が良いですが、2~3cm程の太目で安定感のあるヒールなら問題ありません。

栄養バランスの整った食生活を心掛けよう

つわりがおさまり、食べられるようになってきたら、栄養バランスの整った食事をとって、適正体重を維持するようにしましょう。
胎盤から赤ちゃんへ栄養が届きやすくなる妊娠中期は、お母さんの食事内容が赤ちゃんの発達に影響されやすくなります。

葉酸や鉄分は、妊娠中特に不足しやすいため、積極的に摂取したい栄養素です。他にも、ビタミン類やカルシウム、たんぱく質や食物繊維などもバランス良くとれるよう、食事に気を配りましょう。
しかし、栄養バランスや体重管理を気にしすぎると、食事が楽しくなくなってしまう可能性がありますので、適度な運動も取り入れてストレスを溜め込まないことが大切です。
また、妊娠中はホルモンバランスの影響や血液量の増加によりむくみやすくなるため、食事は薄味にして、塩分のとりすぎに注意しましょう。

歯のトラブルに注意

妊娠中に増加する女性ホルモン(エストロゲン)が歯周病菌の増殖を促すため、妊婦さんは歯周病になりやすいと言われています。
ホルモンバランスが崩れると、唾液の分泌量も減るため、なおさら口腔環境が悪くなり、歯に関するトラブルが起きやすくなるのです。

妊婦さんの歯周病は、早産や低体重児のリスクが高まるため、日頃のオーラルケアは重要です。歯科治療は妊娠中期であれば可能なケースが多いですが、必ず妊娠中であることを医師に伝えてください。
妊娠中でも問題ない薬剤を使い、楽な姿勢が取れるよう妊娠に配慮した治療が行われます。

妊娠線予防のために保湿をしよう

妊娠中期以降は赤ちゃんの成長に伴いどんどんおなかが膨らんでくるため、急激な体型の変化に皮膚が追いつかず、妊娠線ができてしまう場合があります。
皮膚は、表皮・真皮・皮下組織の3層になっており、表皮はおなかの膨らみとともに伸びますが、真皮と皮下組織は耐え切れずに裂けてしまうのです。

妊娠線は縞模様のような線で、1度できてしまうと目立たなくなることはあっても、完全には消えません。
妊娠中は皮膚が乾燥しやすくなるため、より妊娠線ができやすくなる状態にあります。そのため、予防のために妊娠線が出る前から保湿をしておくことが大切です。

なお、妊娠線はおなかだけでなく胸やおしりなどにも出る場合がありますので、乾燥対策も含めて全身をケアするようにしましょう。

【まとめ】妊娠中期で落ち着いていても体調に気を付けて生活しよう

妊娠中期は妊娠5カ月以降の3カ月間であり、この時期になると心身共に安定して過ごしやすくなるでしょう。
胎盤が完成したことで栄養が届きやすくなり、赤ちゃんがどんどん成長していく時期です。同時に母体の変化も大きくなるため、身体に負担のかかるような姿勢を取ったり、重いものを持ったりすることは避けるようにしましょう。

胎動が感じられるようになり赤ちゃんの聴覚も発達するため、声かけに反応してくれるかもしれません。
妊娠中期は、ストレスを溜めず栄養バランスの整った食事を心掛け、ゆったりとした気持ちで赤ちゃんとコミュニケーションを取りましょう。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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