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自閉症診断テスト|子どもの自閉症スペクトラム(ASD)の特徴と関わるときの3つのコツ

子どもの自閉症スペクトラムは、見分けるのが非常に難しく発見が遅れてしまう傾向があります。
しかし、ポイントを押さえて周りの大人たちが少し気にしてあげるだけでも、発見できる可能性は高まるでしょう。自閉症は早期から治療すると症状の悪化を防ぐこともできます。

そこでこの記事では、子どもの自閉症診断テスト、年齢別に見た自閉症スペクトラムの特徴と関わる際のコツを紹介します。

自閉症スペクトラム(ASD)とは

自閉症診断テスト2

自閉症スペクトラム(ASD)とは、2013年に刊行されたアメリカ精神医学会の診断基準DSMに基づき、以下の3つの発達障害を合わせた総称です。

・自閉症
・アスペルガー症候群
・高機能自閉症

自閉症スペクトラムは、社会性やコミュニケーション能力の発達が障害される疾患です。多くの場合、生まれてからの2〜3年で症状が明らかになり、人によって大きく異なります。

自閉症スペクトラムの顔つきってあるの?

自閉症の顔つきに大きな特徴は見られません。以前は「賢そうな顔つきをしている」と言われていましたが、特に医学的な根拠はなく現在では否定されています。

自閉症の顔つきについて紹介したこちらの記事もご覧ください。

子どもに当てはまりますか?自閉症診断テスト

「最近、周りの子どもと比べて行動が少し変かもしれない」と感じた方は、簡易的にでも一度子どもの自閉症診断テストをしてみましょう。
以下の10項目で半分以上当てはまる場合は、自閉症スペクトラムの可能性が考えられます。診断テストの後、病院を受診するようにしてください。

チェックリスト 行動の理由
視線をそらしたり、抱っこされることを嫌がったりする 周りの世界に無関心
友達がいない 他の子どもと協調して遊ぶということがなく、人の気持ちを理解することが苦手
反響言語(オウム返し)をする 言語やコミュニケーションの障害が認められる
変な比喩を使ったり、気持ちのこもらない話し方をしたりする ことばが発達する場合話し方にはたいてい独特のパターンがあるため
読み書きが苦手 「読む」「書く」「計算する」ことが、努力しているのに極端に苦手な学習障害の影響
寒さや暑さを感じなかったり、逆にこれらに過敏に反応したりする 感じ方に一貫性がないため
日常に決まり事、ルーティンがある 同じ道順、同じ着替えの順序、 同じ日課などのこだわりを持つため
描画・音楽・計算・記憶力に突出した長所がある 知的機能がかたよって発達するため
手をひらひらさせたり、体をくねらせたり、くるくる回ったりする 動作を繰り返すことが多く、落ち着きがないため
大勢の人がいるところが苦手 感覚過敏、または鈍麻であるため

参照:厚生労働省(自 閉 症 Q & A)より作成

【年齢別】自閉症の子どもがする行動特徴

自閉症診断テスト3

自閉症スペクトラムの行動特徴は年齢によって異なります。年齢別の特徴と子どもの行動を比較しながら、自閉症スペクトラムの可能性を探るための参考にしていただけると幸いです。

生後~1歳

生後〜1歳のASDの特徴は、以下のとおりです。

・添い寝や抱っこを嫌がる
・親以外の大人に近寄らない
・思うようにミルクを飲んでくれない
・偏食がある
・寝つきが悪い、夜泣きが多い
・あやしても笑わない

自閉症スペクトラムは、周りからの刺激に過敏に反応する傾向があります。自閉症スペクトラムの赤ちゃんが少しの物音で起きたり、夜泣きがひどかったりするのはこれが原因です。また、ミルクの味や温度、離乳食のメニューなどに強いこだわりがあり、作り方やタイミングによってはミルクや離乳食を摂取してくれないことが頻繁にあるでしょう。
しかし、生後〜1歳はまだまだ感情表現に乏しく、自閉症スペクトラムかどうかを判断するのに難しい時期です。そのため、一概に「うちの子ども自閉症スペクトラムでは?」と思わず、長い目で観察することが重要です。

2~3歳

2〜3歳の自閉症スペクトラムの特徴は、以下のとおりです。

・呼びかけても反応に乏しい
・話をするときに目線を合わせられない
・話し始めるのが遅い
・スキンシップを嫌う
・いつも一人で同じ遊びをしている
・初めてのことは親が一緒でなければできない

「対人コミュニケーション障害」や「社会性の欠如」という自閉症スペクトラムの特徴から、呼びかけても反応に乏しかったり、相手の顔や目を見て話すのが苦手だったりします。また、集団行動が苦手で他者との関わりが少ないため、発語が遅れる傾向にあります。そのため、お友達の輪に入りにくく、1人遊びをしていることも多いでしょう。

4~6歳

4〜6歳の自閉症スペクトラムの特徴は、以下のとおりです。

・自分だけのルールがある
・物の位置や進める手順などに強いこだわりがある
・自分勝手な行動が目立ち、友達を怒らせてしまうことが多い
・その場の状況に合わせた柔軟な行動ができない
・いつも同じ遊びをしている
・いつも同じところでつまずく(できないことが決まっている)
・ごっこ遊びなどで演じきることが苦手

自閉症スペクトラムの子どもは特定のことへ強いこだわりがあるため、自分だけのルールや明確な手順を重視します。そのため、イレギュラーな事態が起こり、急なスケジュール変更によって柔軟な対応が求められると思考停止やパニックを起こす傾向にあります。
また、対人コミュニケーションが苦手なため、大勢の友達と遊べず、いつも1人で同じ遊びをしているのも特徴です。一人で遊ぶのが好きというより、友達の輪に入っていくのが苦手というイメージです。

7~12歳(小学生)

7〜12歳の自閉症スペクトラムの特徴は、以下のとおりです。

・学校に行きたがらない
・集団行動は苦手
・協調性がない
・忘れ物が多い
・勉強が苦手

小学生時代は登校の時間になると急にお腹が痛くなったり、機嫌が悪くなったりする特徴があります。特に入学直後は新しい環境に馴染めず、通学が苦痛そのものと感じます。
また、この時期になるとADHD(注意欠如・多動症)やLD(学習障害)などの併存症が目立ち始めます。そのため、忘れ物が多かったり、周りの子に比べて学習速度が遅かったりします(2学年程度)。特に9〜10歳(小学3〜4年生)になると学習の遅れが目立ち始めるでしょう。

12歳~(中高生)

12歳以降の自閉症スペクトラムの特徴は、以下のとおりです。

・自己評価や自分を客観視するのが苦手
・自分の思っていることを言葉で表現できない
・他のクラスの授業の音が気になり、自分の授業に集中できない
・体育祭や文化祭などのイベントごとが苦手
・遅刻が多い
・冗談や皮肉かわからない

中学・高校は自分と向き合って進路選択をしなければならない重要な時期です。しかし、自閉症スペクトラムだと自分を客観視したり、思いを言葉にするのが苦手だったりするため、現実的な進路が選べないことがあります。
中学・高校は学校生活で大勢と関わる体育祭や文化祭などのイベントが増えますが、それらには消極的で、参加したくないという思いから当日欠席するという子どもが多くいます。
また、外的刺激に過敏であることから、他のクラスの授業の音や部活動の声などが気になり、自分の授業に集中できないと悩む子どももいます。

この時期になると学校生活に多くの支障がでて、症状を自覚するようになります。いつもと様子が違ったり、一人で悩むことが増えたりしたら、精神科や心療内科の病院を受診してみると良いでしょう。

自閉症スペクトラムの子どもと関わる際の3つのコツ

自閉症診断テスト4

自閉症スペクトラムの子どもと上手に関わるには、以下の3つのコツを押さえておきましょう。

コツ1:言葉以外でも伝えてみる
コツ2:スケジュール管理をする
コツ3:失敗よりも成功に注目する

これを押さえておくだけでも、親子でストレスのないコミュニケーションができます。

言葉以外でも伝えてみる

自閉症スペクトラムの子どもは、抽象的な指示や言い回しが理解できなかったり、言葉だけでは相手の気持ちや考えをイメージできなかったりします。そのため、言葉以外に「ジェスチャー」「イラストや図解など視覚的な情報」などを用いて、伝え方の工夫をするようにしましょう。それだけで、こちらの意図したことが格段に伝わりやすくなります。
また、「メール」や「チャットツール」を用いると後から見返しが効くため、伝達ミスを減らせるでしょう。お子様に合ったコミュニケーション方法を模索するようにしてください。

スケジュール管理をする

自閉症スペクトラムの子どもは急なスケジュール変更が苦手で、自分の決めた予定やペースを乱されることを嫌います。
急なスケジュール変更など柔軟な対応が求められる場面では、思考停止やパニックになり、その後の行動に悪影響を与えかねません。
そこで、以下のコツを意識しましょう。

・徹底したスケジュール管理をする
・日々の行動をルーティン化する
・今後の見通しを事前に細かく伝える
・時間割や予定表など視覚的な情報を活用して伝える
・一緒に取り組めることを伝える

スケジュール、ルーティンを管理して、日常生活でイレギュラーな出来事が起こりにくいように工夫しましょう。また、イレギュラーな事態が発生した際は、その後の見通しを詳しく伝え、不安を取り除いてあげるようにしてください。

失敗よりも成功に注目する

失敗よりも成功に着目して、できることを増やしていきましょう。なぜなら、成功に着目すると子どもの承認欲求を満たし、自己肯定感を高められるからです。自信がつけば色々なことに積極的に取り組む姿勢が身につき、多くの成功体験を積むこともできます。
また、没頭できる環境を作ってあげることで、これまでになかった才能を発揮するきっかけになるかもしれません。子ども自体を変えるのではなく、その子の過ごす環境を変えることも関わる際のコツになります。

自閉症の治療法

自閉症スペクトラムと診断されたら、以下の3つの治療が始まります。

治療法1:環境調整
治療法2:カウンセリング・認知行動療法
治療法3:薬物療法

これらの治療を通して、症状をコントロールしながら障害と上手に付き合っていきましょう。

環境調整

お子さんの特性や症状の程度に合わせた環境調整をすることで、症状のコントロールを行います。そのために、まずはお子さんやご両親が日常生活で抱えている課題や困りごとを明らかにする必要があります。

自閉症スペクトラムの子どもは、光や音・ニオイなどの外的な刺激に過敏です。騒音や刺激の多い環境では、パニック障害を誘発してしまう可能性が高いです。
そのため、お子さんを落ち着かせて気持ちを安定させてあげるために、音の少ない閑静な住宅街に住居を設け、治療のための環境を整えることも大切です。

それでも音が気になる子や、外的な刺激を変えるのが困難な場合は、イヤホンや耳栓を活用するのもおすすめです。

カウンセリング・認知行動療法

自閉症スペクトラムの子ども自身が悩みや困りごとを抱えているなら、カウンセリングや認知行動療法が有効です。
ただし、カウンセリングはある程度自分の思いを言えないと成立しないため、幼児期のお子さんには適していません。

認知行動療法とは、自分の特性や癖、行動パターンを知り、物事の見方や捉え方を変えて、行動に結びつける治療法です。
例えば、残り10問の宿題を「まだ10問もある…」と捉えるか、「あと10問で終わる!」と捉えるかどうかでは、その後の宿題に取り組む意欲は大きく変わります。

このように、自閉症スペクトラムの子どもの心理を理解して、行動へ促すことのできる呼びかけや、気持ちの向け方を把握することも自閉症スペクトラムの有効な治療法といえるでしょう。

薬物療法

環境調整やカウンセリングでコントロールできない症状に対して、薬物療法が行われます。
薬物療法が適応となる代表的な症状は、ストレスや睡眠障害、転換発作や抑うつ状態などです。なかなかコントロールすることが難しい場面で有用な療法です。

しかし、強い薬を用いる場合もあるため、副作用の程度を見ながら最低量の薬で症状のコントロールをするようにしてください。
その際、症状が改善されたからといって自己判断で内服を止めると悪化の原因になる可能性があります。
そのため、薬の調整や終了については、必ず医師に相談するようにしましょう。

NIPTで自閉症の検査が可能?

自閉症診断テスト

NIPTとは、母体の採血のみで胎児の染色体異常を高い精度で見つける新型出生前診断です。基本的には、3つの染色体異常「ダウン症候群」(21トリソミー)、「エドワーズ症候群」(18トリソミー)、「パトウ症候群」(13トリソミー)を検査します。
NIPTで自閉症スペクトラムの可能性を判断することは可能なのでしょうか。ここでは、NIPTで検査可能なのか、また遺伝子検査の必要性をご紹介します。

NIPTでは自閉症の可能性を基本的に確認できない

NIPTを用いて自閉症スペクトラムの可能性を判断することはできません。自閉症の研究は急速に進められていますが、現在はまだ原因などが明確に解明されていないためです。
自閉症は複数の遺伝子の微妙な変化が引き起こしていると考えられており、ダウン症候群(21トリソミー)やエドワーズ症候群(18トリソミー)などのように、特定の染色体を見て明確に判断できるものではありません。
このことは、アスペルガー症候群やADHDなど他の発達障害に関しても同様のことがいえます。

自閉症だとわかったら遺伝子検査を受けよう

遺伝子検査を受けると、自閉症の考えられる原因や将来起こりうる病状の情報を、一部の個人や家族に与えることができます。 ミネルバクリニックは、オンライン診療に対応しているため、全国どこからでも検査を受けていただくことが可能です。
自閉症スペクトラムの検体は口腔粘膜です。ミネルバクリニックからキットを発送し、検体をとって送り返していただきます。検査の前には、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングを受けていただき、遺伝子検査で得られるもの、得られないもの、結果の解釈などを事前に理解していただきます。

ミネルバクリニックでは出生前の自閉症遺伝子検査に対応

自閉症スペクトラム障害の原因遺伝子の知見も積み重なってきて、単一遺伝子からミトコンドリア、トリプレットリピートなど幅広い遺伝形式があることもわかってきました。ミネルバクリニックの自閉症遺伝子検査では、一度の検査で自閉症と関係する121遺伝子を検査することが可能です。

詳しくはこちらをご覧ください。

まとめ

子どもの自閉症スペクトラムを見分けるのは非常に難しいです。
幼少期は、通常のお子さんでも落ち着きがない場合が多いため、注意深く観察するようにしましょう。お子さんを疑うのはかわいそうだと考えてしまいがちですが、自閉症スペクトラムは早期から治療すれば症状の悪化を防ぐことができます。
また、早い段階での気づきが、お子さんの生活しやすい環境を整えてあげることに役立ちます。少しでも他の子と違う部分があるなと感じたら、この記事のチェックリストや年齢別の行動特徴を、お子さんと照らし合わせてみてください。
ミネルバクリニックでは、出生前の自閉症スペクトラムの可能性検査に積極的に取り組んでいます。気になる方はぜひお問い合わせください。

この記事の著者:仲田洋美(医師)

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ミネルバクリニックでは、以下のNIPT検査を提供しています。少子化の時代、より健康なお子さんを持ちたいという思いが高まるのは当然のことと考えています。そのため、当院では世界の先進的特許技術に支えられた高精度な検査を提供してくれる検査会社を遺伝専門医の目で選りすぐりご提供しています。

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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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