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2歳3歳の自閉症(ASD)の子どもにみられる主な特徴|三歳児以外も一緒に紹介
自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム/ASDの三つの特徴
自閉症(自閉症スペクトラム障害)は先天的な発達障害の1つで、特徴として以下の三つがあると言われています。
これからそれぞれの特徴について詳しくご説明いたします。
自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム/ASDの対人関係の障がいについて
これは大人になると顕著に表れてくるのですけど、暗黙のルールが通用しなかったり、協調性がなくて孤独に陥りがちだったり、非常識と思われる行動をしたりしてしまいます。他にも感情表現がストレートで正直すぎるといった点も特徴です。
小さい頃からマイペースで過ごしており、手がかからない子どもだったりするのもよくあるケースです。
自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム/ASDのコミュニケーションについて
相互的なコミュニケーションを苦手とし、他人への興味が薄い傾向にあります。乳児期には大人があやしても目が合わない、微笑みかけても微笑みが返ってこないといった自然な社会的な発達に遅れを取ります
2~3歳になると言葉の遅滞や、知っている単語の数はたくさんあるのに、それを機能的に使えないといった症状がみられます。
また聞かれたことをそのまま返す「オウム返し」をする特徴もみられます。
知的障害がない場合、学童期を迎えるとお友達と相互的な関係を築くことができなかったり、人の表情をみて感情を読み取ることができなかったりすることで、友達や仲間ができづらいといった傾向がみられます。
自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム/ASDの行動へのこだわりについて
物事の順序や物の配置、勝敗、自分のやり方に強いこだわりを持っており、こだわりの対象は人や年齢によって異なります。おもちゃをいつも同じ順序で並べる遊びをしたり、いつもと同じ道順をたどらないとパニックを起こすことがあります。
また、興味・関心が極端で、自分の好きなことにはとことんのめり込むけれど、そうでないものには関心を全く示さないといった特徴もあります。
自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム/ASDの年齢別行動の特徴
乳幼児期に目が合わない、笑い返さないといった特徴から、自閉症が疑われることがありますが、自閉症を診断できるのは2歳を過ぎてからです。
また、乳幼児期にこのような反応がみられても、後に自閉症と診断されることもあります(自閉症は先天的な障害のため、成長過程において定型発達児から自閉症になるということは起こりません)。
このように、自閉症の症状は人や年齢によって異なりますが、いくつかの症状がみられたときには、早めにかかりつけ医か発達障害の専門機関へ相談してみましょう。
生後~1歳
育てにくさを感じるお母さんがいる一方で、手のかからない子という印象を持つお母さんもいるようです。
- ・抱っこを嫌がる。抱っこされても自分からしがみつかない
- ・あまり泣かない、あやしても笑わない
- ・ミルクをあまり飲まない
- ・偏食が激しい
- ・寝つきが悪い、わずかな物音でもすぐに目を覚ましてしまう
2~3歳
定期健診や公園、保育園等で見かける他の子供と比べて違いが気になる時期です。専門機関では自閉症の診断が可能になる年頃です。
- ・発語や言葉が遅い
- ・言葉を知っていても機能的に使うことができない(「お腹すいた」「遊んで」等、自分の要望や共感をもってほしいことを伝えることができない
- ・人と視線を合わせようとしない
- ・癇癪を起こすことが多い
- ・初めて行く場所、知らない人を強く警戒したり、不安がったりする
- ・同じぐらいの年齢の子供たちと上手く遊ぶことができない
- ・聞かれたことに答えらない(オウム返しをする)
- ・いつも同じ遊びをしている
4~6歳
保育園や幼稚園での集団生活が始まります。他の子供たちとの関りから、自閉症の特徴が顕著に現れる時期でもあります。
- ・物事の手順、物の位置にこだわる
- ・集団行動が苦手
- ・同じぐらいの年齢の子供たちと上手く遊ぶことができない
- ・いつも同じ遊びをしている
- ・状況の変化にパニックを起こす
ADHDのチェックリスト
自閉症または自閉スペクトラム症・ASDの赤ちゃんは3~4歳頃にADHDも発症する恐れがあります。そのため自閉症のチェックリストに加えてADHDのチェックリストもご紹介します。先ずはDSM-5(精神障害の診断・統計マニュアル第5版)で紹介されているものをそのままの形で引用しますのでご確認ください。その後に解説をします。
DSM-5のADHD診断基準は、9つの不注意症候および9つの多動性・衝動性症候を含みます。
この基準による診断には、少なくとも1グループにおける6つ以上の症候が以下の条件を満たす必要があるとされています。【共通事項】
- ・しばしば6カ月以上認められる
- ・患児の発達水準から予測されるよりも著しい
- ・少なくとも2つ以上の状況(例,家庭および学校)でみられる
- ・12歳前に(少なくともいくつかの症状が)みられる
- ・家庭,学校,または職場での機能を妨げている
まず重要なのは、この共通事項に全て当てはまるかどうかです。全てに当てはまった人のみ、この先へお進みください。
【不注意症状】
- ・細部に注意を払わない,または学業課題やその他の活動を行う際にケアレスミスをする
- ・学校での課題または遊びの最中に注意を維持することが困難である
- ・直接話しかけられても聴いていないように見える
- ・指示に従わず,課題を最後までやり遂げない
- ・課題や活動を順序立てることが困難である
- ・持続的な精神的努力の維持を要する課題に取り組むことを避ける,嫌う,または嫌々行う
- ・しばしば学校の課題または活動に必要な物を失くす
- ・容易に注意をそらされる
- ・日常生活でもの忘れが多い
【多動性・衝動性症状】
- ・手足をそわそわと動かしたり,身をよじったりすることが多い
- ・教室内またはその他の場所で席を離れることが多い
- ・不適切な状況で走り回ったり高い所に登ったりすることがよくある
- ・静かに遊ぶことが困難である
- ・じっとしていることができず,エンジンで動かされているような行動を示すことが多い
- ・過度のおしゃべりが多い
- ・質問が終わる前に衝動的に答えを口走ることが多い
- ・順番を待てないことが多い
- ・他者の行為を遮ったり,邪魔をしたりすることが多い
不注意優勢型と診断するには、6つ以上の【不注意症候】が必要です。
多動性・衝動性優勢型と診断するには、6つ以上の【多動性・衝動性症候】が必要です。
混合型と診断するには、不注意と多動性・衝動性のそれぞれで6つ以上の症候が必要となります。
「DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル(原著:American Psychiatric Association)」より引用
重要なのは共通項目がすべて当てはまっているかどうかです。例えば、自宅ではADHDの特徴が出ているけど学校ではほとんど出ていないというのがあります。これはADHDの診断基準に当てはまりません。
また、期間も重要です。DCM-5では明確に6か月と記載しています。つまり安易にADHDだと診断しないという意味です。もし気になる行動をしていたら子どもの環境が変わっていないのか見てあげるなど注意して見てください。もしかしたら親御さんにかまってほしくて問題行動をしているのかもしれません。
自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム/ASDの男の子と女の子の違い
自閉症または自閉スペクトラム症・ASDは男性が多く、女性の約4倍の発生頻度です。女性は知的障害を併発する割合が高いのですが、知的障害や言語の遅れが目立たないと社会性の困難が成人して以降現われやすいので発見が遅れることも珍しくありません。
女性は、男性と比べて割合が低いので子どもの頃は過小評価されがちです。もし女の子でも気になる点があるのならば医師に相談してください。
まとめ
もし子どもにご紹介した症状が現われるようならば医師に相談をした上で検査を受けた方がいいでしょう。自閉症(自閉スペクトラム症・ASD)は、一人ひとり特徴や症状が違いますので対策が変わってきます。
早めに診察を受けることで子どもの生きづらさを少しでも緩和できる環境を作ってあげられます。
自閉症または自閉スペクトラム症・ASDの方は、約70%が一つの精神疾患を、40%以上の人が2つ以上の精神疾患をもっているといわれています。症状を和らげるには発達に合わせた療育・教育的な対応が必要です。気になる点があれば早めに医師に相談をしましょう。
自閉症遺伝子パネル
ミネルバクリニックでは自閉症の診断や次のお子さんのリスク、カップルから自閉症のお子さんが生まれるリスクなどを総合的に評価可能な自閉症遺伝子パネルをご提供しています。早期診断は早期に療育につなげて社会性を獲得する一助になります。遺伝子検査はこの10年で飛躍的に進化を遂げ、たくさんの知見が得られてきました。不安に思っている方々を力強くサポートしていきたいと願っています。